冬の室内を華やかに彩ってくれるシクラメン。しかし、日本の高温多湿な夏を乗り越えさせるのは至難の業だと感じている方も多いのではないでしょうか。特に「シクラメンの夏越しに冷蔵庫を使う」という方法に興味をお持ちの方もいるかもしれません。本記事では、冷蔵庫を使ったシクラメンの夏越し方法とその注意点を詳しく解説し、あなたのシクラメンを来年も美しく咲かせるための具体的なコツをお伝えします。
日本の夏がシクラメンにとって過酷な理由
シクラメンは、地中海沿岸地域を原産とする植物で、本来は冬に生育し、夏には休眠する性質を持っています。この休眠は、原産地の乾燥した夏を乗り越えるための自然なサイクルです。しかし、日本の夏は高温であるだけでなく、湿度も非常に高いため、シクラメンにとっては非常に厳しい環境となります。
高温多湿が球根に与える影響
シクラメンの球根は、高温多湿の環境に非常に弱いです。特に、土の中の温度が上がり、水分が過剰になると、球根が蒸れて腐りやすくなります。腐敗はシクラメンの夏越し失敗の主な原因の一つであり、一度腐ってしまうと復活はほぼ不可能です。また、多湿はカビや病気の発生も招きやすく、健康な状態を保つのが難しくなります。
なぜ夏越しが難しいのか
日本の夏は、シクラメンが自生する地中海沿岸の気候とは大きく異なります。原産地では夏は乾燥していますが、日本では梅雨から夏にかけて雨が多く、湿度が高い状態が続きます。このため、鉢植えのシクラメンは土が乾きにくく、球根が常に湿った状態になりがちです。さらに、夜間も気温が下がりにくいため、シクラメンが休眠に入りにくく、体力を消耗してしまうことも夏越しを難しくする要因です。
冷蔵庫を使ったシクラメン夏越しのメリットとデメリット

日本の厳しい夏を乗り越えるための特殊な方法として、冷蔵庫での夏越しが注目されることがあります。この方法は、シクラメンの球根を人工的に涼しく乾燥した環境に置くことで、確実に休眠を促し、夏のダメージから守ることを目的としています。しかし、この方法にはメリットとデメリットの両方があります。
冷蔵庫夏越しの基本的な考え方
冷蔵庫での夏越しは、シクラメンの球根を鉢から取り出し、適切な処理を施した上で、冷蔵庫の野菜室などで保管するというものです。これは、高温多湿を避けて、シクラメンが本来持つ休眠のサイクルを人工的に再現するための方法と言えます。特に、夏の最高気温が30℃を超えるような地域や、風通しの良い日陰を確保するのが難しい環境で有効な手段となり得ます。
冷蔵庫で夏越しするメリット
- 確実に休眠誘導: 冷蔵庫内の一定の低温環境は、シクラメンの休眠を確実に促します。これにより、日本の夏の暑さで休眠しきれずに枯れてしまうリスクを大幅に減らせるでしょう。
- 腐敗リスクの軽減: 乾燥した状態で保存するため、土中の水分による球根の腐敗を防ぎやすくなります。これは、多湿が苦手なシクラメンにとって大きな利点です。
- 省スペース: 鉢ごと管理するよりも、球根だけを保存するため、限られたスペースでも複数のシクラメンを夏越しさせることが可能です。
冷蔵庫で夏越しするデメリット
- 手間とスペースの確保: 球根を掘り上げ、乾燥させ、梱包し、冷蔵庫に保管するという一連の作業が必要です。また、冷蔵庫内に球根を保管するスペースを確保する必要があります。
- 乾燥しすぎやカビのリスク: 冷蔵庫内は乾燥しすぎることがあり、球根がミイラ化してしまう可能性があります。逆に、湿気がこもるとカビが発生することもあるため、適切な湿度管理が求められます。
- 管理の難しさ: 定期的に球根の状態を確認し、異常がないかチェックする手間がかかります。適切な管理を怠ると、かえって球根を傷めてしまうこともあります。
冷蔵庫でシクラメンを夏越しさせる具体的な進め方

冷蔵庫での夏越しは、通常の夏越し方法とは異なる特別な進め方が必要です。ここでは、シクラメンの球根を冷蔵庫で安全に夏越しさせるための具体的なステップを詳しく解説します。一つ一つの工程を丁寧に行うことで、来年も美しい花を咲かせる可能性が高まります。
ステップ1:休眠期への準備と球根の掘り上げ
シクラメンを冷蔵庫で夏越しさせるには、まず株を休眠状態に導き、球根を掘り上げる準備をします。この準備期間は、通常4月下旬から6月頃にかけて行われます。
- 水やりと肥料の停止: 花が終わり始めたら、徐々に水やりの頻度を減らし、肥料も完全に停止します。これにより、株は自然と休眠状態へと移行し始めます。
- 葉が枯れるのを待つ: 水やりを控えると、葉が黄色くなり、やがて枯れていきます。全ての葉が自然に枯れ落ちるのを待ちましょう。無理に引き抜くと球根を傷つける可能性があるので注意が必要です。
- 球根の掘り上げと土の除去: 葉が完全に枯れたら、鉢から球根を優しく掘り上げます。球根に付着している土は、手で軽く払い落とすか、ブラシなどで丁寧に除去してください。この際、根を傷つけないように慎重に行うことが大切です。
ステップ2:冷蔵庫での適切な保存方法
掘り上げた球根は、冷蔵庫に入れる前に適切な処理を施すことが重要です。これにより、保存中の腐敗や乾燥を防ぎ、球根を健康な状態に保つことができます。
- 球根の乾燥と消毒: 掘り上げた球根は、風通しの良い日陰で数日間乾燥させます。表面が完全に乾いたら、殺菌剤を塗布してカビの発生を予防するとより安心です。
- 新聞紙やバーミキュライトでの梱包: 乾燥させた球根は、新聞紙で包むか、乾燥したバーミキュライトやピートモスを入れた袋に入れます。これにより、冷蔵庫内の過度な乾燥から球根を守り、適度な湿度を保つことができます。
- 冷蔵庫内の最適な温度と湿度: 冷蔵庫の野菜室は、比較的湿度が高く、温度も5~10℃程度とシクラメンの球根保存に適しています。直射日光が当たらず、温度変化の少ない場所を選びましょう。
- 定期的な状態確認: 冷蔵庫に保存している間も、月に一度程度は球根の状態を確認しましょう。カビが生えていないか、乾燥しすぎていないかなどをチェックし、必要に応じて新聞紙を交換したり、軽く湿らせたバーミキュライトを追加したりして調整します。
ステップ3:夏越し後:冷蔵庫から出してからの管理
夏の終わり、涼しくなってきたら球根を冷蔵庫から出して、再び生育を始めさせる準備をします。この時期の管理が、来年の開花に大きく影響します。
- 植え付けの適切なタイミング: 9月下旬から10月頃、気温が20℃を下回るようになったら、冷蔵庫から球根を取り出します。新しい用土を用意し、球根の頭が少し土から出るように植え付けます。
- 水やりと肥料の再開: 植え付け後、最初は控えめに水を与え、徐々に水やりの量を増やしていきます。球根から新芽が出てきたら、液体肥料を薄めて与え始めましょう。
- 新しい環境への慣らし方: 植え付け直後は、半日陰の涼しい場所に置き、徐々に日当たりの良い場所へと移動させていきます。急な環境変化は株にストレスを与えるため、ゆっくりと慣らしていくことが大切です。
冷蔵庫を使わない一般的な夏越し方法との比較

シクラメンの夏越しには、冷蔵庫を使う方法以外にも、いくつかの一般的な方法があります。それぞれの方法には特徴があり、ご自身の環境や管理スタイルに合わせて選ぶことが、夏越し成功の鍵となります。ここでは、代表的な「ドライタイプ(休眠法)」と「ウェットタイプ(非休眠法)」について解説し、冷蔵庫での夏越しと比較してみましょう。
ドライタイプ(休眠法)の進め方
ドライタイプは、シクラメンを完全に休眠させて夏を越させる方法です。原産地の気候に近い管理方法と言えます。
- 水やりと肥料の停止: 花が終わる4月頃から水やりと肥料を徐々に減らし、葉が枯れたら完全に停止します。
- 置き場所: 雨の当たらない、風通しの良い日陰で管理します。軒下や物置などが適しています。
- 植え替え: 9月頃に涼しくなってきたら、古い土を落として新しい用土に植え替え、水やりを再開します。
この方法は手間が少ないというメリットがありますが、日本の高温多湿な環境では、球根が蒸れて腐ってしまうリスクがあります。また、休眠中に球根が乾燥しすぎると、発芽しなくなることもあります。
ウェットタイプ(非休眠法)の進め方
ウェットタイプは、シクラメンを休眠させずに、葉をつけたまま夏を越させる方法です。株を成長させ続けたい場合や、比較的涼しい地域に適しています。
- 水やりと肥料の継続: 夏の間も、土が乾いたら水を与え、薄めの液体肥料を2週間に1回程度与え続けます。
- 置き場所: 涼しく風通しの良い日陰で管理します。直射日光は葉焼けの原因となるため避けてください。
- 植え替え: 8月下旬から9月頃に、根を崩さないように注意しながら植え替えを行います。
この方法は、休眠させないため開花が早まるメリットがありますが、夏の暑さで球根が蒸れたり、病害虫が発生しやすくなったりするデメリットがあります。特に、高温多湿の環境では管理が非常に難しい方法と言えるでしょう。
あなたの環境に合った夏越し方法の選び方
どの夏越し方法を選ぶかは、ご自身の住んでいる地域の気候や、シクラメンを管理できる環境によって異なります。
- 高温多湿な地域にお住まいの場合: 冷蔵庫での夏越しや、ドライタイプ(休眠法)がおすすめです。特に冷蔵庫は、人工的に最適な環境を作り出せるため、夏越し成功の可能性を高めます。
- 比較的涼しい地域にお住まいの場合: ドライタイプ(休眠法)や、管理に自信があればウェットタイプ(非休眠法)も選択肢に入ります。ただし、いずれの場合も風通しと日陰の確保は必須です。
- 手間をかけたくない場合: ドライタイプ(休眠法)は水やりや肥料の管理が不要な期間が長いため、手間を減らしたい方に向いています。
ご自身の環境とライフスタイルを考慮し、最適な方法を選んでください。
シクラメンの夏越しを成功させる追加のコツ

シクラメンの夏越しは、選んだ方法だけでなく、日々の細やかな観察と適切な手入れが成功を左右します。ここでは、夏越しをより確実にするための追加のコツをご紹介します。これらの点を意識することで、あなたのシクラメンが来年も元気に花を咲かせる可能性が高まるでしょう。
球根の状態をこまめに確認する大切さ
夏越し期間中は、シクラメンの球根の状態を定期的に確認することが非常に重要です。特に、冷蔵庫で保存している場合や、ドライタイプで休眠させている場合は、目に見える変化が少ないため、つい放置してしまいがちです。しかし、球根が柔らかくなっていないか、カビが生えていないか、異臭がしないかなどを月に一度はチェックしましょう。
異常を発見したら、早めに対処することで、手遅れになるのを防げます。
適切な用土と鉢選び
夏越し後の植え付けや、ウェットタイプで夏越しさせる場合、用土と鉢選びは非常に大切です。シクラメンは水はけの良い土を好むため、市販のシクラメン専用培養土や、赤玉土と腐葉土を主体とした配合土を使用しましょう。 また、鉢は水はけを良くするために、鉢底石を敷くことをおすすめします。鉢のサイズは、球根の大きさに合わせて選び、根が窮屈にならない程度のゆとりがあるものを選びましょう。
病害虫対策
高温多湿の夏は、シクラメンにとって病害虫が発生しやすい時期でもあります。特に、軟腐病や灰色かび病は、球根の腐敗や株全体の枯死につながる恐れがあります。 これらの病気を防ぐためには、水やり時に球根や葉に水がかからないように注意し、風通しを良くすることが重要です。また、定期的に株を観察し、異変があれば早期に殺菌剤を散布するなどの対策を講じましょう。
害虫についても、早期発見・早期駆除が大切です。
よくある質問

シクラメンの夏越しに関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。
- シクラメンの夏越しは必ず休眠させるべきですか?
- 冷蔵庫で保存する際、球根は洗う必要がありますか?
- 冷蔵庫から出した後、いつ頃花が咲きますか?
- 冷蔵庫以外の涼しい場所で夏越しできますか?
- 夏越しに失敗した球根は復活しますか?
- 冷蔵庫での保存期間はどのくらいが目安ですか?
- 冷蔵庫に入れる際、湿度管理はどのように行いますか?
シクラメンの夏越しは必ず休眠させるべきですか?
必ずしも休眠させる必要はありません。シクラメンの夏越しには、葉を枯らして球根のみで夏を越す「休眠法(ドライタイプ)」と、葉をつけたまま管理する「非休眠法(ウェットタイプ)」の2つの方法があります。日本の高温多湿な夏では休眠法が一般的ですが、比較的涼しい地域や、管理に自信がある場合は非休眠法も可能です。
冷蔵庫で保存する際、球根は洗う必要がありますか?
球根を洗う必要はありません。むしろ、水で洗うことで球根が湿り、腐敗やカビの原因となる可能性があります。掘り上げた球根は、付着している土を優しく払い落とし、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させてから冷蔵庫に保存しましょう。
冷蔵庫から出した後、いつ頃花が咲きますか?
冷蔵庫から出して植え付けた後、通常は11月頃から花が咲き始めます。休眠期間が長かった分、開花が遅れることもありますが、焦らずに適切な管理を続けることが大切です。
冷蔵庫以外の涼しい場所で夏越しできますか?
はい、可能です。冷蔵庫以外にも、北側の玄関や物置、風通しの良い日陰など、涼しくて直射日光が当たらない場所であれば夏越しできる可能性があります。ただし、日本の夏の気温や湿度を考慮すると、冷蔵庫ほど安定した環境を確保するのは難しい場合が多いです。
夏越しに失敗した球根は復活しますか?
球根が完全に腐ってしまったり、ミイラのように乾燥しきってしまったりした場合は、残念ながら復活は難しいでしょう。しかし、一部が傷んでいる程度であれば、傷んだ部分を取り除き、殺菌剤を塗布して乾燥させることで復活する可能性もあります。
冷蔵庫での保存期間はどのくらいが目安ですか?
一般的に、シクラメンの休眠期間は6月から9月頃までです。そのため、冷蔵庫での保存期間もこの期間を目安とします。具体的には、6月頃に球根を冷蔵庫に入れ、9月下旬から10月頃に涼しくなってきたら取り出して植え付けるのが良いでしょう。
冷蔵庫に入れる際、湿度管理はどのように行いますか?
冷蔵庫の野菜室は比較的湿度が高いですが、それでも乾燥しすぎる場合があります。球根を新聞紙で包んだり、軽く湿らせたバーミキュライトやピートモスと一緒に袋に入れたりすることで、適度な湿度を保つことができます。ただし、過度に湿らせるとカビの原因になるため、注意が必要です。
まとめ
- シクラメンは高温多湿な日本の夏が苦手です。
- 冷蔵庫での夏越しは確実な休眠を促し、腐敗リスクを減らせます。
- 冷蔵庫夏越しには手間とスペース確保、乾燥・カビのリスクがあります。
- 休眠期への準備として水やりと肥料を停止し、葉が枯れるのを待ちます。
- 球根は掘り上げ、土を除去し、数日間乾燥させます。
- 乾燥させた球根は新聞紙やバーミキュライトで包み冷蔵庫の野菜室へ。
- 冷蔵庫内では5~10℃程度の温度と適度な湿度を保ちます。
- 保存中は月に一度、球根の状態をこまめに確認しましょう。
- 9月下旬から10月頃に冷蔵庫から出し、新しい用土に植え付けます。
- 植え付け後は徐々に水やりと肥料を再開し、日当たりの良い場所へ。
- 一般的な夏越し方法にはドライタイプとウェットタイプがあります。
- ドライタイプは手間が少ないが、腐敗や乾燥のリスクも。
- ウェットタイプは開花が早まるが、高温多湿での管理が難しい。
- 住んでいる地域の気候や管理環境に合わせて方法を選びましょう。
- 球根の状態をこまめに確認することが夏越し成功のコツです。
- 適切な用土と鉢選び、病害虫対策も重要です。
