「虫除け効果があるはずのローズマリーに、なぜかアブラムシがびっしり…」そんな経験はありませんか?ハーブの中でも丈夫で育てやすいとされるローズマリーですが、実はアブラムシの被害に遭うことは珍しくありません。大切なローズマリーが弱ってしまう前に、正しい知識で対処することが重要です。本記事では、ローズマリーにアブラムシがつく原因から、農薬を使わずにできる安全な駆除方法、そして二度とアブラムシを寄せ付けないための予防策まで、具体的かつ丁寧に解説していきます。
ローズマリーにアブラムシがつくのは本当?虫除けハーブの意外な落とし穴

多くの人が「ローズマリーは虫除けになる」と信じていますが、残念ながらアブラムシが全くつかないわけではありません。なぜ、あの独特の強い香りを持つローズマリーが、アブラムシのターゲットになってしまうのでしょうか。ここでは、その意外な事実と原因について深掘りしていきます。
- 結論:ローズマリーにもアブラムシはつく!
- なぜ?ローズマリーにアブラムシが発生する4つの原因
結論:ローズマリーにもアブラムシはつく!
まず結論から言うと、ローズマリーにもアブラムシはつきます。 ローズマリーの強い香りは多くの虫を遠ざける効果がありますが、アブラムシは例外的にその影響を受けにくい害虫の一つです。 特に、植物の体力が落ちていたり、生育環境が悪化したりすると、その隙をついて発生しやすくなります。虫除けハーブだからと油断せず、日々の観察を怠らないことが、被害を最小限に食い止める第一歩です。アブラムシは非常に繁殖力が高いため、数匹見つけた段階で迅速に対処することが求められます。
なぜ?ローズマリーにアブラムシが発生する4つの原因
では、具体的にどのような状況でアブラムシは発生しやすくなるのでしょうか。主な原因は4つ考えられます。ご自身のローズマリーの栽培環境と照らし合わせながら、原因を探ってみましょう。
原因1:風通しと日当たりの悪さ
アブラムシは、湿気が多く風通しの悪い場所を好みます。ローズマリーの枝葉が密集しすぎていると、内部の風通しが悪くなり、アブラムシにとって格好の住処となってしまうのです。 また、日当たりが悪い場所で育てていると、株が軟弱に育ち、害虫の抵抗力が弱まります。特に梅雨の時期は、高温多湿になりやすいため、注意深く観察する必要があります。 定期的な剪定で風通しを確保し、できるだけ日光が当たる場所で管理することが、アブラムシ予防の基本となります。
原因2:窒素肥料の与えすぎ
植物の成長を促すために与える肥料ですが、その中の「窒素」成分が多すぎると、アブラムシを呼び寄せる原因になります。 窒素は植物の葉や茎を柔らかく成長させる働きがありますが、この柔らかい部分をアブラムシは好んで吸汁します。特に、化学肥料を過剰に使用すると、植物体内のアミノ酸が増加し、それがアブラムシにとってご馳走となってしまうのです。 ローズマリーはもともと痩せた土地でも育つ丈夫なハーブなので、肥料の与えすぎには十分注意しましょう。
原因3:新芽などの柔らかい部分
ローズマリーの葉は硬いイメージがありますが、春先に出てくる新芽や若い茎は非常に柔らかく、アブラムシの被害に遭いやすい部分です。 アブラムシは硬い葉よりも、口針を刺しやすい柔らかい組織を好むため、成長期には特に注意が必要です。株全体は元気に見えても、先端の新芽部分にだけアブラムシが群がっている、というケースはよく見られます。日々のチェックでは、株全体だけでなく、先端部分を重点的に確認する習慣をつけましょう。
原因4:株の弱り
根詰まりや水切れ、病気など、何らかの原因でローズマリーの株自体が弱っていると、害虫に対する抵抗力が低下し、アブラムシがつきやすくなります。植物は本来、害虫から身を守るための防御機能を持っていますが、体力が落ちるとその機能が十分に働かなくなります。アブラムシの発生は、ローズマリーが発している「助けて!」のサインかもしれません。アブラムシを駆除すると同時に、株が弱っている根本的な原因(植え替えが必要か、水やりは適切かなど)を見直すことも大切です。
もう悩みたくない!ローズマリーのアブラムシを安全に駆除する5つの方法

ローズマリーにアブラムシを見つけても、慌てる必要はありません。料理にも使うハーブだからこそ、できるだけ農薬は使いたくないもの。ここでは、体や環境に優しい、安全な駆除方法を5つご紹介します。簡単なものから試してみてください。
- 【無農薬】身近なものでできる!手作りスプレーでの駆除法
- 【物理的】見つけたらすぐに!原始的だけど効果的な駆除法
- 【生物的】天敵の力を借りる益虫活用法
- 【最終手段】どうしても駆除できない場合の市販薬
【無農薬】身近なものでできる!手作りスプレーでの駆除法
ご家庭にあるもので、簡単にアブラムシ駆除用のスプレーを作ることができます。化学薬品を使わないので、お子様やペットがいるご家庭でも安心して試せます。
牛乳スプレーで窒息させる
最も手軽で有名な方法が、牛乳を使ったスプレーです。 牛乳をアブラムシに吹きかけると、乾燥する過程で牛乳の脂肪分が膜となり、アブラムシの呼吸器官である気門を塞いで窒息死させることができます。
【作り方と使い方】
- スプレーボトルに牛乳を水で1:1の割合で薄めて入れる。(原液のままでも可)
- アブラムシが発生している部分に、まんべんなくたっぷりと吹きかける。
- 牛乳がしっかりと乾くまで、日当たりの良い場所に置く。
- 乾いたら、悪臭やカビの原因になるのを防ぐため、必ず水で牛乳をきれいに洗い流す。
この方法は即効性がありますが、洗い流す手間がかかる点と、夏場は臭いが出やすい点に注意が必要です。
木酢液・竹酢液スプレーで寄せ付けない
木酢液や竹酢液は、木炭や竹炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の燻製のような香りが特徴です。 この香りをアブラムシなどの害虫が嫌うため、忌避効果が期待できます。 殺虫効果は強くありませんが、予防として定期的に散布するのもおすすめです。
【作り方と使い方】
- 製品の規定に従い、木酢液または竹酢液を水で300~500倍程度に薄める。
- スプレーボトルに入れ、葉の裏までしっかりとかかるように散布する。
- 効果を持続させるため、週に1回程度、定期的に散布するのがおすすめです。
土壌改良効果も期待できるため、ガーデニングの強い味方になります。
石鹸水スプレーも効果あり
石鹸水も牛乳と同様に、アブラムシを窒息させる効果があります。 使用するのは、香料など余計な成分が入っていない、カリウム石鹸や無添加の液体石鹸が望ましいです。
【作り方と使い方】
- 水500mlに対し、液体石鹸を数滴(2~3滴)垂らしてよく混ぜる。
- スプレーボトルに入れ、アブラムシに直接吹きかける。
- 散布後、植物への負担を減らすために水で洗い流すのがおすすめです。
濃度が濃すぎると植物の葉を傷める可能性があるので、少量から試してみましょう。
【物理的】見つけたらすぐに!原始的だけど効果的な駆除法
アブラムシの数がまだ少ない初期段階であれば、物理的に取り除いてしまうのが最も確実で手っ取り早い方法です。
粘着テープでペタペタ取る
セロハンテープやガムテープなどの粘着テープを指に巻きつけ、アブラムシがついている部分に軽く押し当てて取り除きます。 新芽や柔らかい葉を傷つけないように、優しく行うのがコツです。広範囲に広がってしまう前に、この方法でこまめに取り除きましょう。
歯ブラシや筆で優しくこすり落とす
使い古しの歯ブラシや、絵の具用の筆などを使って、アブラムシを優しくこすり落とす方法も効果的です。 特に、入り組んだ部分や新芽の付け根など、テープが届きにくい場所に有効です。下にビニールなどを敷いておくと、落としたアブラムシが他の場所へ移動するのを防げます。
ホースの水圧で洗い流す
アブラムシは水に弱いため、ホースなどで勢いよく水をかけて洗い流すだけでも、ある程度の数を減らすことができます。特に、株全体に広がっている場合に有効です。ただし、あまり水圧が強すぎると植物を傷めてしまうので、シャワー状の水流で、葉の裏までしっかりと洗い流すようにしましょう。
【生物的】天敵の力を借りる益虫活用法
自然の生態系を利用して、アブラムシを退治してもらう方法です。時間はかかりますが、環境への負荷が最も少ない方法と言えるでしょう。
テントウムシはアブラムシの大好物
テントウムシは、幼虫も成虫もアブラムシを大好物としています。 特にナナホシテントウの成虫は、1日に100匹以上のアブラムシを食べるとも言われています。 庭でテントウムシを見かけたら、アブラムシがいるローズマリーの近くにそっと放してあげましょう。益虫が住みやすい環境を整えることも大切です。
ヒラタアブやクサカゲロウも味方に
テントウムシ以外にも、アブラムシの天敵はたくさんいます。アブの仲間であるヒラタアブの幼虫や、優雅に飛ぶクサカゲロウの幼虫も、アブラムシを捕食してくれる頼もしい益虫です。 これらの天敵を呼び寄せるためには、多様な植物を植えて、生物が豊かな環境を作ることが有効です。殺虫剤をむやみに使うと、こうした益虫まで殺してしまうので注意が必要です。
【最終手段】どうしても駆除できない場合の市販薬
さまざまな方法を試してもアブラムシの大量発生が止まらない場合は、最終手段として市販の薬剤を使用することも検討しましょう。ローズマリーは口にすることもあるため、「食品成分由来」や「天然成分」をうたった、安全性の高い製品を選ぶのがおすすめです。 例えば、アース製薬の「アースガーデン」シリーズなど、ハーブにも使える製品が販売されています。 使用する際は、必ず製品のラベルをよく読み、使用方法や回数を守って正しく使いましょう。
二度と寄せ付けない!ローズマリーのアブラムシを徹底予防する育て方のコツ

アブラムシを駆除した後は、二度と発生させないための予防策が重要です。日々のちょっとした心がけで、ローズマリーをアブラムシから守ることができます。ここでは、健康な株を育てるための育て方のコツをご紹介します。
- 基本は「日当たり」と「風通し」
- 肥料は控えめに!窒素過多に注意
- 剪定で風通しを良くして健康な株に
- コンパニオンプランツを活用する
- 物理的な予防策も効果的
基本は「日当たり」と「風通し」
アブラムシ予防の最も基本的なポイントは、日当たりと風通しの良い場所で育てることです。 ローズマリーは地中海沿岸が原産の植物で、乾燥した環境を好みます。 日光が十分に当たることで株が丈夫に育ち、病害虫への抵抗力が高まります。また、枝葉が密集して風通しが悪くなると、湿気がこもりアブラムシの温床になりがちです。鉢植えの場合は、鉢と鉢の間隔を十分に空け、置き場所を工夫しましょう。
肥料は控えめに!窒素過多に注意
前述の通り、窒素肥料の与えすぎはアブラムシの発生を助長します。 ローズマリーは本来、それほど多くの肥料を必要としないハーブです。 むしろ、肥料を与えすぎると根腐れの原因になったり、香りが弱まったりすることもあります。植え付け時に元肥を施したら、あとは生育期に様子を見ながら液体肥料を少し与える程度で十分です。特に、葉の色を濃くする目的で窒素分の多い肥料を与えるのは避けましょう。
剪定で風通しを良くして健康な株に
ローズマリーは生育旺盛で、放っておくと枝葉がどんどん茂ります。定期的に剪定を行い、株内部の風通しを良くすることが、アブラムシ予防に非常に効果的です。 混み合っている枝や、内側に向かって伸びている枝を根元から切り落とす「間引き剪定」を行いましょう。剪定の適期は、花が終わった後の春(4月~6月)や、秋(9月~10月)です。 剪定した枝は料理や挿し木に利用できるので、一石二鳥です。
コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで互いによい影響を与え合う植物のことです。 ローズマリー自体も、その強い香りで害虫を遠ざけるコンパニオンプランツとして知られています。
ローズマリーを他の野菜の虫除けに
ローズマリーは、キャベツにつくモンシロチョウや、ニンジン、マメ類につく害虫を遠ざける効果があると言われています。 家庭菜園でこれらの野菜を育てている場合は、近くにローズマリーを植えてみるとよいでしょう。自然の力を利用した、環境に優しい害虫対策になります。
ローズマリーを守る他のハーブ
逆に、ローズマリーをアブラムシから守るために、他の植物の力を借りることもできます。例えば、マリーゴールドは、その独特の香りでアブラムシを寄せ付けにくくする効果があります。 また、ニンニクやチャイブなどのネギ類も、アブラムシが嫌う植物として知られています。ローズマリーの株元にこれらのコンパニオンプランツを植えることで、アブラムシの飛来を防ぐ効果が期待できます。
物理的な予防策も効果的
育て方の工夫に加えて、物理的なアイテムでアブラムシの飛来を防ぐ方法もあります。アブラムシは黄色に集まる習性があるため、黄色の粘着シートをローズマリーの近くに設置しておくと、飛んできたアブラムシを捕獲することができます。 また、地面にアルミホイルやシルバーマルチを敷いて光を反射させると、アブラムシが寄り付きにくくなる効果も報告されています。
【Q&A】ローズマリーとアブラムシに関するよくある質問

Q. ローズマリーの虫除けスプレーはアブラムシに効きますか?
A. ローズマリーの成分(カンファーなど)には虫除け効果がありますが、アブラムシに対しては限定的です。 ローズマリーから抽出したスプレーは、蚊やハエなど他の害虫には効果が期待できますが、すでに発生してしまったアブラムシを完全に駆除するのは難しいでしょう。 予防の一環として使用するのは良いですが、駆除が目的の場合は、本記事で紹介した牛乳スプレーなどのほうが効果的です。
Q. アブラムシがいるローズマリーは料理に使えますか?
A. アブラムシ自体に毒性はありませんが、衛生的にも気分の良いものではありません。アブラムシや、その排泄物(甘露)をきれいに洗い流せば使用することは可能ですが、おすすめはしません。まずはアブラムシを完全に駆除し、その後に新しく伸びてきた健康な葉を使うようにしましょう。薬剤を使用した場合は、製品に記載されている収穫までの期間を必ず守ってください。
Q. アブラムシと一緒にいるアリはどうすればいいですか?
A. アブラムシがいる場所には、よくアリが集まってきます。これは、アブラムシが出す甘い排泄物(甘露)をアリが餌にしているためです。 アリは甘露をもらう代わりに、テントウムシなどの天敵からアブラムシを守る共生関係にあります。 したがって、アリを駆除するよりも、原因であるアブラムシを駆除することが根本的な解決策になります。アブラムシがいなくなれば、アリも自然と姿を消します。
Q. ローズマリー以外にアブラムシがつきにくいハーブはありますか?
A. 多くのハーブは独特の香りで虫を遠ざけますが、特にアブラムシがつきにくいとされるハーブには、ペパーミント、バジル、ラベンダー、レモングラスなどがあります。 これらのハーブは、アブラムシが嫌う成分(メントールやシネオールなど)を含んでいるため、コンパニオンプランツとしても活用できます。 ただし、どんなハーブでも株が弱ったり、環境が悪かったりすると害虫がつく可能性はあるので、日々の観察は大切です。
まとめ

- ローズマリーは虫除けハーブだが、アブラムシはつくことがある。
- 風通しの悪さや窒素肥料の過多がアブラムシの発生原因になる。
- 新芽など柔らかい部分は特にアブラムシに狙われやすい。
- 駆除には農薬を使わない牛乳スプレーが手軽で効果的。
- 牛乳スプレー使用後は、必ず水で洗い流すことが重要。
- 木酢液や竹酢液は、殺虫より忌避効果(予防)が期待できる。
- 数が少なければ、粘着テープや歯ブラシでの物理的駆除が確実。
- テントウムシなどの天敵はアブラムシを食べてくれる益虫。
- 予防の基本は、日当たりと風通しの良い環境で育てること。
- 肥料、特に窒素成分の与えすぎに注意する。
- 定期的な剪定は、風通しを良くし病害虫を防ぐ。
- ローズマリーは他の野菜のコンパニオンプランツになる。
- マリーゴールドなどを一緒に植えるとアブラムシ予防になる。
- アブラムシがいるローズマリーの食用は、よく洗えば可能だが非推奨。
- アブラムシといるアリは、アブラムシを駆除すればいなくなる。