「熱が上がったり下がったりを繰り返す」「一度下がったのにまた高熱が出た」といった経験は、大人でも不安になるものです。特に高熱が続くと、体力の消耗も激しく、日常生活にも大きな影響を及ぼします。本記事では、大人の高熱が上がったり下がったりする原因から、自宅でできる対処法、そして医療機関を受診する目安まで、詳しく解説します。
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大人の高熱が上がったり下がったりする主な原因
大人の高熱が上がったり下がったりする現象は、様々な原因によって引き起こされます。多くの場合、体内で何らかの異変が起きているサインです。主な原因として、感染症とそれ以外の疾患が考えられます。
感染症による発熱の波
発熱は、体がウイルスや細菌と戦うための正常な免疫反応の一つです。この免疫反応には波があり、ウイルス量の変動や体の状態に応じて、発熱の程度も変化することがあります。そのため、熱が上がったり下がったりする現象が見られるのです。
特に、インフルエンザでは38℃から40℃近い高熱が急に出るのが特徴で、関節痛や倦怠感、喉の痛み、咳などを伴います。通常は3〜5日で熱が下がりますが、免疫力が低下している場合は肺炎などの合併症を起こし、熱が長引くことがあります。 また、一度熱が下がった後に再び上昇する「二峰性発熱」という経過をたどるケースも珍しくありません。
新型コロナウイルス感染症でも、発熱の波が見られることがあります。倦怠感や咳、味覚・嗅覚異常などの症状を伴うことが多いです。 その他、肺炎や結核、尿路感染症、感染性心内膜炎などの細菌感染症も、熱の変動を引き起こすことがあります。 これらの感染症では、適切な治療のために早期の医療機関受診が重要です。
感染症以外の原因も考慮する
発熱の原因は感染症だけではありません。感染症以外の様々な要因も、大人の高熱が上がったり下がったりする原因となることがあります。
例えば、自己免疫疾患や膠原病も高熱を引き起こす原因の一つです。 成人スティル病や全身性エリテマトーデス（SLE）などでは、免疫システムが自分自身の細胞を誤って攻撃することで炎症が起こり、高熱に加えて関節痛や倦疹感などの症状が現れることがあります。
また、がんや白血病などの悪性腫瘍では「腫瘍熱」と呼ばれる持続的な高熱が見られることがあります。これは、がん細胞が炎症性物質を作り出すことによるものです。 薬剤の副作用によって発熱が生じる「薬剤熱」も考えられます。 この場合、薬の投与後24時間以内に発症することが多く、薬の中止により通常24〜72時間以内に解熱します。
さらに、過度なストレスや疲労が原因で、自律神経の乱れから微熱や体温の変動が起こる「心因性発熱」も報告されています。 ストレスが解消されると熱が下がることもありますが、ストレスの原因を取り除かないと何度も繰り返し発熱する場合があります。
熱が上がったり下がったりする時の具体的な対処法
熱が上がったり下がったりする時は、体への負担も大きいため、適切な対処が求められます。自宅でできる基本的なケアから、医療機関を受診する目安までを把握しておきましょう。
自宅でできる基本的なケア
発熱時には、体力の消耗を防ぎ、回復を早めるための基本的なケアが重要です。
- 十分な水分補給: 発熱時は発汗量の増加などにより体内の水分が急速に失われ、脱水状態になりやすくなります。経口補水液やスポーツドリンクなどで電解質も補給しましょう。
- 安静と休息: 無理な活動は避け、体を休めることが大切です。睡眠中に体の免疫機能が最も活発に働くため、できるだけ多くの睡眠時間を確保しましょう。
- 体を冷やす工夫: 寒気がない場合は、脇の下や首の付け根、足の付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすと効果的です。ただし、寒気がある場合は無理に冷やさないように注意してください。
- 栄養補給: 食欲がない場合でも、消化の良いものや、ゼリー飲料などで栄養を補給することが大切です。
これらのケアは、症状の緩和と回復を助けるためのものです。
解熱剤の適切な使い方と注意点
解熱剤は、発熱によるつらい症状を和らげるために使用します。しかし、使い方には注意が必要です。
解熱剤を使用する際は、用法・用量を守り、医師や薬剤師の指示に従いましょう。 熱を下げることだけが目的ではなく、つらい症状を和らげるために使うものです。 市販薬としては、アセトアミノフェンやイブプロフェン、ロキソプロフェンなどが挙げられます。 特に、発熱のみで胃に負担が気になる場合はアセトアミノフェンがおすすめです。
解熱剤の効果が切れると再び熱が上がることもありますが、これは薬の作用によるもので、必ずしも病状が悪化しているわけではありません。 しかし、解熱剤を使っても熱が下がらない場合や、症状が悪化する場合は、医療機関を受診することが重要です。
医療機関を受診する目安と準備
熱が上がったり下がったりする症状が続く場合、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。特に以下のような場合は、早めの受診を検討しましょう。
- 高熱が3日以上続く、または急激に悪化する: 単なる風邪ではない可能性が高まります。
- 解熱剤が効かない: 薬で症状が改善しない場合は、別の原因が考えられます。
- 呼吸困難や胸の痛み、意識障害などの重い症状がある: 重篤な合併症の可能性があります。
- 水分がとれない、尿が半日以上出ていない: 脱水症状が進行している可能性があります。
- 全身倦怠感が強い、特定の部位の痛みを伴う: 感染症以外の疾患も視野に入れる必要があります。
- 持病がある、高齢者、免疫力が低下している: 重症化のリスクが高いため、早めの受診が重要です。
受診する際は、これまでの発熱の経過（いつから、どのくらいの熱が、どのように変動したか）や、他にどのような症状があるかを具体的に伝えられるように準備しておくと、スムーズな診断につながります。
高熱が続く場合に考えられる病気
大人の高熱が上がったり下がったりする症状が長く続く場合、単なる風邪とは異なる、より専門的な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。ここでは、長引く発熱の背景にある主な疾患と、それに伴う注意すべきサインについて解説します。
長引く発熱の背景にある疾患
発熱が繰り返されたり、長期間続いたりする場合、以下のような病気が考えられます。
- 慢性感染症: 結核、感染性心内膜炎、尿路感染症、副鼻腔炎などが挙げられます。 これらの感染症は、症状が慢性化したり、重症化したりすることで、熱が長引くことがあります。
- 自己免疫疾患・膠原病: 成人スティル病、全身性エリテマトーデス（SLE）、関節リウマチなどが含まれます。 これらの病気では、免疫システムが自分の体を攻撃することで炎症が起こり、発熱が繰り返されることがあります。
- 悪性腫瘍（がん）: リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝臓癌などが原因となることがあります。 がん細胞が炎症性物質を作り出すことで「腫瘍熱」と呼ばれる発熱が生じます。
- 薬剤熱: 特定の薬剤の副作用として発熱が続くことがあります。 薬の服用を開始してから数日〜数週間後に発熱が現れるのが特徴です。
- 内分泌の異常: 甲状腺機能亢進症（バセドウ病など）では、代謝が過剰に高まることにより、微熱や動悸、手の震え、体重減少といった症状が現れることがあります。
- 心因性発熱: 過度なストレスや疲労が原因で、自律神経の乱れから微熱や体温の変動が起こることがあります。
これらの病気は、発熱以外の様々な症状を伴うことが多いため、全身の状態を注意深く観察することが大切です。
症状と合わせて注意すべきサイン
高熱が続く中で、以下のような症状が見られる場合は、特に注意が必要です。これらのサインは、より重篤な病気の可能性を示唆していることがあります。
- 体重減少: 原因不明の体重減少を伴う微熱や発熱は、悪性腫瘍や慢性感染症のサインである可能性があります。
- 寝汗: 夜間に大量の寝汗をかく症状は、結核や悪性リンパ腫などの病気でよく見られます。
- 関節痛や皮疹: 自己免疫疾患や膠原病では、発熱と同時に関節の痛みや腫れ、特徴的な皮疹が現れることがあります。
- 呼吸器症状: 咳や痰、息切れ、胸の痛みなどが続く場合は、肺炎や結核などの呼吸器系の感染症が疑われます。
- 消化器症状: 腹痛、下痢、吐き気などが続く場合は、腸管感染症や炎症性腸疾患の可能性があります。
- リンパ節の腫れ: 首や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れる場合は、感染症や悪性リンパ腫などが考えられます。
- 意識の変化や神経症状: 意識が朦朧とする、けいれん、激しい頭痛などの症状は、脳炎や髄膜炎などの重篤な状態を示唆しているため、緊急の医療処置が必要です。
これらのサインが見られた場合は、「様子を見よう」と自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが重要です。 早期の診断と適切な治療が、病気の回復には不可欠です。
よくある質問
大人の高熱が上がったり下がったりする症状に関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。
- 熱が上がったり下がったりするのはなぜですか？
- 解熱剤を使っても熱が下がらない場合はどうすればいいですか？
- 高熱が続く場合、食事はどうすれば良いですか？
- 熱が下がった後もだるさが続くのはなぜですか？
- 子供と大人で熱の対処法は異なりますか？
熱が上がったり下がったりするのはなぜですか？
熱が上がったり下がったりする現象は、主に体の免疫反応と、病原体との戦いのサイクルによるものです。 体はウイルスや細菌と戦うために体温を上げますが、その反応には波があります。 また、解熱剤の効果が一時的に切れることで、再び熱が上昇することもあります。 インフルエンザや新型コロナウイルス感染症では、このような発熱パターンが見られることが報告されています。
解熱剤を使っても熱が下がらない場合はどうすればいいですか？
解熱剤を使っても熱が下がらない場合や、一時的に下がってもすぐにまた高熱になる場合は、単なる風邪ではない可能性があります。 感染症が重症化している、あるいは自己免疫疾患や悪性腫瘍など、解熱剤では根本的な解決にならない病気が隠れていることも考えられます。 その際は、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
高熱が続く場合、食事はどうすれば良いですか？
高熱が続く時は、食欲が落ちやすいですが、栄養補給は回復のために非常に重要です。消化が良く、のどごしの良いものがおすすめです。例えば、おかゆ、うどん、ゼリー飲料、スープなどが良いでしょう。 また、脱水予防のために、水分補給と合わせて電解質も補給できるスポーツドリンクや経口補水液を積極的に摂るようにしてください。
熱が下がった後もだるさが続くのはなぜですか？
熱が下がった後もだるさや倦怠感が続くのは、体が病気と戦った後の回復期にあるためです。体力が消耗している状態なので、無理をせず、引き続き十分な休息と栄養補給を心がけることが大切です。 また、新型コロナウイルス感染症の後遺症として、倦怠感が長引くケースも報告されています。 症状が長引く場合は、再度医療機関に相談しましょう。
子供と大人で熱の対処法は異なりますか？
基本的な対処法（水分補給、安静、体を冷やすなど）は共通していますが、子供と大人では注意すべき点が異なります。子供は大人よりも体温調節機能が未熟で、急激な体温上昇や熱性けいれんを起こしやすい傾向があります。 また、インフルエンザにおける二峰性発熱は、子供によく見られる症状とされています。 大人の場合は、持病の有無や基礎疾患の重症化リスクも考慮に入れる必要があります。
どちらの場合も、症状が重い場合や長引く場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
まとめ
- 大人の高熱が上がったり下がったりするのは、感染症や自己免疫疾患、悪性腫瘍などが原因となる。
- インフルエンザや新型コロナウイルス感染症では、熱の波や二峰性発熱が見られることがある。
- 自宅では、十分な水分補給と安静、体を冷やすなどの基本的なケアが大切。
- 解熱剤は用法・用量を守り、症状緩和のために適切に使う。
- 3日以上高熱が続く、解熱剤が効かない、重い症状がある場合は医療機関を受診する。
- 体重減少や寝汗、関節痛、呼吸器症状など、発熱以外のサインにも注意が必要。
- 受診時には、発熱の経過や他の症状を具体的に伝える準備をする。
- 熱が下がった後もだるさが続く場合は、無理せず休息を続ける。
- 子供と大人で熱の対処法には違いがあり、特に持病のある大人は注意が必要。
- 発熱は体のSOSサインであり、自己判断せずに専門家の意見を求めることが重要。
- ストレスや疲労による心因性発熱も、熱の変動の原因となることがある。
- 慢性的な感染症や炎症性疾患も、長引く発熱の背景にある可能性がある。
- 高熱時の食事は、消化が良く、のどごしの良いものを選ぶのがおすすめ。
- 発熱のパターンを把握することは、原因特定の一つの手がかりとなる。
- 不安な場合は、オンライン診療などを活用して早めに相談することも可能。
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