夜、なかなか寝付けない時や、周囲の騒音が気になる時に、イヤホンをつけたままで寝てしまう経験はありませんか?心地よい音楽やASMR、ホワイトノイズなどを聴きながら眠りにつくのは、多くの方にとってリラックスできる時間かもしれません。しかし、その習慣が耳の健康や睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
本記事では、イヤホンをつけたままで寝ることのメリットとデメリット、考えられる具体的なリスク、そして安全に利用するためのコツやおすすめのアイテムについて詳しく解説します。あなたの安眠をサポートしつつ、耳の健康を守るための方法を見つける参考にしてください。
イヤホンつけたままで寝ることのメリットとデメリット

イヤホンをつけたままで寝るという習慣には、良い面と悪い面の両方があります。それぞれの側面を理解することで、より賢くイヤホンと付き合えるでしょう。
メリット:安眠効果や騒音対策
イヤホンをつけたままで寝る最大のメリットは、外部の騒音を遮断し、自分だけの静かな空間を作り出せる点です。例えば、家族のいびきや生活音、近隣の騒音、交通量の多い場所での生活音など、睡眠を妨げる様々な音を軽減できます。特にノイズキャンセリング機能付きのイヤホンや遮音性の高いカナル型イヤホンは、周囲の音をほとんど気にならないレベルまで低減してくれるでしょう。
また、心地よい音楽やヒーリングサウンド、ASMR(心地よい音の刺激)などを聴くことで、心身の緊張がほぐれ、スムーズな入眠をサポートする効果も期待できます。 「音がないと眠れない」という方にとっては、リラックス効果のある音源が安眠を促す助けとなることもあります。
デメリット:健康リスクと耳への負担
一方で、イヤホンをつけたままで寝ることには、いくつかのデメリットや健康リスクが伴います。最も懸念されるのは、耳への物理的な負担です。通常のイヤホンは、寝返りを打った際に耳に異常な圧力をかけ、痛みや耳道の損傷につながる可能性があります。 長時間耳を塞ぐことで、耳の中が高温多湿になりやすく、細菌が繁殖しやすい環境が作られ、外耳炎や中耳炎といった感染症のリスクを高めることもあります。
さらに、長時間の音刺激は聴力に悪影響を及ぼす可能性があり、小さな音量であっても長時間聴き続けることで「イヤホン難聴」のリスクが高まります。 コード付きイヤホンの場合は、寝返りによってコードが絡まり、首に巻き付くなどの事故につながる危険性もゼロではありません。
イヤホンつけたままで寝ることで考えられる具体的なリスク

イヤホンをつけたままで寝る習慣は、快適な睡眠を助ける一方で、いくつかの健康リスクを伴う可能性があります。ここでは、特に注意すべき具体的なリスクについて詳しく見ていきましょう。
難聴のリスク
イヤホンを長時間、特に大音量で使い続けることは、難聴を引き起こす大きな原因となります。世界保健機関(WHO)は、若者を含む多くの人々がイヤホン難聴のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。 耳の奥にある繊細な有毛細胞は、大きな音や長時間の音刺激にさらされると傷つき、一度壊れてしまうと聴力は回復が難しいと言われています。
寝ている間は意識がないため、無意識のうちに長時間音を聴き続けてしまいがちです。小さな音量であっても、一晩中聴き続けることは耳への負担がかなり大きく、好ましい習慣ではありません。 難聴の初期症状としては、耳鳴りや耳が詰まった感じ(耳閉感)などが挙げられます。 これらの症状に気づいたら、早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
外耳炎や中耳炎のリスク
イヤホンを耳に長時間装着すると、耳の中が高温多湿になり、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。 このような状態で耳の中に小さな傷があると、細菌が侵入して外耳炎を発症しやすくなります。 外耳炎は、耳の痛みやかゆみ、耳だれ、耳閉感、聞こえの悪さなどの症状を引き起こします。
特に、耳の奥まで差し込むカナル型イヤホンは、外耳道に傷ができやすく、外耳炎につながる可能性があるので注意が必要です。 また、耳掃除のしすぎも外耳道の皮膚を傷つける原因となるため、注意しましょう。 外耳炎が進行すると、中耳炎に発展する可能性もゼロではありません。
耳の圧迫による痛みや血行不良
通常のイヤホンをつけたままで寝ると、寝返りを打った際にイヤホンが耳に押し付けられ、強い圧迫感や痛みを感じることがあります。 特に横向きで寝る習慣がある方は、耳の軟骨に負担がかかりやすく、不快感で目が覚めてしまうこともあるでしょう。
長時間の圧迫は、耳周辺の血行不良を引き起こし、頭痛やめまいの原因となる可能性も指摘されています。 また、イヤホンが耳垢を奥に押し込んでしまい、耳垢栓塞(じこうせんそく)の原因となることもあります。
コードによる事故のリスク
有線タイプのイヤホンをつけたままで寝る場合、コードが寝返りによって絡まり、首に巻き付くなどの事故につながる危険性があります。 特に小さなお子様がいる家庭では、誤ってコードが絡まってしまうリスクも考慮する必要があります。ワイヤレスイヤホンであればこのリスクは避けられますが、寝ている間に耳から外れて紛失しやすいというデメリットもあります。
安全にイヤホンつけたままで寝るためのコツ

イヤホンをつけたままで寝る習慣を続けたいけれど、上記のリスクが気になるという方もいるでしょう。ここでは、リスクを最小限に抑え、安全にイヤホンを利用するための具体的なコツを紹介します。
寝ホンや骨伝導イヤホンの活用
通常のイヤホンではなく、睡眠用に特化して設計された「寝ホン(スリープイヤホン)」や「骨伝導イヤホン」の活用を検討しましょう。寝ホンは、横向きで寝ても耳が痛くなりにくいように、薄型で柔らかい素材で作られているのが特徴です。 耳への圧迫感を最小限に抑え、快適な装着感を実現しています。
骨伝導イヤホンは、耳を塞がずに音を聴けるため、外耳炎のリスクを減らし、周囲の音も聞き取りやすいというメリットがあります。 ただし、骨伝導イヤホンはネックバンドが枕と干渉しやすく、横向き寝には不向きな場合があるため、注意が必要です。 枕の下に置くタイプの骨伝導スピーカーも、耳への負担をなくす良い方法です。
音量と使用時間の管理
難聴のリスクを避けるためには、音量と使用時間の管理が非常に重要です。世界保健機関(WHO)は、安全なリスニング習慣として、音量を抑え、聴取時間を管理することを推奨しています。 具体的には、音量を全体の60%以下に抑え、60分以上連続して聴かないことが推奨されています。
寝る時にイヤホンを使う場合は、スリープタイマー機能を活用し、入眠後は自動的に音が止まるように設定しましょう。 これにより、無意識のうちに長時間大音量で聴き続けることを防ぎ、耳への負担を軽減できます。
定期的な耳のケアとイヤホンの清潔保持
外耳炎などの感染症を予防するためには、耳とイヤホンを清潔に保つことが不可欠です。イヤホンは耳垢や皮脂が付着しやすく、雑菌の温床となる可能性があります。定期的にアルコールなどで拭き取り、清潔な状態を保ちましょう。
また、耳掃除のしすぎは外耳道を傷つけ、感染症のリスクを高めるため、控えめにすることが大切です。 耳に違和感やかゆみ、痛みを感じたら、すぐにイヤホンの使用を中止し、必要であれば耳鼻咽喉科を受診してください。
片耳だけ使用する
両耳にイヤホンを装着するよりも、片耳だけを使用することで、耳への負担を軽減し、周囲の音も聞き取りやすくする効果が期待できます。 特に、緊急時のアラームや家族の声など、重要な音を聞き逃したくない場合には有効な方法です。片耳使用であれば、耳の圧迫感も半分になり、より快適に眠りにつけるかもしれません。
寝る時におすすめのイヤホンタイプ

イヤホンをつけたままで寝る習慣がある方にとって、耳への負担を減らし、快適な睡眠をサポートしてくれるイヤホン選びは非常に重要です。ここでは、寝る時におすすめのイヤホンタイプを紹介します。
寝ホン(スリープイヤホン)
「寝ホン」とは、その名の通り、寝る時に快適に使えるように設計された専用イヤホンです。 通常のイヤホンと比べて、以下のような特徴があります。
- 薄型・小型設計:横向きで寝ても耳に圧迫感を与えにくく、痛くなりにくい形状です。
- 柔らかい素材:イヤーチップなどが柔らかいシリコン製で、長時間装着しても耳が痛くなりにくい工夫がされています。
- 遮音性:周囲の騒音を効果的に遮断し、静かな環境を作り出すのに役立ちます。 カナル型が遮音性に優れているとされています。
- 音質:刺激の少ない優しい音作りが特徴で、リラックスして眠りに入りやすいよう調整されています。
ワイヤレスタイプはコードが絡まる心配がなく便利ですが、寝ている間に外れて紛失しやすいというデメリットもあります。 有線タイプはコードが絡む可能性はありますが、紛失しにくいというメリットがあります。 Anker Soundcore Sleep A30や1MORE Sleeping Earbuds Z30などが人気の寝ホンとして挙げられます。
骨伝導イヤホン
骨伝導イヤホンは、耳を塞がずに音を聴ける画期的なタイプのイヤホンです。音の振動を鼓膜ではなく頭蓋骨を通じて内耳に伝えるため、耳の穴を塞ぐことによる圧迫感や外耳炎のリスクを軽減できます。
- 耳への負担軽減:耳の穴を塞がないため、耳の圧迫感が少なく、長時間使用しても疲れにくいのがメリットです。
- 周囲の音も聞こえる:外部の音も聞き取れるため、緊急時のアラームや家族の声など、重要な音を聞き逃す心配が少ないです。
- 外耳炎予防:耳の中が高温多湿になるのを防ぎ、外耳炎のリスクを低減します。
ただし、骨伝導イヤホンはネックバンド型が多いため、横向きで寝る際には枕と干渉して違和感を感じやすいというデメリットがあります。 また、音漏れしやすい傾向があるため、静かな環境での使用には注意が必要です。 骨伝導イヤホンを寝る時に使う場合は、仰向け寝が中心の方や、耳を塞ぎたくない方におすすめです。
ワイヤレスイヤホン(耳に負担の少ない形状)
一般的なワイヤレスイヤホンの中でも、寝る時に適した形状のものがいくつかあります。特に、耳の奥まで深く差し込まないインナーイヤー型や、耳のくぼみにフィットするオープンイヤー型などは、カナル型に比べて圧迫感が少ない傾向にあります。
- 小型・軽量:耳に収まりやすい小型で軽量なモデルを選ぶと、寝返りを打った際の違和感を軽減できます。
- イヤーピースの素材:柔らかいシリコン製のイヤーピースは、耳への負担を和らげます。
- コードレス:コードが絡まる心配がないため、寝返りを打ちやすいです。
ただし、通常のワイヤレスイヤホンは寝ホンほど睡眠に特化して設計されているわけではないため、選ぶ際には装着感や耳へのフィット感を重視することが大切です。長時間使用する場合は、バッテリー持続時間も確認しておきましょう。
イヤホンなしで安眠を促す代替方法

イヤホンをつけたままで寝ることに抵抗がある方や、耳の健康を優先したい方のために、イヤホンなしで安眠を促す代替方法もいくつかあります。これらの方法を取り入れることで、より自然で質の高い睡眠を目指せるでしょう。
環境音やホワイトノイズの活用
外部の騒音が気になる場合は、イヤホンを使わずに環境音やホワイトノイズを流す方法があります。自然の音(波の音、雨の音、焚き火の音など)やホワイトノイズは、耳障りな音をマスキングし、脳をリラックスさせる効果が期待できます。
スマートフォンのアプリや専用のホワイトノイズマシン、または小型のBluetoothスピーカーなどを活用し、部屋全体に穏やかな音を流すことで、耳への直接的な負担なく安眠をサポートできます。ただし、音量が大きすぎるとかえって睡眠の質を低下させる可能性があるので、控えめな音量で利用しましょう。
睡眠環境の整備
快適な睡眠には、寝室の環境が大きく影響します。以下の点を見直すことで、イヤホンなしでも安眠しやすい環境を整えられます。
- 室温と湿度:快適な室温(一般的に18~22℃)と湿度(50~60%)を保ちましょう。
- 遮光:寝室を真っ暗にすることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を促し、深い眠りに入りやすくなります。遮光カーテンやアイマスクの利用も有効です。
- 寝具:自分に合った枕やマットレスを選ぶことも重要です。寝具が体に合っていないと、寝返りが打ちにくかったり、体の痛みにつながったりして、睡眠の質が低下します。
- 騒音対策:窓の防音対策や、厚手のカーテンを設置するなど、外部からの騒音を物理的に遮断する工夫も効果的です。耳栓の使用も手軽な方法の一つです。
これらの環境整備は、イヤホンに頼らずとも、質の高い睡眠を得るための基本的な要素となります。
リラックスできる習慣を取り入れる
就寝前にリラックスできる習慣を取り入れることで、心身を落ち着かせ、スムーズな入眠を促せます。
- 入浴:就寝の1~2時間前にぬるめのお湯(38~40℃)にゆっくり浸かると、体温が適度に上昇し、その後下降する際に自然な眠気を誘います。
- ストレッチやヨガ:軽いストレッチやリラックス効果のあるヨガは、体の緊張をほぐし、心地よい疲労感をもたらします。
- 読書:スマートフォンやPCの画面を見る代わりに、紙媒体の本を読むことで、脳への刺激を減らし、リラックスできます。
- アロマテラピー:ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のあるアロマオイルを焚くのも良いでしょう。
これらの習慣を日々のルーティンに取り入れることで、「音楽がないと眠れない」といった心理的な依存から抜け出し、自然な眠りへと導くことができます。
よくある質問

- イヤホンをつけたままで寝ると耳が痛くなりますか?
- 寝ホンは普通のイヤホンと何が違いますか?
- 骨伝導イヤホンは寝る時に使えますか?
- 寝る時にイヤホンを使うと難聴になりますか?
- イヤホンをつけたままで寝ると外耳炎になりやすいですか?
イヤホンをつけたままで寝ると耳が痛くなりますか?
はい、通常のイヤホンをつけたままで寝ると、寝返りを打った際に耳に圧力がかかり、耳が痛くなることがあります。特に横向きで寝る習慣がある方は、耳の軟骨が圧迫されて痛みを感じやすいです。 このような痛みを避けるためには、薄型で柔らかい素材の「寝ホン」や、耳を塞がない「骨伝導イヤホン」の利用を検討することをおすすめします。
寝ホンは普通のイヤホンと何が違いますか?
寝ホンは、寝る時に快適に使えるように特化して設計されたイヤホンです。 通常のイヤホンとの主な違いは、横向きで寝ても耳が痛くなりにくいように、薄型で小型の形状をしている点、そしてイヤーチップが柔らかい素材でできている点です。 また、音質も刺激の少ない優しい音作りが特徴で、リラックスして眠りに入りやすいよう調整されています。
骨伝導イヤホンは寝る時に使えますか?
骨伝導イヤホンは耳を塞がずに音を聴けるため、耳への圧迫感が少なく、外耳炎のリスクを減らせるメリットがあります。 しかし、多くの骨伝導イヤホンはネックバンド型で、横向きで寝る際には枕と干渉し、違和感や痛みを感じやすい場合があります。 仰向け寝が中心の方や、耳を塞ぎたくない方には選択肢の一つとなりますが、横向き寝が多い場合は、耳への負担が少ない寝ホンや、枕の下に置く骨伝導スピーカーの方が適しているかもしれません。
寝る時にイヤホンを使うと難聴になりますか?
はい、寝る時にイヤホンを長時間使用すると、難聴になるリスクがあります。 小さな音量であっても、一晩中音を聴き続けることは耳の奥にある有毛細胞に負担をかけ、聴力低下につながる可能性があります。 難聴を予防するためには、音量を控えめにし、スリープタイマー機能を使って入眠後は自動的に音が止まるように設定することが重要です。
イヤホンをつけたままで寝ると外耳炎になりやすいですか?
はい、イヤホンをつけたままで寝ると外耳炎になりやすくなります。 イヤホンを長時間耳に装着することで、耳の中が高温多湿になり、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。 この状態で耳の中に小さな傷があると、細菌が感染して外耳炎を発症するリスクが高まります。 外耳炎を予防するためには、イヤホンを清潔に保ち、長時間の使用を避け、耳に負担の少ないタイプのイヤホンを選ぶことが大切です。
まとめ
- イヤホンをつけたままで寝ることは、騒音対策やリラックス効果といったメリットがある。
- 一方で、難聴、外耳炎、耳の圧迫による痛み、コードによる事故などのリスクも伴う。
- 難聴は、小さな音量でも長時間聴き続けることでリスクが高まる。
- 外耳炎は、耳の中が高温多湿になり細菌が繁殖することで発症しやすくなる。
- 耳の痛みは、寝返りによるイヤホンの圧迫が主な原因。
- 安全に使うには、睡眠に特化した「寝ホン」や「骨伝導イヤホン」がおすすめ。
- 寝ホンは薄型・小型で柔らかい素材、骨伝導イヤホンは耳を塞がないのが特徴。
- 音量は控えめにし、スリープタイマー機能で自動停止させるのが重要。
- イヤホンは定期的に清潔に保ち、耳掃除のしすぎは避ける。
- 片耳だけ使用することで、耳への負担や緊急時の聞き逃しリスクを軽減できる。
- イヤホンなしで安眠を促すには、環境音やホワイトノイズの活用も有効。
- 寝室の室温・湿度、遮光、寝具など睡眠環境の整備も大切。
- 就寝前の入浴、ストレッチ、読書、アロマテラピーなどでリラックス習慣を取り入れる。
- 耳に痛みやかゆみなどの異常を感じたら、速やかに耳鼻咽喉科を受診する。
- 骨伝導イヤホンは横向き寝には不向きな場合があるため注意が必要。
- ワイヤレスイヤホンはコード絡まりのリスクはないが、紛失しやすい。
- 「音楽がないと眠れない」といった心理的依存にも注意が必要。
