「このミミズ腫れのような傷跡、もしかしてケロイド?」「市販の塗り薬でどうにかならないかな…」そんなお悩みを抱えていませんか?ケロイドは見た目が気になるだけでなく、かゆみや痛みを伴うこともあり、深刻な悩みになりがちです。本記事では、ケロイドとよく似た「肥厚性瘢痕」との違いから、市販で購入できる塗り薬の選び方、効果的な使い方まで詳しく解説します。あなたのその傷跡の悩み、この記事で解決の糸口を見つけましょう。
その傷跡、本当にケロイド?まずはセルフチェック

「ケロイド」と一括りにしてしまいがちですが、実はよく似た症状に「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」があります。両者は治療法が異なるため、まずはご自身の症状がどちらに近いかを知ることが大切です。ここでは、ケロイドと肥厚性瘢痕の違いと、見分けるためのポイントを解説します。
この章では以下の内容について解説します。
- ケロイドと肥厚性瘢痕の決定的な違い
- 簡単に見分ける3つのポイント
ケロイドと肥厚性瘢痕の決定的な違い
ケロイドと肥厚性瘢痕は、どちらも傷跡が赤く盛り上がる点で見た目が似ていますが、その性質には大きな違いがあります。最も大きな違いは、傷の範囲を超えて広がるかどうかです。
肥厚性瘢痕は、けがや手術などの傷の範囲内に留まって赤く盛り上がります。 時間の経過とともに、少しずつ色が薄くなったり、盛り上がりが平らになったりすることがあります。
一方、ケロイドは、元の傷の大きさを超えて、まるでカニの足のように周囲の正常な皮膚にまで赤みと盛り上がりが広がっていくのが特徴です。 自然に治ることはほとんどなく、むしろ徐々に大きくなってしまう傾向があります。 また、肥厚性瘢痕に比べて、かゆみや痛みが強い場合が多いのも特徴の一つです。
簡単に見分ける3つのポイント
ご自身の傷跡がどちらのタイプか、以下の3つのポイントでチェックしてみましょう。
- 傷跡の広がり方
元の傷の範囲を明らかに超えて、じわじわと広がっていますか?それとも、傷の範囲内に収まっていますか?傷の範囲を超えて広がっている場合は、ケロイドの可能性が高いです。 - 症状の強さ
強いかゆみや、服が擦れただけでも痛むような「痛み」がありますか?ケロイドは肥厚性瘢痕よりも、かゆみや痛みといった自覚症状が強い傾向にあります。 - 発生時期と経過
傷が治ってから1ヶ月以上経ってから赤みや盛り上がりが目立ち始め、徐々に大きくなっていませんか?肥厚性瘢痕は時間とともに改善傾向が見られることがありますが、ケロイドは自然に良くなることは稀です。
ただし、これらはあくまでセルフチェックの目安です。両者を正確に見分けるのは難しい場合もあり、厳密な区別ができないケースも少なくありません。 正確な診断と適切な治療のためには、一度皮膚科や形成外科を受診することをおすすめします。
【結論】ケロイドに市販の塗り薬は使える?

傷跡の悩みを抱える方が最も知りたいのは、「市販薬で治せるのか?」という点でしょう。ここでは、市販の塗り薬がどのような症状に効果が期待でき、どのような場合には専門的な治療が必要になるのか、その境界線について解説します。
この章では以下の内容について解説します。
- 市販薬が効果的なのは「肥厚性瘢痕」と「ごく軽度のケロイド」
- 本格的なケロイド治療は皮膚科が必須な理由
市販薬が効果的なのは「肥厚性瘢痕」と「ごく軽度のケロイド」
結論から言うと、市販の塗り薬は「肥厚性瘢痕」や、症状がごく軽い初期段階のケロイドに対しては、症状の緩和や改善が期待できます。 市販薬には、皮膚のターンオーバーを促進したり、保湿したり、炎症を抑えたりする成分が含まれているものがあります。
特に、ヘパリン類似物質という成分は、保湿作用、血行促進作用、抗炎症作用があり、傷跡の治療によく用いられます。 これらの作用により、傷跡のしこりや突っ張りを和らげ、赤みを改善する効果が期待できるのです。
ただし、市販薬はあくまで対症療法であり、傷跡を完全になくすものではありません。根気強くケアを続けることが重要です。
本格的なケロイド治療は皮膚科が必須な理由
一方で、傷の範囲を超えて広がるような本格的なケロイドの場合、市販薬だけで完治させるのは非常に困難です。 ケロイドは、皮膚の深い部分で炎症が慢性化し、線維組織が過剰に増え続ける病的な状態です。 そのため、根本的な治療には専門的なアプローチが必要となります。
皮膚科や形成外科では、以下のような専門的な治療が行われます。
- ステロイド外用薬・テープ・注射: 炎症を強力に抑え、盛り上がりを平らにする効果があります。
- 内服薬: 抗アレルギー薬(トラニラストなど)で、かゆみや痛みを和らげ、炎症を抑えます。
- 圧迫療法: シリコンジェルシートなどで傷跡を圧迫・固定し、血流を抑えて盛り上がりを抑制します。
- レーザー治療: 赤みを改善したり、コラーゲンの分解を促したりします。
- 外科手術・放射線治療: 大きくなったケロイドを切除し、再発予防のために放射線治療を組み合わせることもあります。
このように、ケロイドの治療には様々な選択肢があり、症状や部位に合わせてこれらを組み合わせて行います。 自己判断で市販薬を使い続けて症状が悪化してしまう前に、早めに専門医に相談することが、きれいな肌を取り戻すための最も確実な道と言えるでしょう。
ケロイド・肥厚性瘢痕におすすめの市販塗り薬4選

ここでは、ドラッグストアなどで購入できる、ケロイドや肥厚性瘢痕のケアにおすすめの市販薬を具体的にご紹介します。有効成分や剤形の特徴を理解し、ご自身の症状や使いやすさに合ったものを選びましょう。
この章では以下の内容について解説します。
- 【定番】アットノンシリーズ(小林製薬)
- 【保湿・血行促進】HPクリーム(グラクソ・スミスクライン)
- 【ジェネリックも】ピアソンHPシリーズ(新新薬品工業)
- 市販薬の比較一覧表
【定番】アットノンシリーズ(小林製薬)
傷跡ケアの市販薬として非常に有名なのが、小林製薬の「アットノン」シリーズです。 アットノンEXには、ヘパリン類似物質、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウムという3つの有効成分が配合されています。
ヘパリン類似物質が血行を促進して皮膚のターンオーバーを促し、アラントインが傷ついた皮膚組織を修復、そしてグリチルリチン酸ジカリウムが傷跡に残る炎症を鎮めるという、トリプルアプローチで傷跡に働きかけます。 ジェルタイプとクリームタイプがあり、使用感の好みで選べるのも嬉しいポイントです。 また、傷跡を隠しながら治療できるコンシーラータイプもあります。
【保湿・血行促進】HPクリーム(グラクソ・スミスクライン)
「HPクリーム」は、医療用医薬品の「ヒルドイド」と同じ有効成分であるヘパリン類似物質を配合した市販薬です。 高い保湿力と血行促進作用が特徴で、乾燥によるつっぱり感がある傷跡や、血行不良で赤みが気になる傷跡に適しています。
皮膚の水分を保ち、柔軟性を取り戻すことで、硬くなった傷跡を和らげる効果が期待できます。シンプルな処方で、肌への刺激が気になる方でも比較的使いやすいでしょう。
【ジェネリックも】ピアソンHPシリーズ(新新薬品工業)
「ピアソンHP」シリーズも、HPクリームと同様にヘパリン類似物質を主成分とする市販薬です。クリーム、ローション、油性クリームといった様々な剤形がラインナップされており、塗る部位や季節、肌質に合わせて最適なものを選べます。
特にローションタイプは伸びが良く、背中や脚など広範囲に塗りやすいのが特徴です。ジェネリック医薬品メーカーが製造していることもあり、比較的安価で手に入れやすい点も魅力で、継続的なケアが必要な場合に経済的な負担を軽減できます。
市販薬の比較一覧表
ここで紹介した市販薬の特徴を一覧表にまとめました。選ぶ際の参考にしてください。
商品名 | 販売会社 | 主な有効成分 | 特徴 |
---|---|---|---|
アットノンEX ジェル/クリーム | 小林製薬 | ヘパリン類似物質, アラントイン, グリチルリチン酸ジカリウム | 3つの有効成分で多角的にアプローチ。知名度が高く入手しやすい。 |
HPクリーム | グラクソ・スミスクライン | ヘパリン類似物質 | 医療用と同成分。保湿と血行促進に優れる。 |
ピアソンHPシリーズ | 新新薬品工業 | ヘパリン類似物質 | 剤形が豊富。比較的安価で継続しやすい。 |
後悔しない!市販塗り薬の正しい選び方

数ある市販薬の中から自分に合ったものを選ぶのは難しいと感じるかもしれません。ここでは、後悔しないための塗り薬の選び方を3つのポイントに絞って解説します。成分、剤形、そして続けやすさの観点から、最適な一品を見つけましょう。
この章では以下の内容について解説します。
- Point1: 有効成分「ヘパリン類似物質」に注目
- Point2: 傷跡の状態に合わせて剤形を選ぶ
- Point3: 継続できる価格と容量か
Point1: 有効成分「ヘパリン類似物質」に注目
市販の傷跡ケア薬を選ぶ上で、まず注目したいのが「ヘパリン類似物質」という有効成分です。 この成分は、医療現場でも乾燥肌や血行障害の治療に長年使われてきた実績があります。
ヘパリン類似物質には、主に3つの働きがあります。
- 保湿作用:角質層に水分を保持させ、皮膚のバリア機能を高めます。
- 血行促進作用:皮膚の血流を改善し、新陳代謝(ターンオーバー)を促します。
- 抗炎症作用:傷跡内部で起こっている慢性的な炎症を鎮めます。
これらの作用が複合的に働くことで、硬くなった皮膚を柔らかくし、赤みや盛り上がりを徐々に改善していく効果が期待できます。 肥厚性瘢痕やケロイドのケアを始めるなら、まずはこのヘパリン類似物質が配合されているかどうかを一つの基準にすると良いでしょう。
Point2: 傷跡の状態に合わせて剤形を選ぶ
塗り薬には、クリーム、ジェル、ローションなど様々な「剤形」があります。それぞれに使用感や特性があるため、傷跡の状態や塗る場所に合わせて選ぶことが大切です。
- クリームタイプ:油分が多く、しっとりとした使用感が特徴です。保湿力が高く、皮膚を保護する効果に優れているため、乾燥しがちな傷跡や、衣類で擦れやすい部位におすすめです。塗った後に白残りしにくい製品も増えています。
- ジェルタイプ:水分ベースで、さっぱりとしてベタつかないのが特徴です。 伸びが良く、広範囲に塗りやすいです。顔や腕など、ベタつきが気になる部位への使用に適しています。
- ローションタイプ:乳液状で、最も伸びが良い剤形です。背中や脚など、自分では塗りにくい広範囲の傷跡にもスムーズに塗布できます。
例えば、関節部分の突っ張りが気になる傷跡には保湿力の高いクリーム、顔のニキビ跡にはベタつかないジェル、といったように使い分けるのが効果的です。
Point3: 継続できる価格と容量か
傷跡のケアは、一朝一夕で効果が出るものではありません。皮膚のターンオーバーの周期を考えても、最低でも1ヶ月、場合によっては数ヶ月から半年以上の継続が必要です。
そのため、無理なく使い続けられる価格帯の製品を選ぶことが非常に重要になります。高価な薬を少量ずつ使うよりも、手頃な価格の薬を適量、毎日続ける方が結果的に高い効果を得られる可能性があります。
また、傷跡の大きさに見合った容量の製品を選ぶことも大切です。小さな傷跡であれば少量タイプで十分ですが、広範囲の傷跡をケアする場合は、大容量タイプや、比較的安価なジェネリック製品(例:ピアソンHPシリーズなど)を選ぶと経済的な負担を抑えられます。ドラッグストアのプライベートブランド製品も選択肢の一つです。
効果を最大化する塗り薬の使い方と注意点

せっかく選んだ塗り薬も、使い方が間違っていては十分な効果を発揮できません。ここでは、市販薬の効果を最大限に引き出すための正しい使い方と、思わぬトラブルを避けるための注意点を解説します。毎日の正しいケアで、着実に傷跡の改善を目指しましょう。
この章では以下の内容について解説します。
- 1日1回以上、優しく塗り込む
- 最低でも1ヶ月は継続して様子を見る
- やってはいけないNGな使い方
1日1回以上、優しく塗り込む
塗り薬の効果を実感するためには、1日に1回から数回、継続して塗ることが基本です。 製品の用法・用量を確認し、それに従ってください。特に、入浴後の皮膚が清潔で柔らかくなっているタイミングは、薬の成分が浸透しやすいためおすすめです。
塗る際は、ゴシゴシと強く擦り込むのは避けましょう。傷跡への刺激は、かえって炎症を悪化させる原因になりかねません。薬を指先にとり、傷跡部分に優しく乗せるように塗り、円を描くように軽くマッサージしながら塗り広げるのがコツです。薬が皮膚に浸透し、表面がサラッとするまで丁寧に行いましょう。
最低でも1ヶ月は継続して様子を見る
傷跡のケアは、根気が必要な長期戦です。皮膚は一定の周期で生まれ変わっており(ターンオーバー)、このサイクルに合わせて少しずつ傷跡の状態が変化していきます。そのため、数日使っただけでは目に見える効果は現れにくいのが普通です。
まずは最低でも1ヶ月は毎日ケアを続けてみてください。 小林製薬の公式サイトによると、「硬い傷跡がやわらかくなり、平らになって、徐々に赤みが引いてくれば効きはじめのサイン」とされています。 変化が少しでも感じられれば、それは薬が効いている証拠です。焦らず、じっくりとケアを継続しましょう。
やってはいけないNGな使い方
良かれと思ってやっていることが、実は症状を悪化させる原因になることもあります。以下のNGな使い方には注意してください。
- 傷が完全にふさがっていないうちに塗る:塗り薬は、あくまで「傷跡」に使うものです。まだジュクジュクしていたり、出血したりしている開いた傷に塗るのは絶対にやめましょう。 感染症の原因になったり、傷の治りを遅らせたりする可能性があります。
- 目や粘膜の周りに使用する:特に記載がない限り、目や口、鼻の粘膜など、皮膚の薄いデリケートな部分への使用は避けてください。
- かゆいからと強く掻きながら塗る:かゆみを伴う場合、掻きむしりながら薬を塗ると、皮膚をさらに傷つけ、炎症を悪化させてしまいます。かゆみが強い場合は、薬を塗る前に冷たいタオルなどで軽く冷やすと、一時的にかゆみが和らぐことがあります。
- 副作用が出ても使い続ける:薬を塗った部分に発疹、赤み、かゆみなどの異常が現れた場合は、薬が肌に合っていない可能性があります。すぐに使用を中止し、薬剤師や医師に相談してください。
市販薬で改善しない…皮膚科を受診する目安

市販薬でセルフケアを続けても、なかなか改善が見られない、あるいは悪化してしまうこともあります。そんな時は、自己判断を続けてはなりません。専門家である医師の診断を仰ぐべきタイミングです。ここでは、皮膚科を受診すべき具体的な目安と、病院で行われる治療について解説します。
この章では以下の内容について解説します。
- こんな症状が出たらすぐに病院へ
- 皮膚科ではどんな治療をするの?
こんな症状が出たらすぐに病院へ
市販薬を1ヶ月以上試しても、以下のような状態が見られる場合は、セルフケアの限界かもしれません。速やかに皮膚科や形成外科を受診しましょう。
- 傷跡がどんどん大きくなる、広がる:元の傷の範囲を超えて盛り上がりが拡大している場合、本格的なケロイドの可能性が高いです。 市販薬での対応は困難です。
- 赤み、かゆみ、痛みが悪化する:市販薬を使い始めてから、かえって症状が強くなった場合、薬が合っていないか、症状が進行しているサインです。
- 傷跡が硬く、盛り上がりが強くなる:改善の兆しがなく、むしろ硬さや盛り上がりが増している場合も、専門的な治療が必要です。
- ひきつれ感があり、動きにくい:関節部分などにできた傷跡がひきつれ(瘢痕拘縮)を起こし、手足の動きを妨げている場合は、機能的な問題も関わるため、早期の受診が推奨されます。
- 膿んだり、熱を持ったりしている:傷跡に細菌感染を起こしている可能性があります。抗生物質などによる治療が必要です。
特に、傷跡が大きくなり続ける場合は、放置せずに必ず専門医に相談してください。
皮膚科ではどんな治療をするの?
皮膚科や形成外科では、まず問診と視診によって、傷跡がケロイドなのか肥厚性瘢痕なのか、あるいは別の皮膚疾患なのかを正確に診断します。その上で、症状の程度、部位、患者さんの希望などを考慮して、最適な治療法を提案してくれます。
主な治療法には、以下のようなものがあります。
- 薬物療法:
- ステロイド外用薬・テープ:市販薬よりも強力な抗炎症作用を持つステロイド剤を塗ったり貼ったりします。 盛り上がりや赤み、かゆみを抑える基本の治療です。
- ステロイド局所注射:盛り上がった部分に直接ステロイドを注射し、内部から炎症と線維の増殖を抑えます。 比較的早く効果が現れやすい治療法です。
- 内服薬:「リザベン(トラニラスト)」という抗アレルギー薬を内服し、かゆみや痛みを和らげ、ケロイドの進行を抑えます。
- 圧迫・固定療法:シリコンジェルシートやテープ、サポーターなどで傷跡を物理的に圧迫し、安静に保つことで、盛り上がりを抑制し、刺激から守ります。
- 外科的治療:
- 手術:ひきつれが強い場合や、他の治療で効果が見られない場合に、ケロイドを切除します。ただし、手術の傷跡から再発するリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
- 放射線治療:手術後に、再発を予防する目的で放射線(電子線)を照射することがあります。
- レーザー治療:傷跡の赤みを改善する目的などで、特殊なレーザーを照射します。
これらの治療は単独で行われることもありますが、多くの場合、複数の治療法を組み合わせて総合的に行われます。 治療には時間がかかることもありますが、専門医と相談しながら根気強く続けることが大切です。
ケロイドの塗り薬に関するよくある質問

ここでは、ケロイドの塗り薬や治療に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。正しい知識を身につけて、不安を解消しましょう。
Q. ケロイドを自力で治す方法はありますか?
A. 傷の範囲を超えて広がるような本格的なケロイドを自力で完全に治すことは非常に難しいです。 ケロイドは体質的な要因が大きく関わる病的な状態であり、自然治癒することは稀です。 市販薬でケアできるのは、ごく軽度のものや肥厚性瘢痕に限られます。自己判断で放置したり、不適切なケアを続けたりすると悪化する恐れがあるため、必ず皮膚科や形成外科を受診してください。
Q. アットノンは本当にケロイドに効きますか?
A. アットノンは、有効成分の働きにより皮膚のターンオーバーを促進し、炎症を鎮めることで「傷あと」を目立たなくする効果が期待できる医薬品です。 そのため、肥厚性瘢痕や、ケロイドの中でも赤みや盛り上がりが軽度な初期段階のものであれば、症状の改善が期待できます。しかし、活発に増殖しているケロイドを完治させるほどの強い効果はありません。 1ヶ月ほど使用しても改善が見られない、または悪化する場合は使用を中止し、専門医に相談しましょう。
Q. ケロイドは何科に行けばいいですか?
A. ケロイドの治療は、主に皮膚科または形成外科が専門となります。 どちらを受診しても基本的な治療は受けられますが、以下のような特徴があります。
- 皮膚科:塗り薬や注射、内服薬などの保存的治療を主に行います。まずは診断をつけてほしい、薬で治療したいという場合に適しています。
- 形成外科:保存的治療に加え、手術やレーザー治療、術後のケアなど、外科的なアプローチも得意としています。 ひきつれが強い場合や、見た目をよりきれいにしたいという希望が強い場合に適しています。
どちらを受診すべきか迷う場合は、まずはお近くの皮膚科に相談してみるのが良いでしょう。
Q. 傷跡がケロイドになるのを予防できますか?
A. ケロイドの発生を100%予防することは困難ですが、リスクを低減させるためにできることはあります。 まず、ケロイド体質の方は、不必要な怪我や手術(美容目的のピアスなど)を避けることが重要です。 傷ができてしまった場合は、傷口を清潔に保ち、早期に治療を開始することが大切です。手術後の傷跡などに対しては、傷跡を寄せるテープ(サージカルテープなど)で固定し、皮膚にかかる張力を減らすことが予防につながります。 また、紫外線は傷跡の色素沈着の原因になるため、UVケアも忘れずに行いましょう。
Q. ケロイドにワセリンやオロナインは効きますか?
A. ワセリンは皮膚を保護し、乾燥を防ぐ保湿剤ですが、ケロイドの盛り上がりや赤みを積極的に治す成分は含まれていません。乾燥予防として使うことはできますが、治療効果は期待できません。オロナインH軟膏は殺菌・消毒成分が主体の薬であり、傷の感染予防には有効ですが、できてしまったケロイドや肥厚性瘢痕に対する治療効果は謳われていません。ケロイドの治療には、ヘパリン類似物質やステロイドなど、抗炎症作用や血行促進作用のある成分が必要です。
まとめ

- ケロイドは傷の範囲を超えて広がり、肥厚性瘢痕は傷の範囲内に留まる。
- 市販薬は肥厚性瘢痕やごく軽度のケロイドに効果が期待できる。
- 本格的なケロイド治療には皮膚科・形成外科の受診が必須である。
- 市販薬選びでは「ヘパリン類似物質」配合のものがおすすめ。
- 傷跡の状態や塗る部位に合わせ、クリームやジェルなどの剤形を選ぶ。
- 傷跡ケアは長期戦なので、継続しやすい価格の製品を選ぶことが重要。
- 塗り薬は1日1回以上、優しく塗り込むのが正しい使い方である。
- 最低でも1ヶ月は継続し、効果のサインを見逃さないようにする。
- 開いた傷に塗ったり、副作用が出ても使い続けるのはNG。
- 市販薬で傷跡が大きく、硬くなる、痛みが悪化する場合は病院へ。
- 皮膚科ではステロイド薬、注射、内服、手術など専門的な治療を行う。
- 本格的なケロイドを自力で治すのは困難であり、専門医への相談が不可欠。
- アットノンは肥厚性瘢痕や軽度のケロイドには効果が期待できる。
- ケロイドの相談は皮膚科または形成外科が専門である。
- ケロイド予防には、傷を作らないことと早期の適切なケアが大切。