手紙や書類を送る際、宛名の書き方で悩んだ経験はありませんか?特に「行き」と「御中」の使い分けは、間違えやすいポイントの一つです。本記事では、これらの敬称の基本的な違いから、正しい使い方、返信用封筒のマナー、そして間違えやすい注意点まで、具体例を交えながら徹底解説します。この記事を読めば、もう宛名書きで迷うことはありません!
「行き」と「御中」の基本的な違いを理解しよう
ビジネスシーンや日常生活で手紙や書類を送る際、宛名の敬称は相手への敬意を示す重要な要素です。特に「行き」と「御中」は混同しやすく、正しく使い分けることが求められます。まずは、これらの基本的な意味と役割をしっかりと押さえましょう。
この章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 「行き」とは?個人宛の敬称
- 「御中」とは?組織・団体宛の敬称.
- 一目でわかる!「行き」と「御中」の使い分け比較表
「行き」とは?個人宛の敬称
「行き」は、主に返信用封筒で自分宛(送り返してもらう側)の宛名に使われる言葉です。 相手に返信を求める際に、自分の名前や会社名、部署名の後に「行」と書き添えることで、相手が宛名を書く手間を省く目的があります。これは謙譲の表現であり、相手に対する敬称ではありません。
例えば、企業が応募者に書類の返送を求める場合、返信用封筒に「〇〇株式会社 人事部行」と記載します。これを受け取った応募者は、「行」を適切な敬称に修正して返送するのがマナーです。
「行き」と似た言葉に「宛」がありますが、「行」が組織にも個人にも使われるのに対し、「宛」は主に個人に対して使われる傾向があります。 ただし、返信用封筒においては、どちらを使っても大きな間違いではありません。
「御中」とは?組織・団体宛の敬称
「御中(おんちゅう)」は、会社、官公庁、学校、部署など、特定の個人ではなく組織や団体そのものに宛てて郵便物を送る際に使用する敬称です。 「御」は相手への敬意を表す接頭語で、「中」はその組織や団体の中にいる人、つまり「そちらの組織のどなたかへ」という意味合いを持ちます。 したがって、「〇〇株式会社 御中」と書いた場合、「〇〇株式会社の皆様へ」という意味になります。
担当者の名前が分からない場合や、部署全体で確認してほしい書類などを送る際に非常に便利です。 例えば、「株式会社〇〇 御中」や「株式会社〇〇 営業部 御中」のように使います。
一目でわかる!「行き」と「御中」の使い分け比較表
「行き」と「御中」の違いをより明確に理解するために、以下の表にまとめました。
項目 | 行き | 御中 |
---|---|---|
主な用途 | 返信用封筒の自分宛の宛名 | 組織・団体宛の敬称 |
意味合い | (相手に)送ってください | その組織・団体の中のどなたかへ |
使う相手 | 自分(返信を受ける側) | 会社、部署、官公庁、学校など |
敬意の方向 | 謙譲(自分を低める) | 尊敬(相手を高める) |
返信時の対応 | 受け取った側が「様」や「御中」に書き換える | そのまま使用(書き換え不要) |
このように、「行き」は返信を促す際に自分に対して使う言葉であり、「御中」は相手の組織に対して敬意を表す言葉であるという根本的な違いがあります。この違いを理解することが、正しい宛名書きの第一歩です。
「行き」の正しい使い方と書き換えマナー
「行き」は、主に返信用封筒で使われる表現ですが、受け取った側がそのまま返信するのはマナー違反です。相手に失礼なく、かつスムーズに書類をやり取りするためには、「行き」の正しい書き換え方を理解しておくことが不可欠です。ここでは、具体的な書き換え方法や注意点を解説します。
この章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 返信用封筒の「行」を「様」に書き換える場合(個人宛)
- 返信用封筒の「行」を「御中」に書き換える場合(組織・部署宛)
- 「行」を消す際の正しい二重線の引き方
- 縦書き・横書き封筒での書き換え位置
返信用封筒の「行」を「様」に書き換える場合(個人宛)
返信用封筒の宛名が特定の個人名で、その後に「行」と記載されている場合は、「行」を二重線で消し、その横または下に「様」と書き加えます。 「様」は個人に対する最も一般的な敬称で、役職名が付いている場合でも個人名の後には「様」を付けます。
例えば、返信用封筒に「株式会社〇〇 人事部 山田太郎行」と書かれていたとします。この場合、「行」を二重線で消し、「山田太郎 様」となるように修正します。 企業側が返信用封筒に「様」を付けないのは、自分に対して敬称を使うことを避けるためであり、返信する側が敬意を込めて「様」に書き換えるのが正しいマナーです。
担当者名が不明で「採用ご担当行」などと書かれている場合も同様に、「行」を消して「採用ご担当者様」とします。
返信用封筒の「行」を「御中」に書き換える場合(組織・部署宛)
返信用封筒の宛名が会社名や部署名など、組織や団体名で、その後に「行」と記載されている場合は、「行」を二重線で消し、その横または下に「御中」と書き加えます。 「御中」は組織や団体そのものに対する敬称です。
例えば、返信用封筒に「〇〇株式会社 経理部行」と書かれていた場合、「行」を二重線で消し、「〇〇株式会社 経理部 御中」と修正します。 これにより、経理部内のどなたかが開封しても問題ないという意味合いになります。
「行」の代わりに「宛」と書かれている場合も同様の対応で問題ありません。 「宛」も個人や組織に使われることがありますが、返信する際には「様」や「御中」に書き換えるのが一般的です。
「行」を消す際の正しい二重線の引き方
「行」や「宛」の文字を消す際には、修正液や修正テープは使用せず、二重線で消すのがマナーです。 これは相手の間違いを訂正するわけではないため、丁寧な印象を与える二重線が適切とされています。
二重線の引き方には厳密なルールがあるわけではありませんが、一般的には以下のようにします。
- 縦書きの場合:「行」の文字の上に、縦に二重線を引きます。 文字の流れに沿って引くと美しく見えます。
- 横書きの場合:「行」の文字の上に、横に二重線を引きます。 こちらも文字の流れに合わせるのが一般的です。
斜めに二重線を引く方法もありますが、縦書きなら縦線、横書きなら横線で消す方が、より丁寧で整った印象を与えるでしょう。
縦書き・横書き封筒での書き換え位置
「行」を消して「様」や「御中」を書き加える際の位置も、封筒の書式(縦書きか横書きか)によって異なります。
- 縦書き封筒の場合:二重線で消した「行」の文字の左側または下側に「様」や「御中」を記載するのが一般的です。 スペースに余裕がない場合は、少し離れた右側に書くことも許容されますが、基本は左か下です。
- 横書き封筒の場合:二重線で消した「行」の文字の右側または下側に「様」や「御中」を記載します。
書き加える敬称は、元の「行」の文字と同じくらいの大きさか、やや大きめに書くとバランスが良いでしょう。小さすぎると見落とされる可能性があり、大きすぎると不格好になるため注意が必要です。
「御中」の正しい使い方と具体例
「御中」は、企業や官公庁、学校、部署といった組織や団体に宛てて書類を送る際に用いる敬称です。 個人宛の「様」とは明確に区別して使う必要があり、誤った使い方をすると相手に失礼な印象を与えかねません。ここでは、「御中」の正しい使い方を具体的な例とともに詳しく見ていきましょう。
この章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 会社全体や特定の部署に送る場合の「御中」
- 「株式会社〇〇御中 人事部御中」は間違い?敬称の重複を避ける
- 「御中」と「様」の併用はNG!正しい使い分け
- 担当者名が不明な場合の「御中」の活用法
会社全体や特定の部署に送る場合の「御中」
「御中」は、その組織内の誰が開封してもよい、あるいは担当者が特定できない場合に用います。
会社全体に送る場合:
会社そのものに宛てて送る場合は、会社名の後に「御中」を付けます。
例:株式会社〇〇 御中
特定の部署に送る場合:
特定の部署に宛てて送る場合は、部署名の後に「御中」を付けます。 この際、会社名には「御中」を付けません。
例:株式会社〇〇 営業部 御中
もし、部署内の特定の係や課まで指定したい場合も同様に、最も末尾の組織名の後に「御中」を付けます。
例:〇〇市役所 健康福祉部 高齢者支援課 御中
このように、「御中」は宛先となる組織階層の最も下に位置する名称の後ろに一つだけ付けるのが原則です。
「株式会社〇〇御中 人事部御中」は間違い?敬称の重複を避ける
よくある間違いとして、「株式会社〇〇御中 人事部御中」のように、会社名と部署名の両方に「御中」を付けてしまうケースがあります。これは敬称の重複となり、誤った使い方です。
前述の通り、「御中」は宛先となる組織階層の最も下に位置する名称の後ろに一つだけ付けるのがルールです。 したがって、人事部に送りたい場合は、以下のようになります。
正しい例:株式会社〇〇 人事部 御中
会社名にも部署名にも「御中」を付けてしまうと、相手にビジネスマナーを知らないという印象を与えかねないため、注意が必要です。一つの宛名に対して敬称は一つ、と覚えておきましょう。
「御中」と「様」の併用はNG!正しい使い分け
「御中」と「様」は、絶対に併用してはいけません。 これも敬称の重複にあたり、大きなマナー違反となります。
「御中」は組織・団体に宛てる敬称、「様」は個人に宛てる敬称です。 宛先が組織なのか個人なのかによって、どちらか一方を適切に使い分ける必要があります。
誤った例:
株式会社〇〇御中 山田太郎様
株式会社〇〇 営業部御中 山田太郎様
もし、特定の部署の特定の個人に送りたい場合は、「御中」は使わず、個人名の後に「様」を付けます。
正しい例:株式会社〇〇 営業部 山田太郎様
この場合、会社名や部署名には「御中」を付けません。 宛先の最終到達点が個人であれば「様」を、組織であれば「御中」を使うと覚えておきましょう。
担当者名が不明な場合の「御中」の活用法
送りたい部署は分かっているものの、担当者の名前が分からない場合は、「御中」が非常に役立ちます。 この場合は、部署名の後に「御中」を付けて送れば、その部署内のどなたかが適切に対応してくれることになります。
例:株式会社△△ 人事部採用ご担当 御中
(これは厳密には「人事部御中」または「採用ご担当者様」がより適切)
より一般的なのは、部署名に「御中」をつける形です。
例:株式会社△△ 人事部 御中
もし「採用ご担当者様」のように個人を特定しない形で敬称「様」を使いたい場合は、「御中」は併用しません。
例:株式会社△△ 人事部 採用ご担当者様
「御中」を使うことで、担当者不明でも失礼なく書類を送付することができます。ただし、可能な限り担当者名を確認し、個人宛に「様」で送る方がより丁寧な印象を与える場合もあります。
「行き」「御中」に関するよくある間違いと注意点
「行き」と「御中」の使い分けは、ビジネスマナーの基本でありながら、意外と間違えやすいポイントが潜んでいます。誤った使い方をしてしまうと、相手に失礼な印象を与えたり、常識を疑われたりする可能性も。ここでは、特に起こりがちな間違いや、注意すべき点を具体的に解説します。
この章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 「御中」と「様」をうっかり併記してしまうケース
- 返信用封筒の「行」の消し忘れや雑な消し方
- 部署名と個人名にそれぞれ「御中」や「様」をつけてしまう誤用
- 「〇〇株式会社 様御中」のような致命的な間違い
- メールでの「御中」の適切な使い方とは?
「御中」と「様」をうっかり併記してしまうケース
最も多い間違いの一つが、「御中」と「様」の併用です。 例えば、「〇〇株式会社 御中 △△様」や「〇〇株式会社 △△様 御中」といった形です。これは二重敬語となり、日本語として不適切であるだけでなく、相手にマナーを知らないという印象を与えてしまいます。
「御中」は組織や団体に宛てる敬称、「様」は個人に宛てる敬称です。 宛先の最終地点が組織であれば「御中」のみを、個人であれば「様」のみを使用します。例えば、特定の部署の特定の担当者に送る場合は、「〇〇株式会社 △△部 □□様」のように、担当者名に「様」をつけるのが正解です。この際、会社名や部署名に「御中」はつけません。
返信用封筒の「行」の消し忘れや雑な消し方
企業などから受け取った返信用封筒には、宛先に「行」と記載されていることがよくあります。 これを消し忘れてそのまま返送してしまうのは、相手に対して大変失礼にあたります。「行」は、返信する側が敬称に書き換えるべきものです。
また、消し方も重要です。修正液や修正テープで完全に消し去ろうとしたり、ぐちゃぐちゃに塗りつぶしたりするのは避けましょう。 正しくは、定規などを使って丁寧に二重線で消します。 縦書きの場合は縦の二重線、横書きの場合は横の二重線を引くのが一般的です。 この一手間が、相手への配慮を示すことにつながります。
部署名と個人名にそれぞれ「御中」や「様」をつけてしまう誤用
敬称は、宛名の最後に一つだけ付けるのが原則です。しかし、「〇〇株式会社 御中 △△部 御中」のように、会社名と部署名の両方に「御中」を付けてしまう間違いや、「〇〇株式会社 △△部様 □□様」のように、部署名と個人名の両方に「様」を付けてしまう(あるいは部署名に「様」を付けてしまう)誤用も見られます。
正しくは、送りたい宛先の最も末尾の単位にのみ敬称を付けます。
例:
- 部署宛の場合:
〇〇株式会社 △△部 御中
- 個人宛の場合:
〇〇株式会社 △△部 □□様
敬称を重ねて使うことは、くどい印象を与えるだけでなく、ビジネスマナーを理解していないと判断される可能性があります。
「〇〇株式会社 様御中」のような致命的な間違い
「〇〇株式会社 様御中」という表記は、「様」と「御中」という異なる種類の敬称を一つの宛先に対して同時に使っており、完全に誤りです。これは、「個人」と「組織」という異なる対象への敬称を混同している典型的な例です。
会社全体や部署全体といった組織に送る場合は「〇〇株式会社 御中」または「〇〇株式会社 △△部 御中」となります。特定の個人に送る場合は「〇〇株式会社 △△部 □□様」です。どちらか一方を明確に選ぶ必要があります。
メールでの「御中」の適切な使い方とは?
基本的に、メールの宛名でも「御中」の使い方は手紙と同様です。 企業や部署全体に宛ててメールを送る場合で、担当者名が不明な際には「〇〇株式会社 御中」や「〇〇株式会社 △△部 御中」と記載します。
ただし、メールの場合は担当者名が分かっているケースが多いでしょう。その場合は、「〇〇株式会社 △△部 □□様」のように個人名に「様」を付けて送るのが一般的です。CCで複数人に送る場合も、主たる宛先が個人であればその方に「様」を付け、他の宛先はCCに入れるという形になります。
添付ファイルで送る書類(送付状など)の宛名には、手紙と同様に「御中」や「様」を適切に使い分けます。 企画書や資料などを法人宛に送付する際も、その書類の宛名には「御中」を使用するのが一般的です。
近年では、メールの本文中に「〇〇株式会社 ご担当者様」といった表現もよく使われます。これは「御中」よりもやや丁寧な印象を与えることがあります。
就職活動における宛名の書き方:好印象を与えるポイント
就職活動において、応募書類を送付する際の封筒の宛名書きは、企業への第一印象を左右する重要な要素です。正しいマナーで丁寧に書かれた宛名は、あなたの真摯な姿勢を伝え、採用担当者に良い印象を与えるでしょう。逆に、宛名書きのミスは、注意力不足やビジネスマナーへの意識の低さと捉えられかねません。
この章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 履歴書やエントリーシート送付時の封筒の宛名ルール
- 「採用ご担当者様」と「御中」の使い分け
- 「気付」の正しい使い方と活用シーン
- 宛名書きで失敗しないための最終チェックリスト
履歴書やエントリーシート送付時の封筒の宛名ルール
就職活動で応募書類を送る際の封筒の宛名書きには、いくつかの基本的なルールがあります。これらを守ることで、採用担当者に失礼なく、かつスムーズに書類を受け取ってもらえます。
- 封筒の色とサイズ:一般的に、白色の角形A4号(A4サイズの書類を折らずに入れられる)または角形2号の封筒を使用します。 茶封筒は事務的な用途で使われることが多く、応募書類には避けるのが無難です。
- 筆記用具:黒色の油性ボールペンまたはサインペンを使用し、丁寧にはっきりと書きます。雨などでにじむ可能性があるため、水性ペンは避けましょう。
- 会社名:「(株)」などと略さず、「株式会社〇〇」と正式名称で記載します。
- 部署名・担当者名:分かる場合は必ず記載します。部署名までしか分からない場合は「〇〇株式会社 人事部 御中」、担当者名まで分かる場合は「〇〇株式会社 人事部 △△様」とします。
- 「応募書類在中」または「履歴書在中」:封筒の表面左下に赤色のペンで「応募書類在中」または「履歴書在中」と記載し、定規を使って四角で囲みます。 これにより、他の郵便物と区別され、採用担当者の手元に確実に届きやすくなります。
- 自分の情報:封筒の裏面左下に、自分の郵便番号、住所、氏名を正確に記載します。
これらの基本ルールを守り、丁寧な字で書くことを心がけましょう。
「採用ご担当者様」と「御中」の使い分け
応募書類の宛名でよく迷うのが、「採用ご担当者様」と「御中」の使い分けです。
- 「御中」を使う場合:
会社全体や特定の部署宛に送る場合で、担当者の個人名が不明なときに使います。
例:株式会社〇〇 人事部 御中
この場合、「人事部の方ならどなたでも」という意味合いになります。 - 「採用ご担当者様」を使う場合:
担当部署は分かっているものの、具体的な担当者名が不明な場合に使います。
例:株式会社〇〇 人事部 採用ご担当者様
「御中」よりも、採用業務に携わっている方へ、というニュアンスが強まります。「様」がついているため、個人宛の敬称となり、「御中」と併用することはできません。
求人情報に「採用担当宛」としか書かれていない場合は、「採用ご担当者様」とするのが一般的です。もし担当者の氏名が分かっている場合は、迷わず「〇〇様」と個人名で宛てましょう。これが最も丁寧な形です。
例:株式会社〇〇 人事部 山田太郎様
「気付」の正しい使い方と活用シーン
「気付(きつけ)」は、直接の宛先ではないが、その場所を経由して特定の人に届けたい場合に使用する言葉です。就職活動では、例えば会社ではなく、イベント会場や特定の施設内の担当者に書類を送る際に使うことがあります。
使い方としては、届け先の組織名や施設名の後に「気付」と書き、その次に個人名と「様」を続けます。
例:〇〇株式会社気付 人事部 山田太郎様
(この場合、山田太郎様は〇〇株式会社の社員ではないが、〇〇株式会社のオフィスに一時的に滞在している、などの状況が考えられます。ただし、就活ではあまり一般的ではありません。)
より一般的な「気付」の使い方は、会社内の特定の部署や担当者が、一時的に別の場所(例えば、説明会会場のホテルなど)で郵便物を受け取りたい場合です。
例:〇〇ホテル気付 株式会社△△ 人事部 採用ご担当者様
ただし、就職活動の応募書類送付で「気付」を使う場面は限定的です。企業の指示がない限り、基本的には本社や支社の住所に直接送付します。もし指示があった場合は、その指示に従って正確に記載しましょう。
宛名書きで失敗しないための最終チェックリスト
書類を封筒に入れる前に、以下の項目を最終チェックしましょう。一つ一つの確認が、あなたの評価につながります。
- □ 封筒の色(白)、サイズ(角形A4号または角形2号)は適切か?
- □ 宛名は黒色の油性ボールペンまたはサインペンで書かれているか?
- □ 会社名は正式名称で書かれているか?(株式会社を(株)と略していないか)
- □ 部署名、担当者名は正確か?(分かっている場合)
- □ 敬称は正しく使われているか?(「御中」と「様」の使い分け、重複はないか)
- □ 郵便番号、住所は都道府県から正確に書かれているか?ビル名や階数も省略していないか?
- □ 表面左下に「応募書類在中」または「履歴書在中」と赤字で記載し、四角で囲んでいるか?
- □ 裏面左下に自分の郵便番号、住所、氏名が正確に書かれているか?
- □ 切手は正しい料金分を貼っているか?(不安な場合は郵便局窓口で確認)
- □ のり付けはしっかりされているか?(セロハンテープではなく、スティックのりや両面テープが望ましい)
- □ 封字(「〆」や「封」)は書かれているか?
これらの点を丁寧に確認することで、宛名書きでのミスを防ぎ、採用担当者に良い第一印象を与えることができるでしょう。
「御中」の代わりに使える表現や関連知識
「御中」は組織や団体宛の敬称として広く使われますが、状況によっては他の表現が適切な場合もあります。また、封筒の宛名書きに関連して知っておくと便利な知識もあります。ここでは、「御中」の代替表現や、ビジネスシーンで役立つ関連知識について掘り下げていきましょう。
この章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 複数の人に宛てる場合の「各位」の使い方.
- 封筒の中身を伝える「在中」の書き方と種類.
- 「様方」や「気付」の使い分けについて再確認
- 海外への郵便物における宛名敬称の注意点
複数の人に宛てる場合の「各位」の使い方
「各位(かくい)」は、複数の人に対して、まとめて敬意を表す際に用いられる敬称です。 「皆様」「皆様方」といった意味合いがあり、役職や立場の上下に関わらず使用できます。 主に、案内状や通知など、同じ内容の文書を多くの人に送る際に便利です。
使い方としては、対象となるグループ名の後に「各位」を付けます。
例:
関係者各位
株主各位
営業部員各位
保護者各位
「各位」と「御中」「様」の併用は基本的にNGです。 「各位」自体が敬称なので、「〇〇各位様」や「〇〇各位御中」とすると二重敬語になってしまいます。 ただし、例外的に「お客様各位」という表現は慣習として広く使われています。
「御中」が組織全体の中の不特定多数の人を指すのに対し、「各位」はそのグループに属する一人ひとりに対して敬意を払うニュアンスがあります。 そのため、組織内の特定部署の全員に読んでほしい場合などは「〇〇部 各位」のように使います。
封筒の中身を伝える「在中」の書き方と種類
「在中(ざいちゅう)」は、封筒の中に何が入っているかを一目で示すための表示です。 これを記載することで、受け取った側が重要書類であることや内容物を事前に把握でき、適切な取り扱いを促す効果があります。特に企業では多くの郵便物が届くため、担当部署へスムーズに届けるためにも有効です。
書き方と位置:
- 一般的に赤色のペンで記載します(青色でも可、特にお金に関するものは青色の場合も)。
- 縦書き封筒の場合は、表面の左下に記載します。
- 横書き封筒の場合は、表面の右下に記載します。
- 「〇〇在中」と書き、その周りを四角で囲むのが一般的です。 定規を使って丁寧に囲みましょう。
- スタンプを使用しても問題ありません。
主な「在中」の種類:
- 履歴書在中:就職活動で履歴書を送る場合。
- 応募書類在中:エントリーシートなど複数の応募書類を送る場合。
- 請求書在中:取引先に請求書を送る場合。
- 領収書在中:領収書を送る場合。
- 契約書在中:契約書を送る場合。
- 見積書在中:見積書を送る場合。
- 重要書類在中:特に重要な書類であることを示したい場合。
書類を入れる前に記載するのがマナーです。 書類を入れた後に書くと、筆圧で中の書類に跡が付いたり、インクが滲んだりする可能性があるためです。
「様方」や「気付」の使い分けについて再確認
「様方(さまかた)」と「気付(きつけ)」は、特定の状況下で使われる宛名の補足情報です。
様方:
世帯主名や家屋の借主名と、実際に届けたい相手の名字が異なる場合に使います。例えば、友人の家に下宿している人に手紙を送る場合などです。
例:(世帯主の氏名)様方 (届けたい相手の氏名)様
山田一郎様方 鈴木花子様
この場合、山田一郎さんの家に住んでいる鈴木花子さんに届けてほしい、という意味になります。
気付:
前述の通り、会社や団体などの所在地を借りて、そこにいる個人やグループに郵便物を送る場合に使います。
例:〇〇イベント会場気付 株式会社△△ ご担当者様
この場合、株式会社△△のご担当者様が、〇〇イベント会場に一時的にいる、またはそこで業務を行っていることを示します。
これらの表現は、通常の企業宛の郵便物ではあまり使いませんが、特定の状況では必要となるため、意味と使い方を理解しておくと良いでしょう。
海外への郵便物における宛名敬称の注意点
海外へ郵便物を送る際の敬称は、国や言語によって異なります。日本の「様」や「御中」をそのまま使っても通じません。
英語の場合の一般的な敬称:
- 個人宛:
- 男性: Mr. (ミスター) + 姓名
- 既婚女性: Mrs. (ミセス) + 姓名
- 未婚女性: Miss (ミス) + 姓名
- 既婚・未婚を問わない女性: Ms. (ミズ) + 姓名 (近年はこちらが一般的)
- 会社・組織宛:
英語には「御中」に直接対応する便利な単語はありません。通常、会社名や部署名をそのまま記載します。
例:ABC Corporation
Sales Department, ABC Corporation
特定の担当者が不明な場合は、”Attention: Sales Department”(営業部気付)のように書くこともあります。
役職名を付ける場合は、名前の前や下に記載します。
例:Mr. John Smith, Sales Manager
John Smith
Sales Manager
国や相手の文化によって適切な敬称が異なる場合があるため、事前に確認することが望ましいです。特にビジネスシーンでは、相手に失礼のないよう慎重に宛名を作成する必要があります。
よくある質問
宛名の「行き」や「御中」の使い方に関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。これらの回答を参考に、日々の宛名書きにお役立てください。
Q. 宛名の「行」はどのように消すのが正しいですか?
A. 返信用封筒などに記載されている「行」は、二重線で消すのが正しいマナーです。 修正液や修正テープは使用しません。 縦書きの場合は縦の二重線、横書きの場合は横の二重線を、「行」の文字の上に引きます。 定規を使うと綺麗に消せます。その後、適切な敬称(個人宛なら「様」、組織宛なら「御中」)を書き加えます。
Q. 「御中」と「様」は一緒に使ってもいいですか?
A. いいえ、「御中」と「様」を一緒に使うことはできません。 これは二重敬語にあたり、マナー違反となります。「御中」は組織や団体宛の敬称、「様」は個人宛の敬称ですので、どちらか一方を適切に使い分けてください。 例えば、会社の特定の担当者に送る場合は「〇〇株式会社 △△部 □□様」とし、「御中」は使いません。
Q. 会社の中の部署宛に送る場合、「御中」はどう書けばいいですか?
A. 会社の中の特定の部署に送る場合は、部署名の後に「御中」を付けます。 会社名には「御中」を付けません。
正しい例:〇〇株式会社 人事部 御中
誤った例:〇〇株式会社御中 人事部御中
(敬称の重複)
Q. 担当者の名前が分からない場合、宛名はどうすればいいですか?
A. 担当者の名前が分からない場合は、いくつかの書き方があります。
- 部署全体に送る場合:部署名の後に「御中」を付けます。例:
〇〇株式会社 営業部 御中
- 特定の役割の担当者に送る場合:「(役割名)ご担当者様」とします。例:
〇〇株式会社 人事部 採用ご担当者様
この場合、「御中」は使いません。
どちらの方法でも失礼にはあたりませんが、可能な限り具体的な部署名まで記載すると、よりスムーズに担当者に届きやすくなります。
Q. メールで「御中」は使いますか?
A. はい、メールの宛名でも「御中」を使います。 使い方は基本的に手紙と同じで、会社全体や部署全体に宛てて、担当者名が不明な場合に「〇〇株式会社 御中」や「〇〇株式会社 △△部 御中」のように記載します。 ただし、担当者名が分かっている場合は「〇〇様」と個人宛にするのが一般的です。
Q. 返信用封筒の「行」を「様」にするのはどんな時ですか?
A. 返信用封筒の宛名が特定の個人名で記載されており、その後に「行」と付いている場合に、「行」を二重線で消して「様」に書き換えます。 例えば、「山田太郎行」となっていれば「山田太郎 様」とします。また、「採用ご担当行」のように個人を特定しないが役割を示している場合も「採用ご担当者様」とします。
Q. 「御中」を書き忘れたら失礼にあたりますか?
A. 組織や団体宛に送る際に「御中」を書き忘れると、敬称がない状態となり、相手に失礼な印象を与えてしまう可能性が高いです。ビジネスマナーとして、敬称は正しく用いることが求められます。気づいた時点で可能な限り訂正するか、状況によっては送付先に一言お詫びを入れることも検討しましょう。
Q. 「行」を「宛」に書き換えるのは正しいですか?
A. 一般的に、返信用封筒の「行」は、「様」(個人宛の場合)または「御中」(組織宛の場合)に書き換えます。 「行」も「宛」も返信を促す際に使われる言葉ですが、受け取った側が敬称に直すのがマナーです。 「行」を「宛」に書き換えるのは、敬称への変更とはならないため、適切ではありません。
まとめ
- 「行き」は主に返信用封筒で自分宛に使う言葉。
- 「御中」は会社や部署など組織・団体宛の敬称。
- 返信時、「行」は「様」または「御中」に書き換える。
- 「行」を消す際は二重線を使用する。
- 「御中」と「様」の併用は絶対にNG。
- 敬称は宛先の最後に一つだけ付けるのが原則。
- 会社名と部署名両方に「御中」は付けない。
- 担当者不明の場合は部署名に「御中」でOK。
- メールでも「御中」の使い方は手紙と同様。
- 就活では宛名マナーが第一印象を左右する。
- 「応募書類在中」は赤字で四角く囲む。
- 「各位」は複数の個人にまとめて使う敬称。
- 「在中」は封筒の中身を示す表示。
- 「様方」は世帯主と受取人名が異なる場合に使用。
- 海外郵便では国に応じた敬称が必要。