家庭菜園で人気のきゅうり。すくすく育つのを楽しみにしていたのに、気づけばカメムシがたくさん…なんて経験はありませんか?カメムシはきゅうりの生育に悪影響を与えるだけでなく、あの強烈な臭いも悩みの種ですよね。大切に育てたきゅうりを守るため、効果的な対策を知りたいと切に願っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんなお悩みを解決するために、きゅうりにカメムシがつく原因から、農薬を使わない自然に優しい対策、見つけたらすぐにできる駆除方法まで、詳しく解説していきます。
きゅうりにカメムシが!その被害と原因とは?

大切に育てているきゅうりにカメムシが発生すると、様々な被害が出てしまいます。まずは、カメムシがどのような影響を与えるのか、そしてなぜきゅうりに寄ってくるのか、その原因を正しく理解することから始めましょう。原因を知ることで、より効果的な対策を立てることができます。
この章では、以下の点について詳しく解説します。
- カメムシがきゅうりに与える深刻な被害
- なぜ?カメムシがきゅうりに寄ってくる3つの理由
カメムシがきゅうりに与える深刻な被害
カメムシは、ストローのような細長い口(口吻)をきゅうりの実や葉、茎に突き刺して汁を吸います。特に被害が大きいのは、成長途中の若い実です。カメムシに吸汁された部分は、生育が阻害されて奇形になったり、表面に白い斑点やケロイド状の跡が残ったりします。 見た目が悪くなるだけでなく、食感も損なわれ、せっかくの収穫の喜びが半減してしまうでしょう。ひどい場合には、実が大きくならずに落ちてしまうこともあります。また、葉が吸汁されると、その部分が白っぽく変色し、光合成が妨げられてきゅうり全体の生育が悪くなる原因にもなります。
なぜ?カメムシがきゅうりに寄ってくる3つの理由
では、なぜカメムシはきゅうりを好んで集まってくるのでしょうか。主な理由は3つ考えられます。
栄養豊富な柔らかい実が大好き
カメムシにとって、きゅうりのように水分が豊富で柔らかい作物は格好のエサです。 特に、成長段階の若い実は皮が薄く、口吻を刺しやすいため、絶好のターゲットとなってしまいます。温暖で湿潤な環境
きゅうりの栽培環境は、温暖で適度な湿度があり、カメムシにとっても非常に過ごしやすい環境です。 特に、梅雨時期から夏にかけては、カメムシの活動が活発になる時期と重なり、被害が拡大しやすくなります。隠れ家となる雑草
畑の周りに雑草が生い茂っていると、カメムシの絶好の隠れ家や繁殖場所になります。 雑草地で増えたカメムシが、エサを求めてきゅうりに飛来してくるのです。
【即効性あり】見つけたらすぐ実践!きゅうりのカメムシ駆除方法5選

きゅうりにカメムシを見つけたら、被害が広がる前に迅速に駆除することが重要です。臭いを出される前に、スマートに対処したいもの。ここでは、即効性が期待できる5つの駆除方法をご紹介します。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでみてください。
この章で紹介する方法は以下の通りです。
- 道具いらずで簡単!ペットボトル捕獲器
- 臭いを出す前に撃退!凍結スプレー
- 粘着テープで静かに捕獲
- 農薬を使う場合の注意点とおすすめ薬剤
- やってはいけないNGな駆除方法
道具いらずで簡単!ペットボトル捕獲器
ご家庭にあるもので簡単に作れるのが、ペットボトルを使った捕獲器、通称「カメムシホイホイ」です。カメムシは危険を感じると下に落ちる習性があるため、これを利用します。
【作り方】
- 空のペットボトルの上部3分の1あたりをカッターで切り離します。
- 切り離した上部を逆さにして、下部に差し込み、テープで固定します。
使い方はとても簡単。カメムシの下にこの捕獲器をそっと近づけ、反対側から棒などでカメムシを軽くつついて落とすだけ。 驚いたカメムシはポトリとペットボトルの中に落ちていきます。一度入ると出にくい構造になっているため、複数匹捕獲することも可能です。捕獲したカメムシは、水を入れて処理するか、フタをして処分しましょう。
臭いを出す前に撃退!凍結スプレー
カメムシに刺激を与えずに駆除したい場合に非常に有効なのが、凍結タイプの殺虫スプレーです。-85℃などの超低温でカメムシを瞬間的に凍らせて動きを止めます。 殺虫成分を含まない製品も多く、お子様やペットがいるご家庭や、収穫間近の野菜の近くでも比較的安心して使用できるのが大きなメリットです。臭いを出す暇も与えずに駆除できるため、室内に入ってきたカメムシにもおすすめです。
粘着テープで静かに捕獲
手元にスプレーなどがない場合の応急処置として、ガムテープや養生テープなどの粘着テープを使う方法もあります。 テープの粘着面をカメムシにそっと貼り付けて捕獲します。このとき、カメムシを潰さないように優しく貼り付けるのがコツです。捕獲した後は、テープを二つ折りにするなどしてカメムシを包み込み、ビニール袋などに入れてしっかりと口を縛ってから捨てましょう。直接触れないように、軍手などを着用するとより安心です。
農薬を使う場合の注意点とおすすめ薬剤
大量発生してしまい、手作業での駆除が追いつかない場合には、農薬の使用も有効な選択肢となります。ただし、使用する際にはいくつかの注意点があります。
【農薬使用の注意点】
- 登録農薬を確認する: 必ず「きゅうり」と「カメムシ類」の両方に登録がある農薬を使用してください。
- 使用基準を守る: 希釈倍率、使用時期、使用回数などのラベルに記載された使用基準を厳守しましょう。 特に収穫前日数は必ず守ってください。
- 周囲への配慮: 風の強い日を避け、近隣の畑や住宅に農薬が飛散しないように注意が必要です。
【きゅうりのカメムシにおすすめの農薬成分】
きゅうりのカメムシ類に効果のある農薬成分としては、「クロチアニジン」や「ジノテフラン」などがあります。 これらの成分を含む代表的な商品には、「ベニカ水溶剤」や「スタークル顆粒水溶剤」、「アルバリン顆粒水溶剤」などがあります。 これらは浸透移行性があり、散布後に有効成分が植物体内に吸収され、汁を吸ったカメムシを駆除する効果が期待できます。
やってはいけないNGな駆除方法
カメムシを見つけた時に、ついやってしまいがちなNGな駆除方法があります。それは、叩いたり、潰したりすることです。カメムシは身の危険を感じると、腹部にある臭腺から強烈な悪臭を放ちます。この臭いの成分は「トランス-2-ヘキセナール」などが主成分で、一度つくとなかなか取れません。 また、掃除機で吸い込むのも避けましょう。排気口から悪臭が拡散し、部屋中が大変なことになってしまいます。
【農薬を使いたくない人向け】自然の力でカメムシを遠ざける予防策

「できるだけ農薬は使いたくない」と考える方は多いはずです。幸いなことに、自然の力を借りてカメムシを寄せ付けにくくする方法はたくさんあります。ここでは、環境にも優しく、手軽に始められる予防策をご紹介します。一つだけでなく、複数の対策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
この章で紹介する予防策は以下の通りです。
- 物理的にシャットアウト!防虫ネットの正しい使い方
- カメムシが嫌う臭いで撃退!手作り忌避スプレー
- コンパニオンプランツを植えてみよう
- キラキラ光るもので寄せ付けない!
- 畑の環境を整える(除草など)
物理的にシャットアウト!防虫ネットの正しい使い方
最も確実で効果的な予防策の一つが、防虫ネットでキュウリの株全体を覆うことです。 カメムシの飛来を物理的に防ぐことで、産卵や吸汁の被害を根本から断つことができます。ネットを選ぶ際は、カメムシが通り抜けられないように、目合いが1mm以下のものを選びましょう。設置する際には、ネットの裾が地面に接するようにし、隙間ができないようにピンなどでしっかりと固定することが重要です。支柱を立ててネットが葉や実に直接触れないように空間を作ることで、ネット越しに産卵されるのを防げます。
カメムシが嫌う臭いで撃退!手作り忌避スプレー
カメムシは特定の植物の香りを嫌う性質があります。 この性質を利用して、手作りの忌避スプレーを作ることができます。化学薬品を使わないので、安心して使えるのが魅力です。
ハッカ油スプレーの作り方と効果
カメムシはミント系のスーッとした香りが大嫌いです。 特にハッカ油を使ったスプレーは効果的で、簡単に作ることができます。
【材料】
- ハッカ油:10~20滴
- 無水エタノール:10ml
- 水:90ml
- スプレーボトル(ポリスチレン製以外)
【作り方】
- スプレーボトルに無水エタノールとハッカ油を入れ、よく振り混ぜます。
- 水を加えて、さらによく振り混ぜたら完成です。
これをきゅうりの葉や茎、支柱などに定期的にスプレーします。香りが飛びやすいので、2~3日に1回程度、特に雨が降った後などはこまめに散布するのが効果を持続させるコツです。
木酢液スプレーの作り方と効果
木酢液は、木炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の燻製のような香りがします。 この香りをカメムシが嫌うため、忌避効果が期待できます。 また、土壌改良効果もあるとされています。
【作り方】
木酢液を水で500~1000倍に薄めてスプレーボトルに入れます。 商品によって推奨される希釈倍率が異なる場合があるため、パッケージの表示を確認してください。こちらもハッカ油スプレーと同様に、定期的に散布することで効果を維持できます。特にカメムシが発生し始める前の、越冬から目覚める3月下旬頃に周辺の雑木林などに散布しておくと、飛来を予防する効果が高まります。
コーヒーも効果あり?意外な活用法
意外なものでは、コーヒーもカメムシ対策に使えるという情報があります。 濃いめに淹れたコーヒーを冷ましてスプレーしたり、コーヒーかすを株元に撒いたりすることで、カメムシが寄り付きにくくなる効果が期待できるようです。インスタントコーヒーを濃いめに溶いて散布したところ、カメムシがいなくなったという声もあります。 家庭で手軽に試せる方法として、一度挑戦してみる価値はあるかもしれません。
コンパニオンプランツを植えてみよう
きゅうりの近くに特定の植物(コンパニオンプランツ)を植えることで、カメムシを遠ざける効果が期待できます。カメムシが嫌う香りを放つミント類は代表的なコンパニオンプランツです。 ただし、ミントは繁殖力が非常に強いため、地植えにすると広がりすぎてしまう可能性があります。プランターや鉢植えにして、きゅうりの近くに置くのがおすすめです。 他にも、カメムシの天敵を呼び寄せる効果のある植物を植えるのも良いでしょう。
キラキラ光るもので寄せ付けない!
カメムシはキラキラと光るものを嫌う習性があると言われています。 この習性を利用し、きゅうりの株元にアルミホイルを敷いたり、使わなくなったCD-ROMを吊るしたりするのも簡単な予防策の一つです。太陽の光を反射して、カメムシが寄り付きにくい環境を作ります。アブラムシなど他の害虫対策にもなると言われているので、一石二鳥の効果が期待できるかもしれません。
畑の環境を整える(除草など)
基本的なことですが、畑の環境を清潔に保つことは非常に重要です。カメムシは雑草が生い茂った場所を好み、そこで繁殖します。 きゅうりの株周りや畑の畝間、周辺の雑草をこまめに刈り取ることで、カメムシの隠れ家や発生源を減らすことができます。 風通しを良くすることも、病害虫の予防に繋がります。日頃からの地道な管理が、結果的にカメムシの被害を最小限に抑えることに繋がるのです。
きゅうりにつくカメムシの種類と生態

一口にカメムシと言っても、実は様々な種類が存在します。きゅうりに被害をもたらす代表的なカメムシの種類とその生態を知ることで、より的確な対策が可能になります。いつ、どのようなカメムシが発生しやすいのかを把握しておきましょう。
この章では、以下の点について解説します。
- 代表的なカメムシ3種の特徴
- カメムシの発生時期と活動サイクル
代表的なカメムシ3種の特徴
きゅうりや家庭菜園でよく見かけるカメムシには、いくつかの種類がいます。ここでは特に注意したい3種類のカメムシについて、その特徴を紹介します。
ホソヘリカメムシ:
その名の通り、体が細長いのが特徴のカメムシです。 体長は14~17mmほどで、茶色っぽい色をしています。 主にマメ科やイネ科の植物を好みますが、きゅうりなどのウリ科野菜にも飛来し、実から吸汁して被害を与えます。幼虫はアリに似ているという特徴もあります。ミナミアオカメムシ:
体長12~16mmほどの緑色のカメムシで、アオクサカメムシとよく似ています。 見分けるポイントは、翅の下にある腹部背面の色で、ミナミアオカメムシは全体が緑色なのに対し、アオクサカメムシは基部が黒っぽくなっています。 温暖化の影響で生息域が北上しており、様々な野菜や果樹に被害を及ぼす広食性の害虫です。 吸汁能力が高く、低密度でも大きな被害につながることがあります。クサギカメムシ:
体長13~18mmほどの暗褐色で、まだら模様があるのが特徴です。 秋になると越冬のために家屋に侵入してくることでよく知られていますが、きゅうりをはじめとする多くの農作物にも被害を与えます。 名前の通り、クサギの木を好みますが、非常に多くの植物をエサとします。
カメムシの発生時期と活動サイクル
カメムシ対策を効果的に行うためには、彼らの活動サイクルを知ることが不可欠です。カメムシは一般的に、春から秋にかけて活動が活発になります。
多くの場合、成虫の姿で冬を越し(越冬)、春(4月~5月頃)になると活動を再開して、雑草などに産卵します。 卵から孵った幼虫は、脱皮を繰り返して成長し、夏(7月頃)には成虫になります。 世代交代を繰り返しながら数を増やし、特に注意が必要なのは、活動が最も盛んになる夏から、越冬場所を探し始める秋(9月~11月頃)にかけてです。 この時期に、エサを求めて畑に飛来したり、暖かい家屋に侵入しようとしたりするのです。
カメムシの天敵は?益虫を活用した対策

化学的な農薬に頼るだけでなく、自然界の生態系を利用した害虫対策も注目されています。カメムシにも天敵となる生き物が存在します。これらの天敵を畑に呼び寄せ、活躍してもらうことで、カメムシの数を自然にコントロールする手助けになります。
この章では、カメムシの主な天敵についてご紹介します。
- カマキリやクモなどの捕食性昆虫
- 寄生蜂・寄生バエの働き
カマキリやクモなどの捕食性昆虫
カメムシを直接捕らえて食べてくれる頼もしい存在が、カマキリやクモなどの捕食性の昆虫です。カマキリはその鋭い鎌でカメムシを捕食します。 クモも、巣を張ってカメムシを捕獲してくれることがあります。 これらの益虫は、カメムシだけでなく他の害虫も食べてくれるため、畑の生態系のバランスを保つ上で重要な役割を果たします。むやみに殺虫剤を撒くと、これらの益虫まで殺してしまう可能性があるため、薬剤の使用は慎重に行う必要があります。畑に多様な植物を植えるなどして、これらの天敵が住みやすい環境を整えてあげることが大切です。
寄生蜂・寄生バエの働き
目には見えにくい小さなヒーローもいます。それは、カメムシの卵や幼虫に寄生する「寄生蜂」や「寄生バエ」です。 これらの寄生者は、カメムシの体に卵を産み付けます。孵化した幼虫は、カメムシを内側から食べて成長し、最終的にはカメムシを死に至らしめます。このようにして、カメムシが増えるのを抑制してくれるのです。天敵製剤として市販されているものもありますが、まずはこれらの天敵が活動しやすいように、多様な花を植えるなどして環境を整えることから始めてみるのが良いでしょう。
よくある質問

ここでは、きゅうりのカメムシ対策に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。困ったときの参考にしてください。
カメムシの臭いが手や服についた時の落とし方は?
カメムシの臭いの主成分は油に溶けやすい性質を持っています。 もし手についてしまった場合は、サラダ油やオリーブオイル、クレンジングオイルなどを手に馴染ませてから、石鹸でよく洗い流すと効果的です。 衣服についてしまった場合は、界面活性剤入りの洗剤で洗濯するか、スチームアイロンの蒸気を当てることで、臭い成分を揮発させて飛ばすことができます。
カメムシに刺されることはある?
カメムシは植物の汁を吸うための口吻を持っていますが、基本的には人を刺したり咬んだりすることはありません。しかし、まれに肌を「刺された」と感じるケースがあるようです。これは、カメムシが肌を植物と間違えて口吻を突き刺そうとしたり、身の危険を感じて防御的に行動したりするためと考えられます。毒はありませんが、痛みを感じることもあるので、素手でむやみに触らないようにしましょう。
カメムシ被害にあったきゅうりは食べられる?
カメムシに吸汁されたきゅうりは、見た目が悪くなったり、一部が硬くなったりすることがありますが、被害を受けた部分を取り除けば食べることは可能です。 カメムシの被害自体に毒性はありません。ただし、食感や風味が落ちている場合が多いです。どの程度被害を受けているかを確認し、食べるかどうかを判断してください。
カメムシの卵を見つけたらどうすればいい?
カメムシは葉の裏などに、数十個の卵をまとめて産み付けます(卵塊)。 卵を見つけたら、孵化する前に取り除くのが最も効果的です。卵が付いている葉ごと切り取って、ビニール袋に入れて口を縛り、燃えるゴミとして処分しましょう。そのまま地面に捨てると、孵化してしまう可能性があるので注意してください。早期発見・早期駆除が大量発生を防ぐ鍵となります。
まとめ

- カメムシはきゅうりの実を吸汁し奇形や斑点の原因となる。
- きゅうりの栽培環境はカメムシにとって好都合。
- 畑周りの除草はカメムシの隠れ家を減らすのに有効。
- ペットボトルで簡単に捕獲器を作ることができる。
- 凍結スプレーは臭いを出す前に駆除できるのでおすすめ。
- 農薬を使う際はきゅうりに登録があるか必ず確認する。
- カメムシを叩いたり潰したりするのはNG。
- 防虫ネットは物理的にカメムシの侵入を防ぐ最も確実な方法。
- ハッカ油や木酢液で手作り忌避スプレーが作れる。
- コーヒーかすもカメムシ除けに使える可能性がある。
- キラキラ光るアルミホイルなども予防策として有効。
- ホソヘリカメムシやミナミアオカメムシが代表的な害虫。
- カマキリやクモはカメムシの天敵となる益虫。
- カメムシの臭いは油で落とすのが効果的。
- 被害にあったきゅうりも患部を取り除けば食べられる。