「ベーチェット病」という言葉を聞いたことはありますか?国の指定難病であるこの病気は、口内炎や目の炎症など、全身にさまざまな症状を繰り返す特徴があります。しかし、その原因はまだ完全には解明されていません。そんな難病と診断され、公表している芸能人の方々がいます。彼らがどのように病気と向き合い、日々の活動を続けているのか、その体験談は私たちに多くの気づきを与えてくれるでしょう。
本記事では、ベーチェット病を公表している有名人の方々の声とともに、病気の正しい知識を分かりやすく解説します。
ベーチェット病を公表している芸能人たち

ベーチェット病は、原因不明の難病として知られていますが、実は私たちの身近な存在である芸能人の中にも、この病気と向き合いながら活動を続けている方がいらっしゃいます。彼らの公表は、病気への理解を深めるきっかけとなり、同じ病気で悩む多くの方々にとって、大きな希望と勇気を与えています。ここでは、ベーチェット病を公表している主な芸能人の方々をご紹介し、それぞれの体験談から病気との向き合い方について考えてみましょう。
- EXILE MATSUさん:視力低下と向き合いながらの活動
- 初代松本白鸚さん:歌舞伎役者としての挑戦
- アンジュルム 平山遊季さん:若くして難病と診断されたアイドル
- 女優 十條莉緒さん:診断までの苦悩と病気への理解
EXILE MATSUさん:視力低下と向き合いながらの活動
ダンス&ボーカルユニットEXILEのパフォーマーであるMATSUさん(松本利夫さん)は、国の指定難病であるベーチェット病であることを公表しています。高校時代から口内炎などの初期症状が現れ始め、特に2006年には病状が悪化し、左目がほとんど見えない状態でリハーサルに臨んでいた時期もあったと語られています。
最悪の場合、失明に至る可能性もあるという厳しい状況の中、MATSUさんは症状を抑える薬を使用しながら治療を続けてきました。彼は自身の病気を公表した際、「同じでなくても病気と闘っている人に勇気や希望を持って頑張ってほしい」という願いを伝えています。 EXILEというグループが自身の支えになっていると語り、病気と向き合いながらもステージに立ち続けるその姿は、多くのファンや病気と闘う人々にとって、計り知れない勇気を与え続けています。
初代松本白鸚さん:歌舞伎役者としての挑戦
日本の歌舞伎界を代表する名優の一人である初代松本白鸚さんも、ベーチェット病を患っていたことが知られています。 歌舞伎役者という、身体表現が非常に重要となる職業において、全身に炎症を繰り返すベーチェット病は、計り知れない困難を伴ったことでしょう。しかし、彼は数々の名作に出演し、多くの賞を受賞するなど、その偉大な功績は今も語り継がれています。
病気と闘いながらも、舞台に情熱を注ぎ続けた彼の生き方は、芸術家としての強い精神力と、病気に負けないという決意を示しています。
アンジュルム 平山遊季さん:若くして難病と診断されたアイドル
アイドルグループ「アンジュルム」のメンバーである平山遊季さんは、2024年10月に18歳という若さでベーチェット病と診断されたことを公表しました。 発熱や倦怠感などの症状が続いていたため医師の診察を受けた結果、病名が判明したとのことです。平山さんは自身のブログで、「体調不良が目に見えて続いてしまっていたので皆さんにご心配おかけしましたが、今回病気がわかって治療ができるようになったので、以前より分からないという不安が除けて気持ちを落ち着けて活動できるようになりました」と前向きなコメントを寄せています。
若くして難病と向き合うことになった彼女の言葉は、病気への不安を抱える多くの若者に共感を呼び、治療と活動を両立させる決意を示しています。
女優 十條莉緒さん:診断までの苦悩と病気への理解
若手女優の十條莉緒さんも、ベーチェット病と診断されるまでの長くつらい道のりを経験された一人です。 原因不明の体調不良が続き、いくつもの病院を巡ってもなかなか診断が確定せず、その間の苦痛を周囲に理解してもらえないこともあったといいます。時には「根性なし」「逃げ」といった心ない言葉をかけられることもあったそうです。
しかし、診断が確定し治療を始めてからは、病気と向き合う中で自分らしい生き方や、病気を持ったからこそ伝えられることについて考えるようになったと語っています。彼女の体験談は、難病の診断がいかに困難であるか、そして周囲の理解がいかに重要であるかを私たちに教えてくれます。
ベーチェット病とは?その基礎知識を深掘り

ベーチェット病は、特定の遺伝的素因を持つ人に、何らかの環境要因が加わることで発症すると考えられている全身性の炎症性疾患です。 トルコの皮膚科医であるフルシ・ベーチェット氏が初めて報告したことから、この名前が付けられました。 日本を含むシルクロード沿いの地域で多く見られるため、「シルクロード病」とも呼ばれることがあります。
この病気は、国の指定難病となっており、長期にわたる療養が必要となる場合があります。
ベーチェット病の概要と指定難病である理由
ベーチェット病は、身体の中の免疫バランスの異常によって引き起こされると考えられている病気です。 全身のさまざまな臓器に炎症を繰り返し起こす特徴があり、一度症状が治まっても、再び現れる「再発性」が特徴の一つです。 その原因がまだ完全には解明されておらず、効果的な治療方法も確立されていないため、厚生労働省によって指定難病とされています。
指定難病となることで、医療費助成などの支援が受けられる場合があります。
主な症状:口内炎、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍
ベーチェット病の主な症状は、以下の4つが特徴的です。これらの症状が全て現れる場合を「完全型」、一部の症状が現れる場合を「不全型」と呼びます。
- 口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍(口内炎):唇や頬の粘膜、舌、歯肉などに、円形で境界がはっきりした痛みを伴う潰瘍ができます。ほぼ必発の症状であり、初発症状として現れることも多いです。
- 皮膚症状:下腿に結節性紅斑(赤く硬いしこり)や、顔、首、胸などにニキビに似た毛嚢炎様皮疹が見られることがあります。
- 眼症状:目のぶどう膜に炎症が起こるぶどう膜炎が主体です。目の充血、痛み、視力低下、まぶしさを強く感じるなどの症状が現れ、繰り返す発作により視機能が低下し、失明に至ることもあります。
- 外陰部潰瘍:男性では陰嚢や陰茎、女性では大小陰唇などに、痛みを伴う潰瘍ができます。
これらの主症状の他に、関節炎、精巣上体炎、消化器病変、血管病変、中枢神経病変などの副症状が現れることもあります。 特に消化器、血管、神経に病変が現れる場合は「特殊型」と呼ばれ、生命に危険を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。
原因は不明だが遺伝的・環境的要因が関与
ベーチェット病の原因は、現代の医学をもってしてもまだ完全には明らかになっていません。しかし、最近の研究では、特定の遺伝的素因を持つ人に、ウイルスや細菌などの微生物感染、あるいはストレスや喫煙といった環境要因が相互に作用し、異常な免疫反応が引き起こされることで発症するのではないかと考えられています。
特に、HLA-B51という遺伝子との関連が強く示唆されていますが、この遺伝子を持つ人が必ずしも発症するわけではありません。
診断方法:症状の組み合わせと経過が重要
ベーチェット病には、この症状があれば必ずベーチェット病である、というような特異的な症状や検査所見がありません。そのため、診断は主に、患者さんのこれまでの病気の経過の中で現れた症状や、その組み合わせを注意深く観察しながら進められます。 厚生労働省が定めている診断基準があり、この基準に照らし合わせて診断が行われます。
症状は一度に全て現れるわけではなく、現れたり治まったりを繰り返すため、一度の診察で診断が確定しないことも少なくありません。他の病気の可能性を除外しながら、時間をかけて慎重に診断を進めることが重要となります。
ベーチェット病の治療と日常生活での注意点

ベーチェット病は完治が難しい病気ですが、症状を和らげ、日常生活への影響を最小限に抑えるための治療法が確立されています。また、日々の生活の中で心がけるべきことも多く、病気と上手に付き合っていくための工夫が求められます。
症状を和らげるための治療法
ベーチェット病の治療は、現れている症状やその重症度に応じて、さまざまな薬が使い分けられます。主な治療薬としては、炎症を抑えるための副腎皮質ステロイド、免疫の働きを調整するコルヒチン、免疫抑制薬、そして近年開発された生物学的製剤(TNF阻害薬など)があります。 特に眼症状や特殊型ベーチェット病のように重症化しやすい病型に対しては、より強力な治療が選択されることがあります。
治療の目標は、症状の悪化を防ぎ、患者さんの生活の質(QOL)を維持・向上させることです。
日常生活で心がけたいこと
ベーチェット病は、身体的なストレスや寒冷などの気候の変化が症状の悪化につながることがあるため、日常生活での注意が非常に大切です。 規則正しい生活を送り、疲れをためないように心がけることが基本となります。また、口腔内の衛生を保つこと、虫歯や歯肉炎、扁桃炎などをきちんと治療しておくことも重要です。 ストレスを軽減するための工夫や、十分な休養と保温も、症状のコントロールには欠かせません。
主治医とよく相談しながら、自分に合った生活習慣を見つけることが、病気と長く付き合っていくためのコツとなります。
よくある質問

- ベーチェット病は遺伝する病気ですか?
- ベーチェット病は完治しますか?
- ベーチェット病の患者数はどのくらいですか?
- ベーチェット病と診断されたらどのような支援が受けられますか?
- ベーチェット病の症状は人によって異なりますか?
ベーチェット病は遺伝する病気ですか?
ベーチェット病は、特定の遺伝的素因が関与していると考えられていますが、必ずしも遺伝する「遺伝病」ではありません。 遺伝的要因に加えて、ウイルスや細菌感染などの環境要因が複合的に作用して発症すると考えられています。そのため、親がベーチェット病だからといって、子どもも必ず発症するわけではありません。
ベーチェット病は完治しますか?
残念ながら、現在のところベーチェット病を完全に完治させる治療法は見つかっていません。 しかし、さまざまな薬が開発され、治療の進歩によって症状を和らげたり、日常生活への影響を小さくしたりすることが可能になっています。症状が出現している「活動期」と、症状が治まっている「非活動期」を繰り返しながら、長期にわたって病気と付き合っていくことになります。
ベーチェット病の患者数はどのくらいですか?
厚生労働省の統計によると、ベーチェット病の医療受給者数は、平成26年時点で約2万人とされています。 男女比はほぼ同等ですが、男性の方が重症化しやすい傾向があると言われています。 発病年齢は男女ともに20~40歳代に多く、30代前半がピークです。
ベーチェット病と診断されたらどのような支援が受けられますか?
ベーチェット病は国の指定難病であるため、診断基準を満たし、重症度基準でStageⅡ以上に該当すると判断された場合、医療費助成の対象となります。 また、全国には「ベーチェット病友の会」などの患者会があり、同じ病気を持つ人との交流や情報交換、療養相談などの支援を受けることができます。
ベーチェット病の症状は人によって異なりますか?
はい、ベーチェット病の症状は患者さんごとに非常に多様で、さまざまな症状がさまざまな組み合わせで現れます。 症状の組み合わせや程度、現れる時期も人によって異なり、時間とともに新たな症状が現れることもあります。そのため、個々の患者さんの病状や重症度に応じた治療方針が立てられます。
まとめ
- ベーチェット病は国の指定難病である。
- EXILE MATSUさん、初代松本白鸚さん、アンジュルム平山遊季さん、女優十條莉緒さんなどが病気を公表している。
- 彼らの体験談は、病気と向き合う人々に勇気を与えている。
- ベーチェット病は全身性の炎症性疾患で、免疫バランスの異常が原因とされる。
- 主な症状は口内炎、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の4つ。
- 原因は不明だが、遺伝的素因と環境要因が関与すると考えられている。
- 診断は症状の組み合わせと経過を総合的に判断する。
- 完治は難しいが、薬物療法で症状を管理できる。
- ステロイド、コルヒチン、免疫抑制薬、生物学的製剤などが治療に使われる。
- 日常生活ではストレス回避、規則正しい生活、口腔ケアが重要。
- 指定難病のため医療費助成の対象となる場合がある。
- 患者会では情報交換や支援を受けられる。
- 症状は個人差が大きく、多様な現れ方をする。
- 若年層での発症も多く、20~40歳代がピーク。
- 病気への正しい理解と周囲の支援が大切である。
