ヨーロッパやアジアの各地へ向かう際、北京の空港で乗り継ぎ(トランジット)の時間を過ごす機会があるかもしれません。「長い待ち時間をどう過ごそう?」「空港から出ることはできるの?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。特に、慣れない土地でのトランジットは、時間の使い方に迷ってしまいますよね。
本記事では、そんなあなたの悩みを解決します。北京でのトランジットを快適で有意義な時間に変えるための、具体的な過ごし方を徹底解説。時間別の最適なプランから、気になるビザの問題、空港内外の施設情報、さらには短時間で楽しめる市内観光まで、2025年最新の情報を網羅しました。この記事を読めば、あなたのトランジットはただの待ち時間ではなく、旅の新たな楽しみの一つになるはずです。
まずは基本情報をチェック!北京の空港とトランジットの基礎知識

北京でのトランジットを計画する上で、まず押さえておきたい基本的な情報があります。利用する空港はどこか、ビザは必要なのか、そして預けた荷物はどうなるのか。これらのポイントを事前に把握しておくことで、当日の動きが格段にスムーズになります。安心して乗り継ぎ時間を過ごすために、まずは基礎知識をしっかりと確認しましょう。
この章では、以下の点について詳しく解説していきます。
- 対象となる2つの空港:北京首都国際空港(PEK)と北京大興国際空港(PKX)
- トランジットの鍵!ビザは必要?144時間トランジットビザ免除とは
- 一時出国(臨時入境許可)の手続き方法と流れ
- 荷物はどうなる?スルーバゲージか要確認
対象となる2つの空港:北京首都国際空港(PEK)と北京大興国際空港(PKX)
北京には、主に2つの国際空港があります。北京首都国際空港(PEK)と北京大興国際空港(PKX)です。どちらの空港を利用するかによって、施設や市内へのアクセス方法が異なるため、ご自身の航空券を確認し、どちらの空港でのトランジットになるのかを把握しておくことが重要です。
北京首都国際空港(PEK)は、長年にわたり中国の空の玄関口として機能してきた巨大な空港です。 特に第3ターミナルは国際線の発着が多く、日本の航空会社も多数就航しています。 レストランやショップ、ラウンジなどの施設が充実しており、空港内だけでも十分に時間を過ごすことができます。 市内中心部からは北東に約28kmの位置にあります。
一方、北京大興国際空港(PKX)は2019年に開港した新しい空港で、その未来的なデザインが特徴です。 世界最大級のターミナルビルを誇り、こちらも商業施設や飲食店が豊富に揃っています。 市内中心部からは南に約46kmと首都国際空港よりは少し離れていますが、新しい鉄道アクセスなどにより市内への移動もスムーズです。 主に中国南方航空や中国東方航空などが利用しています。
どちらの空港も非常に広大なので、ターミナル間の移動や手続きには時間に余裕を持つことをおすすめします。
トランジットの鍵!ビザは必要?144時間トランジットビザ免除とは
北京でのトランジットで最も気になるのがビザの問題でしょう。結論から言うと、特定の条件を満たせば、ビザなしで中国に入国し、一時的に滞在することが可能です。
以前は72時間や144時間のトランジットビザ免除制度がありましたが、2024年12月17日より、この制度がさらに拡大され、対象国(日本を含む)の渡航者は最大240時間(10日間)のビザなし滞在が許可されるようになりました。 これにより、乗り継ぎ時間を利用して、より柔軟に北京観光を楽しむことができるようになったのです。
この制度を利用するための主な条件は以下の通りです。
- 対象国(日本を含む55カ国)の有効なパスポートを所持していること
- 240時間以内に第三国(または地域)へ出発する、座席が確定した航空券を持っていること
- 北京首都国際空港または北京大興国際空港などの対象空港から入国すること
この条件を満たしていれば、空港で「臨時入境許可」を申請することで、北京市内や周辺地域へ出ることができます。 ただし、この制度はあくまで中国を経由して第三国へ向かう旅行者のためのものなので、最終目的地が中国国内の都市であったり、中国から出発国へ戻る往復航空券のみを所持している場合は対象外となるため注意が必要です。
また、2024年11月30日から2025年12月31日までの期間、日本人は観光や商用目的などで30日以内の滞在であればビザが免除されています。 これにより、トランジットの際もより簡単に入国手続きが可能となりました。
一時出国(臨時入境許可)の手続き方法と流れ
240時間トランジットビザ免除制度を利用して空港の外に出るには、「臨時入境許可」の申請が必要です。手続きはそれほど複雑ではありませんが、流れを把握しておくとスムーズです。
まず、飛行機を降りたら「Arrival/Exit(到達/出境)」の案内に従って進み、入国審査場へ向かいます。ここで注意したいのが、通常の入国審査カウンターではなく、「24/240-Hour Transit/Temporary Entry Permit(24/240小时过境/临时入境许可)」と表示された専用カウンターを目指すことです。 場所が分かりにくい場合は、近くの空港職員に「Temporary Entry?」と尋ねてみましょう。
専用カウンターに到着したら、以下の書類を提出します。
- 有効なパスポート
- 第三国への出発便の搭乗券(eチケットの控えでも可)
- 記入済みの「外国人出入境カード(Arrival Card)」
「外国人出入境カード」は機内で配布されるか、カウンター手前の記入台に置かれています。審査官が書類を確認し、問題がなければパスポートに一時入境許可のスタンプが押され、晴れて入国となります。審査には多少時間がかかる場合もあるため、乗り継ぎ時間には余裕を持っておきましょう。
荷物はどうなる?スルーバゲージか要確認
トランジットの際のもう一つの心配事が、預けた手荷物(スーツケースなど)の扱いです。これは利用する航空会社や航空券の予約方法によって異なります。
スルーバゲージ(通し預け)に対応している場合、出発地で預けた荷物は北京の空港で受け取ることなく、最終目的地まで直接運ばれます。 これは非常に便利で、特に空港の外に出て観光する際には身軽に動けるという大きなメリットがあります。日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)、中国国際航空(エアチャイナ)などを利用し、乗り継ぎ便も同じ航空会社や提携航空会社で通しで予約している場合は、スルーバゲージになることが多いです。
一方で、LCC(格安航空会社)を利用した場合や、航空券を別々に購入した場合は、一度北京で荷物を受け取り、再度出発便のチェックインカウンターで預け直す必要があります。 この場合、荷物を受け取る時間、再度チェックインして保安検査を受ける時間も考慮しなければならないため、乗り継ぎ時間にはかなりの余裕が必要です。
ご自身の荷物がスルーバゲージになるかどうかは、出発地の空港でチェックインする際に必ず係員に確認してください。「My baggage goes through to the final destination?(荷物は最終目的地まで行きますか?)」と尋ねると確実です。
【トランジット時間別】北京空港での完璧な過ごし方プラン

北京でのトランジット、限られた時間をどう使うのがベストなのでしょうか。乗り継ぎ時間は人それぞれ。ここでは、あなたの待ち時間に合わせて、空港内での過ごし方から市内観光まで、具体的なプランを提案します。貴重な乗り継ぎ時間を無駄にせず、最大限に楽しむためのヒントが満載です。
この章では、以下の時間帯別のプランをご紹介します。
- 乗り継ぎ~5時間:空港内で過ごすのが賢明
- 乗り継ぎ6~8時間:空港から出てちょい観光も可能!
- 乗り継ぎ8~12時間:世界遺産へ!日帰り観光を満喫
- 乗り継ぎ12時間以上:市内観光+ホテルでゆったりプラン
乗り継ぎ~5時間:空港内で過ごすのが賢明
乗り継ぎ時間が5時間以内の場合、空港内で過ごすのが最も安全で確実な選択です。北京の空港は非常に広く、入国・出国手続きには予想以上に時間がかかる可能性があります。 市内へ出たとしても、移動時間だけで慌ただしくなり、飛行機に乗り遅れるリスクも高まります。
幸い、北京首都国際空港(PEK)も北京大興国際空港(PKX)も、空港内の施設は非常に充実しています。 本格的な中華料理から手軽なファストフードまで楽しめるレストラン、お土産探しにぴったりの免税店やショップが数多くあります。 また、プライオリティパスで利用できるラウンジでシャワーを浴びてリフレッシュしたり、仮眠施設で体を休めたりすることも可能です。 空港内の無料Wi-Fiに接続して、次の旅の情報を集めるのも良いでしょう。短い時間でも、空港内を探検するだけで十分に楽しめます。
乗り継ぎ6~8時間:空港から出てちょい観光も可能!
6時間から8時間の乗り継ぎ時間があれば、思い切って空港の外へ出てみるのも良い選択肢です。ただし、往復の移動時間と出入国手続きに約3〜4時間かかると見積もっておきましょう。実際に観光に使える時間は2〜4時間程度です。
この時間でおすすめなのが、空港からのアクセスが良い場所への「ちょい観光」です。例えば、北京首都国際空港からであれば、エアポートエクスプレスを利用して市内の東直門(Dongzhimen)エリアへ。 この周辺にはローカルな飲食店も多く、本場の雰囲気を味わうことができます。また、タクシーをチャーターすれば、より効率的に動くことも可能です。
北京大興国際空港からも、新しい地下鉄や高速鉄道を利用すれば、比較的短時間で市内中心部にアクセスできます。 時間に制約があるからこそ、目的地を一つか二つに絞り、計画的に行動することが成功のコツです。
乗り継ぎ8~12時間:世界遺産へ!日帰り観光を満喫
8時間を超える乗り継ぎ時間があるなら、本格的な市内観光、さらには世界遺産への訪問も夢ではありません。 観光に使える時間は4〜8時間ほど確保できるでしょう。
定番の観光スポットとしては、天安門広場や故宮博物院(紫禁城)が挙げられます。 中国の歴史とスケールの大きさを肌で感じることができるでしょう。空港からはエアポートエクスプレスと地下鉄を乗り継いでアクセスするのが一般的です。
もし、もう少しアクティブに動きたいのであれば、万里の長城への日帰りツアーも選択肢に入ります。 空港から直接アクセスできるチャーター車やトランジット客向けのツアーを利用すれば、限られた時間でも効率よく絶景を楽しむことが可能です。 事前にオンラインでツアーを予約しておくと、当日スムーズに行動できます。
乗り継ぎ12時間以上:市内観光+ホテルでゆったりプラン
12時間以上の長いトランジット時間がある場合は、市内観光をじっくりと楽しんだ上で、ホテルで休憩するという余裕のあるプランが組めます。特に深夜便や早朝便への乗り継ぎの場合、一度体を休めることで、その後の旅も快適になります。
中国国際航空(エアチャイナ)や中国南方航空など一部の航空会社では、特定の条件を満たす乗り継ぎ客に対して、無料のトランジットホテルを提供している場合があります。 このサービスには、空港とホテル間の送迎や朝食が含まれていることもあり、非常にお得です。 利用条件は航空会社によって異なるため、事前に公式サイトで確認し、予約をしておきましょう。
無料トランジットホテルの対象外であっても、空港周辺には多くのホテルがあります。 予約サイトで自分に合ったホテルを探し、ゆっくりと北京の夜を過ごすのも良いでしょう。翌朝、リフレッシュした状態で次のフライトに臨むことができます。
空港内で快適に過ごす!北京両空港の施設完全ガイド

トランジットの時間が短い、あるいは空港の外に出るのが不安という方もご安心ください。北京の2つの空港、首都国際空港(PEK)と大興国際空港(PKX)は、どちらも内部施設が非常に充実しており、数時間の待ち時間なら飽きることなく快適に過ごせます。食事から休憩、ショッピングまで、空港内でできることを知っておけば、待ち時間も旅の楽しみの一つに変わります。
この章では、空港内を快適に過ごすための具体的な方法をご紹介します。
- 無料Wi-Fiへの接続方法と注意点(VPNの必要性)
- 食事を満喫!おすすめレストラン&フードコート
- 待ち時間を優雅に!航空会社ラウンジとプライオリティパス
- 短時間でもリフレッシュ!仮眠・休憩できるトランジットホテル&カプセルホテル
- 最後のお楽しみに!お土産ショップ&免税店
無料Wi-Fiへの接続方法と注意点(VPNの必要性)
北京の空港では、無料で利用できるWi-Fiサービスが提供されています。 接続方法は主に2つあり、以前は専用端末でのパスワード発行が主流でしたが、最近ではより簡単な方法も導入されています。
1. パスポートをスキャンして接続する方法
スマートフォンやPCでWi-Fi設定画面を開き、「AIRPORT-FREE-WIFI-NEW」などのネットワークを選択します。 ログイン画面が表示されたら、「Passport Login」といった項目を選び、スマートフォンのカメラでパスポートの顔写真ページを撮影・アップロードするだけで接続が完了します。 これは非常に手軽な方法です。
2. 専用端末でパスワードを取得する方法
空港内に設置されている専用の発券機にパスポートをスキャンさせると、ユーザー名とパスワードが記載された紙が発行されます。 その情報を手動でログイン画面に入力して接続します。
ただし、中国国内のインターネットには「グレート・ファイアウォール(金盾)」と呼ばれる情報規制が存在します。 そのため、空港のWi-Fiに接続しても、Google、LINE、X (旧Twitter)、Instagram、Facebookといった日本で普段使っているサービスの多くは利用できません。 これらのサービスを利用したい場合は、事前に日本でVPN(Virtual Private Network)サービスを契約し、スマートフォンやPCにアプリをインストールしておく必要があります。VPNを使えば、中国の規制を回避して、日本にいるのと同じようにインターネットを利用できます。
食事を満喫!おすすめレストラン&フードコート
長い待ち時間、お腹が空くのは当然のこと。北京の空港はグルメの宝庫でもあります。ターミナル内には、本格的な北京ダックや小籠包が味わえる中華レストランから、世界的に有名なコーヒーチェーン、手軽なファストフードまで、多種多様な飲食店が軒を連ねています。
特に、出発ロビーの上の階にはレストラン街が広がっていることが多く、選択肢が豊富です。 フードコート形式のエリアもあり、様々なジャンルの料理を一度に楽しめるので、家族や友人と好みが分かれる場合にも便利です。北京限定のドリンクを提供しているカフェなどもあり、トランジットの合間に「食」で中国らしさを体験するのも楽しい過ごし方です。
深夜や早朝の乗り継ぎの場合、営業している店舗は限られますが、24時間営業のコンビニエンスストアや一部の飲食店は開いていることが多いので、小腹を満たすには困らないでしょう。
待ち時間を優雅に!航空会社ラウンジとプライオリティパス
フライトまでの時間を静かで快適な空間で過ごしたいなら、空港ラウンジの利用がおすすめです。ビジネスクラス以上の利用客や、航空会社の上級会員であれば、各航空会社の専用ラウンジを利用できます。
エコノミークラス利用でも諦める必要はありません。プライオリティパスを所持していれば、提携しているラウンジに無料で入室できます。 北京首都国際空港、北京大興国際空港ともに、プライオリティパスで利用できるラウンジが複数あります。
ラウンジ内では、無料の食事やドリンク(アルコール類を含む)が提供されるほか、ソファでリラックスしたり、Wi-Fiを使って仕事をしたりと、思い思いの時間を過ごせます。 中にはシャワー施設を備えたラウンジもあり、長旅の疲れを癒すのに最適です。 出発前のひとときを、ワンランク上の空間で優雅に過ごしてみてはいかがでしょうか。
短時間でもリフレッシュ!仮眠・休憩できるトランジットホテル&カプセルホテル
深夜の乗り継ぎや、長時間の待ち時間で少しでも横になって体を休めたい、というニーズに応える施設も空港内には存在します。北京首都国際空港のターミナル内には、時間単位で利用できる有料の休憩室(トランジットホテル)があります。 シングルルームやダブルルームなどがあり、シャワーを浴びて仮眠をとるのに最適です。
また、中国国際航空(エアチャイナ)では、特定の条件を満たす乗り継ぎ客向けに、無料で利用できるトランジットラウンジを提供している場合があります。 ここではリクライニングチェアや軽食、シャワーなどが利用でき、ホテルに泊まるほどではないけれど少し休憩したい、という場合に非常に便利です。 利用には事前予約が必要なことが多いので、公式サイトで条件を確認しておきましょう。
これらの施設を利用すれば、短い時間でも効率的に体を休め、リフレッシュして次のフライトに臨むことができます。
最後のお楽しみに!お土産ショップ&免税店
トランジットの締めくくりは、やはりショッピング。北京の空港には、ハイブランドが揃う免税店から、中国らしい雑貨やお菓子を扱うお土産物屋まで、多彩なショップが充実しています。
パンダをモチーフにした可愛らしいグッズや、中国茶、伝統的な工芸品など、見ているだけでも楽しい商品がたくさん並んでいます。 家族や友人へのお土産はもちろん、旅の記念に自分へ何か買っていくのも良いでしょう。特に、空港限定のデザイングッズなどは、トランジットの良い思い出になります。
また、免税店では化粧品や香水、お酒、タバコなどが市価よりも安く手に入ります。買い忘れたものがあれば、ここで購入するのも一つの手です。ただし、液体物の購入には乗り継ぎ便での機内持ち込み制限があるので、購入時に店員さんへ確認することをお忘れなく。
空港から飛び出そう!トランジット観光おすすめスポット

もし乗り継ぎ時間に余裕があるなら、空港に留まっているだけではもったいない!北京には、短時間でもその魅力を存分に感じられる観光スポットがたくさんあります。歴史の息吹を感じる場所から、ローカルな雰囲気を楽しめる街並みまで、限られた時間で最大限に楽しむためのモデルコースとアクセス方法をご紹介します。せっかくの機会、少しだけ冒険して、旅の思い出を増やしてみませんか?
この章では、空港の外に出て楽しむための具体的な情報をお届けします。
- 短時間でアクセス可能!おすすめ観光地
- 各スポットへのアクセス方法と所要時間・料金まとめ
- 時間がない人向け!トランジットツアーの活用法
短時間でアクセス可能!おすすめ観光地
限られたトランジット時間で訪れるなら、効率よく回れるスポットを選ぶことが重要です。ここでは、比較的アクセスしやすく、短時間でも満足度の高いおすすめの観光地をいくつかご紹介します。
【定番】天安門広場・故宮博物院
北京観光と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、この天安門広場と、その奥に広がる故宮博物院(紫禁城)ではないでしょうか。 世界最大の広場である天安門広場のスケール感と、かつて皇帝たちが暮らした紫禁城の壮麗な建築群は、まさに圧巻の一言。中国の歴史と文化の中心地を肌で感じることができます。空港からはエアポートエクスプレスと地下鉄を乗り継いでアクセスするのが一般的です。
【絶景】万里の長城(慕田峪)へのアクセス方法
「時間がないから無理だろう」と諦めがちな万里の長城ですが、実はトランジットでも訪れることは可能です。 特に、比較的観光客が少なく、修復状態も良い「慕田峪(ぼでんよく)」エリアはおすすめです。空港から直接タクシーをチャーターするか、事前にトランジット客向けの専用ツアーを予約するのが最も効率的で安心な方法です。 往復の移動と観光で最低でも5〜6時間は見ておきたいところ。人類史上最大の建造物からの眺めは、きっと忘れられない思い出になるはずです。
【ローカル】前門大街で食べ歩き
歴史的な建造物だけでなく、北京の「今」を感じたいなら、前門大街(Qianmen Street)がおすすめです。清の時代の街並みが再現された美しい歩行者天国で、老舗のレストランやおしゃれなショップが軒を連ねています。シュウマイや北京ダックなどの名物グルメを食べ歩きしたり、ユニークなお土産を探したりと、散策するだけでも楽しめます。天安門広場からも近いので、セットで訪れるのも良いでしょう。
各スポットへのアクセス方法と所要時間・料金まとめ
市内観光を計画する上で、移動手段と所要時間の把握は不可欠です。以下に、主要空港から各観光スポットへのアクセス方法を表にまとめました。時間は交通状況によって変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
北京首都国際空港(PEK)からのアクセス
目的地 | 交通手段 | 所要時間(片道) | 料金(片道・目安) |
---|---|---|---|
天安門広場・故宮博物院 | エアポートエクスプレス+地下鉄 | 約70~90分 | 約30元 |
万里の長城(慕田峪) | タクシーチャーター | 約70~90分 | 約600~800元(往復) |
前門大街 | エアポートエクスプレス+地下鉄 | 約80~100分 | 約30元 |
北京大興国際空港(PKX)からのアクセス
目的地 | 交通手段 | 所要時間(片道) | 料金(片道・目安) |
---|---|---|---|
天安門広場・故宮博物院 | 大興空港線+地下鉄 | 約60~80分 | 約40元 |
万里の長城(慕田峪) | タクシーチャーター | 約100~120分 | 約800~1000元(往復) |
前門大街 | 大興空港線+地下鉄 | 約70~90分 | 約40元 |
※料金や時間は2025年7月現在の目安です。変動する可能性があります。
ポイント:渋滞のリスクを避けるなら、時間が読めるエアポートエクスプレスや地下鉄の利用がおすすめです。 タクシーを利用する場合は、必ず正規の乗り場から乗車しましょう。
時間がない人向け!トランジットツアーの活用法
「自分で移動するのは不安」「限られた時間で効率よく回りたい」という方には、トランジット客向けに催行されているツアーの利用が最適です。
これらのツアーは、空港での出迎えから観光、そして出発便の時間に合わせた空港への送りまで、すべてが含まれているのが特徴です。行き先も、万里の長城、故宮博物院、天安門広場など、人気のスポットを組み合わせた様々なプランが用意されています。
ガイドが付いているプランを選べば、歴史的な背景などを聞きながら観光できるため、より深く北京の文化を理解できます。何より、乗り遅れの心配をせずに観光に集中できるのが最大のメリット。インターネットで「北京 トランジットツアー」などと検索し、事前に予約しておくと良いでしょう。
北京空港トランジットで失敗しないための注意点

北京でのトランジットをスムーズに、そして安全に楽しむためには、いくつか知っておくべき注意点があります。特に中国ならではの事情もあり、事前の準備が快適な乗り継ぎの鍵を握ります。フライトの遅延からインターネット環境、支払い方法まで、思わぬトラブルに慌てないために、ここでしっかりとポイントを押さえておきましょう。
この章では、安心してトランジットを過ごすための重要な注意点を解説します。
- 航空会社の遅延・欠航リスクを頭に入れておく
- 中国のネット事情「金盾」とVPNの準備
- 現金は必要?キャッシュレス決済事情
- 再出国時の手続きと時間に余裕を持つこと
航空会社の遅延・欠航リスクを頭に入れておく
まず心に留めておきたいのが、航空便の遅延(ディレイ)のリスクです。 特に中国国内の航空便は、天候や航空管制などの理由で遅延が発生することが少なくありません。トランジットで市内観光などを計画している場合、到着便の遅れによって計画が大幅に狂ってしまう可能性があります。
対策としては、スケジュールに余裕を持たせることが最も重要です。ギリギリの計画を立てるのではなく、多少の遅延があっても対応できるよう、バッファとなる時間を設けておきましょう。また、出発前に利用する航空会社の運行状況をウェブサイトやアプリで確認する習慣をつけておくと安心です。万が一、大幅な遅延や欠航が発生した場合は、空港の航空会社カウンターで指示を仰ぎましょう。
中国のネット事情「金盾」とVPNの準備
前述の通り、中国には「グレート・ファイアウォール(金盾)」と呼ばれるインターネット検閲システムが存在します。 これにより、Google検索、Gmail、Googleマップ、LINE、X (旧Twitter)、Instagram、Facebook、YouTubeなど、私たちが日常的に利用している多くのウェブサイトやアプリにアクセスできません。
空港から出て市内を観光する際に、Googleマップで道順を調べたり、LINEで家族に連絡したりすることができないと、非常に不便です。この問題を解決するのがVPN(Virtual Private Network)です。
VPNアプリをスマートフォンにインストールしておけば、中国国内からでもこれらのサービスにアクセスできるようになります。重要なのは、VPNアプリは中国国内に入ってからではダウンロードできないため、必ず日本を出国する前にインストールと設定を済ませておくことです。無料のVPNもありますが、安定性やセキュリティの観点から、信頼できる有料サービスを選ぶことをおすすめします。
現金は必要?キャッシュレス決済事情
現在の中国は、世界でも有数のキャッシュレス社会です。都市部では、露店のような小さなお店でもQRコード決済が主流となっており、現金が使えない場面も増えています。
旅行者が主に利用できるQRコード決済は、Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)の2つです。最近では、これらのアプリに日本のクレジットカードを登録して利用できるようになり、旅行者でも手軽にキャッシュレス決済の恩恵を受けられるようになりました。
とはいえ、万が一の事態(アプリの不具合、電波の悪い場所など)に備えて、少額の現金(人民元)を用意しておくと安心です。空港内の両替所や、街中の銀行、ホテルのフロントなどで両替が可能ですが、レートは場所によって異なります。タクシー代や小さな売店での買い物など、現金が必要になる可能性もゼロではありません。基本はキャッシュレス、補助的に現金、というスタンスで準備しておくと良いでしょう。
再出国時の手続きと時間に余裕を持つこと
市内観光などを楽しんだ後、空港に戻ってきてからも気は抜けません。再出国(次の目的地への出発)の手続きには、十分な時間が必要です。
まず、航空会社のカウンターで搭乗券を発行し(すでに持っている場合もゲート変更などがないか確認)、荷物を預けます。その後、出国審査、そして保安検査(手荷物検査)へと進みます。北京の空港は非常に規模が大きく、時間帯によってはこれらの手続きが長蛇の列になることも珍しくありません。
特に保安検査は厳格で、モバイルバッテリーなどの電子機器は厳しくチェックされる傾向があります。 スムーズに通過するためにも、事前にルールを確認し、指示に従いましょう。
一般的に、国際線の場合は出発時刻の2〜3時間前には空港に到着しておくのが理想です。市内から空港へ戻る際は、交通渋滞のリスクも考慮し、早め早めの行動を心がけましょう。最後の最後で飛行機に乗り遅れるという事態だけは避けたいものです。
よくある質問

ここでは、北京空港でのトランジットに関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。ビザの問題から空港内の施設まで、気になるポイントを簡潔にまとめました。出発前の最終チェックとして、ぜひお役立てください。
北京のトランジットで空港から出ることはできますか?
はい、可能です。 日本のパスポートをお持ちの場合、特定の条件を満たせば「240時間トランジットビザ免除制度」を利用して、ビザなしで一時的に中国へ入国できます。 空港で「臨時入境許可」を申請することで、北京市内や周辺の観光地へ出かけることが可能です。ただし、乗り継ぎ時間が短い場合(目安として5時間以下)は、出入国手続きや移動時間を考慮すると、空港内で過ごす方が賢明です。
北京での乗り継ぎ時間はどのくらい必要ですか?
必要な乗り継ぎ時間は、利用する航空会社や空港、荷物の扱いによって大きく異なります。同じ航空会社同士の乗り継ぎで、荷物が最終目的地までスルーされる場合でも、空港が広大であるため最低でも2時間は見ておくと安心です。国際線から国内線への乗り継ぎや、航空会社が異なり荷物の再預け入れが必要な場合は、3時間以上あると良いでしょう。 市内観光を計画する場合は、最低でも6〜8時間以上の乗り継ぎ時間が必要です。
中国のトランジットビザは無料ですか?
はい、前述の「240時間トランジットビザ免除制度」を利用する場合、空港で申請する「臨時入境許可」に料金はかかりません。無料で申請・取得することができます。これはビザそのものではなく、あくまで乗り継ぎのための特別な許可という位置づけです。
北京の空港にシャワーはありますか?
はい、あります。北京首都国際空港、北京大興国際空港ともに、航空会社のラウンジやプライオリティパスで利用できるラウンジ内にシャワー施設が設置されています。 また、空港内には時間単位で利用できる有料の休憩室(トランジットホテル)もあり、そちらでもシャワーを利用することが可能です。 長旅の疲れをリフレッシュするのに最適です。
プライオリティパスで入れるラウンジはありますか?
はい、北京首都国際空港と北京大興国際空港の両方に、プライオリティパスで利用可能なラウンジが複数あります。 これらのラウンジでは、食事やドリンクの提供、Wi-Fi、充電設備などが利用でき、フライトまでの待ち時間を快適に過ごすことができます。 利用できるラウンジの場所や営業時間は、プライオリティパスの公式サイトやアプリで事前に確認しておくことをおすすめします。
深夜や早朝のトランジットでも食事はできますか?
はい、可能です。多くのレストランは深夜には閉店してしまいますが、両空港ともに24時間営業のコンビニエンスストアや一部のファストフード店、カフェなどが営業しています。選択肢は限られますが、食事や飲み物を手に入れることに困ることはないでしょう。ラウンジを利用できる場合は、そちらで軽食をとることもできます。
まとめ

- 北京の主要空港は首都国際空港(PEK)と大興国際空港(PKX)の2つです。
- 条件を満たせば最大240時間のビザなしトランジットが可能です。
- 空港から出るには「臨時入境許可」の申請が必要です。
- 荷物がスルーされるか出発時に確認することが重要です。
- 5時間以内の乗り継ぎは空港内で過ごすのがおすすめです。
- 6時間以上あれば、短時間の市内観光も選択肢に入ります。
- 8時間以上あれば、万里の長城など本格的な観光も可能です。
- 一部航空会社は無料のトランジットホテルを提供しています。
- 空港の無料Wi-Fi利用にはVPNの準備が推奨されます。
- 中国ではAlipay等のキャッシュレス決済が主流です。
- プライオリティパスで利用できるラウンジが両空港にあります。
- 空港内にはシャワーや仮眠施設も完備されています。
- トランジット客向けの市内観光ツアーも便利です。
- フライトの遅延リスクを考慮し、スケジュールには余裕を持ちましょう。
- 再出国手続きのため、出発2〜3時間前には空港に戻りましょう。