大切な方を亡くされ、心身ともに大変な時期に、年賀状のやり取りを終える「年賀状じまい」を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、喪中の相手に年賀状じまいを伝えることは、失礼にあたらないかと不安に感じる方も少なくないでしょう。本記事では、喪中の人に年賀状じまいを伝える際のマナーや適切なタイミング、心遣いが伝わる文例について徹底的に解説します。相手への配慮を忘れずに、今後の関係性を良好に保つための方法を一緒に見ていきましょう。
喪中の人に年賀状じまいを伝えるのは失礼?基本的な考え方

喪中の相手に年賀状じまいを伝えることは、結論から言えば失礼にはあたりません。しかし、その伝え方には細やかな配慮が求められます。喪中はがきと年賀状じまいのそれぞれの目的を理解し、相手の心情に寄り添うことが大切です。
喪中はがきと年賀状じまいの目的の違い
まず、喪中はがきは、身内に不幸があった際に、新年の挨拶を控えることを事前に伝えるための挨拶状です。新年の慶事を避けるという、故人を偲ぶ気持ちを表す意味合いが強いものです。一方、年賀状じまいは、翌年以降の年賀状のやり取りを辞退する意思を伝えるものです。これは、高齢化やライフスタイルの変化、終活の一環など、様々な理由から行われます。目的が異なるため、それぞれの意味合いを混同しないよう注意が必要です。
喪中はがきで年賀状じまいを兼ねることは可能?
喪中はがきで年賀状じまいを兼ねることは、マナーとして問題ないとされています。近年では、合理的な判断として、喪中はがきに年賀状じまいの旨を書き添えるケースも増えています。ただし、喪中はがきが本来、年賀欠礼を伝えるものであることを忘れず、年賀状じまいのメッセージがメインにならないよう配慮しましょう。喪中の挨拶を先に述べ、その後に年賀状じまいについて簡潔に付け加えるのが丁寧な伝え方です。
喪中の人に年賀状じまいを伝える最適なタイミング

喪中の人に年賀状じまいを伝えるタイミングは、相手への配慮を最大限に示すために非常に重要です。主に「喪中はがきで伝える場合」と「寒中見舞いで伝える場合」の2つの方法があります。
喪中はがきで伝える場合
喪中はがきで年賀状じまいを兼ねて伝える場合、相手が年賀状の準備を始める前に届くように送ることがマナーです。具体的には、11月中旬から遅くとも12月初旬までには相手の手元に届くように投函するのが理想的とされています。 この時期であれば、相手も年賀状の準備に取り掛かる前なので、余計な手間をかけさせずに済みます。喪中はがきは、新年の挨拶を控える旨を伝えるものですから、年賀状じまいの意向も合わせて伝えることで、一度の連絡で済ませられるというメリットがあります。
寒中見舞いで伝える場合
もし喪中はがきで年賀状じまいを伝えるタイミングを逃してしまった場合や、喪中はがきと年賀状じまいを明確に分けたい場合は、寒中見舞いで伝えるのがおすすめです。寒中見舞いは、松の内(一般的に1月7日まで)が明けてから、立春(2月3日頃)までに送る挨拶状です。 この時期であれば、お正月の華やかな雰囲気も落ち着いているため、年賀状じまいの連絡も受け入れられやすいでしょう。特に、相手が喪中であることを知らずに年賀状を送ってしまった場合や、年末に急な不幸があった場合にも、寒中見舞いは有効な手段となります。
急な不幸があった場合の対応
12月に入ってから身内に不幸があった場合など、喪中はがきの準備が間に合わないこともあります。このような場合は、無理に年内に喪中はがきを送る必要はありません。年が明けてから、寒中見舞いとして、新年の挨拶ができなかったことへのお詫びと、年賀状じまいの意向を伝えるのが丁寧な対応です。 相手に余計な気遣いをさせないためにも、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
喪中の人に年賀状じまいを伝える際の書き方と文例

喪中の人に年賀状じまいを伝える際は、相手の心情に配慮し、丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。ここでは、年賀状じまいを伝える際の基本的な構成要素と、状況に応じた文例をご紹介します。
年賀状じまいを伝える際の基本的な構成要素
年賀状じまいのメッセージには、以下の3つの要素を盛り込むと、相手に失礼なく意図が伝わりやすくなります。
- これまでの感謝の言葉: 長年の年賀状のやり取りや、お付き合いへの感謝を伝えます。
- 年賀状じまいをする理由と辞退の意思: 高齢、終活、ライフスタイルの変化など、簡潔に理由を述べ、今後年賀状のやり取りを辞退する旨を明確に伝えます。
- 今後のお付き合いをお願いする言葉や代替の連絡手段: 年賀状のやり取りは終えても、今後も関係を続けたいという気持ちを伝え、メールやSNSなどの連絡手段を提示すると親切です。
【状況別】喪中の人に年賀状じまいを伝える文例
具体的な文例を参考に、ご自身の状況に合わせて調整してみてください。
喪中はがきに添える文例
喪中はがきに年賀状じまいを兼ねる場合は、喪中の挨拶がメインとなるように配慮しましょう。
「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
夫○○が享年〇〇歳にて永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情に心より感謝申し上げます
なお 誠に勝手ながら 皆様への年賀状でのご挨拶は
これを機に失礼させていただきたく存じます
今後とも変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
令和〇年〇月」
ポイントは、喪中の挨拶の後に「なお」などの接続詞を使い、年賀状じまいの意向を付け加えることです。これにより、喪中の挨拶が主であるという印象を与えつつ、年賀状じまいの意図も明確に伝えられます。
寒中見舞いで伝える文例
松の内が明けてから寒中見舞いで年賀状じまいを伝える場合は、季節の挨拶から始めましょう。
「寒中お見舞い申し上げます
ご服喪中と存じ上げず 新年のご挨拶を申し上げ大変失礼いたしました
遅ればせながら 〇〇様のご逝去を心よりお悔やみ申し上げます
さて 私事ではございますが
誠に勝手ながら本年をもちまして年賀状でのご挨拶を
失礼させていただきたく存じます
今後はメールにてご連絡差し上げたく存じます
今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
令和〇年〇月」
この文例では、まず喪中の方への配慮とお詫びを述べ、その後に年賀状じまいの意向を伝えています。また、今後の連絡手段についても触れることで、関係性を継続したいという気持ちが伝わりやすくなります。
年賀状じまいの理由を伝えるコツ
年賀状じまいの理由を伝える際は、相手に不快感を与えないよう、簡潔かつ個人的な事情として述べるのがコツです。例えば、「高齢のため」「終活の一環として」「ライフスタイルの変化により」といった表現が適切です。 詳細に書きすぎる必要はなく、相手が納得できるような、当たり障りのない表現を選ぶことが賢明です。
今後のお付き合いをお願いする言葉
年賀状のやり取りは終えても、今後も関係を続けたい相手には、その旨を明確に伝えましょう。「今後とも変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます」や「今後とも変わらぬお付き合いをいただければ幸いです」といった言葉を添えることで、年賀状じまいが関係性の終わりではないことを示せます。
代替の連絡手段を伝える重要性
年賀状じまいを機に、メールやSNSなど他の連絡手段に移行したい場合は、その旨を具体的に伝えることが重要です。 例えば、「今後はメールにてご連絡差し上げたく存じます」と記載し、メールアドレスを添えるなどすると親切です。これにより、相手は今後どのように連絡を取れば良いか分かり、関係が途切れるのを防ぐことができます。
喪中の人に年賀状じまいを伝える際の注意点

喪中の人に年賀状じまいを伝える際には、いくつかの注意点があります。相手の心情に寄り添い、失礼のないように細心の注意を払いましょう。
お祝いの言葉は避ける
喪中の相手に対しては、「あけましておめでとうございます」や「謹賀新年」といったお祝いの言葉は絶対に避けましょう。 喪に服している方にとって、お祝いの言葉は不快に感じられる可能性があります。年賀状じまいを伝える場合でも、新年の挨拶は「年始のご挨拶を申し上げます」など、おめでたい意味合いを含まない言葉を選ぶようにしてください。喪中はがきで年賀状じまいを兼ねる場合は、そもそも新年の挨拶は省略するのがマナーです。
近況報告は控える
喪中はがきは、年賀欠礼を伝えるためのものです。そのため、結婚や出産、引っ越しなどの個人的な近況報告やお祝い事の記載は控えましょう。 これらの内容は、喪中が明けてから改めて別の挨拶状や寒中見舞いなどで伝えるのが適切です。喪中の相手は、故人を偲ぶ期間を過ごしているため、華やかな近況報告は避けるべきです。
相手の心情に配慮した言葉選び
年賀状じまいのメッセージは、受け取る相手によっては「関係を断ちたい」という意図に受け取られてしまう可能性もあります。特に喪中の相手は、精神的にデリケートな状態にあることも考えられます。そのため、言葉選びは慎重に行い、丁寧で温かい表現を心がけましょう。 「誠に勝手ながら」といったクッション言葉を使ったり、これまでの感謝の気持ちをしっかりと伝えることで、相手への配慮を示すことができます。 また、年賀状じまいの理由を伝える際も、相手に心配をかけすぎないような表現を選ぶことが大切です。
よくある質問

- Q. 喪中の人に年賀状じまいを送る際、切手は普通切手で良いですか?
- Q. 喪中の人に年賀状じまいを送った後、相手から年賀状が届いたらどうすれば良いですか?
- Q. 喪中の人が年賀状じまいを受け取った場合、返信は必要ですか?
- Q. 喪中の期間はいつまでですか?
- Q. 喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合はどうすれば良いですか?
Q. 喪中の人に年賀状じまいを送る際、切手は普通切手で良いですか?
A. 喪中はがきを送る際は、弔事用の切手(胡蝶蘭や花文様など)を使用するのが一般的です。年賀状じまいを兼ねる場合も、喪中はがきとして送るため、弔事用の切手を選びましょう。通常の年賀切手や慶事用の切手は避けてください。
Q. 喪中の人に年賀状じまいを送った後、相手から年賀状が届いたらどうすれば良いですか?
A. 年賀状じまいを送ったにもかかわらず、相手から年賀状が届いた場合は、無視をするのは失礼にあたります。松の内(一般的に1月7日まで)が明けてから、寒中見舞いとして返信するのが丁寧な方法です。 その際、改めて年賀状じまいの意向を優しく伝えつつ、相手への感謝の気持ちを記すと良いでしょう。
Q. 喪中の人が年賀状じまいを受け取った場合、返信は必要ですか?
A. 喪中の人が年賀状じまいのお知らせを受け取った場合、基本的には返信は不要です。 相手は年賀状のやり取りを辞退する意思を伝えているため、返信を送るとかえって気を遣わせてしまう可能性があります。ただし、今後も変わらずお付き合いを続けたい大切な相手であれば、寒中見舞いやメール、電話などで季節の挨拶や近況報告として連絡を取るのは良い方法です。
Q. 喪中の期間はいつまでですか?
A. 喪中の期間は、故人との関係性によって異なりますが、一般的には一周忌法要までの約1年間とされています。 忌中(故人が亡くなってから四十九日法要まで)と喪中を合わせて「服忌」と呼び、この期間は慶事を控え、故人を偲んで過ごします。 明確な決まりはありませんが、配偶者や一親等の場合は12~13ヶ月、二親等の場合は3~6ヶ月が目安とされています。
Q. 喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合はどうすれば良いですか?
A. 喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合は、気づいた時点ですぐにお詫びの連絡をすることが大切です。 まずは電話などで直接お詫びし、年が明けてから改めて寒中見舞いを送り、お悔やみの言葉を述べると良いでしょう。 寒中見舞いには、新年の挨拶を控えるべきところを存じ上げなかったことへのお詫びと、故人への哀悼の意を記します。
まとめ

- 喪中の人に年賀状じまいを伝えることはマナー違反ではない。
- 喪中はがきと年賀状じまいの目的は異なるが、兼ねることは可能。
- 喪中はがきで伝える場合は11月中旬から12月初旬が理想的なタイミング。
- タイミングを逃した場合は松の内明けに寒中見舞いで伝える。
- 急な不幸の場合は寒中見舞いで対応する。
- メッセージには感謝、理由、辞退の意思、今後の関係性を盛り込む。
- 喪中はがきに添える文例と寒中見舞いで伝える文例を参考に調整する。
- 年賀状じまいの理由は簡潔に個人的な事情として述べる。
- 今後のお付き合いをお願いする言葉を添えることが大切。
- メールやSNSなど代替の連絡手段を伝えることで関係継続の意思を示す。
- お祝いの言葉や近況報告は喪中の相手には避ける。
- 相手の心情に配慮し、丁寧で温かい言葉選びを心がける。
- 喪中はがきには弔事用の切手を使用する。
- 年賀状じまい後に年賀状が届いたら寒中見舞いで返信する。
- 年賀状じまいを受け取った側からの返信は基本的に不要。
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