退職を決意したものの、「辞表の書き方が分からない」「手書きが良いと聞いたけど、どう書けばいいの?」と悩んでいませんか?
辞表は、会社への最後の意思表示となる大切な書類です。特に手書きの場合、その書き方一つで相手に与える印象が大きく変わることもあります。
本記事では、手書きの辞表作成に戸惑うことなく、マナーを守った円満退職ができるよう、辞表の書き方を徹底解説します。縦書き・横書きの具体的な例文から、必要なものの準備、封筒の書き方、提出時の注意点まで、網羅的にご紹介。この記事を読めば、自信を持って辞表を提出できるでしょう。
はじめに:手書きの辞表で誠意を伝える退職準備
退職という人生の節目において、辞表を手書きで作成することは、あなたの誠意や感謝の気持ちを伝える有効な手段の一つとなり得ます。パソコン作成が主流の現代だからこそ、手書きの文字には温かみや個性が宿り、相手に丁寧な印象を与えることができるでしょう。
しかし、いざ手書きで辞表を作成しようとすると、
- 何から準備すればいいの?
- 正しい書き方のルールは?
- 封筒の書き方や渡し方にもマナーがあるの?
など、様々な疑問が湧いてくるかもしれません。特に「辞表」という言葉の響きから、堅苦しいイメージや失敗できないプレッシャーを感じる方も少なくないでしょう。
本記事では、そんなあなたの不安を解消し、スムーズな退職準備をサポートします。手書きの辞表作成に必要な知識を一つひとつ丁寧に解説していきますので、安心して読み進めてください。
まず確認!辞表・退職願・退職届の違いと提出タイミング
退職の意思を伝える書類には、「辞表」「退職願」「退職届」の3種類があり、それぞれ意味合いや提出するタイミングが異なります。手書きで辞表を作成する前に、まずはこれらの違いを正確に理解しておくことが重要です。
この章では、それぞれの書類が持つ意味と、一般的な提出タイミングについて解説します。
- 辞表とは?
- 退職願とは?
- 退職届とは?
- それぞれの提出タイミング
辞表とは?
辞表(じひょう)は、主に会社の役員(取締役など)や公務員が、その役職を辞める際に提出する書類です。 一般的な会社員(正社員や契約社員など)が会社を辞める場合には、通常「辞表」ではなく「退職願」や「退職届」を用います。 テレビドラマなどで会社員が「辞表を叩きつける」といったシーンを見かけることがありますが、これは一般的なケースとは異なりますので注意しましょう。
ただし、会社によっては一般社員でも最終的な退職の意思表示として「辞表」という名称の書類提出を求められる場合や、慣習として「辞表」という言葉が「退職届」と同じ意味で使われているケースも稀にあります。不安な場合は、上司や人事部に確認するのが賢明です。
退職願とは?
退職願(たいしょくねがい)は、会社に対して「退職したいのですが、よろしいでしょうか」と、退職の意思を表明し、会社の合意を求めるための書類です。 あくまで「お願い」の段階なので、会社が退職願を受理し、退職が承認されるまでは、原則として撤回できる可能性があります。
一般的には、まず直属の上司に口頭で退職の意思を伝え、相談の上で退職願を提出する流れになります。 会社によっては、退職願の提出は必須ではなく、口頭での申し出のみで退職手続きが進む場合もあります。
退職届とは?
退職届(たいしょくとどけ)は、会社と退職の合意がなされ、退職日が確定した後に、「〇月〇日をもって退職いたします」と、退職を正式に届け出るための書類です。 退職願とは異なり、退職届を提出した後は、原則として一方的な撤回はできないとされています。
会社によっては、就業規則で退職届の提出が義務付けられていたり、専用のフォーマットが用意されていたりする場合があります。
それぞれの提出タイミング
各書類の一般的な提出タイミングは以下の通りです。
- 退職願:退職を決意し、最初に会社(直属の上司)に退職の意思を伝える際。退職希望日の1ヶ月~3ヶ月前が目安とされることが多いですが、会社の就業規則を確認しましょう。
- 退職届:上司との相談を経て、会社から退職の承認が得られ、正式な退職日が決定した後。
- 辞表:役員や公務員が職を辞する意思を固め、届け出る際。提出時期は状況により異なります。
本記事では主に、一般社員が最終的な退職の意思表示として提出する書類(一般的に「退職届」に該当するもの)を「辞表」という言葉も含めて解説しますが、ご自身の状況や会社の慣習に合わせて適切な書類名を選択してください。 不明な場合は、必ず上司や人事部に確認するようにしましょう。
なぜ手書き?辞表を手書きするメリット・デメリット
パソコンでの書類作成が当たり前になった現代において、あえて辞表を手書きで作成することには、どのような意味があるのでしょうか。手書きには手書きならではの良さがある一方で、いくつかの注意点も存在します。
この章では、辞表を手書きで作成するメリットとデメリットを整理し、どのような場合に手書きが適しているのかを考えます。
- 手書きの辞表が与える印象とメリット
- 手書きの辞表のデメリットと注意点
手書きの辞表が与える印象とメリット
辞表を手書きで作成する主なメリットは、相手に丁寧な印象や誠意を伝えやすいという点です。 一文字一文字心を込めて書かれた書類は、機械的に印刷されたものよりも、退職に対する真摯な気持ちが伝わりやすいと考える人がいるからです。特に、長年お世話になった会社や上司に対して、感謝の気持ちを込めて最後の意思表示をしたい場合には、手書きが適していると言えるでしょう。
また、企業文化や上司の考え方によっては、重要な書類は手書きであるべきという慣習が残っている場合もあります。 そのような状況では、手書きの辞表を提出することで、ビジネスマナーを心得ているという印象を与え、円満な退職に繋がりやすくなる可能性があります。
その他、手書きのメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 温かみや人間味が伝わる:手書きの文字には、書いた人の個性や人柄が表れやすいです。
- 記憶に残りやすい:受け取った側にとって、手書きの書類は印象に残りやすいことがあります。
手書きの辞表のデメリットと注意点
一方で、手書きの辞表にはデメリットや注意点も存在します。
まず、作成に手間と時間がかかる点が挙げられます。書き損じた場合は基本的に最初から書き直す必要があるため、パソコン作成に比べて時間を要します。 また、字に自信がない人にとっては、手書きで作成すること自体がプレッシャーになることもあるでしょう。
さらに、以下のような点にも注意が必要です。
- 誤字脱字のリスク:細心の注意を払っていても、書き間違えてしまう可能性があります。修正液や修正テープの使用は原則としてNGです。
- 可読性:丁寧に書いたつもりでも、相手にとって読みにくい文字になってしまう可能性があります。
- 会社の規定:会社によっては、退職に関する書類のフォーマットが指定されており、パソコンでの作成が推奨されている場合や、手書きが認められないケースもあります。 事前に就業規則を確認したり、人事部に問い合わせたりすることが大切です。
手書きにするかパソコン作成にするかは、これらのメリット・デメリットを総合的に考慮し、会社の文化や状況、そして何よりもご自身の気持ちを踏まえて判断しましょう。 もし迷う場合は、上司に相談してみるのも一つの方法です。
辞表を手書きする前に準備するものリスト
手書きで辞表を作成すると決めたら、まずは必要なものを揃えましょう。適切な道具を選ぶことも、マナーを守った辞表を作成するための重要なポイントです。
この章では、辞表を手書きする際に最低限準備しておきたいものをリストアップし、それぞれの選び方について解説します。
- 便箋の選び方:白無地が基本
- 封筒の選び方:白無地の二重封筒
- 筆記用具の選び方:黒のボールペンか万年筆
便箋の選び方:白無地が基本
辞表を書くための便箋は、白無地のシンプルなものを選びましょう。 サイズは、B5サイズが一般的ですが、A4サイズでも問題ありません。 会社によっては指定がある場合もあるので、確認しておくと安心です。
罫線はあってもなくても構いませんが、ある場合はビジネスシーンに適したシンプルな縦罫線または横罫線のものを選びます。 キャラクターものや派手なデザイン、色付きの便箋は避けましょう。コピー用紙でも基本的には問題ありませんが、あまりにも薄い紙は避け、ある程度の厚みがある上質な紙を選ぶと、より丁寧な印象になります。
封筒の選び方:白無地の二重封筒
辞表を入れる封筒も、白無地のものを選びます。 郵便番号の枠が印刷されていないものが望ましいです。 サイズは、便箋の大きさに合わせます。B5サイズの便箋を三つ折りにする場合は「長形4号」、A4サイズの便箋を三つ折りにする場合は「長形3号」が一般的です。
また、中身が透けて見えないように、二重封筒(内側に薄い紙が貼られているもの)を選ぶのがマナーとされています。 もし二重封筒が用意できない場合は、便箋をもう一枚の白紙で包んでから封筒に入れるといった配慮をすると良いでしょう。茶封筒は事務的な用途で使われることが多いため、退職に関する重要な書類には避けるのが一般的です。
筆記用具の選び方:黒のボールペンか万年筆
辞表を書く際の筆記用具は、黒色のインクが出るボールペンまたは万年筆を使用します。 油性・水性どちらでも構いませんが、にじみにくいものを選びましょう。鉛筆やシャープペンシル、消せるボールペン(フリクションペンなど)は、改ざんの可能性があるため使用できません。 また、青色やその他の色のインクも避けましょう。
ボールペンの太さは、細すぎず太すぎない0.7mm程度が読みやすく、一般的です。 万年筆を使用する場合は、インクが乾くまでに時間がかかることがあるため、書き終えた後に擦らないように注意が必要です。
これらの道具は、一般的な文房具店やオンラインストアで購入できます。事前にしっかりと準備を整え、落ち着いて辞表作成に取り掛かりましょう。
【縦書き編】辞表の正しい書き方と例文
日本の正式な書類では、伝統的に縦書きが用いられてきました。辞表も同様に、縦書きで作成するのがより丁寧な印象を与えると考えられています。 ここでは、縦書きで辞表を作成する場合の基本的な書き方と例文を、項目ごとに詳しく解説します。
この章で解説する項目は以下の通りです。
- 1. 表題「辞表」
- 2. 書き出し「私儀」
- 3. 退職理由
- 4. 退職年月日
- 5. 届出年月日
- 6. 所属部署と氏名(押印)
- 7. 宛名(会社名と代表者名)
- 縦書き辞表の例文
1. 表題「辞表」
便箋の1行目、中央よりやや上あたりに、他の文字よりも少し大きめに「辞表」と書きます。 もし「退職願」や「退職届」として提出する場合は、それぞれ「退職願」「退職届」と記載します。
2. 書き出し「私儀」
表題から1行空け、次の行の一番下に「私儀(わたくしぎ)」または「私事(わたくしごと)」と書きます。 これは「私ごとではございますが」という意味の謙譲表現です。「儀」や「事」の文字が行の途中で改行されないように注意しましょう。
3. 退職理由
「私儀」と同じ行、または次の行の上部から本文を書き始めます。自己都合で退職する場合の理由は、「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。 具体的な退職理由(例:転職、結婚、体調不良など)を詳細に書く必要はありません。
会社都合退職の場合(例:事業縮小、退職勧奨など)で、会社から退職届の提出を求められた場合は、「一身上の都合」とせず、「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、具体的な理由を簡潔に記載することがあります。 不明な場合は人事部に確認しましょう。
4. 退職年月日
退職理由に続けて、「令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。」というように、退職する年月日を明記します。 この日付は、上司と相談して合意した正式な退職日を記載します。年の表記は和暦(令和など)でも西暦でも構いませんが、書類全体で統一するようにしましょう。縦書きの場合は、漢数字(例:令和六年五月二十九日)を用いるのが一般的です。
「退職願」として提出する場合は、「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」といった、願い出る形での表現にします。
5. 届出年月日
本文を書き終えたら、1行空けて、辞表を提出する年月日を記載します。 「令和〇年〇月〇日」のように、和暦または西暦で書きます。ここでも漢数字を用いるのが一般的です。
6. 所属部署と氏名(押印)
届出年月日の次の行に、自分の所属部署名と氏名をフルネームで書きます。 氏名の下には、認印(シャチハタは不可)を鮮明に押印します。 所属部署名は正式名称で記載し、氏名より少し上に書くとバランスが良いでしょう。
7. 宛名(会社名と代表者名)
最後に、提出する会社の正式名称と、代表取締役社長など、会社の最高責任者の役職名および氏名を記載します。 宛名は、自分の氏名よりも上の位置に書くのがマナーです。敬称は「殿」を用います。 (例:株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇殿)
縦書き辞表の例文
以下に、縦書きの辞表(退職届として提出する場合)の例文を示します。
辞表 私儀 このたび、一身上の都合により、 来る令和六年七月三十一日をもち まして退職いたします。 令和六年五月二十九日 営業部 山田太郎 印 株式会社〇〇商事 代表取締役社長 鈴木一郎 殿
これはあくまで一例です。ご自身の状況や会社名、日付などを適宜修正して使用してください。文字の配置やバランスにも注意し、丁寧に書き上げましょう。
【横書き編】辞表の正しい書き方と例文
近年では、ビジネス文書も横書きが一般的になってきており、辞表を横書きで作成することも増えています。 会社から特に指定がない場合や、外資系企業などでは横書きでも問題ないとされることが多いです。 ここでは、横書きで辞表を作成する場合の基本的な書き方と例文を解説します。
この章で解説する項目は以下の通りです。
- 1. 表題「辞表」
- 2. 宛名(会社名と代表者名)
- 3. 届出年月日
- 4. 所属部署と氏名(押印)
- 5. 本文(退職理由、退職年月日)
- 6. 「以上」
- 横書き辞表の例文
1. 表題「辞表」
用紙の上部中央、または左寄せで「辞表」と書きます。 もし「退職願」や「退職届」として提出する場合は、それぞれ「退職願」「退職届」と記載します。
2. 宛名(会社名と代表者名)
表題の次に、左寄せで提出する会社の正式名称と、代表取締役社長など、会社の最高責任者の役職名および氏名を記載します。 敬称は「殿」または「様」を用います。 (例:株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇 様)
3. 届出年月日
宛名から1行空け、右寄せで辞表を提出する年月日を記載します。 「令和6年5月29日」または「2024年5月29日」のように、和暦または西暦で、算用数字を用いて書くのが一般的です。
4. 所属部署と氏名(押印)
届出年月日の下に、左寄せで自分の所属部署名と氏名をフルネームで書きます。 氏名の後には、認印(シャチハタは不可)を鮮明に押印します。 (例:営業部 山田 太郎 印)
5. 本文(退職理由、退職年月日)
所属部署と氏名から1~2行空けて、本文を書き始めます。まず「私儀、」または「私事、」と書き出し、続けて退職理由と退職年月日を記載します。
自己都合退職の場合は「このたび、一身上の都合により、来る令和6年7月31日をもちまして退職いたします。」のように書きます。 退職願の場合は、「~退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」といった表現にします。
6. 「以上」
本文を書き終えたら、最後に右寄せで「以上」と記載します。これは、文書がここで終わりであることを示すものです。
横書き辞表の例文
以下に、横書きの辞表(退職届として提出する場合)の例文を示します。
辞表 株式会社〇〇商事 代表取締役社長 鈴木一郎 様 令和6年5月29日 営業部 山田 太郎 印 私儀、 このたび、一身上の都合により、来る令和6年7月31日をもちまして 退職いたします。 以上
横書きの場合も、会社名や日付、ご自身の情報などを正確に記載してください。 パソコンで作成する場合は、フォントは明朝体やゴシック体など、ビジネス文書に適したものを選びましょう。
辞表を入れる封筒の書き方・入れ方マナー
辞表を書き終えたら、次は封筒の準備です。封筒の書き方や辞表の入れ方にも、守るべきマナーがあります。 相手に失礼な印象を与えないよう、細部まで気を配りましょう。
この章では、辞表を入れる封筒の正しい書き方と、辞表の折り方・入れ方について解説します。
- 表面の書き方:「辞表」と記載
- 裏面の書き方:所属部署と氏名
- 辞表の折り方と封筒への入れ方
表面の書き方:「辞表」と記載
封筒の表面には、中央やや上寄りに、縦書きで「辞表」と大きめに記載します。 「退職願」や「退職届」として提出する場合は、それぞれ「退職願」「退職届」と書きます。宛名(会社名や社長名)を書く必要はありません。 これは、辞表を直接手渡しするためです。
筆記用具は、辞表本体を書いたときと同じく、黒のボールペンか万年筆を使用します。
裏面の書き方:所属部署と氏名
封筒の裏面には、左下に、縦書きで自分の所属部署名と氏名をフルネームで記載します。 所属部署名は正式名称で、氏名より少し右(上)に書くとバランスが整います。
封筒に封をする場合は、のり付けした後、中央に黒ペンで「〆(しめ)」マークを書きます。 「〆」は「封緘(ふうかん)」を意味し、未開封であることを示す印です。セロハンテープやホッチキスで留めるのは避けましょう。 封をしない場合もありますが、重要な書類なので、基本的には封をして提出するのが丁寧です。
辞表の折り方と封筒への入れ方
辞表(便箋)は、三つ折りにして封筒に入れるのが一般的です。
【縦書き便箋の三つ折りの仕方】
- 便箋の記載面を上にして、下から3分の1を上に向かって折り上げます。
- 次に、上から3分の1を下に折り重ねます。このとき、書き出しの部分が一番上に来るようにします。
【横書き便箋の三つ折りの仕方】
- 便箋の記載面を内側にして、まず下から3分の1を上に折り上げます。
- 次に、上から3分の1を下に折り重ねます。
折り目がずれないように丁寧に折りましょう。
【封筒への入れ方】
三つ折りにした辞表は、封筒の裏側から見て、便箋の書き出し(「辞表」という表題や「私儀」の部分)が封筒の右上にくるように入れます。 こうすることで、受け取った相手が封筒から取り出したときに、すぐに書類の冒頭を読むことができます。
封筒の準備も、辞表作成の重要な一部です。最後まで気を抜かず、丁寧に作業しましょう。
手書きで辞表を書く際の重要ポイントと注意点
手書きで辞表を作成する際には、書き方以外にもいくつか押さえておきたい重要なポイントと注意点があります。これらを知っておくことで、よりスムーズに、そしてマナーを守った辞表提出が可能になります。
この章では、誤字脱字の対処法、下書きの必要性、パソコン作成との比較、そして提出時のマナーについて解説します。
- 誤字・脱字をしてしまった場合の対処法
- 下書きは鉛筆で薄く
- パソコン作成は避けるべき?ケースバイケースで判断
- 提出時のマナー
誤字・脱字をしてしまった場合の対処法
手書きで辞表を作成する際に最も避けたいのが誤字・脱字です。万が一書き間違えてしまった場合、修正液や修正テープ、二重線での訂正は原則としてNGです。 公的な書類である辞表に修正跡があると、見栄えが悪く、相手に失礼な印象を与えてしまう可能性があります。
もし書き間違えてしまったら、面倒でも新しい便箋に最初から書き直すのが最も確実で丁寧な対処法です。 そのため、便箋や封筒は少し多めに用意しておくと安心です。
どうしても時間がないなどのっぴきならない事情がある場合は、訂正箇所に二重線を引き、その上か脇に訂正印(氏名の印鑑と同じもの)を押して正しい文字を記入する方法もありますが、これは最終手段と考え、できる限り書き直しを心がけましょう。
下書きは鉛筆で薄く
ぶっつけ本番で清書するのは、誤字脱字のリスクを高めます。そこでおすすめなのが、鉛筆で薄く下書きをする方法です。
まず、便箋に鉛筆で文字の配置や大きさを考慮しながら下書きをします。全体のバランスを確認し、問題がなければその上からボールペンや万年筆で清書します。インクが完全に乾いたのを確認してから、鉛筆の線を丁寧に消しゴムで消しましょう。この際、紙を傷めたり、インクを擦ってしまわないように注意が必要です。
下書きをすることで、文字のバランスが整い、誤字脱字も防ぎやすくなります。一手間かける価値は十分にあるでしょう。
パソコン作成は避けるべき?ケースバイケースで判断
「手書きの方が誠意が伝わる」という意見がある一方で、現代ではパソコンで作成された退職届も一般的に受け入れられています。 法律上、退職の意思表示は口頭でも有効であり、書類の作成方法(手書きかパソコンか)が法的な効力に影響を与えるわけではありません。
手書きにすべきかパソコン作成にすべきかは、会社の文化や慣習、上司の考え方、そしてご自身の状況によって判断するのが良いでしょう。 例えば、IT企業や新しい考え方を取り入れている企業では、パソコン作成でも全く問題ないことが多いです。一方で、伝統を重んじる企業や、年配の上司が多い職場では、手書きの方が好まれる傾向があるかもしれません。
会社によっては、退職届のフォーマットが用意されており、パソコンでの作成が推奨されている場合もあります。 まずは就業規則を確認したり、信頼できる先輩や上司に相談してみるのがおすすめです。
提出時のマナー
辞表を提出する際にもマナーがあります。
- 提出相手:原則として、直属の上司に直接手渡しします。 人事部に直接提出するよう指示がある場合はそれに従います。
- タイミング:業務時間外や、上司が忙しくない時間帯を見計らって提出しましょう。事前にアポイントを取っておくとスムーズです。
- 渡し方:封筒に入れた辞表を、相手が読みやすい向きにして両手で渡します。その際、「お忙しいところ恐れ入ります。この度、退職させていただきたく、辞表(退職届)を作成いたしましたので、お納めください。」といった言葉を添えると丁寧です。
- 服装:特に指定はありませんが、清潔感のある服装を心がけましょう。
最後まで相手への敬意を忘れず、円満な退職を目指しましょう。
辞表の手書きに関するよくある質問
ここでは、辞表を手書きで作成する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。細かな疑問点を解消し、安心して辞表準備を進めましょう。
Q1. 辞表はいつ、誰に提出すれば良いですか?
A1. 辞表(一般的には退職届)を提出するタイミングは、会社の就業規則で定められている場合が多いので、まずはそれを確認しましょう。 一般的には、退職希望日の1ヶ月から3ヶ月前に直属の上司に退職の意思を伝え、相談の上で正式な退職日を決定し、その後、退職届を提出するという流れになります。 提出相手は、原則として直属の上司です。 上司に手渡しするのがマナーとされています。
Q2. 退職理由は「一身上の都合」で良いですか?具体的に書く必要は?
A2. はい、自己都合による退職の場合、退職理由は「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。 詳細な理由(転職、結婚、家庭の事情など)を具体的に書く必要はありません。ただし、会社都合による退職(例:リストラ、会社の倒産など)の場合は、「事業部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、具体的な理由を記載することがあります。 不明な場合は、会社の人事担当者に確認しましょう。
Q3. 使用するボールペンは何色が良いですか?太さの指定は?
A3. 辞表を書く際は、黒色のインクが出るボールペンまたは万年筆を使用します。 青色やその他の色は避けましょう。ボールペンの太さに厳密な決まりはありませんが、一般的には0.7mm程度の太さが読みやすく、適しているとされています。 細すぎると頼りない印象に、太すぎると文字が潰れて読みにくくなる可能性があるため注意が必要です。
Q4. 修正テープや修正液は使っても良いですか?
A4. いいえ、辞表に修正テープや修正液を使用するのはマナー違反です。 書き損じた場合は、新しい便箋に最初から書き直すのが基本です。そのため、便箋は予備を含めて少し多めに用意しておくと安心です。
Q5. 会社指定のフォーマットがある場合は手書きでなくても良いですか?
A5. はい、会社によっては退職届のフォーマットが用意されており、パソコンでの作成や印刷が推奨されている場合があります。 その場合は、会社の指示に従いましょう。 手書きにこだわる必要はありません。まずは就業規則を確認するか、人事部に問い合わせてみてください。
Q6. 辞表を提出した後に撤回できますか?
A6. 「退職願」の段階であれば、会社が正式に受理する前であれば撤回できる可能性があります。 しかし、「退職届」として提出し、会社がそれを受理した後は、原則として一方的な撤回は難しいとされています。 ただし、会社との合意があれば撤回が認められるケースもあります。 提出前に十分に考え、後悔のないようにしましょう。もし撤回を考える場合は、速やかに上司に相談することが重要です。
Q7. 会社都合退職の場合も辞表は必要ですか?
A7. 会社都合による退職(例:業績不振によるリストラ、倒産など)の場合、基本的には労働者側から辞表(退職届)を提出する必要はありません。 むしろ、自己都合退職と誤解される可能性があるため、提出しない方が良いケースもあります。 ただし、会社から事務手続き上、提出を求められることもあります。その場合は、退職理由を「一身上の都合」とせず、「会社都合による退職」であることを明記(例:「事業所閉鎖のため」「退職勧奨に伴い」など)するようにしましょう。 会社側の指示をよく確認することが大切です。
Q8. 辞表に押す印鑑は実印である必要がありますか?
A8. いいえ、辞表に押す印鑑は実印である必要はなく、認印で問題ありません。 ただし、インク浸透印(シャチハタなど)は公的な書類には不向きとされるため避けましょう。 朱肉を使って押すタイプの印鑑を使用してください。
まとめ:手書きの辞表で円満退職へ
- 辞表は役員や公務員、退職願・退職届は一般社員が使用。
- 手書きの辞表は丁寧さや誠意が伝わりやすい。
- 準備物は白無地の便箋・封筒、黒の筆記用具。
- 縦書きは伝統的、横書きも可。内容は正確に。
- 表題、宛名、退職理由、日付、署名・押印が基本項目。
- 退職理由は自己都合なら「一身上の都合」。
- 封筒表面は「辞表」、裏面に所属・氏名。
- 辞表は三つ折りにして封入。
- 誤字脱字は書き直しが基本、修正液等はNG。
- 下書きは鉛筆で薄く行うと安心。
- パソコン作成も可、会社の慣習を確認。
- 提出は直属の上司に手渡しがマナー。
- 提出後の撤回は原則難しい。
- 会社都合退職では基本的に不要。
- 印鑑は認印で可、シャチハタは避ける。