家庭菜園で人気のきゅうり。すくすく育つのを楽しみにしていたのに、葉っぱに虫がついていてガッカリ…なんて経験はありませんか?きゅうりの葉につく虫は、見た目が悪いだけでなく、生育を妨げたり、病気の原因になったりすることもあります。でも、ご安心ください。本記事では、きゅうりの葉に発生する代表的な害虫の種類から、誰でもできる駆除方法、そして最も大切な予防策まで、詳しく解説します。大切なきゅうりを害虫から守り、美味しい実をたくさん収穫しましょう!
【早見表】きゅうりの葉の被害別!害虫診断チャート

「この虫、なんだろう?」葉の被害状況から、原因となっている害虫を素早く特定しましょう。まずは、あなたのきゅうりの葉の状態をチェックしてみてください。
葉の被害状況 | 主な原因害虫 |
---|---|
葉に丸い穴が開いている | ウリハムシ |
葉に白いカスリ状の斑点や白い筋がある | ハダニ、アザミウマ |
葉の裏や新芽にびっしりついている、葉がベタベタする | アブラムシ |
白い粉のような虫がつき、触ると飛ぶ | コナジラミ |
葉に白い絵のような筋(食害痕)がある | ハモグリバエ |
葉や実が食べられている、イモムシがいる | タバコガ、ウリノメイガ |
きゅうりの葉につく代表的な害虫と駆除・対策方法

きゅうりを加害する主な害虫の特徴と、具体的な対策方法を解説します。早期発見・早期対策が、被害を最小限に抑えるコツです。
この章で紹介する害虫は以下の通りです。
- ウリハムシ
- アブラムシ
- ハダニ
- コナジラミ
- アザミウマ
- その他の害虫(ハモグリバエ、タバコガなど)
ウリハムシ
体長7〜9mmほどのオレンジ色の甲虫で、きゅうりなどウリ科の植物を好んで食べます。 成虫は葉を円を描くように食害し、特徴的な丸い穴を開けるのが特徴です。 幼虫は土の中で根を食害するため、株全体の生育が悪くなる原因にもなります。
特に5月〜8月頃の暖かい時期に活発に活動します。 放置すると葉がボロボロになり、光合成ができなくなってしまうこともあります。
駆除・対策方法
- 手で捕殺する: 成虫を見つけたら、すぐに捕まえて駆除するのが最も手軽で確実です。動きが素早いので、朝方の動きが鈍い時間帯を狙うのがおすすめです。
- キラキラ光るものを嫌う性質を利用する: 株元にアルミホイルやシルバーマルチを敷くと、光の反射を嫌って寄り付きにくくなります。
- 農薬を使用する: 大量に発生してしまった場合は、農薬の使用も検討しましょう。「マラソン乳剤」や「オルトラン粒剤」などが有効です。 使用する際は、必ず説明書をよく読み、使用時期や回数を守ってください。
アブラムシ
体長1〜2mmほどの小さな虫で、新芽や葉の裏にびっしりと群がって汁を吸います。 アブラムシの排泄物(甘露)が原因で、葉がベタベタになり、そこから「すす病」という黒いカビが発生することもあります。
また、ウイルス病を媒介することもあり、きゅうりの生育に深刻な被害をもたらす厄介な害虫です。 繁殖力が非常に高く、あっという間に増えてしまうため、見つけ次第すぐに対処することが重要です。
駆除・対策方法
- テープで取り除く: 粘着力の弱いテープを貼り付けて、ペタペタと取り除く方法が手軽です。
- 牛乳や石鹸水スプレーを散布する: 牛乳を水で薄めたものや、石鹸を水で溶かしたものをスプレーすると、アブラムシの気門を塞いで窒息させる効果が期待できます。散布後は、植物への影響を避けるため水で洗い流しましょう。
- 天敵を利用する: テントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫です。 庭で見かけたら、大切にしましょう。
- 農薬を使用する: 「ベニカXネクストスプレー」など、家庭園芸用のスプレー剤が手軽で効果的です。 収穫前日まで使えるタイプを選ぶと安心です。
ハダニ
体長0.3〜0.5mm程度と非常に小さく、肉眼では見つけにくい害虫です。 主に葉の裏に寄生し、汁を吸います。 被害が進むと、葉緑素が抜けて白いカスリ状の斑点ができ、やがて葉全体が白っぽくなって枯れてしまいます。
ハダニは高温で乾燥した環境を好むため、梅雨明けから夏にかけて特に発生しやすくなります。 水を嫌う性質があるため、予防には葉水が効果的です。
駆除・対策方法
- 葉水(はみず)を行う: 霧吹きなどで葉の裏側を中心に水をかけるのが非常に効果的です。 発生予防にもなるので、乾燥する時期はこまめに行いましょう。
- テープで取り除く: アブラムシ同様、粘着テープで物理的に除去することもできます。
- 牛乳やコーヒーをスプレーする: 牛乳やコーヒーを水で薄めてスプレーすると、ハダニを窒息させる効果があります。
- 農薬を使用する: 大量発生した場合は、「コロマイト乳剤」などのハダニ専用の薬剤を散布します。ハダニは薬剤への抵抗性を持ちやすいため、複数の薬剤をローテーションして使うのがおすすめです。
コナジラミ
体長2〜3mmほどの白い粉のような虫で、葉に触れると一斉に飛び立ちます。 葉の裏に寄生して汁を吸い、株を弱らせるほか、アブラムシと同様に「すす病」を誘発したり、ウイルス病を媒介したりします。
繁殖力が非常に強く、世代交代が早いため、一度発生すると根絶が難しい害虫です。
駆除・対策方法
- 黄色の粘着シートを設置する: コナジラミは黄色に誘引される習性があるため、黄色の粘着シートを株の近くに設置して捕獲します。
- 葉水を行う: 乾燥を嫌うため、葉水をこまめに行うことで発生を抑制できます。
- 牛乳スプレーを散布する: 牛乳を水で薄めてスプレーし、窒息させる方法も有効です。散布後は水で洗い流しましょう。
- 農薬を使用する: 「ウララDF」や「チェス顆粒水和剤」などが有効です。 薬剤抵抗性がつきやすいので、異なる系統の薬剤を交互に使うことが大切です。
アザミウマ
体長1〜2mmほどの非常に細長い虫で、葉から汁を吸います。 被害を受けた部分は、白い斑点ができたり、葉が縮れたりします。
特に深刻なのは、ウイルス病(黄化えそ病など)を媒介することです。 一度ウイルス病に感染すると治療法がないため、アザミウマを発生させない予防が非常に重要になります。
駆除・対策方法
- 光るものを利用する: アブラムシと同様に、シルバーマルチなどで光を反射させ、飛来を防ぎます。
- 防虫ネットで物理的に防ぐ: 目の細かい防虫ネットでトンネルを作り、成虫の侵入を防ぎます。
- 農薬を使用する: 発生してしまった場合は、「トリガード液剤」や「アファーム乳剤」などの農薬を散布します。 早期の防除が被害を食い止める鍵です。
その他の害虫
- ハモグリバエ(エカキムシ): 幼虫が葉の内部に潜り込み、白い筋状の食害痕を残します。見た目は悪いですが、食害量が少なければ生育への影響は限定的です。被害葉を見つけたら、葉ごと取り除いて処分しましょう。
- タバコガ・ウリノメイガ: いわゆるイモムシで、葉だけでなくきゅうりの実にも穴を開けて食害します。 見つけ次第、捕殺するのが基本です。防虫ネットで成虫(蛾)の飛来と産卵を防ぐのが効果的です。
【予防が肝心!】きゅうりの害虫を寄せ付けないための予防策

害虫が発生してから対処するのは大変です。何よりも、害虫を寄せ付けない環境を作ることが、きゅうり栽培成功の秘訣です。 ここでは、誰でも簡単にできる予防策をご紹介します。
この章で紹介する予防策は以下の通りです。
- 防虫ネットの活用
- コンパニオンプランツを植える
- シルバーマルチやアルミホイルの利用
- 風通しを良くする
- 適切な水やりと施肥管理
防虫ネットの活用
最も確実で効果的な予防策の一つが、防虫ネットの使用です。 苗を植え付けた直後から、支柱を立ててネットでトンネル状に覆うことで、ウリハムシやアブラムシ、コナジラミなどの飛来を物理的に防ぐことができます。
特に、ウリハムシやアザミウマなど、飛んでくる害虫に対して絶大な効果を発揮します。 ネットの目が細かいほど防虫効果は高まりますが、通気性が悪くなる場合もあるので、栽培環境に合わせて選びましょう。
コンパニオンプランツを植える
特定の植物を一緒に植えることで、互いの生育を助けたり、病害虫を防いだりする「コンパニオンプランツ」を活用するのもおすすめです。
きゅうりの場合、ネギ類(長ネギ、ニラ、チャイブなど)が非常に相性の良いコンパニオンプランツとして知られています。 ネギの独特の香りを害虫が嫌うため、ウリハムシやアブラムシを遠ざける効果が期待できます。 また、ネギの根に共生する微生物が、土壌病害である「つる割病」を抑制する効果もあると言われています。 きゅうりの株間にネギを植えるだけで、手軽に病害虫対策ができます。
シルバーマルチやアルミホイルの利用
アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの害虫は、キラキラと乱反射する光を嫌う習性があります。 この性質を利用し、畑の畝(うね)をシルバーマルチで覆ったり、株元にアルミホイルを敷いたりすることで、害虫の飛来を抑制する効果が期待できます。
また、マルチシートには地温の上昇を抑えたり、雑草の発生を防いだり、雨による泥はねを防いで病気を予防する効果もあり、一石二鳥です。
風通しを良くする
葉が密集して風通しが悪くなると、湿気がこもり、病害虫が発生しやすい環境になります。特に、ハダニやうどんこ病は、風通しの悪い場所を好みます。
定期的に下のほうの古い葉や、混み合っている葉を取り除き、株全体の風通しと日当たりを良くしてあげましょう。 これだけで、病害虫の発生リスクを大幅に減らすことができます。
適切な水やりと施肥管理
植物が健康であれば、病害虫に対する抵抗力も強くなります。水のやりすぎや不足、肥料の与えすぎ(特に窒素過多)は、きゅうりを軟弱に育ててしまい、かえって害虫を呼び寄せる原因になります。
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与え、肥料は規定量を守って適切に施すことが、丈夫なきゅうりを育てる基本です。
益虫もいる?きゅうりの栽培に役立つ虫

畑にいる虫がすべて敵というわけではありません。中には、害虫を食べてくれる「益虫」も存在します。
代表的な益虫はテントウムシです。テントウムシの成虫も幼虫も、アブラムシを大好物としてたくさん食べてくれます。 また、カマキリやクモなども、様々な害虫を捕食してくれる頼もしい存在です。
農薬を使うと、こうした益虫まで殺してしまう可能性があります。薬剤の使用は必要最低限にとどめ、できるだけ天敵の力を借りることで、畑の生態系のバランスを保ちながら、持続可能な害虫管理を目指しましょう。
よくある質問

きゅうりの葉の裏に白い虫がたくさんいるけど何?
葉の裏にびっしりとついている白い小さな虫は、コナジラミかアブラムシの可能性が高いです。 触れたときにパッと飛び立つようであればコナジラミ、あまり動かずにじっとしているならアブラムシと考えられます。どちらも汁を吸って株を弱らせ、病気を媒介することがあるため、早急な駆除が必要です。
きゅうりの葉に白い斑点があるのは病気?虫?
白い斑点の原因は、病気と害虫の両方が考えられます。
- うどん粉をまぶしたような白いカビ状の斑点: これは「うどんこ病」という病気の可能性が高いです。
- 白いカスリ状の小さな斑点が多数: これはハダニやアザミウマが汁を吸った跡である可能性が高いです。 葉の裏をよく観察し、小さな虫がいないか確認してみてください。
木酢液や牛乳スプレーは本当に効果があるの?
木酢液や食酢、牛乳などを水で薄めてスプレーする方法は、農薬を使いたくない場合の代表的な対策として知られています。
- 木酢液・食酢: 独特の匂いで害虫を忌避する効果や、植物を丈夫にする効果が期待できます。
- 牛乳: 乾くと膜を作り、アブラムシやハダニなどの小さな虫を窒息させる効果があります。
ただし、これらの効果は殺虫剤のように劇的なものではなく、あくまで予防や発生初期の対策と考えるのが良いでしょう。大量発生してしまった場合は、これらの方法だけでは抑えきれないこともあります。
きゅうりと一緒に植えてはいけない植物は?
コンパニオンプランツとは逆に、一緒に植えると生育が悪くなる「相性の悪い」組み合わせも存在します。きゅうりの場合、ジャガイモは避けた方が良いとされています。 ジャガイモはきゅうりと同じように土壌の養分を多く必要とするため、養分を奪い合ってしまう可能性があります。
農薬を使う際の注意点は?
農薬は正しく使えば非常に有効な手段ですが、使用方法を誤ると危険も伴います。
- 必ず適用作物を確認する: 「きゅうり」に登録のある農薬を使用してください。
- 希釈倍率と使用回数を守る: 説明書に記載されている希釈倍率や使用回数を厳守しましょう。
- 散布時間に注意する: 日中の高温時を避け、風のない早朝や夕方に散布するのが基本です。
- 収穫前日数を確認する: 「収穫〇日前まで使用可能」という基準を確認し、安全な期間を空けてから収穫しましょう。
- 防護具を着用する: マスク、手袋、長袖の服などを着用し、薬剤を吸い込んだり皮膚に付着したりしないように注意してください。
まとめ

- きゅうりの葉の穴はウリハムシが原因の可能性大。
- 葉の白い斑点はハダニやアザミウマの食害痕。
- 葉のベタベタはアブラムシやコナジラミの排泄物。
- 害虫はウイルス病を媒介することがあり危険。
- 駆除の基本は見つけ次第、手で取り除くこと。
- 農薬を使わないなら牛乳や食酢スプレーが有効。
- 大量発生時は適切な農薬の使用を検討する。
- 最も重要なのは予防策を講じること。
- 防虫ネットは物理的に害虫の侵入を防ぐ。
- コンパニオンプランツとしてネギ類が効果的。
- シルバーマルチの光の反射で害虫を遠ざける。
- 整枝・摘葉で風通しを良く保つことが大切。
- 適切な肥培管理で健康な株を育てることが基本。
- テントウムシなどの益虫は害虫の天敵になる。
- 害虫対策は早期発見と総合的な管理が成功の鍵。