デリケートゾーンのかゆみやおりものの異常、もしかしてカンジ-タかも…?そんな時、塗り薬で治したいけど、病院に行くべきか市販薬で済ませるべきか悩みますよね。本記事では、病院で処方されるカンジタの塗り薬と市販薬の違い、病院を受診する目安などを詳しく解説します。つらい症状を早く改善し、再発を防ぐために、ぜひ参考にしてください。
まずはセルフチェック!その症状、本当にカンジタ?

デリケートゾーンのかゆみやおりものの変化に気づいたとき、「もしかしてカンジタ?」と不安になる方は少なくありません。しかし、自己判断は禁物です。まずは、カンジタ症の典型的な症状を知り、他の病気の可能性も考えながら冷静に判断することが大切です。ここでは、カンジタ症のセルフチェックポイントと、症状だけでは判断が難しい場合の対処法について解説します。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- カンジタ症の代表的な症状
- カンジタ症と間違えやすい他の病気
- 自分で判断できない場合は迷わず病院へ
カンジタ症の代表的な症状
カンジタ症は、カンジタという真菌(カビの一種)が異常増殖することで起こる感染症です。 もともと人の体内に存在する常在菌ですが、免疫力の低下などをきっかけに発症します。 女性の場合、以下のような症状が現れるのが特徴です。
- 強いかゆみ: 外陰部や腟の周辺に、我慢できないほどの強いかゆみを感じます。
- おりものの変化: 白くポロポロとした、まるでカッテージチーズや酒粕、ヨーグルトのようなおりものが増えます。 量も多くなる傾向があります。
- ヒリヒリ感・熱感: 外陰部や腟に、ヒリヒリとした痛みや熱っぽさを感じることがあります。
- 排尿痛・性交痛: 炎症がひどくなると、排尿時や性交渉の際に痛みを感じることがあります。
これらの症状が複数当てはまる場合、カンジタ症の可能性が考えられます。ただし、症状の現れ方には個人差があるため、あくまで目安として捉えてください。
カンジタ症と間違えやすい他の病気
デリケートゾーンのかゆみやおりものの異常は、カンジタ症以外の病気でも起こります。自己判断でカンジタ治療薬を使ってしまうと、症状が悪化したり、本来の病気の発見が遅れたりする危険性があります。
特に間違えやすい病気としては、以下のようなものが挙げられます。
- 細菌性腟症: 腟内の常在菌のバランスが崩れ、特定の細菌が増殖することで起こります。灰色っぽく水っぽいおりものや、魚の腐ったような臭いが特徴です。
- トリコモナス腟炎: 性感染症の一種で、泡状で黄緑色のおりものや強い悪臭、激しいかゆみを伴います。
- 接触皮膚炎: 下着やナプキン、石鹸などの刺激によって、かぶれやただれが起こる状態です。
- 萎縮性腟炎: 閉経後の女性ホルモンの減少により、腟の粘膜が薄くなり、乾燥やかゆみ、性交痛などが起こります。
これらの病気は、カンジタ症とは治療法が全く異なります。おりものの状態や臭い、かゆみの性質などをよく観察し、カンジタの典型的な症状と違うと感じた場合は、他の病気を疑う必要があります。
自分で判断できない場合は迷わず病院へ
セルフチェックをしても、自分の症状が本当にカンジタなのか確信が持てないことも多いでしょう。特に、初めてデリケートゾーンの異常を感じた場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診してください。
市販のカンジタ治療薬は、過去に医師からカンジタ症と診断・治療を受けたことがある人の「再発」にしか使用できません。 初めての症状で市販薬を使うことは、誤った治療につながるリスクが非常に高いのです。
「恥ずかしい」「時間がない」といった理由で受診をためらってしまう気持ちも分かります。しかし、正確な診断と適切な治療こそが、つらい症状から早く解放されるための最も確実な方法です。少しでも不安や疑問があれば、迷わず婦人科や産婦人科、皮膚科の専門医に相談しましょう。
【結論】カンジタの塗り薬は病院処方が基本!その理由とは

デリケートゾーンのつらい症状、一刻も早くなんとかしたいですよね。ドラッグストアで手軽に買える市販薬に頼りたくなる気持ちはよく分かります。しかし、カンジタ治療の基本は、病院で処方される薬を使用することです。なぜなら、それには明確な理由があるからです。ここでは、なぜ病院での処方が推奨されるのか、その3つの大きな理由を詳しく解説します。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 理由1:正確な診断が不可欠だから
- 理由2:効果の高い薬を処方してもらえるから
- 理由3:再発のリスクを減らせるから
理由1:正確な診断が不可欠だから
カンジタ治療において最も重要なのは、その症状が本当にカンジタによるものなのかを正確に診断することです。前章でも触れたように、デリケートゾーンのかゆみやおりものの異常は、細菌性腟症やトリコモナス腟炎など、他の病気が原因である可能性も十分にあります。
もし、カンジタ症ではないのにカンジタ治療薬を使ってしまうと、症状が改善しないばかりか、かえって悪化させてしまう恐れがあります。また、性感染症など、パートナーへの感染リスクがある病気を見逃してしまうことにもなりかねません。
病院では、医師が問診や内診、おりものの検査(顕微鏡検査や培養検査)などを行い、原因菌を特定します。 この科学的根拠に基づいた診断があるからこそ、最適な治療薬を選ぶことができるのです。自己判断という不確かな土台の上で治療を始めるのではなく、まずは専門家による確実な診断を受けることが、完治への第一歩となります。
理由2:効果の高い薬を処方してもらえるから
病院で処方される医療用の医薬品は、市販薬に比べて有効成分の種類が豊富で、効果が高い傾向にあります。カンジタ治療には、主に抗真菌薬が用いられますが、その種類は様々です。
医師は、患者さん一人ひとりの症状の重さや、カンジタ菌の種類、過去の治療歴などを考慮して、最も効果的と判断される薬を選択します。例えば、外陰部のかゆみが強い場合は塗り薬、腟内の症状が主であれば腟錠、そして症状が広範囲に及んでいたり、再発を繰り返したりする場合には内服薬が処方されることもあります。
市販薬は、安全性を考慮して成分や配合量が調整されています。もちろん、再発時の軽い症状には有効な場合もありますが、より確実に、そして速やかに症状を抑えたいのであれば、医師の診断のもとで処方される薬を使用するのが最善の選択と言えるでしょう。
理由3:再発のリスクを減らせるから
カンジタ症は、一度治っても再発しやすいという厄介な特徴があります。 疲れやストレスによる免疫力の低下、ホルモンバランスの変化、抗生物質の使用など、些細なきっかけでカンジタ菌は再び増殖を始めてしまいます。
病院では、薬を処方するだけでなく、なぜカンジタ症を発症したのか、その根本的な原因を探ることにも重点を置きます。そして、治療と並行して、再発を防ぐための生活習慣の改善について具体的なアドバイスをもらえます。
例えば、以下のような指導が受けられます。
- デリケートゾーンの正しい洗い方
- 通気性の良い下着の選び方
- 食生活の見直し
- ストレス管理の方法
薬で症状を抑える対症療法だけでなく、体質改善や生活習慣の見直しといった根本的なアプローチを併せて行うことで、つらい再発の連鎖を断ち切る可能性が高まります。これも、病院で治療を受ける大きなメリットの一つです。
病院で処方されるカンジタの塗り薬の種類と効果

病院でカンジタ症と診断された場合、症状に応じて様々な種類の薬が処方されます。塗り薬(外用薬)は、特に外陰部のかゆみや炎症を抑えるために重要な役割を果たします。ここでは、病院で処方される代表的な塗り薬の種類や効果、そして塗り薬以外の治療薬についても詳しく見ていきましょう。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 主な抗真菌薬(塗り薬)の種類
- 塗り薬以外の処方薬(膣錠・内服薬)
- 処方薬の副作用と注意点
主な抗真菌薬(塗り薬)の種類
カンジタ治療に用いられる塗り薬の主成分は「抗真菌薬」です。これは、カンジタ菌の増殖を抑えたり、殺菌したりする作用を持つ成分です。主に「イミダゾール系」と呼ばれるグループの薬が広く使われています。
代表的な処方薬には以下のようなものがあります。
- フロリードDクリーム(成分名:ミコナゾール硝酸塩): 多くの皮膚真菌症に効果があり、カンジタ症治療で頻繁に処方される薬の一つです。
- エンペシドクリーム(成分名:クロトリマゾール): こちらも代表的な抗真菌薬で、優れた抗真菌作用を持ちます。
- ニゾラールクリーム(成分名:ケトコナゾール): カンジタだけでなく、脂漏性皮膚炎などにも用いられることがあります。
- オキナゾールクリーム(成分名:オキシコナゾール硝酸塩): 幅広い真菌に効果を示す薬です。
これらの塗り薬は、医師が症状を診て、最も適していると判断したものが処方されます。自己判断で過去の薬を使ったり、他人の薬を借りたりすることは絶対にやめましょう。
イミダゾール系(フロリードDクリーム、エンペシドクリームなど)
イミダゾール系の抗真菌薬は、カンジタ菌の細胞膜の合成を阻害することで、その増殖を抑える働きをします。 細胞膜は菌が生きていく上で不可欠な部分であり、ここを破壊することでカンジタ菌を死滅に追い込むのです。
フロリードDクリームやエンペシドクリームなどは、このイミダゾール系に分類される代表的な塗り薬です。 これらはカンジタ・アルビカンスという、膣カンジタ症の主な原因菌に対して高い効果を発揮します。 病院では、外陰部のかゆみや赤みといった症状を和らげる目的で、膣錠と併用して処方されることが一般的です。
その他の抗真菌薬
イミダゾール系以外にも、カンジタ症に有効な抗真菌薬は存在します。例えば、アリルアミン系の薬や、ポリエン系の薬などがありますが、外陰部のカンジタ症の塗り薬としては、主にイミダゾール系が第一選択となることが多いです。
また、かゆみが非常に強い場合には、抗真菌薬に加えて、弱いステロイド薬が短期間処方されることもあります。 ステロイドは炎症を強力に抑える作用がありますが、長期間使用すると副作用のリスクもあるため、必ず医師の指示通りに使用することが重要です。自己判断で市販のステロイド薬を使用するのは、症状を悪化させる可能性があるため絶対に避けてください。
塗り薬以外の処方薬(膣錠・内服薬)
カンジタ症の治療は、塗り薬だけで完結するわけではありません。多くの場合、根本的な原因となっている膣内のカンジタ菌を退治するために、他の薬と組み合わせて治療を行います。
- 膣錠・膣坐剤: 膣カンジタ治療の基本となる薬です。 抗真菌成分が含まれた錠剤や坐剤を、直接膣内に挿入します。 これにより、カンジタ菌が増殖している根源に直接作用させることができます。オキナゾール腟錠やフロリード腟坐剤などが代表的です。
- 内服薬(飲み薬): 症状が重い場合や、再発を繰り返す難治性の場合、また膣錠の使用が難しい場合などに処方されます。 有効成分が血流に乗って全身に行き渡り、体の内側からカンジタ菌を攻撃します。代表的な薬にジフルカン(成分名:フルコナゾール)があります。
特に、外陰部のかゆみ(塗り薬で対応)と、おりものの異常(膣錠で対応)が同時に見られる場合、塗り薬と膣錠の併用が非常に効果的です。
処方薬の副作用と注意点
病院で処方される薬は効果が高い反面、副作用の可能性もゼロではありません。使用する前に、どのような副作用が起こりうるのか、そしてどのような点に注意すべきかを理解しておくことが大切です。
主な副作用:
- 塗り薬・膣錠: 塗布した部分や挿入した部分の刺激感、かぶれ、赤み、ヒリヒリ感などが現れることがあります。 通常は軽度で一時的なものですが、症状が強い場合や長引く場合は、薬が合っていない可能性があるので医師に相談しましょう。
- 内服薬: 吐き気、腹痛、下痢などの消化器症状や、頭痛、めまいなどが報告されています。まれに肝機能障害などの重い副作用が起こることもあるため、体調に異変を感じたらすぐに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
使用上の注意点:
- 使用期間を守る: 症状が良くなったからといって自己判断で薬の使用をやめないでください。 表面的な症状が消えても、菌が完全にいなくなったわけではありません。処方された期間、薬を使い切ることが再発防止につながります。
- 妊娠中・授乳中: 妊娠中や授乳中の方は、使用できる薬が限られます。 必ず医師にその旨を伝え、安全な薬を処方してもらう必要があります。
- アレルギー歴: 過去に薬でアレルギー症状を起こしたことがある方は、診察時に必ず医師に伝えましょう。
市販のカンジタ塗り薬|購入できる条件と注意点

「病院に行く時間がない」「デリケートな悩みだから、できれば自分で治したい」そんな時に頼りになるのが市販薬です。現在、ドラッグストアなどでは、再発した膣カンジタの症状を緩和するための塗り薬が販売されています。しかし、誰でも自由に購入・使用できるわけではなく、いくつかの重要な条件と注意点があります。ここでは、市販のカンジタ塗り薬について、正しい知識を身につけていきましょう。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 市販薬が使えるのは「再発」の場合のみ
- 代表的な市販のカンジタ治療薬
- 市販薬を使う上での注意点
- 市販薬で改善しない場合はすぐに病院へ
市販薬が使えるのは「再発」の場合のみ
市販のカンジタ治療薬を使用できるのは、「過去に医師から膣カンジタ症の診断・治療を受けたことがある人」が、「同様の症状で再発した場合」に限定されます。 これは、安全に市販薬を使用するための最も重要なルールです。
初めて症状が出た場合は、それが本当にカンジタ症なのか、あるいは他の病気なのかを自己判断することはできません。 誤った判断で市販薬を使用すると、症状の悪化や治療の遅れにつながる危険性があります。そのため、初発の場合は必ず医療機関を受診する必要があります。
また、再発であっても、直近の再発から2ヶ月以内であったり、短期間に何度も繰り返したりしている場合は、市販薬の使用は適していません。 このようなケースでは、薬剤耐性菌の可能性や、背景に糖尿病などの他の病気が隠れている可能性も考えられるため、医師による詳細な診察が必要です。
代表的な市販のカンジタ治療薬(メンソレータムフレディCCクリームなど)
現在、薬局やドラッグストアで購入できるカンジタ治療薬には、いくつかの種類があります。塗り薬(クリームタイプ)は、外陰部のかゆみに対して使用されます。
代表的な市販の塗り薬には以下のようなものがあります。
- メンソレータム フレディCCクリーム(ロート製薬): 有効成分「イソコナゾール硝酸塩」を配合したクリームです。 ベタつきにくく、伸びが良いのが特徴です。
- メディトリートクリーム(大正製薬): 有効成分「ミコナゾール硝酸塩」を配合。 病院で処方されるフロリードDクリームと同じ成分です。
- エンペシドLクリーム(佐藤製薬): 有効成分「クロトリマゾール」を配合。 病院で処方されるエンペシドクリームと同じ成分です。
これらの市販薬は「第1類医薬品」に分類されており、購入の際には薬剤師による情報提供と指導を受けることが義務付けられています。 薬剤師は、症状や過去の治療歴などを確認し、市販薬を安全に使用できるかどうかを判断します。質問票への記入などを求められることが一般的です。
市販薬を使う上での注意点
市販薬を安全かつ効果的に使用するためには、いくつかの注意点を守る必要があります。
- 膣錠との併用が基本: 外陰部のかゆみだけでなく、おりものの異常など膣内の症状もある場合は、塗り薬だけでなく、必ず市販の膣錠を併用してください。 外陰部のかゆみは、膣内で増殖したカンジタ菌が原因であることがほとんどだからです。
- 使用期間を守る: 3日間使用しても症状が改善しない場合、または6日間使用しても症状が治まらない場合は、使用を中止して医師の診察を受けてください。
- 生理中の使用は避ける: 生理中は薬が経血で流れ出てしまい、十分な効果が得られない可能性があるため、使用は避けてください。
- 15歳未満、60歳以上は使用しない: 市販薬の対象年齢は15歳以上60歳未満です。 この年齢以外の方は、他の病気の可能性などを考慮し、受診が必要です。
- 妊娠中・授乳中は相談を: 妊娠中の方や、妊娠の可能性がある方、授乳中の方は自己判断で使用せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
市販薬で改善しない場合はすぐに病院へ
市販薬を正しく使用しても、症状が良くならない、あるいは悪化するというケースもあります。その場合は、自己判断で治療を続けるのは非常に危険です。
3日間使用しても症状の改善が見られない場合、または6日間使用しても完治しない場合は、市販薬の使用を直ちに中止し、速やかに婦人科や産婦人科を受診してください。
改善しない理由としては、以下のような可能性が考えられます。
- 症状の原因がカンジタ症ではなかった。
- 市販薬では効果のない、薬剤耐性を持つカンジタ菌に感染している。
- 糖尿病など、カンジタ症を引き起こしやすくする別の病気が隠れている。
「もう少し使えば効くかも」と安易に考えず、市販薬の添付文書に記載されている期間を目安に、専門家である医師の判断を仰ぐことが重要です。
病院?市販薬?迷ったときの判断フローチャート

「私のこの症状、病院に行くべき?それとも市販薬で大丈夫?」カンジタ症が疑われるとき、多くの人がこの選択に悩みます。そこで、あなたが適切な行動をとれるよう、分かりやすい判断フローチャートを用意しました。以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えて進むだけで、今とるべき最適なアクションが分かります。デリケートな悩みだからこそ、冷静に、そして正しく判断しましょう。
初めて症状が出た場合 → 病院へ
質問1:デリケートゾーンのかゆみやおりものの異常を感じるのは、今回が初めてですか?
【はい】→ 迷わず病院(婦人科・産婦人科)を受診してください。
解説:初めての症状の場合、それが本当にカンジタ症なのかを自己判断することはできません。 細菌性腟症や性感染症など、似た症状を持つ他の病気の可能性もあります。 正確な診断を受け、適切な治療を開始するために、必ず専門医の診察が必要です。市販薬は「再発」した場合にのみ使用が許可されています。
以前カンジタと診断され、同じ症状が再発した場合 → 市販薬も選択肢に
質問2:以前、病院で「膣カンジタ症」と診断・治療を受けたことがありますか?
【はい】→ 質問3へ進んでください。
【いいえ】→ 病院を受診してください。
質問3:今回の症状は、以前診断された時と全く同じですか?(例:カッテージチーズ状のおりもの、強いかゆみなど)
【はい】→ 市販薬の使用を検討できます。ただし、購入前に必ず薬剤師に相談してください。
【いいえ】→ 症状が異なる場合は、他の病気の可能性があるため病院を受診してください。
解説:過去に医師による確定診断があり、今回の症状がその時と酷似している場合に限り、市販薬でのセルフケアが選択肢となります。 ただし、市販薬を購入する際は、必ず薬剤師に相談し、使用上の注意をよく確認することが絶対条件です。 少しでも以前と症状が違う点(例:おりものの色や臭いが違う、下腹部に痛みがあるなど)があれば、自己判断せず病院へ行きましょう。
症状がひどい、繰り返す場合 → 病院へ
質問4:以下の項目に1つでも当てはまりますか?
- かゆみが我慢できないほど強い、または痛みを伴う
- おりものの量や色が異常に多い、または血が混じっている
- 発熱や下腹部痛がある
- 前回の再発から2ヶ月経っていない、または直近6ヶ月以内に2回以上再発している
- 糖尿病やHIVなどの病気で治療中である
- 15歳未満または60歳以上である
- 妊娠中、またはその可能性がある
【はい】→ 市販薬は使用せず、すぐに病院を受診してください。
【いいえ】→ 質問2、3の条件を満たしていれば、市販薬の使用を検討できます。
解説:上記の項目に一つでも該当する場合、市販薬での対応は適切ではありません。症状が重い場合や、再発を頻繁に繰り返す場合は、市販薬では効かない薬剤耐性菌や、背景に別の病気が隠れている可能性が考えられます。また、特定の年齢層や持病のある方、妊娠中の方は、安全性の観点から医師の管理下で治療を受ける必要があります。 自己判断はせず、必ず専門医に相談してください。
カンジタ治療で病院へ行く流れ|何科?費用は?

カンジタ症が疑われ、病院へ行こうと決めたものの、「何科に行けばいいの?」「どんな診察をされるの?」「費用はどのくらいかかる?」といった不安や疑問が次々と浮かんでくるかもしれません。受診へのハードルを少しでも下げるために、ここでは病院でのカンジタ治療の具体的な流れや、受診する診療科、費用の目安について詳しく解説します。事前に流れを知っておくことで、安心して診察に臨むことができます。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- 受診するのは何科?(産婦人科・婦人科・皮膚科)
- 診察・検査の内容
- 治療にかかる費用の目安
受診するのは何科?(産婦人科・婦人科・皮膚科)
カンジタ症が疑われる場合、女性が受診すべき診療科は主に以下の通りです。
- 婦人科・産婦人科: 最も専門的な診療科です。おりものの異常や膣内のかゆみなど、内性器に関わる症状がある場合は、第一に婦人科(または産婦人科)を選びましょう。 内診やおりものの検査を通じて、最も正確な診断と治療が期待できます。
- 皮膚科: 外陰部のかゆみや赤み、ただれといった皮膚症状が主な場合、皮膚科でも診察は可能です。 しかし、おりものの異常など膣内の症状を伴う場合は、根本的な治療のために婦人科での診察が必要になることが多いです。
基本的には、デリケートゾーンの症状であれば、まずは婦人科・産婦人科を受診するのが最も確実と言えます。もし、男性で性器に症状が出ている場合は、泌尿器科または皮膚科を受診してください。
診察・検査の内容
婦人科を受診した場合、一般的に以下のような流れで診察が進みます。
- 問診: 医師から、現在の症状(いつから、どんな症状か)、症状の程度、過去の病歴、生理周期、妊娠の可能性などについて詳しく質問されます。できるだけ正確に答えられるように、事前に情報を整理しておくとスムーズです。
- 内診: 内診台に上がり、医師が外陰部の状態を視診(目で見て確認)し、その後、クスコ(腟鏡)という器具を使って腟内の壁やおりものの状態を観察します。少し緊張するかもしれませんが、リラックスして力を抜くことが大切です。
- 検査(おりものの採取): 内診の際に、綿棒のようなもので腟内のおりものを少量採取します。 この検体を使って、カンジタ菌の有無を確認します。
- 顕微鏡検査(鏡検): 採取したおりものをその場で顕微鏡で観察し、カンジタ菌の菌糸や胞子を探します。比較的すぐに結果が分かります。
- 培養検査: より正確に菌を特定するために、採取したおりものを専用の培地で数日間培養する検査です。結果が出るまでに数日かかりますが、菌の種類や薬への感受性(どの薬が効くか)まで詳しく調べることができます。
- 診断と処方: 検査結果や症状からカンジタ症と診断された場合、医師から治療方針の説明があり、症状に合った薬(塗り薬、膣錠、内服薬など)が処方されます。
治療にかかる費用の目安
カンジタ症の治療は、健康保険が適用されます。そのため、医療費の自己負担額は、かかった費用の総額の3割(年齢や所得によって異なります)となります。
費用の目安は、診察内容や処方される薬の種類によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
- 初診料+診察・検査料: 2,000円~4,000円程度
- 薬代: 1,000円~2,000円程度
したがって、初診の場合、合計で3,000円から6,000円程度を見ておくと良いでしょう。もちろん、これはあくまで目安であり、行う検査の種類や処方薬によって変動します。再診の場合は、もう少し安くなることが一般的です。
市販薬を自己判断で購入して効果がなかった場合のリスクや、症状を長引かせてしまう可能性を考えると、専門医による確実な診断と治療を受けることは、結果的に時間的にも経済的にも効率的な選択と言えるかもしれません。
もう繰り返さない!カンジタの再発を防ぐためのセルフケア

つらいカンジタ症の治療を終えても、「またあの不快な症状がぶり返すかも…」という不安は残るものです。事実、カンジタ症は再発しやすい病気として知られています。 しかし、日々の生活習慣を少し見直すだけで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。薬による治療と合わせて、カンジタ菌が増殖しにくい体と環境を作ることが、再発予防の鍵となります。ここでは、今日から始められる具体的なセルフケアの方法をご紹介します。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- デリケートゾーンを清潔に保つ
- 通気性の良い下着を選ぶ
- ストレスや疲れを溜めない
- 食生活を見直す
デリケートゾーンを清潔に保つ
カンジタ菌は、高温多湿の環境を好んで増殖します。 そのため、デリケートゾーンを清潔で乾燥した状態に保つことが非常に重要です。
- 洗いすぎに注意: 清潔にしようと、石鹸でゴシゴシ洗ったり、ビデで腟の中まで洗浄したりするのは逆効果です。腟内には、自浄作用を担う善玉菌も存在しており、これらを洗い流してしまうと、かえってカンジタ菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。 洗う際は、刺激の少ない石鹸をよく泡立て、外陰部を優しくなでるように洗い、ぬるま湯で十分にすすぎましょう。
- 拭き方にも工夫を: トイレの後は、前から後ろに向かって拭くように心がけましょう。 これにより、肛門周辺の雑菌が腟に侵入するのを防ぎます。
- ナプキン・おりものシートはこまめに交換: 生理用ナプキンやおりものシートは、湿気がこもりやすく、カンジタ菌の温床になりがちです。 面倒でも、こまめに取り替える習慣をつけましょう。
通気性の良い下着を選ぶ
デリケートゾーンの蒸れを防ぐためには、下着選びも大切なポイントです。
- 素材はコットン(綿)がおすすめ: 吸湿性・通気性に優れたコットン素材の下着を選びましょう。ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、湿気がこもりやすいので避けるのが無難です。
- 締め付けの少ないデザインを: スキニージーンズやガードル、タイトな下着など、体を締め付ける衣類は血行を悪くし、デリケートゾーンの蒸れを助長します。 自宅にいる時や就寝時だけでも、ゆったりとした服装を心がけると良いでしょう。
見た目のおしゃれも大切ですが、健康のためには、デリケートゾーンが「呼吸」できるような、リラックスした服装を意識することが再発予防につながります。
ストレスや疲れを溜めない
「疲れるとカンジタになりやすい」と感じる方は多いのではないでしょうか。その感覚は正しく、過労や睡眠不足、精神的なストレスは、体の免疫力を低下させる大きな原因となります。 免疫力が低下すると、普段は抑えられているカンジタ菌が活発になり、症状を引き起こすのです。
- 十分な睡眠をとる: 質の良い睡眠は、免疫システムを正常に保つために不可欠です。毎日決まった時間に寝起きするなど、生活リズムを整えましょう。
- リラックスできる時間を作る: 忙しい毎日の中でも、趣味に没頭する時間や、ゆっくりお風呂に浸かる時間など、心からリラックスできる時間を持つことが大切です。
- 適度な運動を習慣に: ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、血行を促進し、ストレス解消にも効果的です。
自分なりのストレス解消法を見つけ、心と体のバランスを整えることが、カンジタ菌に負けない体づくりの基本です。
食生活を見直す
日々の食事も、カンジタの再発と無関係ではありません。特に、糖質の多い食生活は注意が必要です。
- 糖質の摂りすぎに注意: カンジタ菌は、糖分をエサにして増殖します。 甘いお菓子やジュース、パンや白米などの炭水化物の摂りすぎは、カンジタ症を悪化させたり、再発を招いたりする可能性があります。バランスの良い食事を心がけ、糖質の過剰摂取には気をつけましょう。
- 免疫力を高める食品を摂る: ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、腟内の善玉菌を増やし、カンジタ菌の増殖を抑える助けになると言われています。また、ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂り、体全体の免疫力を高めることも大切です。
ただし、特定の食品だけでカンジタが治るわけではありません。あくまで、バランスの取れた食事を基本とし、再発しにくい体質作りを目指すという視点が重要です。
よくある質問

カンジタの塗り薬や治療に関して、多くの人が抱く疑問や不安にお答えします。いざという時に慌てないためにも、ぜひ参考にしてください。
カンジタの塗り薬はどれくらいで効き始めますか?
カンジタの塗り薬の効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、一般的に治療を開始してから2~3日ほどで、かゆみなどのつらい症状が和らいでくることが多いです。 病院で処方される薬や市販薬を正しく使用すれば、通常は約1週間程度で症状は改善に向かいます。
ただし、症状が軽くなったからといって自己判断で薬の使用を中止するのは禁物です。 表面的な症状が治まっても、原因菌であるカンジタ菌がまだ残っている可能性があります。処方された期間、または市販薬の指示通りに最後まで薬を使い切ることが、再発を防ぐ上で非常に重要です。
もし、3日間薬を使用しても症状が全く改善しない、あるいは悪化するような場合は、薬が合っていないか、他の病気の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診してください。
塗り薬の正しい塗り方を教えてください。
塗り薬の効果を最大限に引き出すためには、正しい方法で塗布することが大切です。以下のステップを参考にしてください。
- 手を清潔にする: 薬を塗る前に、石鹸で手指をきれいに洗いましょう。
- 患部を清潔にする: 入浴するか、ぬるま湯で湿らせた清潔なタオルなどで患部を優しく拭き、清潔な状態にします。 ゴシゴシこすって刺激しないように注意してください。
- 適量を塗る: 薬を清潔な指先に適量とります。量の目安としては、人差し指の第一関節の長さくらい(約2cm)を出すと、手のひら1枚分くらいの範囲に塗ることができます。
- 優しく塗り広げる: かゆみのある患部を中心に、少し広めの範囲に優しく塗り広げます。 強くすり込む必要はありません。
- 再び手を洗う: 塗り終わったら、再び石鹸で手指をしっかりと洗い、薬が他の場所につかないようにしましょう。
塗る回数は、1日に2~3回が一般的ですが、必ず処方された薬や市販薬の説明書に記載された指示に従ってください。
治療中に性行為はできますか?
カンジタ症の治療中は、性行為を控えることが強く推奨されます。 その理由は主に2つあります。
- 症状の悪化: 性行為による摩擦や刺激が、炎症を起こしているデリケートな皮膚や粘膜をさらに傷つけ、症状を悪化させたり、治療期間を長引かせたりする原因になります。
- パートナーへの感染(ピンポン感染): カンジタ症は性感染症ではありませんが、性行為によってパートナーにカンジタ菌がうつる可能性があります。 もしパートナーにうつってしまうと、治った後にまたうつし返される「ピンポン感染」を繰り返し、なかなか完治しないという悪循環に陥ることがあります。
治療に専念し、症状が完全になくなってから性行為を再開するようにしましょう。いつから再開して良いか不安な場合は、医師に相談してください。
パートナーも治療が必要ですか?
女性がカンジタ症と診断された場合、必ずしもパートナーの男性も治療が必要というわけではありません。男性は女性に比べてカンジタ症を発症しにくいとされています。
しかし、以下のような場合はパートナーの受診と治療を検討する必要があります。
- パートナーの男性に症状がある場合: 亀頭のかゆみ、赤み、ただれ、白いカスが付着するなどの症状が見られる場合は、カンジタ性亀頭包皮炎の可能性があります。 この場合は、泌尿器科や皮膚科を受診するよう促しましょう。
- ピンポン感染を繰り返している場合: 女性側が治療をしてもすぐに再発を繰り返す場合、無症状のパートナーから再感染している可能性が考えられます。 このようなケースでは、症状がなくてもパートナーと一緒に検査・治療を受けることが推奨されます。
不安な点があれば、まずは一人で悩まず、パートナーと話し合い、必要であれば一緒に婦人科や泌尿器科に相談することも一つの方法です。
男性もカンジタになりますか?
はい、男性もカンジタ症になります。 男性が発症した場合、一般的に「カンジタ性亀頭包皮炎」と呼ばれます。
主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 亀頭やその周りの包皮のかゆみ、赤み、ただれ
- 亀頭に白い苔のようなカス(恥垢)が付着する
- 排尿時や性交時の痛み
- 包皮が乾燥してパリパリになる
原因としては、性行為による感染のほか、包茎で不衛生になりやすい、糖尿病や疲労などで免疫力が低下している、などが挙げられます。 症状がある場合は、放置せずに泌尿器科や皮膚科を受診し、抗真菌薬の塗り薬などで治療する必要があります。 なお、男性用のカンジタ市販薬は販売されていませんので、必ず医療機関を受診してください。
まとめ

- カンジタ症は自己判断せず、まずは症状をセルフチェックする。
- 初めての症状や、判断に迷う場合は必ず病院を受診する。
- カンジタ治療の基本は、正確な診断に基づく病院での処方薬。
- 病院では塗り薬の他、膣錠や内服薬が症状に応じて処方される。
- 市販薬は「再発」した場合のみ、薬剤師の指導のもと使用可能。
- 市販の塗り薬は、膣錠と併用するのが基本である。
- 市販薬を3日間使っても改善しない場合は、病院を受診する。
- 受診する科は、女性は婦人科、男性は泌尿器科か皮膚科が適切。
- カンジタ治療は健康保険が適用され、費用は3割負担となる。
- 再発予防には、デリケートゾーンの清潔と通気性が重要。
- 洗いすぎは逆効果、優しく洗浄することを心がける。
- ストレスや疲労を溜めず、免疫力を維持することが大切。
- 糖質の多い食事を控え、バランスの良い食生活を意識する。
- 治療中は症状悪化や感染拡大を防ぐため、性行為は控える。
- パートナーに症状がある場合や再発を繰り返す場合は、一緒に治療を検討する。
