地震や台風などの自然災害は、いつ私たちの身に起こるかわかりません。そんな「もしも」の時に備えて、防災グッズを準備している方も多いでしょう。しかし、防災用として「小銭」をどれくらい準備すれば良いか、具体的にご存知でしょうか?キャッシュレス決済が普及した現代でも、災害時には小銭が非常に重要な役割を果たすことがあります。本記事では、防災における小銭の必要性から、準備すべき金額の目安、効果的な小銭の種類、そして賢い準備・保管方法まで、防災士監修のもと徹底的に解説します。この記事を読めば、災害時に本当に役立つ小銭の準備ができます。
なぜ災害時に小銭が必要なの?キャッシュレス時代の落とし穴
普段、スマートフォン決済やクレジットカードでスムーズに会計を済ませている方も多いでしょう。しかし、災害発生時には、これらのキャッシュレス決済が使えなくなる可能性があります。そんな時に頼りになるのが「現金」、特に「小銭」なのです。具体的にどのような場面で小銭が必要になるのか、詳しく見ていきましょう。
本章では、以下の点について解説します。
- 停電で電子マネーやクレジットカードが使えない可能性
- 公衆電話の利用に必須
- 自動販売機での飲料確保
- 小規模店舗やお釣りがない場合への対応
停電で電子マネーやクレジットカードが使えない可能性
大規模な災害が発生すると、広範囲で停電が発生する可能性があります。停電してしまうと、店舗のレジや決済端末が作動しなくなり、電子マネーやクレジットカードでの支払いができなくなるケースが想定されます。実際に、過去の災害時にも、停電によってキャッシュレス決済が利用できず、現金しか受け付けてもらえない状況が多く報告されています。
また、通信障害が発生した場合も同様に、オンラインでの認証が必要なキャッシュレス決済は利用困難になります。このような状況下では、現金、特に少額の支払いにも対応できる小銭の有無が、必要な物資を確保できるかどうかを左右することもあるのです。日頃からキャッシュレス決済に慣れている方ほど、災害時の支払い手段として現金の重要性、とりわけ小銭の必要性を再認識しておくことが大切です。
公衆電話の利用に必須
災害時には、携帯電話の基地局が被災したり、アクセスが集中したりすることで、携帯電話が繋がりにくくなることがあります。そんな時に重要な通信手段となるのが公衆電話です。公衆電話は、災害時優先電話として、比較的繋がりやすいように措置されています。しかし、公衆電話を利用するためには、基本的に10円玉や100円玉といった硬貨が必要です。一部の公衆電話ではテレホンカードも使用できますが、いざという時にテレホンカードを持っているとは限りません。
特に、安否確認や救助要請など、緊急性の高い連絡を取りたい場合に、小銭がないために公衆電話が使えないという事態は避けたいものです。10円玉があれば、最低限の短い通話は可能です。防災リュックなどには、すぐに取り出せるように10円玉や100円玉を数枚入れておくことを強くおすすめします。
自動販売機での飲料確保
災害時、特に避難生活中には、飲料水の確保が非常に重要になります。給水車が到着するまでに時間がかかったり、支援物資が十分に行き渡らなかったりする場合も考えられます。そんな時、街中にある自動販売機が稼働していれば、小銭を使って飲料水を購入できる可能性があります。
最近では、災害対応型の自動販売機も増えており、停電時でも一定時間稼働したり、無料で飲料を提供したりするものもありますが、全ての自動販売機がそうではありません。通常の自動販売機の場合、やはり現金(主に硬貨)が必要になります。特に夏場の暑い時期や、乳幼児・高齢者がいるご家庭では、飲料水の確保は死活問題です。防災用として準備しておく小銭は、こうした自動販売機での利用も想定しておくと良いでしょう。
小規模店舗やお釣りがない場合への対応
災害時には、大手スーパーやコンビニエンスストアが営業を停止したり、品薄になったりすることがあります。そのような状況でも、個人経営の小さな商店などが営業を続けてくれる場合があります。こうした小規模店舗では、クレジットカード決済端末を導入していなかったり、停電で使えなかったりすることも少なくありません。
また、たとえ現金が使えたとしても、お店側もお釣りの準備が十分でない可能性があります。高額紙幣しか持っていない場合、購入を諦めざるを得ないケースも出てくるかもしれません。このような時、少額の支払いにも対応できる小銭を持っていれば、スムーズに必要なものを購入できる可能性が高まります。「お釣りは要りません」と伝えられる程度の小銭があれば、お店側にも負担をかけずに済みます。お互いが助け合わなければならない災害時だからこそ、こうした配慮も大切です。
防災に必要な小銭の具体的な金額はいくら?
災害時に小銭が役立つことはご理解いただけたかと思います。では、具体的に「いくら」くらいの小銭を準備しておけば良いのでしょうか。必要となる金額は、家族構成や避難生活の期間、地域性などによっても異なりますが、ここでは一つの目安となる考え方をご紹介します。
本章では、以下の点について解説します。
- 専門家が推奨する金額の目安(数日分を想定)
- 家族構成や状況別で考える調整ポイント
- 1000円札など少額紙幣とのバランスも重要
専門家が推奨する金額の目安(数日分を想定)
多くの防災専門家や自治体が推奨しているのは、数日分の生活費として、数千円から1万円程度の現金を準備しておくことです。このうち、小銭としては、2,000円~3,000円程度を目安に準備しておくと良いでしょう。これは、公衆電話の利用(1通話10円~)、自動販売機での飲料購入(1本100円~160円程度)、その他細々とした支払いなどを想定した金額です。
例えば、1日に公衆電話を数回かけ、自動販売機で家族分の飲み物を2~3本購入すると仮定すると、それだけで数百円から1,000円近くの小銭が必要になる計算です。これが数日間続くと考えれば、2,000円~3,000円という金額は決して多すぎる額ではないことがわかります。もちろん、これはあくまで目安であり、ご自身の状況に合わせて調整することが大切です。
家族構成や状況別で考える調整ポイント
前述の金額はあくまで一般的な目安です。家族の人数が多ければ、それに応じて必要な小銭の額も増やす必要があります。特に、乳幼児がいるご家庭では、ミルク用のお湯や離乳食などを購入するために、より多くの現金(小銭を含む)が必要になるかもしれません。また、持病があり、薬の購入が必要な方も、その分を考慮しておくべきでしょう。
避難場所が自宅から遠い場合や、広域避難が必要になるような大規模災害を想定する場合は、移動費なども考慮して、やや多めに準備しておくと安心です。逆に、一人暮らしの方や、近隣に頼れる親戚がいる場合などは、少し少なめの金額でも対応できるかもしれません。ご自身の家庭環境や地域の特性、想定される災害の規模などを考慮し、最適な金額を判断してください。
1000円札など少額紙幣とのバランスも重要
小銭の準備と合わせて忘れてはならないのが、1,000円札などの少額紙幣の準備です。小銭だけでは対応できない、少し高額な支払いが発生する可能性も考慮しておく必要があります。例えば、数日分の食料をまとめて購入する場合や、ガソリンを給油する場合(ただし、災害時は給油制限がかかることもあります)などです。
理想的なのは、小銭と少額紙幣をバランス良く準備しておくことです。例えば、総額1万円を準備する場合、小銭を2,000円~3,000円、残りを1,000円札で用意するといった具合です。高額紙幣(1万円札など)は、お釣りが出ない場合に受け取ってもらえない可能性もあるため、できるだけ避けた方が無難です。災害時には、いかにスムーズに支払いができるかが重要になることを覚えておきましょう。
どんな種類の小銭を準備すべき?効果的な組み合わせ
防災用に準備する小銭は、ただ金額だけを満たせば良いというわけではありません。いざという時に使いやすいように、硬貨の種類も考慮することが大切です。ここでは、どのような種類の小銭を、どのくらいの割合で準備しておくと効果的かについて解説します。
本章では、以下の点について解説します。
- 公衆電話で使いやすい10円玉・100円玉の重要性
- 自動販売機で使える硬貨の種類
- 500円玉は必要?メリット・デメリット
- お釣りが出ない状況も考慮した組み合わせ例
公衆電話で使いやすい10円玉・100円玉の重要性
災害時の重要な連絡手段となる公衆電話では、主に10円玉と100円玉が使用されます。特に10円玉は、最低限の通話時間を確保するために必須と言えるでしょう。緊急連絡用に、最低でも10枚程度の10円玉を準備しておくと安心です。100円玉も、長距離通話や複数回の通話に備えて、数枚用意しておくと良いでしょう。
公衆電話は、お釣りが出ないタイプのものも多いため、ぴったり支払えるように各種硬貨を揃えておくことが望ましいです。普段あまり公衆電話を使わないという方も、災害時にはその重要性が見直されます。いざという時に慌てないよう、10円玉と100円玉は意識して多めに準備しておきましょう。
自動販売機で使える硬貨の種類
飲料などを購入する際に利用する自動販売機では、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉が一般的に使用できます(一部機種を除く)。1円玉や5円玉は基本的に使えません。自動販売機での利用を考えると、これらの硬貨をバランス良く持っておくことが重要です。
特に、100円玉や10円玉は、商品の価格に合わせて調整しやすいため、多めに準備しておくと便利です。50円玉も、細かい調整に役立ちます。災害時には、どの自動販売機が稼働しているか、どんな商品が残っているかわからないため、様々な種類の硬貨を準備しておくことで、購入の選択肢が広がります。
500円玉は必要?メリット・デメリット
500円玉は、1枚で比較的高額な支払いができるため、持ち運びにかさばらないというメリットがあります。自動販売機でも利用できますし、ある程度の金額の買い物にも対応できます。しかし、デメリットとしては、お釣りが出ない場合に使いにくいという点が挙げられます。また、自販機によっては一度に使える枚数に制限がある場合もあります。
防災用の小銭として500円玉を準備する場合は、数枚程度に留めておき、基本的には100円玉や10円玉を多めに準備するのがおすすめです。状況に応じて使い分けるという意識で持っておくと良いでしょう。例えば、家族分の飲料をまとめて購入する場合など、ある程度まとまった金額の支払いが見込まれる際には役立つかもしれません。
お釣りが出ない状況も考慮した組み合わせ例
災害時には、お店側もお釣りの準備が十分でないことが想定されます。そのため、できるだけお釣りが出ないように、あるいは最小限になるように支払える小銭の組み合わせを意識することが大切です。例えば、2,000円分の小銭を準備する場合、以下のような組み合わせが考えられます。
- 100円玉: 10枚 (1,000円)
- 50円玉: 4枚 (200円)
- 10円玉: 30枚 (300円)
- 500円玉: 1枚 (500円)
上記はあくまで一例です。重要なのは、10円単位での支払いに対応できるように、10円玉をある程度の枚数確保しておくことです。また、100円玉も多めに準備しておくと、様々な場面で使い勝手が良いでしょう。ご自身が利用する可能性のある施設やサービスを考慮しながら、最適な組み合わせを見つけてください。
防災用の小銭を賢く準備・保管する方法
防災用の小銭を準備するにあたっては、どのように集め、どこに保管するかも重要なポイントです。いざという時にすぐに取り出せて、かつ安全に保管できる方法を考えておきましょう。ここでは、日頃からできる小銭の準備方法や、おすすめの保管場所・アイテムについてご紹介します。
本章では、以下の点について解説します。
- 日頃から意識して小銭を貯めるコツ
- 小銭の保管場所(防災リュック、普段使いの財布など)
- おすすめの小銭入れ・ケース
- 定期的な見直しと補充の必要性
日頃から意識して小銭を貯めるコツ
防災用の小銭を一度にまとめて準備するのは大変だと感じる方もいるかもしれません。そこでおすすめなのが、日頃から意識して小銭を貯めることです。例えば、毎日帰宅したら、財布の中の小銭(特に10円玉や100円玉)を専用の貯金箱や袋に移すというルールを作るのも良いでしょう。また、買い物の際、お釣りが少なくなるように支払いを工夫し、意識的に小銭を手元に残すようにするのも一つの方法です。
「防災用」と明確に目的を決めて貯めることで、途中で使ってしまうことなく、着実に目標額を達成しやすくなります。無理のない範囲で、コツコツと続けることが大切です。家族みんなで協力して、防災用の小銭貯金を始めてみるのも良いかもしれません。
小銭の保管場所(防災リュック、普段使いの財布など)
準備した小銭は、すぐに持ち出せる場所に保管することが鉄則です。最も一般的なのは、防災リュック(非常用持ち出し袋)の中でしょう。防災リュックのポケットなど、取り出しやすい場所に入れておきます。この際、小銭がバラバラにならないように、小銭入れやチャック付きの袋などに入れると良いでしょう。
また、防災リュックとは別に、普段から持ち歩く財布の中にも、ある程度の小銭(特に10円玉数枚)を入れておくことをおすすめします。外出先で災害に遭遇した場合、防災リュックが手元にない可能性も考えられます。普段使いの財布にも少し多めに小銭を入れておくことで、いざという時の安心に繋がります。さらに、自宅の安全な場所(避難時に持ち出しやすい場所)にも、予備の小銭を分散して保管しておくのも有効な対策です。
おすすめの小銭入れ・ケース
防災用の小銭を保管する際には、コンパクトで持ち運びやすく、中身が確認しやすい小銭入れやケースを選ぶと良いでしょう。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- コインケース: 硬貨の種類ごとに分けて収納できるタイプは、必要な小銭を素早く取り出せて便利です。プラスチック製やシリコン製など、軽量で丈夫な素材のものがおすすめです。
- チャック付きポリ袋: 透明で中身が見やすく、かさばらないのがメリットです。防水性も期待できるため、水濡れ対策にもなります。サイズ違いでいくつか用意しておくと、他の小物整理にも使えて便利です。
- 薬味チューブケースやフィルムケース: 意外な活用法ですが、円筒形で硬貨を重ねて収納でき、コンパクトにまとまります。ただし、密閉性は高くない場合があるので、水濡れには注意が必要です。
選ぶ際には、耐久性や防水性も考慮すると、より安心して保管できます。また、小銭の重さで破れたりしないよう、ある程度丈夫な作りのものを選びましょう。
定期的な見直しと補充の必要性
一度防災用の小銭を準備したら、それで終わりではありません。定期的に中身を確認し、必要に応じて補充や入れ替えを行うことが大切です。例えば、年に一度、防災の日(9月1日)や年末の大掃除のタイミングなどで、防災リュックの中身を点検する際に、小銭の状態も確認しましょう。
長期間保管していると、硬貨が錆びてしまったり、汚れてしまったりすることもあります。また、家族構成の変化や、新たな防災情報に基づいて、必要な金額や硬貨の種類を見直す必要が出てくるかもしれません。定期的な見直しを習慣化することで、いざという時に確実に役立つ状態を維持することができます。
小銭と合わせて準備しておきたい現金について
災害時には小銭が非常に役立ちますが、それだけでは十分とは言えません。小銭と合わせて、ある程度の「紙幣」も準備しておくことが、より広範な状況に対応するためには不可欠です。ここでは、小銭以外にどのような現金を、どの程度準備しておくと良いかについて解説します。
本章では、以下の点について解説します。
- 小銭以外に必要な現金の目安
- 新札よりも使い慣れたお札が良い理由
- 災害時の現金の役割と限界
小銭以外に必要な現金の目安
小銭と合わせて準備しておきたい紙幣としては、1,000円札を中心に、数千円から数万円程度が目安となります。具体的な金額は、前述の小銭の目安(2,000円~3,000円)と合わせて、トータルで数日分~1週間程度の生活費をカバーできる程度を想定すると良いでしょう。例えば、総額で1万円~3万円程度を現金で準備する場合、そのうちの2割~3割を小銭、残りを1,000円札で用意するイメージです。
5,000円札や10,000円札といった高額紙幣は、お釣りが出ない場合に受け取ってもらえない可能性があるため、できるだけ避けるか、最小限に留めるのが賢明です。1,000円札であれば、比較的多くのお店で対応してもらいやすく、お釣りの問題も生じにくいでしょう。
新札よりも使い慣れたお札が良い理由
お祝い事などで使う新札は、見た目もきれいで気持ちが良いものですが、防災用として準備する現金としては、必ずしも最適とは言えません。なぜなら、新札は紙幣同士がくっつきやすく、枚数を数え間違えたり、取り出しにくかったりすることがあるからです。また、自動販売機や一部の精算機では、新札をうまく認識しない場合も稀にあります。
そのため、防災用に準備する紙幣は、ある程度使い慣れた、いわゆる「流通券」の方が扱いやすいと言えます。もちろん、あまりにも汚れていたり、破れていたりするものは避けるべきですが、適度に使用感のあるお札の方が、いざという時にスムーズに使える可能性が高いです。銀行で両替する際も、新札ではなく普通のお札を指定するのも一つの方法です。
災害時の現金の役割と限界
災害時において、現金は食料や水、医薬品などの生活必需品を購入するための重要な手段となります。特に、キャッシュレス決済が機能しない状況下では、現金が唯一の支払い手段となることもあります。また、公衆電話の利用や、場合によっては交通費の支払いなどにも現金が必要です。
しかし、現金の役割には限界もあります。例えば、大規模な災害によって物流が完全にストップしてしまえば、いくら現金を持っていても、そもそも購入する物資がないという状況も起こり得ます。また、盗難のリスクも考慮しなければなりません。現金はあくまで「備えの一つ」であり、水や食料、医薬品などの現物備蓄と合わせて準備することが重要です。現金だけに頼るのではなく、多角的な備えを心がけましょう。
【実践編】災害時に小銭が役立つ具体的な場面と使い方
これまでに、災害時における小銭の重要性や準備方法について解説してきました。ここでは、さらに具体的に、どのような場面で小銭が役立ち、どのように使えば良いのかを実践的な視点からご紹介します。いざという時に慌てないためにも、具体的な使い方をイメージしておくことが大切です。
本章では、以下の点について解説します。
- 公衆電話のかけ方と注意点
- 停電時の自動販売機の見分け方と利用方法
- 支援物資が届くまでのつなぎとして
公衆電話のかけ方と注意点
災害時に頼りになる公衆電話ですが、普段使い慣れていないと、いざという時に戸惑ってしまうかもしれません。基本的なかけ方と注意点を押さえておきましょう。
【公衆電話の基本的なかけ方(硬貨の場合)】
- 受話器を上げる: まず受話器を上げ、「ツー」という発信音が聞こえるか確認します。
- 硬貨を投入する: 10円玉または100円玉を投入します。機種によっては、先に番号をダイヤルしてから硬貨を入れるタイプもあります。
- 電話番号をダイヤルする: 相手の電話番号を正確にダイヤルします。市外局番から押す必要がある場合が多いです。
- 通話する: 相手に繋がったら通話を開始します。
- 通話終了後: 受話器を置くと、残額があれば硬貨が返却されます(お釣りが出るタイプの場合)。
【注意点】
- お釣りが出ない機種もある: 特に古いタイプの公衆電話では、お釣りが出ないことがあります。10円玉を多めに準備しておくと安心です。
- 緊急通報は無料: 警察(110番)、消防・救急(119番)、海上保安庁(118番)への緊急通報は、硬貨やテレホンカードがなくても無料でかけることができます。受話器を上げて、そのまま番号をダイヤルしてください(一部機種では緊急通報ボタンを押してからダイヤル)。
- 災害用伝言ダイヤル(171)の活用: 災害時には、安否確認のために災害用伝言ダイヤル(171)が利用できます。こちらも公衆電話から利用可能です。事前に利用方法を確認しておきましょう。
- 長電話は避ける: 災害時は多くの人が公衆電話を利用しようとします。必要な情報を簡潔に伝え、他の人に譲るようにしましょう。
公衆電話の設置場所は、NTTのウェブサイトなどで確認できます。普段から近所の公衆電話の場所を把握しておくと、いざという時に役立ちます。
停電時の自動販売機の見分け方と利用方法
停電時でも、一部の自動販売機は利用できる可能性があります。特に、「災害救援ベンダー」や「災害対応型自動販売機」と呼ばれるものは、停電時でも一定時間稼働するようにバッテリーを搭載していたり、手動で商品を取り出せる仕組みになっていたりします。これらの自動販売機には、その旨を示すステッカーが貼られていることが多いので、目印にすると良いでしょう。
また、全ての自動販売機が停電時に使えなくなるわけではありません。比較的新しい機種や、特定の場所に設置されているもの(例えば、病院や公共施設など)は、自家発電設備に接続されていて稼働し続ける場合もあります。ただし、外見だけでは判断が難しいため、まずは硬貨投入口や商品選択ボタンが点灯しているかなどを確認してみましょう。
利用する際は、通常時と同様に小銭を投入し、商品を選択します。ただし、停電時はお釣りが出ない、または正確に出ない可能性も考慮し、できるだけお釣りの少ない金額で購入するのが望ましいです。また、商品の補充が滞っている可能性もあるため、品切れ表示にも注意しましょう。
支援物資が届くまでのつなぎとして
大規模な災害が発生した場合、すぐに支援物資が届くとは限りません。交通網の寸断や、被災範囲の広さによっては、支援が本格化するまでに数日かかることもあります。そのような状況下で、手持ちの小銭があれば、営業を再開した小規模な店舗や、稼働している自動販売機などで、当座必要な食料や飲料を購入できる可能性があります。
たとえ少量であっても、水や食料を確保できることは、心身の安心に繋がります。特に、乳幼児や高齢者、持病のある方など、特別な配慮が必要な方がいるご家庭では、こうした「つなぎ」の購入ができるかどうかは非常に重要です。防災備蓄と合わせて、少額の買い物に対応できる小銭を準備しておくことは、支援が届くまでの数日間を乗り切るための一助となるでしょう。
よくある質問 (FAQ)
ここでは、防災と小銭に関するよくあるご質問とその回答をまとめました。疑問点を解消し、より万全な備えを目指しましょう。
Q. キャッシュレス決済が普及しているのに、本当に小銭は必要ですか?
A. はい、必要です。災害による停電や通信障害が発生すると、クレジットカードやスマートフォン決済などのキャッシュレス決済が利用できなくなる可能性が高いためです。そのような状況下では、現金、特に少額の支払いに対応できる小銭が非常に重要になります。公衆電話の利用や、自動販売機での飲料購入など、小銭がなければ困る場面が想定されます。
Q. 防災リュックに入れる小銭は、どのくらいの重さになりますか?
A. 例えば、10円玉100枚で約450g、100円玉20枚で約96gです。2,000円~3,000円程度の小銭であれば、数百グラム程度になるでしょう。防災リュック全体の重さとのバランスを考慮し、持ち運びに無理のない範囲で準備しましょう。硬貨の種類によって重さが異なるため、組み合わせによっても総重量は変わります。
Q. 小銭が足りなくなった場合、どうすれば良いですか?
A. まずは落ち着いて、周囲の状況を確認しましょう。避難所が開設されていれば、そこで情報収集をしたり、支援を受けたりできる可能性があります。また、親戚や知人に連絡が取れれば、助けを求めることも考えられます。金融機関が営業を再開すれば、預金を引き出すことも可能になりますが、災害直後は混雑が予想されます。日頃からある程度の現金を分散して保管しておくことが大切です。
Q. 銀行のATMが使えない場合、小銭はどうやって入手できますか?
A. 災害時には銀行のATMも停電やシステム障害で使えなくなる可能性があります。そのような状況で新たに小銭を入手するのは困難です。だからこそ、事前の準備が重要になります。日頃から意識して小銭を貯めておき、防災リュックや自宅の安全な場所に保管しておくようにしましょう。営業している店舗があれば、少額の買い物をしてお釣りで小銭を得るという方法も考えられますが、確実ではありません。
Q. 子供用の防災グッズにも小銭は必要ですか?
A. はい、子供用の防災グッズにも少額の小銭(特に10円玉数枚)を入れておくことをおすすめします。万が一、保護者とはぐれてしまった場合に、子供自身が公衆電話を使って連絡を取るためです。事前に公衆電話の使い方を教えておくとともに、連絡先を書いたメモも一緒に入れておくと良いでしょう。ただし、大金を持たせるのは防犯上好ましくありませんので、あくまで緊急連絡用と割り切りましょう。
Q. 防災用の小銭は銀行で両替するのが良いですか?
A. 必ずしも銀行で両替する必要はありません。日々の買い物のお釣りなどで、意識的に10円玉や100円玉を手元に残すようにし、それを防災用に貯めていく方法が手軽でおすすめです。もし大量の紙幣を小銭に両替したい場合は、銀行の窓口や両替機を利用することになりますが、手数料がかかる場合や、一度に両替できる枚数に制限がある場合があるので、事前に確認しましょう。
Q. 小銭以外に準備しておくべきものは何ですか?
A. 小銭や紙幣といった現金以外にも、防災グッズとして準備しておくべきものはたくさんあります。代表的なものとしては、飲料水、非常食(最低3日分、推奨1週間分)、懐中電灯(予備電池も)、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、救急用品、常備薬、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ウェットティッシュ、簡易トイレ、マスク、軍手、雨具、防寒具、貴重品(保険証のコピーなども)、筆記用具などが挙げられます。家族構成や季節に合わせて必要なものをリストアップし、定期的に点検しましょう。
Q. 災害時、お金はどうなる?
A. 災害時でも、日本円の価値がすぐになくなるわけではありません。しかし、前述の通り、停電や通信障害でキャッシュレス決済が使えなくなったり、ATMが利用できなくなったりする可能性があります。そのため、手元にある程度の現金(特に小銭と少額紙幣)を持っておくことが重要になります。また、金融機関の窓口が再開しても、引き出しに制限がかかる場合や、混雑することも想定されます。
Q. 災害時、現金はいくらあれば安心ですか?
A. 一概に「いくらあれば絶対に安心」とは言えませんが、一般的には最低でも3日分、できれば1週間程度の生活費を目安に準備しておくと良いでしょう。具体的な金額は、家族構成や生活スタイルによって異なりますが、数万円程度を現金で用意し、そのうち数千円を小銭で準備しておくのが一つの目安です。食料や水の備蓄と合わせて、バランス良く備えることが大切です。
Q. 災害時、10円玉は何枚必要ですか?
A. 公衆電話の利用を主に考えると、最低でも10枚~20枚程度の10円玉を準備しておくと安心です。1回の通話で数枚使用することを想定し、家族への連絡や情報収集のために複数回かける可能性を考慮しましょう。他の硬貨とのバランスも考えながら、防災リュックや普段持ち歩く財布に分散して入れておくと良いでしょう。
Q. 災害時、お金がない時はどうすればいいですか?
A. まずは安全を確保し、公的な支援情報を確認しましょう。避難所が開設されていれば、そこで食料や水の配給、医療支援などを受けられる場合があります。また、災害救助法が適用された場合、生活必需品の給付や貸与、住宅の応急修理などの支援が行われることがあります。自治体の窓口やウェブサイト、ラジオなどで最新情報を入手し、利用できる制度がないか確認してください。親族や友人に頼ることも考えられます。
まとめ
- 災害時は停電でキャッシュレス決済が使えない可能性。
- 公衆電話の利用には10円玉・100円玉が必須。
- 自動販売機での飲料確保にも小銭が役立つ。
- 小規模店舗ではお釣りが出にくいことも。
- 防災用の小銭は2,000円~3,000円程度が目安。
- 家族構成に応じて準備金額を調整する。
- 1,000円札など少額紙幣とのバランスも重要。
- 10円玉・100円玉を多めに準備するのが効果的。
- 500円玉は数枚程度あると便利。
- 日頃から意識して小銭を貯めるのがコツ。
- 小銭は防災リュックや普段の財布に保管。
- コインケースやチャック付き袋が保管に便利。
- 定期的な小銭の点検と補充を忘れずに。
- 小銭以外に1,000円札中心の現金も準備。
- 支援物資が届くまでの「つなぎ」として小銭が活躍。