家の中で突然現れるムカデ、その姿に恐怖を感じる方は少なくないでしょう。「ムカデの天敵はナメクジ」という噂を耳にしたことはありませんか?もし本当なら、ナメクジを利用してムカデを撃退できるかもしれません。しかし、その真相は意外なものでした。本記事では、プロの視点から「ムカデの天敵はナメクジ」説の真偽を徹底的に解明し、本当に効果のあるムカデ対策を詳しくご紹介します。この記事を読めば、もうムカデに怯える必要はありません。
「ムカデの天敵はナメクジ」という噂の真相

「ムカデの天敵はナメクジ」という話、一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、この噂は本当なのでしょうか?ここでは、その真相に迫ります。
- ネットやSNSで広まる噂の出所
- 専門家の見解と科学的根拠
- 結論:ナメクジはムカデの天敵とは言えない
ネットやSNSで広まる噂
インターネット上やSNSでは、「ナメクジがムカデを食べる」「ナメクジを置けばムカデがいなくなる」といった情報が散見されます。一見すると、動きの遅いナメクジが、素早いムカデを捕食するとは考えにくいですよね。しかし、この噂はまことしやかに語り継がれています。
この噂が広まった背景には、両者が湿った暗い場所を好むという共通点があるからかもしれません。同じような環境に生息しているため、何かしらの関係があるのではないか、という憶測が広まった可能性があります。しかし、目撃情報や確たる証拠はほとんど見つからないのが実情です。
専門家の見解と科学的根拠
多くの専門家や害虫駆除業者は、「ナメクジがムカデの天敵である」という説に否定的です。 ナメクジは主に植物や腐敗した有機物を食べる雑食性ですが、積極的にムカデのような動きの速い獲物を捕食する能力はありません。
ごく稀に、弱ったムカデの幼体や卵をナメクジが食べる可能性はゼロではありませんが、それは天敵と呼べる関係性とは異なります。 むしろ、肉食性のムカデがナメクジを捕食する可能性の方が高いと考えるのが自然でしょう。 実際に、ムカデがナメクジを捕食したという観察例は報告されています。
結論:ナメクジはムカデの天敵とは言えない
以上のことから、「ムカデの天敵はナメクジ」という噂は、残念ながら都市伝説に近いものと言わざるを得ません。ナメクジを庭や家に放しても、ムカデ対策としての効果は期待できないでしょう。
むしろ、ナメクジ自体が植物を食害する害虫であるため、安易に増やすことはおすすめできません。ムカデ対策を考えるなら、もっと確実で効果的な方法を選ぶ必要があります。次の章では、ムカデの本当の天敵について詳しく解説していきます。
では、ムカデの本当の天敵とは?意外な生き物たち

ナメクジが天敵でないとすれば、一体どんな生き物がムカデを捕食するのでしょうか。実は、私たちの身近にもムカデを恐れない頼もしいハンターたちが存在します。
- 【益虫】ゲジゲジ
- 【家の守り神】アシダカグモ
- 【空からのハンター】鳥類(イソヒヨドリなど)
- 【身近なハンター】猫やトカゲ
- 【共食い】ムカデ自身
【益虫】ゲジゲジ
見た目がグロテスクでムカデと混同されがちなゲジゲジ(ゲジ)ですが、実はムカデを捕食してくれる益虫です。 ゲジゲジは非常に素早く、ゴキブリやクモ、そして小型のムカデなどを捕らえて食べます。
ゲジゲジはムカデと違い、人間に危害を加えることはほとんどありません。 毒も非常に弱く、人を咬むことも稀です。見た目で判断してすぐに駆除してしまうのは、少しもったいないかもしれません。家の中でゲジゲジを見かけても、他の害虫を退治してくれている「お掃除屋さん」だと思って、そっと見守ってあげるのも一つの手です。
【家の守り神】アシダカグモ
こちらも見た目のインパクトから嫌われがちなアシダカグモですが、ゴキブリハンターとして有名な益虫です。そして、その狩りの対象はゴキブリだけにとどまりません。
アシダカグモは、自分より小さなムカデであれば捕食することがあります。 素早い動きと強力な牙でムカデを仕留める姿は、まさに「家の守り神」。アシダカグモが家に一匹いれば、ゴキブリやムカデの数は激減するとも言われています。ただし、大きなムカデには返り討ちにあうこともあるため、万能というわけではありません。
【空からのハンター】鳥類(イソヒヨドリなど)
屋外では、鳥類もムカデの強力な天敵となります。特にイソヒヨドリはムカデを好んで食べることで知られています。 彼らはムカデの毒に対する耐性を持っており、巧みに捕らえて丸呑みにしてしまいます。
その他にも、カラスやニワトリなどもムカデを食べることがあります。 庭で鳥を見かけることが多い環境であれば、自然とムカデの数が抑制されている可能性があります。
【身近なハンター】猫やトカゲ
意外かもしれませんが、ペットとして飼われている猫や、庭先で見かけるトカゲ(カナヘビなど)もムカデの天敵になり得ます。
猫は動くものに反応する狩猟本能から、ムカデをおもちゃにして遊んだり、食べてしまったりすることがあります。 トカゲも昆虫を主食としているため、小さなムカデであれば捕食対象です。 ただし、ムカデは毒を持っているため、猫が咬まれてしまうと危険な場合もあります。もし飼い猫がムカデと戦っているのを見かけたら、無理に引き離し、猫の様子を注意深く観察してあげてください。
【共食い】ムカデ自身
そして、ムカデにとって最も恐ろしい天敵は、実はムカデ自身なのです。 ムカデは非常に縄張り意識が強く、他のムカデと遭遇すると激しく争います。そして、戦いに勝った方が負けた方を食べてしまう「共食い」をすることがあります。
特に、餌が少ない環境では共食いが起こりやすくなります。家の中で複数のムカデを見かける場合、それは餌となるゴキブリなどが豊富にいるサインかもしれません。
なぜムカデは家に侵入するのか?その生態と弱点

天敵を知ることも大切ですが、そもそもムカデを家に侵入させないためには、彼らの生態を理解することが不可欠です。ムカデはなぜ、わざわざ人間の住処に入ってくるのでしょうか。
- ムカデが好む環境とは?
- ムカデの餌はゴキブリ?
- ムカデの侵入経路
- ムカデの意外な弱点
ムカデが好む環境とは?
ムカデが最も好むのは、暗くてジメジメした湿気の多い場所です。 屋外では、落ち葉の下、植木鉢やプランターの底、石垣の隙間、腐った木材の中などが絶好の隠れ家となります。
家の中では、お風呂場や洗面所、キッチンのシンク下、湿気のこもった床下などが要注意ポイント。また、ムカデは自分の体に何かが触れている状態を好むため、狭い隙間に潜り込む習性があります。 靴の中や畳んだ布団の間に潜んでいることがあるのはこのためです。
ムカデの餌はゴキブリ?
ムカデは肉食性で、主な餌はゴキブリやクモ、ミミズなどの昆虫です。 つまり、家の中にゴキブリなどの害虫が多いと、それを目当てにムカデが侵入してくる可能性が高くなります。
「ムカデを1匹見たらゴキブリが100匹いると思え」という言葉があるように、ムカデの出現は、他の害虫が潜んでいるサインと捉えることができます。ムカデ対策は、ゴキブリ対策とセットで行うことが非常に効果的です。
ムカデの侵入経路
ムカデは驚くほど平たい体をしており、ほんの数ミリの隙間があれば簡単に侵入してきます。 主な侵入経路は以下の通りです。
- 窓や網戸のサッシの隙間
- ドアの下の隙間
- エアコンのドレンホース
- 換気扇や通気口
- 壁のひび割れ
- 排水口
特に古い家屋では、気づかないうちに隙間ができていることが多いため、定期的な点検が必要です。
ムカデの意外な弱点
生命力が強く、なかなか死なないイメージのあるムカデですが、意外な弱点も持っています。それは「熱」と「乾燥」です。
ムカデは高温に非常に弱く、43℃以上のお湯をかければ比較的簡単に駆除できます。 また、湿気を好む反面、乾燥した場所を嫌います。家の周りの風通しを良くし、乾燥した状態を保つことが、ムカデを寄せ付けないための重要なポイントになります。
天敵に頼らない!今日からできるムカデ対策

天敵にムカデ駆除を任せるのは現実的ではありません。やはり、自らの手でしっかりと対策を講じることが最も確実です。ここでは、誰でも今日から始められる効果的なムカデ対策をご紹介します。
- 侵入経路を徹底的に塞ぐ
- ムカデが嫌う環境を作る
- 効果的な駆除グッズの活用
- もしムカデに遭遇してしまったら
侵入経路を徹底的に塞ぐ
最も基本的で重要な対策は、ムカデの侵入経路を物理的に塞ぐことです。
- 隙間テープ:窓のサッシやドアの下の隙間に貼り、侵入を防ぎます。
- 配管用パテ:エアコンの配管周りや壁のひび割れなど、固定された隙間を埋めるのに有効です。
- 排水口ネット:お風呂場やキッチンの排水口に設置し、侵入を防ぎます。ドレンホースの先端にも防虫キャップを取り付けると良いでしょう。
家中の隙間をくまなくチェックし、徹底的に塞いでいきましょう。
ムカデが嫌う環境を作る
ムカデが住み着きにくい環境を整えることも大切です。
- 家の周りの整理整頓:庭の落ち葉や枯れ草はこまめに掃除し、植木鉢やプランターは壁から離して風通しを良くしましょう。
- 湿気対策:室内の換気を心がけ、特に床下や水回りの湿気を取り除くことが重要です。除湿器やサーキュレーターの活用も効果的です。
- 餌となる害虫の駆除:ゴキブリなどの害虫を駆除することで、ムカデが寄り付く原因を断ちます。
家の周りに消石灰を撒くのも、乾燥した環境を作り出すのに役立ち、古くから伝わるムカデ対策として知られています。
効果的な駆除グッズの活用
市販の駆除グッズを上手に活用することで、より確実な対策が可能です。
- 忌避剤(粉剤・粒剤):家の基礎周りや侵入されそうな場所に帯状に撒くことで、ムカデの侵入を防ぎます。「ムカデコロリ」などの製品が有名です。
- 殺虫スプレー:遭遇してしまったムカデを直接退治します。即効性の高いものや、殺虫成分を含まない冷凍スプレーなどがあります。
- 燻煙剤:家の中に潜んでいるムカデやその餌となる害虫をまとめて駆除するのに効果的です。
- 毒餌剤(ベイト剤):ムカデが好む餌に殺虫成分を混ぜたもので、巣に持ち帰らせて他のムカデも駆除する効果が期待できます。
小さなお子様やペットがいるご家庭では、製品の注意書きをよく読み、安全に使用できるものを選びましょう。
もしムカデに遭遇してしまったら
万が一、家の中でムカデに遭遇してしまった場合は、慌てず冷静に対処しましょう。
- 距離を取る:ムカデは素早く、攻撃的なので不用意に近づかないでください。
- 殺虫剤で駆除:ムカデ専用の殺虫スプレーを数秒間噴射し続けます。
- 熱湯をかける:殺虫剤がない場合は、火傷に注意しながら43℃以上の熱湯をかけるのも非常に効果的です。
- 物理的に叩く:最終手段として、スリッパや丸めた新聞紙で頭部を狙って強く叩きます。
駆除した後は、トングなどで掴み、ビニール袋に入れてしっかりと口を縛ってから捨てましょう。素手で触るのは絶対に避けてください。
よくある質問

ナメクジはムカデを食べるのですか?
一般的に、ナメクジが健康なムカデを捕食することはありません。 ナメクジは主に植物や腐ったものを食べる生物であり、ムカデのような素早い獲物を狩る能力はありません。 弱ったムカデの幼体などを食べる可能性は否定できませんが、「天敵」と呼べる関係ではなく、ムカデ対策としてナメクジを利用することは効果が期待できません。
ムカデの天敵を飼って駆除できますか?
アシダカグモやゲジゲジはムカデを食べることがありますが、これらの生き物を飼育してムカデを完全に駆除するのは現実的ではありません。 天敵が食べるムカデの数には限りがありますし、天敵自身が家の中にいることを不快に感じる人も多いでしょう。確実な駆除を望むのであれば、侵入経路を塞いだり、駆除剤を使用したりする方が効果的です。
ムカデとゲジゲジの見分け方は?
両者は見た目が似ていますが、見分けるポイントがあります。ムカデの足は胴体の節から直接生えているように見え、比較的短いです。一方、ゲジゲジの足は非常に細長く、胴体から離れた位置から生えているように見えます。 動きも、ムカデが地面を這うように進むのに対し、ゲジゲジは足を巧みに使って非常に素早く走り回ります。
赤ちゃんムカデでも危険ですか?
はい、非常に危険です。ムカデは生まれた時から毒を持っており、体の大きさに関係なく、咬まれると大人と同じように激しい痛みや腫れを引き起こします。 小さなムカデだからといって油断せず、成虫と同じように注意して対処してください。
ムカデに噛まれた時の対処法は?
万が一ムカデに咬まれてしまった場合は、すぐに以下の応急処置を行ってください。
- すぐにその場を離れる:ムカデは繰り返し咬んでくることがあります。
- 傷口を洗い流す:ムカデの毒は熱に弱いため、43℃~46℃程度の少し熱めのお湯で5分以上、傷口を洗い流します。 石鹸を使うとより効果的です。
- 患部を冷やす:痛みが強い場合は、保冷剤などで冷やします。
- 医療機関を受診する:症状がひどい場合や、アナフィラキシーショック(めまい、吐き気、呼吸困難など)の症状が見られる場合は、速やかに皮膚科やアレルギー科を受診してください。
まとめ

- 「ムカデの天敵はナメクジ」という説は都市伝説の可能性が高いです。
- ナメクジはムカデを積極的に捕食しません。
- ムカデの本当の天敵はゲジゲジ、アシダカグモ、鳥類などです。
- 猫やトカゲ、そしてムカデ自身も天敵になり得ます。
- 天敵による駆除は現実的ではなく、確実な対策が必要です。
- ムカデは湿気を好み、ゴキブリなどを餌として家に侵入します。
- 侵入経路は数ミリの隙間があれば十分です。
- ムカデ対策の基本は「侵入経路を塞ぐ」ことです。
- 家の周りを清潔に保ち、乾燥させることが重要です。
- 忌避剤や殺虫スプレーなどのグッズ活用も効果的です。
- ムカデは熱に弱く、43℃以上のお湯で駆除できます。
- 赤ちゃんムカデも毒を持っているので注意が必要です。
- 咬まれたら43℃以上のお湯で洗い流し、医療機関を受診しましょう。
- ムカデ対策はゴキブリ対策と同時に行うと効果が上がります。
- 正しい知識を身につけ、適切な対策でムカデの恐怖から解放されましょう。