ネジロック剤で固着したネジが外れずに困っていませんか?無理に力を加えるとネジ頭をなめてしまったり、部品を破損したりする恐れがあり、適切な除去方法を知ることが非常に重要です。本記事では、ネジロック剤の種類に応じた効果的な除去方法から、熱や溶剤を使った具体的な外し方、作業時の注意点、さらには除去後のメンテナンスまで、あなたの悩みを解決するための全てを徹底解説します。もう固着したネジに悩まされることはありません。安全かつ確実にネジロック剤を除去し、スムーズな作業を実現しましょう。
ネジロック剤とは?除去が必要な理由と種類を理解する

ネジロック剤は、振動や衝撃によるネジの緩みを防ぐために使用される特殊な接着剤です。一度塗布して締め付けると、ネジ山にしっかりと固着し、緩みにくくする効果があります。しかし、この強力な固着力が、メンテナンスや部品交換の際にネジを取り外すことを困難にする原因となります。ネジロック剤の特性や種類を理解することは、効果的な除去方法を選ぶための第一歩です。
ネジロック剤の基本的な役割と仕組み
ネジロック剤の主な役割は、ネジの緩み止めとシール効果です。特に振動が多い機械や、安全性が求められる箇所で広く利用されています。ネジロック剤の多くは「嫌気性接着剤」に分類され、金属イオンが存在し、かつ空気が遮断された状態で硬化するという特性を持っています。ボトルの中では空気に触れているため液体のままですが、ネジとナットの隙間に入り込み、空気が遮断されることで化学反応を起こし、硬化してネジを固定します。この硬化した樹脂がネジ山を埋め、緩みを防止するだけでなく、水や油の侵入を防ぎ、防錆効果も発揮するのです。
ネジロック剤の種類と強度の違い
ネジロック剤には、その固着力によって主に低強度、中強度、高強度の3種類があります。これらの強度の違いは、除去の難易度に直結するため、使用されているネジロック剤の種類を把握することが重要です。一般的に、パッケージの色で強度を区別しているメーカーが多く、例えばロックタイト製品では低強度が紫、中強度が青、高強度が赤で示されています。
低強度ネジロック剤
低強度タイプは、比較的容易に取り外しが可能なネジロック剤です。主に精密機器の小さなネジや、頻繁に分解する可能性がある箇所に使用されます。標準的な工具で比較的簡単に緩めることができ、熱を加える必要はほとんどありません。ロックタイトの「222」などがこのタイプに該当します。
中強度ネジロック剤
中強度タイプは、固定力と取り外しやすさのバランスが取れた汎用性の高いネジロック剤です。自動車やバイクの整備、家具の組み立てなど、幅広い用途で使われます。標準工具での取り外しが可能ですが、固着が強い場合は少し力を加える必要があるかもしれません。ロックタイトの「243」などが代表的です。
高強度ネジロック剤
高強度タイプは、一度締め付けると非常に強力に固着し、恒久的な固定を目的とする箇所に用いられます。安全性が最優先される重要部品や、絶対に緩んでほしくない箇所に使用されます。このタイプは、標準工具だけではほとんど取り外しができません。取り外す際には、熱を加えることが必須となります。ロックタイトの「263」などが高強度タイプに分類されます。
なぜネジロック剤の除去が難しいのか
ネジロック剤の除去が難しい主な理由は、その強力な接着力と嫌気性接着剤の特性にあります。ネジ山全体に均一に硬化した樹脂が充填されているため、ネジとナットが一体化したような状態になり、摩擦力だけでは回しにくくなります。特に高強度タイプでは、接着剤の樹脂成分が熱に反応して軟化する性質を利用しなければ、物理的な力だけで取り外そうとすると、ネジ頭がなめたり、ボルトが折れたりするリスクが高まります。
ネジロック剤の除去方法【基本編】低・中強度タイプ

低強度や中強度のネジロック剤が使用されているネジは、比較的容易に除去できます。しかし、適切な工具と手順を踏むことで、より安全かつスムーズに作業を進めることが可能です。ここでは、基本的な除去方法と、固着が軽度な場合の対処法について解説します。
必要な工具と準備
ネジロック剤が塗布されたネジを取り外す前に、以下の工具を準備しましょう。
- 適切なサイズのドライバーまたはレンチ: ネジ頭に合ったものを選び、なめないように注意します。
- パーツクリーナーまたは脱脂洗浄剤: ネジ周辺の汚れや油分を除去し、作業効率を高めます。
- ウエスまたはきれいな布: 拭き取り作業に使用します。
- 保護メガネ、手袋: 安全確保のために着用しましょう。
作業を始める前に、ネジ周辺をパーツクリーナーなどで清掃し、油分や汚れを取り除いておくことが重要です。これにより、工具がネジ頭にしっかりとフィットし、滑りにくくなります。
標準工具での取り外し
低強度および中強度のネジロック剤は、基本的に標準的なドライバーやレンチで取り外すことが可能です。ネジのサイズに合った工具をしっかりと奥まで差し込み、ゆっくりと均等な力を加えて回し始めます。急激な力を加えると、ネジ頭をなめてしまう原因となるため注意が必要です。もし、少し固いと感じても、焦らずにじわじわと力を加えてみましょう。
ネジが緩み始めたら、そのままゆっくりと回して取り外します。取り外したネジやナットには、硬化したネジロック剤の残骸が付着していることがあります。これらは後でしっかりと除去する必要があります。
固着が軽度な場合の対処法
中強度ネジロック剤の場合、まれに固着が強く感じられることがあります。そのような軽度な固着に対しては、以下の方法を試してみましょう。
- 衝撃を与える: ドライバーをネジ頭に当て、ハンマーなどで軽く叩くことで、固着したネジロック剤に微細なひびを入れ、緩みやすくする効果が期待できます。ただし、部品を破損しないよう力加減には十分注意してください。
- 潤滑剤の併用: ネジと部品の隙間に浸透性の高い潤滑剤(防錆潤滑剤など)を少量塗布し、しばらく放置することで、ネジロック剤の固着を弱める効果がある場合があります。ただし、ネジロック剤は油分に強い性質を持つため、効果は限定的かもしれません。
これらの方法でも緩まない場合は、次に解説する応用編の除去方法を検討する必要があります。無理な力を加え続けることは、ネジや部品の損傷に繋がるため避けるべきです。
ネジロック剤の除去方法【応用編】高強度タイプと頑固な固着

高強度ネジロック剤や、低・中強度であっても長期間の固着で非常に頑固になっているネジの除去には、熱や溶剤といったより強力な手段が必要となります。これらの方法は効果的ですが、適切な知識と安全対策が不可欠です。
熱を加える方法(ヒートガン・ハンダゴテ・バーナー)
ネジロック剤、特に高強度タイプは、熱を加えることで軟化し、接着力が低下する性質があります。これは、ネジロック剤の樹脂成分が熱によって分解されるためです。 加熱は最も効果的な除去方法の一つですが、対象部品の材質や周囲の環境に注意しながら行いましょう。
適切な温度と加熱時間
ネジロック剤を軟化させるには、一般的に200℃~250℃程度の加熱が必要とされています。 低強度や中強度でも、固着が強い場合は150℃程度に加熱することで取り外しやすくなります。加熱時間は、ネジのサイズや材質、ネジロック剤の種類によって異なりますが、数分間を目安に、ネジが十分に温まるまで行います。加熱しすぎると、周囲の部品を損傷する可能性があるため注意が必要です。
加熱時の注意点と安全対策
熱を加える作業は、火傷や周囲の部品の損傷のリスクを伴います。以下の点に注意し、安全に作業を進めましょう。
- 耐熱グローブと保護メガネの着用: 火傷や飛散物から身を守ります。
- 換気の良い場所で作業: 加熱により有害なガスが発生する可能性があるため、換気を十分に行いましょう。
- 対象部品の材質確認: プラスチックやゴムなど、熱に弱い部品が近くにある場合は、加熱によって変形や損傷する恐れがあります。必要に応じて、これらの部品を保護するか、取り外してから作業を行いましょう。
- ピンポイント加熱: ハンダゴテや小型バーナーを使用し、ネジロック剤が塗布されているネジ部分のみをピンポイントで加熱することで、周囲への影響を最小限に抑えられます。
- 加熱後すぐに作業: ネジロック剤は冷めると再び固着し始めるため、熱いうちに工具を使ってネジを緩めます。
溶剤を使用する方法(アセトン・専用除去剤)
ネジロック剤は、特定の溶剤によっても軟化させることができます。熱が使えない環境や、より穏やかな方法を試したい場合に有効です。
アセトンの効果と使い方
アセトンは、強力な溶解力を持つ有機溶剤で、ネジロック剤の樹脂成分を軟化させる効果があります。ドラッグストアやホームセンターで手に入るネイルリムーバーの主成分としても知られており、安価で入手しやすいのが特徴です。
使い方は、ネジロック剤が固着している部分にアセトンを少量塗布し、数分間放置します。アセトンがネジロック剤に浸透し、軟化してきたら、標準工具でネジを緩めます。必要に応じて、この作業を数回繰り返すことで、より効果的に除去できるでしょう。
専用除去剤の選び方とメリット
ネジロック剤専用の除去剤も市販されています。これらの製品は、ネジロック剤の成分に合わせて開発されており、より安全かつ効率的に除去できるメリットがあります。
- フォーム状タイプ: 泡状で液だれしにくく、ピンポイントで塗布しやすいのが特徴です。周囲への飛び散りを抑えたい場合に適しています。
- 浸透性タイプ: ネジの隙間に深く浸透し、内部のネジロック剤を軟化させます。
専用除去剤を選ぶ際は、対象となるネジロック剤の種類や、除去したい部品の材質(プラスチックや塗装面への影響)を確認することが重要です。製品の説明書をよく読み、指示に従って使用しましょう。
溶剤使用時の注意点
アセトンや専用除去剤を使用する際は、以下の点に特に注意してください。
- 換気を十分に行う: 有機溶剤は揮発性が高く、吸い込むと健康に害を及ぼす可能性があります。必ず換気の良い場所で作業しましょう。
- 保護具の着用: 皮膚に付着すると刺激を与えることがあるため、ゴム手袋や保護メガネを着用してください。
- プラスチックや塗装面への影響: アセトンはプラスチックや塗装面を侵す性質があります。対象部品の材質を確認し、溶剤がかからないようにマスキングするなどの対策が必要です。
- 火気厳禁: 有機溶剤は引火性があるため、火気の近くでの使用は絶対に避けてください。
物理的な除去方法(ワイヤーブラシなど)
ネジロック剤がネジ山に残ってしまった場合や、完全に除去したい場合には、物理的な方法も併用します。ただし、ネジ山を傷つけないよう慎重に行う必要があります。
- ワイヤーブラシ: ネジを取り外した後、ネジ山に残った硬化物をワイヤーブラシでこすり落とします。真鍮製などの柔らかいブラシを選ぶと、ネジ山へのダメージを抑えられます。
- タップ・ダイス: ネジ穴(メネジ)やボルト(オネジ)のネジ山にネジロック剤が固着してしまった場合は、タップやダイスを使ってネジ山を清掃する方法もあります。これはネジ山を修正する工具でもあるため、正しい使い方を熟知している場合にのみ行いましょう。
これらの物理的な除去方法は、あくまで補助的な手段として考え、ネジ山を傷つけないことを最優先に作業を進めることが大切です。
ネジロック剤除去時の注意点とトラブル対策

ネジロック剤の除去作業は、慎重に行わないとネジや部品の破損、さらには作業者の怪我につながる可能性があります。ここでは、作業中に起こりうるトラブルを未然に防ぎ、安全に作業を進めるための重要な注意点と対策について解説します。
ネジや部品を傷つけないためのコツ
ネジロック剤の除去で最も避けたいのは、ネジや周辺部品を傷つけてしまうことです。特に、ネジ頭がなめてしまうと、取り外しがさらに困難になります。以下のコツを意識して作業しましょう。
- 適切な工具の選定: ネジのサイズや種類に合ったドライバーやレンチを必ず使用してください。サイズが合わない工具は、ネジ頭をなめる最大の原因です。
- 工具を奥までしっかり差し込む: ドライバーや六角レンチを使用する際は、ネジ頭の溝や穴に工具を奥までしっかりと差し込み、ガタつきがないことを確認してから回し始めましょう。
- ゆっくりと均等な力を加える: 急激な力や斜め方向の力は、ネジ頭をなめる原因となります。ネジに対して垂直に、ゆっくりと均等な力を加えて回すことを心がけてください。
- 加熱や溶剤を適切に使う: 特に高強度ネジロック剤の場合、無理に回す前に熱や溶剤で固着力を弱めることが、ネジの損傷を防ぐ最も効果的な方法です。
ネジ頭がなめてしまった場合の対処法
万が一、ネジ頭がなめてしまっても、諦める必要はありません。いくつかの対処法があります。
- ネジ外し工具の使用: なめてしまったネジ頭に対応する専用のネジ外し工具(ネジザウルスなど)があります。これらは、なめたネジ頭を掴んで回したり、ドリルで穴を開けて逆タップで取り外したりするタイプがあります。
- タガネやドリルでの加工: 最終手段として、ネジ頭にタガネで溝を掘り、マイナスドライバーで回す方法や、ドリルでネジ頭を破壊して取り外す方法もあります。しかし、周囲の部品を傷つけるリスクが高いため、細心の注意と技術が必要です。
- プロへの依頼: どうしても自分で解決できない場合は、専門の修理業者やバイク・自動車ショップなどに相談することを検討しましょう。
プラスチック部品への影響
ネジロック剤の除去に熱や溶剤を使用する場合、周囲のプラスチック部品への影響は特に注意が必要です。熱はプラスチックを変形させたり溶かしたりする可能性があり、アセトンなどの溶剤はプラスチックを侵食し、白化させたり脆くしたりすることがあります。
対策としては、熱に弱い部品や溶剤に弱い部品は、事前に取り外すか、耐熱テープやマスキングテープでしっかりと保護しましょう。また、溶剤を使用する際は、少量ずつ塗布し、プラスチックに付着しないよう細心の注意を払うことが大切です。万が一付着してしまった場合は、すぐに拭き取り、水で洗い流すなどの対処が必要です。
作業環境と安全対策
安全な作業環境を整えることは、事故防止の基本です。
- 十分な換気: 熱によるガスや溶剤の蒸気を吸い込まないよう、窓を開ける、換気扇を回すなどして、作業場所の換気を十分に行いましょう。
- 保護具の着用: 保護メガネ、耐熱グローブ、ゴム手袋は必ず着用してください。
- 火気厳禁: 溶剤を使用する場合は、火気の近くでの作業は絶対に避けてください。
- 整理整頓: 作業スペースは整理整頓し、不要なものを置かないようにしましょう。工具や部品が散乱していると、つまずいたり、工具が滑って怪我をしたりする原因になります。
これらの注意点を守ることで、安全かつ効率的にネジロック剤の除去作業を進めることができます。
ネジロック剤除去後のメンテナンスと再利用のコツ

ネジロック剤を除去した後のネジやネジ穴は、適切なメンテナンスを行うことで、部品の寿命を延ばし、将来的なトラブルを防ぐことができます。また、ネジの再利用についても、正しい判断基準を知っておくことが重要です。
古いネジロック剤の完全除去
ネジロック剤を除去した後、ネジ山には硬化した接着剤の残骸が残っていることがあります。これらの残骸を完全に除去することが、その後のネジの機能や、もし再度ネジロック剤を使用する場合の接着効果に大きく影響します。
- ワイヤーブラシや歯ブラシ: ネジ山に詰まった小さなカスは、真鍮製のワイヤーブラシや使い古しの歯ブラシなどで丁寧にこすり落としましょう。
- パーツクリーナーや溶剤: 残った接着剤の膜や油分は、パーツクリーナーやアセトンを含ませた布で拭き取ります。特に、ネジ穴(メネジ)の奥に固着物が残っている場合は、細いブラシや綿棒に溶剤を含ませて清掃すると良いでしょう。
- タップ・ダイスでの清掃: ネジ山がひどく汚れている場合や、ネジロック剤が深く固着している場合は、タップ(メネジ用)やダイス(オネジ用)を使ってネジ山を清掃・修正することも有効です。ただし、これはネジ山を削る作業でもあるため、慎重に行う必要があります。
古いネジロック剤が残っていると、新しいネジロック剤の性能が十分に発揮されなかったり、ネジの締め付けトルクが不正確になったりする原因となります。時間をかけて丁寧に清掃しましょう。
ネジ山の手入れと防錆
ネジロック剤を除去し、清掃した後のネジ山は、必要に応じて手入れと防錆対策を行いましょう。
- ネジ山の状態確認: ネジロック剤の除去作業中に、ネジ山が損傷していないか目視で確認します。もしネジ山が潰れていたり、欠けていたりする場合は、そのネジの再利用は避けるべきです。
- 防錆処理: ネジロック剤は防錆効果も兼ねていますが、除去後はその効果が失われます。特に金属製のネジは錆びやすくなるため、防錆潤滑剤を塗布するなどの防錆処理を行うことをおすすめします。
- 再利用しない場合: もしそのネジを再利用しないのであれば、特に防錆処理は不要ですが、廃棄する際は地域のルールに従いましょう。
ネジの再利用可否と判断基準
ネジロック剤が塗布されていたネジを再利用できるかどうかは、そのネジの状態と、次に使用する箇所の重要度によって判断が異なります。
- 再利用が可能なケース:
- ネジ山に損傷がなく、完全に清掃されている場合。
- 低強度または中強度のネジロック剤が使用されており、容易に除去できた場合。
- 重要度の低い箇所や、一時的な固定に使用する場合。
- 再利用を避けるべきケース:
- ネジ山が損傷している、または摩耗している場合。
- 高強度ネジロック剤が使用されており、除去に手間がかかった場合や、ネジに負荷がかかった可能性がある場合。
- ブレーキやエンジンなど、安全性が最優先される重要部品に使用するネジ。
- 一度ネジロック剤を塗布したネジは、新品のネジに比べて強度が低下している可能性があるため、重要な箇所では新品への交換が推奨されます。
ネジの再利用は、コスト削減につながる一方で、安全性のリスクも伴います。特に重要な箇所では、迷わず新品のネジに交換し、必要であれば再度適切なネジロック剤を塗布することをおすすめします。
よくある質問

- ネジロック剤は熱で溶けますか?
- ネジロック剤を剥がすには何を使いますか?
- ネジロック剤の強度の見分け方は?
- ネジロック剤が固まらないのはなぜですか?
- ネジロック剤を塗ったネジは再利用できますか?
- ネジロック剤の代用になるものはありますか?
- 高強度ネジロック剤の外し方は?
- ネジロック剤を塗布しすぎるとどうなりますか?
ネジロック剤は熱で溶けますか?
はい、ネジロック剤は熱を加えることで軟化し、接着力が低下します。特に高強度タイプのネジロック剤は、熱を加えることが除去の必須条件となります。一般的に200℃~250℃程度の加熱が効果的とされています。ハンダゴテ、ヒートガン、小型バーナーなどが加熱に用いられます。
ネジロック剤を剥がすには何を使いますか?
ネジロック剤を剥がす方法としては、主に以下のものがあります。低・中強度であれば標準工具で外せる場合が多いですが、固着が強い場合や高強度では熱を加えることが最も効果的です。また、アセトンや専用の除去剤も有効です。
- 熱: ハンダゴテ、ヒートガン、バーナーなど。
- 溶剤: アセトン(ネイルリムーバーなど)、ネジロック剤専用除去剤。
- 物理的手段: 標準工具、ネジ外し工具、ワイヤーブラシ(残骸除去用)。
ネジロック剤の強度の見分け方は?
ネジロック剤の強度は、製品パッケージや容器の色で区別されていることが一般的です。例えば、ヘンケルジャパンのロックタイト製品では、低強度が紫、中強度が青、高強度が赤で表示されています。製品を選ぶ際や除去する際に、この色を目安にすると良いでしょう。
ネジロック剤が固まらないのはなぜですか?
ネジロック剤が固まらない主な理由は、その特性である「嫌気性」が関係しています。ネジロック剤は、金属イオンが存在し、かつ空気が遮断された状態で硬化します。そのため、ネジの隙間からはみ出した部分や、プラスチック部品に塗布された場合は、空気に触れているため硬化しないことがあります。また、使用期限切れや保管状態が悪い場合も硬化不良の原因となります。
ネジロック剤を塗ったネジは再利用できますか?
ネジロック剤を塗ったネジは、状態が良ければ再利用できる場合があります。しかし、再利用する際は、古いネジロック剤を完全に除去し、ネジ山に損傷がないことを確認することが重要です。特に、安全性が求められる重要部品のネジは、一度使用したら新品に交換することが推奨されます。
ネジロック剤の代用になるものはありますか?
ネジロック剤の代用として、瞬間接着剤やエポキシ接着剤を検討する人もいますが、これらはネジロック剤とは異なる特性を持つため、推奨されません。ネジロック剤は取り外しを考慮した設計や、嫌気性という特殊な硬化メカニズムを持っています。代用品を使用すると、ネジが二度と外せなくなったり、十分な緩み止め効果が得られなかったりするリスクがあります。
高強度ネジロック剤の外し方は?
高強度ネジロック剤の外し方には、熱を加えることが必須です。ハンダゴテ、ヒートガン、または小型バーナーなどを使って、ネジロック剤が塗布されている部分を200℃~250℃程度に加熱します。ネジロック剤が軟化したら、熱いうちに適切な工具でネジを緩めて取り外します。火傷や周囲の部品への影響に十分注意し、保護具を着用して作業しましょう。
ネジロック剤を塗布しすぎるとどうなりますか?
ネジロック剤を塗布しすぎると、いくつかの問題が発生する可能性があります。まず、はみ出したネジロック剤が空気に触れて硬化せず、ベタつきが残ることがあります。また、必要以上に塗布された接着剤がネジ以外の部品の隙間に入り込み、部品同士が固着してしまい、分解が困難になることがあります。さらに、付着したネジロック剤が酸化して錆の原因となるケースも報告されています。適量を塗布することが大切です。
まとめ

- ネジロック剤はネジの緩み止めに効果的な接着剤です。
- 低強度、中強度、高強度の3種類があり、除去方法が異なります。
- 低・中強度は標準工具で取り外し可能です。
- 高強度ネジロック剤の除去には200℃以上の加熱が必須です。
- 加熱にはハンダゴテ、ヒートガン、バーナーが有効です。
- アセトンや専用除去剤もネジロック剤の軟化に役立ちます。
- 溶剤使用時は換気と保護具の着用、プラスチックへの影響に注意が必要です。
- ネジ頭がなめた場合はネジ外し工具や専門業者への相談を検討しましょう。
- 作業時はネジや部品を傷つけないよう、適切な工具と慎重な作業が大切です。
- 除去後は古いネジロック剤を完全に清掃し、ネジ山の手入れを行いましょう。
- ネジの再利用はネジ山の状態と使用箇所の重要度で判断します。
- 安全性が求められる箇所では新品のネジへの交換が推奨されます。
- ネジロック剤は金属イオンと空気遮断で硬化する嫌気性接着剤です。
- 塗布しすぎると部品の固着や錆の原因となることがあります。
- 本記事の情報を参考に、安全かつ確実にネジロック剤を除去しましょう。
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