「あれ、今の物音…もしかしてゴキブリ?」
夜中にふと明かりをつけた瞬間、壁や床をサササッと走り去る黒い影…。考えただけでもゾッとしますよね。
多くの人が「ゴキブリは暗い場所が好き」と知っている一方で、「光に集まる」という話も耳にしたことがあるかもしれません。一体どちらが本当なのでしょうか?
本記事では、そんなゴキブリと光の気になる関係を徹底的に解説します。ゴキブリが光に集まるように見える理由から、家庭で今すぐできる光を使った対策まで、この記事を読めばあなたの疑問と不安はきっと解消されるはずです。
【結論】ゴキブリは基本的に光が嫌い!でも集まることがある

まず結論からお伝えすると、ゴキブリは基本的に光を嫌う「負の走光性」という性質を持っています。 そのため、明るい場所を避け、暗くて狭い場所に隠れるのが本来の習性です。 日中にあまり姿を見せず、私たちが寝静まった夜間に活動を開始するのはこのためです。
しかし、「じゃあ、光に集まるっていうのは嘘なの?」と思うかもしれません。実は、特定の条件下では、例外的にゴキブリが光に集まっているように見えることがあるのです。 これが、多くの人を混乱させる原因となっています。ゴキブリの本来の習性を理解しつつ、なぜ光に集まるという現象が起こるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
なぜ?夜行性のゴキブリが光に集まる3つの理由

本来は光を嫌うはずのゴキブリが、なぜ光に集まることがあるのでしょうか。その不思議な行動には、いくつかの理由が考えられています。ここでは、主な3つの理由を解説します。
- 理由①:光に集まる虫を捕食するため
- 理由②:光ではなく「熱」に誘われている
- 理由③:特定の光(紫外線)に反応している
理由①:光に集まる虫を捕食するため
ゴキブリが光に集まるように見える最も一般的な理由の一つが、エサを求めているケースです。 夜間の自動販売機や街灯には、光に誘われて多くの羽虫が集まってきます。 ゴキブリは雑食性で、昆虫の死骸なども食べるため、これらの虫を捕食しようと光の周りに現れることがあるのです。
つまり、ゴキブリ自身が光に直接引き寄せられているわけではなく、光に集まった他の虫を「ごちそう」として狙っているというわけです。家の窓や玄関灯に虫が集まっていると、それを目当てにゴキブリも寄ってきてしまう可能性があります。
理由②:光ではなく「熱」に誘われている
ゴキブリは暖かい場所を好む性質があります。 特に、冬場や肌寒い季節には、活動のために熱源を求める傾向が強まります。古いタイプの白熱電球や一部の家電製品は、点灯・作動中に熱を発生します。
このため、ゴキブリは光そのものではなく、照明器具や家電が発する「熱」に引き寄せられている可能性があります。冷蔵庫の裏やモーター部分などがゴキブリの巣になりやすいのも、常に暖かく保たれていることが一因です。光っている場所にゴキブリがいた場合、そこが暖かい場所ではないか確認してみるとよいでしょう。
理由③:特定の光(紫外線)に反応している
「ゴキブリは光が嫌い」というのは原則ですが、全ての光を同じように嫌うわけではありません。実は、ゴキブリは紫外線(UV)を感知し、それに誘引されることがあると研究で示唆されています。
蛍光灯や水銀灯、ブラックライトなどは、人間の目には見えない紫外線を多く放出しています。 そのため、これらの照明を使っていると、ゴキブリを意図せず誘い寄せてしまう可能性があるのです。実際に、紫外線の力でゴキブリを駆除する業務用の製品も開発されています。 家庭ではあまり意識することのない紫外線ですが、ゴキブリ対策においては見逃せないポイントと言えるでしょう。
ゴキブリが特に集まりやすい光・集まりにくい光

ゴキブリ対策を考える上で、光の種類を選ぶことは非常に重要です。ゴキブリを寄せ付けやすい光と、そうでない光があることを知っておきましょう。ここでは、それぞれの光の特徴を解説し、家庭での照明選びの参考にしていただけるよう、分かりやすく表にまとめました。
要注意!ゴキブリを誘う光(蛍光灯・水銀灯など)
ゴキブリを誘引しやすい光の最大の特徴は、紫外線(UV)を多く放出する点です。代表的なのは、少し古いタイプの照明に多い「蛍光灯」や、倉庫や街灯で使われる「水銀灯」です。これらの光は、虫を誘引する波長の光を多く含んでいるため、ゴキブリだけでなく様々な虫を引き寄せる原因となります。
もし、ご家庭の照明や玄関灯がまだ蛍光灯の場合は、知らず知らずのうちにゴキブリを呼び寄せているかもしれません。特に屋外の照明は、家への侵入のきっかけになるため注意が必要です。
対策におすすめ!ゴキブリが嫌う光(LED・オレンジ系の光)
一方で、ゴキブリが寄りにくい光もあります。その代表格が「LED照明」です。 一般的な白色LEDは、紫外線をほとんど放出しないため、虫が光として認識しにくく、誘引効果が低いとされています。 ある実験では、LED以外の光にはゴキブリが集まる反応が見られたという結果も出ています。
また、オレンジ色や黄色の光も、虫が嫌う波長であるため、防虫効果が期待できます。玄関やベランダなど、虫の侵入が気になる場所の照明をLEDや防虫効果のある色のものに交換するだけで、ゴキブリとの遭遇率を下げることができるでしょう。
光の種類 | ゴキブリ誘引度 | 特徴 |
---|---|---|
蛍光灯 | 高い | 紫外線を放出し、虫を誘引しやすい。 |
白熱電球 | 中程度 | 熱を発するため、暖かさを求めて寄ってくることがある。 |
水銀灯 | 非常に高い | 強い紫外線で多くの虫を誘引する。 |
LED照明 | 低い | 紫外線をほとんど放出しないため、虫が寄りにくい。 |
オレンジ・黄色の光 | 低い | 虫が嫌う波長の光で、防虫効果が期待できる。 |
今日からできる!光を利用したゴキブリ対策5選

ゴキブリと光の関係がわかったところで、いよいよ実践的な対策です。光の特性をうまく利用すれば、ゴキブリを家に寄せ付けにくくすることが可能です。専門的な道具がなくても今日から始められる、効果的な5つの対策をご紹介します。
- 対策①:照明をLEDに交換する
- 対策②:遮光カーテンで光漏れを防ぐ
- 対策③:ライトトラップ(光捕獲器)は使い方に注意
- 対策④:屋外の照明を見直す
- 対策⑤:スマホやテレビの光も油断大敵?
対策①:照明をLEDに交換する
最も効果的で基本的な対策は、家中の照明をLEDに交換することです。前述の通り、LED照明はゴキブリが好む紫外線をほとんど放出しません。 これにより、照明に虫が集まること自体を大幅に減らすことができます。
特に、玄関灯、ベランダ、窓際の照明など、屋外からゴキブリを誘い込みやすい場所の照明を優先的に交換するのがおすすめです。最近では、様々な種類やデザインのLED電球が手頃な価格で販売されており、電気代の節約にもつながるため、一石二鳥の対策と言えるでしょう。
対策②:遮光カーテンで光漏れを防ぐ
夜間、室内から漏れる光も、屋外のゴキブリを誘引する原因になります。特に、虫が集まりやすい蛍光灯などを使っている場合は注意が必要です。そこで役立つのが遮光カーテンです。
遮光カーテンを閉めることで、室内からの光漏れを物理的にシャットアウトできます。これにより、家の周りに虫が集まるのを防ぎ、結果的にゴキブリが家に引き寄せられるリスクを減らすことができます。カーテンを閉めるという簡単な習慣が、ゴキブリ対策につながるのです。
対策③:ライトトラップ(光捕獲器)は使い方に注意
光で虫をおびき寄せて捕獲する「ライトトラップ(捕虫器)」は、飲食店などでよく見かける害虫対策グッズです。 しかし、家庭での使用には注意が必要です。ライトトラップは、その名の通り光で虫を誘引するため、設置場所を間違えると逆効果になることがあります。
例えば、窓際や玄関の近くに設置すると、家の外にいる虫まで呼び寄せてしまう可能性があります。 もし家庭で使用する場合は、光が屋外に漏れない場所、例えば部屋の奥まった場所に設置するようにしましょう。また、ゴキブリは基本的に光を嫌うため、ライトトラップ単体でのゴキブリ捕獲効果は限定的であることも覚えておく必要があります。
対策④:屋外の照明を見直す
家の「顔」である玄関周りの照明は、ゴキブリ対策において非常に重要なポイントです。玄関灯が虫の集まりやすい蛍光灯や水銀灯だと、ドアの開閉時にゴキブリが家の中に侵入する絶好の機会を与えてしまいます。
対策としては、玄関灯を紫外線の少ないLED照明に交換するのが最も効果的です。さらに、虫が嫌うとされる黄色やオレンジ色の光を発する防虫タイプのLED電球を選ぶと、より高い効果が期待できます。庭やガレージに照明がある場合も同様に見直してみましょう。
対策⑤:スマホやテレビの光も油断大敵?
「部屋の電気は消しているから大丈夫」と安心するのはまだ早いかもしれません。現代の生活に欠かせないスマートフォンやテレビ、パソコンのモニターからも光は発せられています。これらの光はLEDが使われているため、虫を強く誘引するわけではありませんが、ゴキブリは非常に目が悪く、光の明暗程度しか感知できないと言われています。
しかし、夜間に活動するゴキブリにとって、暗闇の中のわずかな光でも活動のきっかけになる可能性があります。また、人が寝静まった後は、たとえ明かりがついていても安全だと認識して活動することがあります。 ゴキブリを寄せ付けないためには、就寝時にはできるだけ部屋を真っ暗に保つことが望ましいでしょう。
光対策だけでは不十分!総合的なゴキブリ対策の重要性

これまで光を利用した対策をご紹介してきましたが、残念ながら光対策だけでゴキブリを完全にシャットアウトすることは困難です。ゴキブリは光以外の様々な要因で屋内に侵入してきます。より確実な対策のためには、光対策と合わせて、ゴキブリが住みにくい環境を作ることが不可欠です。
- 侵入経路を徹底的に塞ぐ
- 餌となるものを断つ(清掃・整理整頓)
- 巣を作らせない環境づくり
侵入経路を徹底的に塞ぐ
ゴキブリは、数ミリのわずかな隙間からでも侵入してきます。 光で寄せ付けない対策と同時に、物理的に家に入れないようにすることが重要です。以下の場所は特にゴキブリの侵入経路になりやすいので、徹底的にチェックしましょう。
- エアコンのドレンホースや配管の隙間
- キッチンのシンク下や洗面台下の配管の隙間
- 換気扇や通気口
- 窓や網戸の破れ、サッシの隙間
- 玄関ドアの下の隙間
これらの隙間は、隙間テープやパテを使ってしっかりと塞ぎましょう。 ドレンホースには専用の防虫キャップを取り付けるのが効果的です。
餌となるものを断つ(清掃・整理整頓)
ゴキブリが家の中に侵入する最大の目的は「餌」と「水」です。 餌となるものをなくせば、ゴキブリにとって魅力のない家になります。
食べ物のカスや生ゴミはもちろん、人間の髪の毛やフケ、ホコリもゴキブリの餌になります。 こまめな掃除を心がけ、食品は密閉容器に保存し、生ゴミは蓋付きのゴミ箱に捨てましょう。シンクの水滴もゴキブリの貴重な水分補給源になるため、夜寝る前には拭き取っておくのが理想です。
巣を作らせない環境づくり
ゴキブリは、暗くて暖かく、湿気のある狭い場所を好んで巣を作ります。 以下のような場所は、ゴキブリの絶好の隠れ家になるため、注意が必要です。
- 冷蔵庫や電子レンジの裏
- 長期間放置された段ボールや新聞紙
- 家具の裏や隙間
- キッチンの引き出しの奥
不要な段ボールはすぐに処分し、定期的に家具を動かして掃除することで、ゴキブリが巣を作りにくい環境を維持できます。 置き型の駆除剤(ベイト剤)をこれらの場所に設置するのも非常に効果的です。
よくある質問

Q. ライトトラップ(光で誘う捕獲器)はゴキブリに効果がありますか?
A. 限定的な効果は期待できますが、万能ではありません。ライトトラップは光に集まる習性(正の走光性)を持つ虫に効果的です。 しかし、ゴキブリは基本的に光を嫌う「負の走光性」を持つため、光だけでおびき寄せるのは難しいです。 ただし、チャバネゴキブリの幼虫などはライトトラップで捕獲できるという報告もあります。 また、LED光源を使ったライトトラップがチャバネゴキブリの捕獲に有用であるという研究結果もあります。 設置場所を間違えると外から虫を呼び寄せる逆効果もあるため、使用する際は屋内の奥まった場所など、光が外に漏れないように工夫する必要があります。
Q. 電撃殺虫器はゴキブリに効きますか?
A. あまり効果は期待できません。電撃殺虫器もライトトラップと同様に、光で虫を誘引する仕組みです。光を嫌う性質を持つゴキブリは、自ら電撃殺虫器に近づいていく可能性は低いです。偶然通りかかって感電することはあるかもしれませんが、ゴキブリ駆除を目的として設置するのには不向きと言えるでしょう。
Q. ゴキブリはどんな色に反応しますか?
A. ゴキブリは特定の色を好むというよりは、光の波長、特に紫外線に反応すると考えられています。 そのため、紫外線を多く含む青白い光(蛍光灯など)には寄ってきやすく、紫外線をほとんど含まないLEDの光や、虫が嫌うとされるオレンジ・黄色の光は避ける傾向があります。
Q. 部屋の電気をつけっぱなしにすればゴキブリは出なくなりますか?
A. 残念ながら、効果はほとんどありません。 ゴキブリは夜行性で、人間の活動が静まる夜間に行動を開始します。 たとえ部屋が明るくても、人間が寝静まってしまえば「安全な時間」と判断し、活動を始めます。 また、ゴキブリは環境への適応能力が高く、最初は警戒しても、やがて明るさに慣れて出てくるようになります。 電気代の無駄にもなるため、電気をつけっぱなしにするよりも、侵入経路を塞いだり、餌をなくしたりといった根本的な対策を行う方がはるかに効果的です。
まとめ

- ゴキブリは基本的に光を嫌う「負の走光性」を持つ。
- 例外的に光に集まるのは、餌の虫や熱が目的の場合が多い。
- ゴキブリは紫外線(UV)に誘引されることがある。
- 蛍光灯や水銀灯は紫外線を多く放出し、ゴキブリを誘引しやすい。
- 対策には紫外線の少ないLED照明への交換が非常に効果的。
- オレンジ色や黄色の光も防虫効果が期待できる。
- 室内からの光漏れを防ぐために遮光カーテンが有効。
- ライトトラップは設置場所を誤ると逆効果になるので注意。
- 屋外の照明(玄関灯など)の見直しは侵入防止に重要。
- 光対策だけでは不十分で、総合的な対策が不可欠。
- 侵入経路となる隙間をパテやテープで塞ぐことが大切。
- 食べ物のカスや生ゴミなど、餌となるものを徹底的に断つ。
- こまめな清掃でゴキブリの餌や水分をなくす。
- 段ボールなどを放置せず、ゴキブリの隠れ家をなくす。
- 置き型の駆除剤などを併用するとさらに効果が高まる。