お風呂やキッチン、洗面所の排水溝から、あの黒くて長い影…ムカデが出てきたら、思わず声が出てしまいますよね。その恐怖、本当によく分かります。「しっかり戸締りしているのに、一体どこから?」その答えは、意外にも身近な「排水溝」にあるかもしれません。なぜムカデは排水溝から侵入してくるのでしょうか。そして、どうすれば二度と現れないように対策できるのでしょうか。
本記事では、ムカデが排水溝から侵入する衝撃的な理由から、誰でも今すぐ簡単にできる対策、さらには家全体でムカデを寄せ付けない環境づくりまで、徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、もう排水溝の闇に怯える夜とはお別れできるはずです。あなたの家の平和を取り戻すための第一歩を、ここから始めましょう。
なぜ?ムカデが排水溝から侵入する衝撃の理由

家の中で遭遇したくない害虫の代表格、ムカデ。特に水回りで発見されることが多いのは、排水溝が彼らにとって格好の侵入経路となっているからです。なぜ、あの小さな隙間から侵入できてしまうのでしょうか。その背景には、ムカデの習性と家の構造が大きく関係しています。ここでは、ムカデが排水溝から侵入する主な理由を3つ解説します。
- 理由1:湿気と暗闇を好むムカデの習性
- 理由2:エサとなる虫(ゴキブリなど)を追いかけてくる
- 理由3:排水トラップ(封水)がない、または機能していない
- 排水溝はムカデにとって高速道路だった!
理由1:湿気と暗闇を好むムカデの習性
ムカデは、乾燥を極端に嫌い、湿気が多くて暗い場所を好むという習性があります。 浴室やキッチン、洗面所の排水溝の内部は、常に水が流れ、湿度が高く保たれており、光も届きにくい環境です。これは、ムカデにとってまさに天国のような場所。日中は落ち葉や石の下に隠れているムカデですが、家の周りでは排水溝の周辺が快適な隠れ家となり、そこから水の通り道である配管を伝って室内へと侵入してくるのです。 特に梅雨の時期など、雨が多くてジメジメした季節にムカデの目撃情報が増えるのは、彼らの活動が活発になることと、好みの環境が整うことが重なるためです。
理由2:エサとなる虫(ゴキブリなど)を追いかけてくる
ムカデが家の中に侵入するもう一つの大きな理由は、エサの存在です。ムカデは肉食で、ゴキブリやクモ、ミミズなどを好んで捕食します。 そして、ゴキブリもまた、湿気が多く暗い場所を好む害虫です。 つまり、排水溝やその周りにゴキブリなどの虫が発生していると、それを狙ってムカデが寄ってきてしまうのです。排水溝のヌメリや汚れは、ゴキブリのエサや産卵場所になることもあります。あなたの知らないうちに、排水溝が害虫のレストランと化し、その結果として最悪の客であるムカデを呼び寄せているのかもしれません。
理由3:排水トラップ(封水)がない、または機能していない
通常、キッチンやお風呂の排水溝には「排水トラップ」という仕組みがあり、配管の途中に水を溜める(封水する)ことで、下水からの悪臭や害虫の侵入を防いでいます。 しかし、この排水トラップが正しく機能していない、あるいは古い家屋などでそもそも設置されていない場合があります。 例えば、長期間家を空けていて排水溝の水が蒸発してしまったり、排水トラップの椀(わん)トラップがずれていたりすると、ムカデが下水側から簡単に登ってこられる道ができてしまいます。排水溝の構造的な問題が、意図せずムカデの侵入を許しているケースは少なくありません。
排水溝はムカデにとって高速道路だった!
まとめると、湿気を求めて、エサを追いかけて、そして家の構造的な隙間を利用して、ムカデは排水溝をまるで高速道路のように使って家の中に侵入してきます。 彼らは体が平たく、数ミリの隙間さえあれば簡単に入り込めるため、排水溝の蓋のわずかな隙間や、配管と床の間の隙間などが、絶好の入り口となってしまうのです。 この事実を知ることが、効果的な対策を立てるための第一歩となります。
【今すぐできる】排水溝のムカデ対策7選

ムカデの侵入理由が分かったところで、次は具体的な対策です。専門的な道具がなくても、今すぐご家庭で実践できる簡単な方法がたくさんあります。ここでは、排水溝からのムカデの侵入をブロックするための7つの効果的な対策をご紹介します。100均グッズを活用する方法から、天然成分を使った安全な対策まで、ぜひ試してみてください。
- ① 物理的にシャットアウト!排水口ネット・カバー
- ② 100均グッズも大活躍!手軽にできる侵入防止策
- ③ 熱湯を流すのは効果的?正しいやり方と注意点
- ④ パイプ用洗剤(ハイターなど)はムカデに効くのか検証
- ⑤ 天然成分で安心!ハッカ油スプレーの作り方と使い方
- ⑥ 排水管の隙間をパテで埋める最終手段
- ⑦ 定期的な掃除でヌメリとエサを断つ
① 物理的にシャットアウト!排水口ネット・カバー
最もシンプルで効果的なのが、物理的にムカデの通り道を塞ぐことです。お風呂やキッチンの排水口に、目の細かいステンレス製のネットやパンチングメタルのカバーを設置しましょう。 これらはホームセンターやネット通販で手軽に購入できます。ムカデはわずかな隙間でも侵入するため、排水口のサイズに合ったものを選び、隙間ができないようにぴったりと設置することが重要です。また、使わないときは排水口にゴム製の蓋をしておくのも非常に有効な手段です。 これだけで、侵入リスクを大幅に減らすことができます。
② 100均グッズも大活躍!手軽にできる侵入防止策
高価な道具を揃えなくても、100円ショップのアイテムで十分な対策が可能です。例えば、ゴミ受けネットや、サイズが合えば茶こしなども排水口ネットとして代用できます。また、シンク下の配管と床の間に隙間がある場合は、隙間を埋めるための「すきまテープ」や、粘土状の「補修用パテ」も100円ショップで手に入ります。これらのアイテムを駆使すれば、コストをかけずに家の各所の隙間を塞ぎ、ムカデの侵入経路を断つことができます。まずは気軽に始められる100均パトロールからいかがでしょうか。
③ 熱湯を流すのは効果的?正しいやり方と注意点
ムカデは熱に非常に弱い生き物です。 そのため、50℃以上のお湯を排水溝に流すことは、潜んでいるムカデを駆除したり、侵入を躊躇させたりするのに効果があります。 やり方は簡単で、給湯器の設定温度を50~60℃にして、排水口に流し込むだけです。ただし、注意点もあります。沸騰したての熱湯(100℃)を大量に流すと、塩化ビニル製の排水管を傷める可能性があります。必ず50~60℃程度のお湯を使用し、火傷にも十分注意してください。定期的に行うことで、排水溝内の雑菌の繁殖を抑える効果も期待できます。
④ パイプ用洗剤(ハイターなど)はムカデに効くのか検証
キッチンハイターなどの塩素系パイプクリーナーは、排水溝のヌメリや髪の毛を溶かし、ムカデのエサとなるゴキブリなどの害虫の発生源を断つという意味で、間接的に効果が期待できます。 洗剤自体にムカデへの直接的な殺虫効果は限定的かもしれませんが、ムカデが好む環境を破壊し、エサをなくすことで、寄せ付けにくくする効果は十分にあります。 定期的にパイプクリーナーで排水溝を清掃することは、衛生管理の面からも、ムカデ対策の面からも非常におすすめです。
⑤ 天然成分で安心!ハッカ油スプレーの作り方と使い方
赤ちゃんやペットがいて、殺虫剤を使うのに抵抗があるご家庭におすすめなのが、ハッカ油を使った対策です。ムカデはハッカやヒノキの香りを嫌います。 この性質を利用して、手作りの忌避スプレーを作りましょう。
【ハッカ油スプレーの作り方】
- 無水エタノール:10ml
- ハッカ油:20~60滴
- 水:90ml
- スプレーボトル
作り方は、スプレーボトルに無水エタノールとハッカ油を入れてよく混ぜ、その後、水を加えてさらに混ぜるだけです。これを排水口の周りやシンク下、浴室のドアの隙間などに吹きかけておくと、ムカデが嫌がって近寄らなくなります。香りが消えたら再度スプレーするなど、こまめに使用するのがコツです。
⑥ 排水管の隙間をパテで埋める最終手段
キッチンや洗面台の下を覗いてみてください。排水管が床を貫通する部分に隙間が空いていませんか? この隙間は、床下からムカデやゴキブリが侵入してくる絶好のルートです。様々な対策をしてもムカデの侵入が止まらない場合は、この隙間を「配管用のパテ」や「隙間用パテ」で完全に塞いでしまいましょう。パテはホームセンターなどで購入でき、粘土のように手でこねて隙間に詰めるだけなので作業も簡単です。物理的に穴を塞ぐことは、最も確実な侵入防止策の一つです。
⑦ 定期的な掃除でヌメリとエサを断つ
結局のところ、日々のこまめな掃除が最強の対策と言えるかもしれません。排水口のゴミ受けに溜まった髪の毛や食材カスは、こまめに取り除きましょう。そして、ブラシなどを使って排水口内部のヌメリを定期的に掃除することで、ムカデのエサとなる虫の発生を防ぎます。 ムカデにとって魅力のない、清潔で乾燥した環境を維持することが、彼らを遠ざけるための最も基本的な考え方です。面倒に感じるかもしれませんが、習慣にしてしまえば、ムカデだけでなく様々なトラブルを防ぐことができます。
排水溝だけじゃない!見落としがちなムカデの侵入経路と対策

排水溝の対策を万全にしても、まだ安心はできません。ムカデは驚くほど多様なルートから家の中に侵入してきます。彼らは体が平たく柔軟なため、私たちが「まさかこんな所から」と思うようなわずかな隙間でも通り抜けてしまうのです。ここでは、排水溝以外で見落としがちなムカデの侵入経路と、それぞれの対策方法について詳しく解説します。
- 玄関ドアや窓のサッシの隙間
- エアコンのドレンホースや配管の穴
- 換気扇や通気口
- 壁のひび割れ
玄関ドアや窓のサッシの隙間
最も一般的な侵入経路の一つが、玄関ドアの下や窓サッシの隙間です。 ドア下のゴムパッキンが経年劣化で縮んだり、サッシのレール部分にわずかな隙間があったりすると、ムカデはそこからいとも簡単に侵入します。特に、網戸にしていても、網戸と窓枠の間に隙間があれば意味がありません。
対策としては、ホームセンターなどで売られている「隙間テープ」をドアの下や窓枠に貼るのが効果的です。 これにより物理的に隙間を塞ぐことができます。また、窓のサッシの溝(水抜き穴)から侵入することもあるため、専用の防虫キャップを取り付けるとさらに安心です。
エアコンのドレンホースや配管の穴
エアコンも意外な侵入経路になります。室外機につながるドレンホース(排水ホース)の先端からムカデが侵入し、ホースを伝って室内機まで到達することがあります。また、壁にエアコンの配管を通すために開けた穴と、配管の間に隙間があると、そこも格好の侵入口となります。
対策として、ドレンホースの先端には、100円ショップなどでも手に入る「防虫キャップ」を取り付けましょう。ストッキングの切れ端を輪ゴムで留めるだけでも代用できます。壁の配管穴の隙間については、屋外用の「配管用パテ」でしっかりと埋めることが重要です。 これは業者に依頼することもできますが、DIYでも比較的簡単に行えます。
換気扇や通気口
キッチンやお風呂の換気扇、各部屋にある24時間換気システムの通気口も、外と直接つながっているため、ムカデの侵入経路となり得ます。 換気扇の排気口のシャッターの隙間や、通気口のカバーの網目が大きいと、そこから侵入を許してしまいます。特に古いタイプの換気扇は注意が必要です。
対策としては、換気口や通気口に目の細かい防虫フィルターやネットを取り付けるのがおすすめです。 ホームセンターなどで様々なサイズが販売されています。ただし、フィルターが目詰まりすると換気性能が落ちるため、定期的な清掃や交換を忘れないようにしましょう。
壁のひび割れ
家の外壁にできた小さなひび割れ(クラック)や、基礎部分の隙間も見逃せません。 築年数が経った家では、地震や経年劣化により、気づかないうちにひび割れが生じていることがあります。ムカデにとっては、こうしたわずかな亀裂も立派な侵入口です。
対策は、家の周りを定期的に点検し、ひび割れを見つけたら補修することです。小さなひび割れであれば、DIY用のコーキング材やセメントで埋めることができます。基礎の周りに物を置いていると、ひび割れやムカデの隠れ場所を見つけにくくなるため、整理整頓を心がけることも大切です。
家全体でムカデを寄せ付けない!環境づくりの3つのコツ

ムカデの侵入経路を一つひとつ塞いでいくことは非常に重要ですが、それと同時に「ムカデが寄り付きたくない家」にすることも根本的な対策として欠かせません。ムカデにとって魅力のない環境を作ってしまえば、そもそも家に侵入しようとすら思わなくなるからです。ここでは、家全体でムカデを寄せ付けないための環境づくりの3つのコツをご紹介します。
- コツ1:徹底した湿気対策(換気、除湿)
- コツ2:家の周りの環境整備(落ち葉掃除、雑草処理)
- コツ3:エサとなるゴキブリを駆除する
コツ1:徹底した湿気対策(換気、除ushitsu)
ムカデ対策の基本中の基本は、「湿気」を徹底的に排除することです。ムカデは湿った場所を好むため、家の中や床下がジメジメしていると、格好の住処を提供してしまいます。
具体的には、天気の良い日は窓を開けて風通しを良くし、特に湿気がこもりやすい浴室やキッチン、洗面所は使用後に必ず換気扇を回す習慣をつけましょう。 梅雨の時期には除湿器やエアコンのドライ機能を活用するのも効果的です。また、見落としがちなのが床下の湿気。床下換気扇を設置したり、調湿剤や防湿シートを敷いたりすることで、床下の環境を改善できます。
コツ2:家の周りの環境整備(落ち葉掃除、雑草処理)
家の外の環境も重要です。庭の落ち葉や枯れ葉、生い茂った雑草、放置された植木鉢の下などは、ムカデにとって絶好の隠れ家となります。 こうした場所で日中を過ごし、夜になるとエサを求めて家の中に侵入してくるのです。
対策として、家の周りはこまめに掃除し、落ち葉や雑草を取り除きましょう。植木鉢やプランターは、直接地面に置かずに台の上に置くなどして、風通しを良くする工夫も有効です。薪や資材などを家の壁際に積んでおくのも、ムカデの住処になりやすいので避けた方が賢明です。家の周りをスッキリとさせて、ムカデが隠れる場所をなくしてしまいましょう。
コツ3:エサとなるゴキブリを駆除する
ムカデが家に侵入する大きな動機は、エサを探すためです。そして、その主なターゲットはゴキブリです。 つまり、家の中にゴキブリがいる限り、ムカデを呼び寄せるリスクは常につきまといます。
ゴキブリ対策は、そのままムカデ対策に直結します。食べ物のカスや生ゴミは放置せず、密閉できる容器に保管しましょう。キッチン周りを清潔に保つことはもちろん、ゴキブリ用の毒餌剤や捕獲トラップを設置して、ゴキブリそのものを家から根絶することが重要です。エサがなくなれば、ムカデもその家に用はなくなります。
もし家の中でムカデに遭遇してしまったら?正しい駆除方法

どれだけ対策をしても、運悪くムカデが家の中に侵入してしまうことはあります。その時にパニックにならず、冷静かつ安全に対処することが何よりも重要です。ムカデは毒を持っており、下手に刺激すると噛まれる危険性があります。ここでは、家の中でムカデに遭遇してしまった場合の、正しくて安全な駆除方法を解説します。
- 絶対に素手で触らない!毒の危険性
- 即効性なら殺虫スプレー(凍結タイプがおすすめ)
- 50℃以上の熱湯をかける
- 見失った…そんな時のための罠の作り方
絶対に素手で触らない!毒の危険性
まず大前提として、絶対に素手でムカデを触ったり、捕まえようとしたりしないでください。ムカデは強い毒アゴを持っており、刺激を受けると反射的に噛みつきます。 噛まれると激しい痛みを伴い、患部が赤く腫れ上がります。人によってはアナフィラキシーショックを引き起こす可能性もあり、非常に危険です。 新聞紙やスリッパで叩こうとすると、反撃されたり、仕留め損ねて見失ったりするリスクがあるため、避けた方が無難です。
即効性なら殺虫スプレー(凍結タイプがおすすめ)
最も安全で確実な駆除方法は、ムカデ専用の殺虫スプレーを使用することです。特に、殺虫成分を使わずにマイナスの冷却効果で虫の動きを止める「凍結タイプ」のスプレーは、即効性が高く、薬剤を室内に撒き散らしたくないご家庭にもおすすめです。 ムカデから少し距離を保った状態で、数秒間噴射すれば、動きを止めて安全に処理することができます。いざという時のために、一家に一本常備しておくと安心です。
50℃以上の熱湯をかける
もし手元に殺虫スプレーがない場合の応急処置として、50℃以上の熱湯をかける方法も非常に効果的です。 ムカデは熱に弱いため、熱湯をかければ即座に駆除できます。ただし、この方法はいくつかの注意点があります。まず、熱湯を運ぶ際や、かける際に火傷をしないように細心の注意を払うこと。そして、ムカデが床や壁を汚す可能性があることです。火傷のリスクや後片付けの手間を考えると、やはり殺虫スプレーを使うのが最も手軽で安全と言えるでしょう。
見失った…そんな時のための罠の作り方
最悪のケースは、ムカデを見失ってしまうことです。家具の隙間や部屋の隅に逃げ込まれると、いつ出てくるか分からず、夜も安心して眠れません。そんな時は、簡単な罠を仕掛けておびき寄せましょう。
やり方は、ビニールシートなどを床に敷き、その上に濡らしたタオルや雑巾を数枚重ねて置くだけです。 湿った狭い場所を好むムカデの習性を利用した罠で、夜の間にムカデがこのタオルの中に潜り込んでいる可能性が高まります。翌朝、タオルをそっとめくり、中にいた場合は熱湯やスプレーで駆除しましょう。見失っても諦めずに、罠を仕掛けてみてください。
赤ちゃんやペットがいる家庭のムカデ対策

赤ちゃんやペットがいるご家庭では、ムカデ対策も一際慎重になる必要があります。「強力な殺虫剤は使いたくない」「万が一口にしてしまったらどうしよう」そんな不安を抱えるのは当然のことです。しかし、諦める必要はありません。化学薬品に頼らなくても、大切な家族を守るための安全な対策はたくさんあります。ここでは、赤ちゃんやペットがいる家庭でも安心して実践できるムカデ対策をご紹介します。
- 殺虫剤を使わない安全な対策が基本
- 天然由来の忌避剤(ハッカ油、ヒノキ)を活用
- 物理的な防御策(蚊帳など)で睡眠を守る
殺虫剤を使わない安全な対策が基本
何よりも優先すべきは、赤ちゃんやペットの安全です。そのため、殺虫成分を含む粉剤を家の周りに撒いたり、毒餌タイプの駆除剤を室内に置いたりする方法は、誤飲や接触のリスクを考えると避けるのが賢明です。
対策の基本は、これまでにご紹介した「侵入経路を塞ぐ」ことと「ムカデが嫌う環境を作ること」になります。排水口にネットを付けたり、窓の隙間をテープで塞いだりといった物理的な対策は、化学物質を一切使わないため最も安全です。また、こまめな掃除や換気で湿気をなくし、清潔な環境を保つことも、安心して取り組める重要な対策です。
天然由来の忌避剤(ハッカ油、ヒノキ)を活用
化学的な殺虫剤の代わりに、天然由来の成分でムカデを遠ざける方法が非常に有効です。ムカデは「ハッカ」や「ヒノキ」の香りを嫌う性質があります。
「ハッカ油」を水とエタノールで薄めてスプレーを作り、玄関や窓際、排水口の周りなど、侵入経路になりそうな場所に吹きかけておきましょう。 爽やかな香りなので、ルームフレグランス感覚で使えます。また、「ヒノキチップ」やヒノキの精油(エッセンシャルオイル)を小皿に入れて置いたり、ヒノキの木材そのものを置いたりするのも効果的です。これらの天然成分は、ムカデを寄せ付けないだけでなく、リラックス効果も期待できるかもしれません。
物理的な防御策(蚊帳など)で睡眠を守る
特に心配なのが、就寝中にムカデが布団に入ってくることです。赤ちゃんが噛まれてしまう事態だけは絶対に避けなければなりません。そこで最終防衛ラインとして絶大な効果を発揮するのが「蚊帳(かや)」です。
最近では、昔ながらの吊り下げるタイプだけでなく、ワンタッチで設置できるテント式の蚊帳も人気です。底面までネットで覆われているタイプを選べば、床からの侵入も完全にシャットアウトできます。 これなら、万が一ムカデが部屋に侵入したとしても、睡眠スペースは安全な聖域として守られます。「夜、ムカデが気になって眠れない」という精神的なストレスからも解放される、非常に有効な安眠グッズです。
自分での対策は限界…プロの駆除業者に頼むべき?

様々な対策を試してみたけれど、それでもムカデの出現が止まらない。あるいは、大量に発生してしまい、自分ではとても対処しきれない。そんな時は、無理せずプロの害虫駆除業者に頼るという選択肢も重要です。専門家ならではの知識と技術で、根本的な原因から解決してくれるでしょう。ここでは、業者に依頼するメリットや料金相場、そして後悔しないための業者選びのポイントを解説します。
- 業者に依頼するメリットとタイミング
- 気になる料金相場は?
- 失敗しない業者の選び方と比較ポイント
業者に依頼するメリットとタイミング
プロに依頼する最大のメリットは、徹底的かつ根本的な駆除と予防が期待できることです。専門家はムカデの生態を知り尽くしており、素人では見つけられないような侵入経路を特定し、確実に塞いでくれます。 また、市販されていない強力で残効性の高い薬剤を使用して、家全体をムカデが寄り付かない環境にしてくれます。
「毎年春から秋にかけてムカデに悩まされている」「家の中で繁殖している可能性がある」「赤ちゃんがいるので、徹底的に駆除して安心したい」といった場合は、業者に相談する良いタイミングと言えるでしょう。一度プロの手でリセットしてもらうことで、その後のセルフケアも格段に楽になります。
気になる料金相場は?
気になるのが費用ですが、ムカデ駆除の料金は、建物の広さや被害状況、作業内容によって大きく変動します。
一般的な戸建て住宅の場合、床下への薬剤散布のみであれば50,000円前後から、家全体の駆除・予防作業となると100,000円以上かかることもあります。 部分的な作業、例えば庭への薬剤散布であれば、1㎡あたり1,000円程度が相場です。 決して安い金額ではありませんが、長期的な安心と安全を手に入れるための投資と考えることもできます。多くの業者では無料で見積もりを行っているので、まずは相談してみるのがおすすめです。
失敗しない業者の選び方と比較ポイント
いざ業者に頼むとなっても、どこに依頼すれば良いか迷いますよね。後悔しないためには、いくつかのポイントを押さえて業者を選ぶことが大切です。
- 実績と信頼性:創業年数が長く、施工実績が豊富な会社は信頼できます。日本ペストコントロール協会などの団体に加盟しているかも一つの目安になります。
- 明確な料金体系:作業前に必ず現地調査を行い、作業内容と料金を明記した見積書を提示してくれる業者を選びましょう。「追加料金は一切かかりません」と明言しているとより安心です。
- 保証の有無:施工後にムカデが再発した場合の保証制度があるかを確認しましょう。保証期間や内容は業者によって異なるので、契約前にしっかりチェックが必要です。
- 複数の業者から見積もりを取る:最低でも2~3社から相見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することが、適正価格で質の高いサービスを受けるためのコツです。
「害虫駆除110番」や「ダスキン」など、全国展開している大手から、地域密着型の専門業者まで様々です。 口コミや評判も参考にしながら、納得のいく業者を見つけましょう。
よくある質問

Q. 排水溝に熱湯を流すと配管が傷みませんか?
A. 沸騰したての100℃の熱湯を大量に流すと、塩化ビニル製の排水管が変形したり傷んだりする可能性があります。しかし、給湯器で設定できる50℃~60℃程度のお湯であれば、通常は問題ありません。この温度でもムカデには十分効果がありますので、安全のために温度設定を守って使用することをおすすめします。
Q. ムカデは1匹いたら100匹いるって本当?
A. これはよく言われる俗説ですが、必ずしもそうとは限りません。ムカデはつがいで行動する習性があるため「1匹見たらもう1匹いる可能性が高い」と言われることはありますが、100匹というのは大げさな表現です。ただし、メスのムカデが家の中や床下で産卵していた場合、多数の子ムカデが発生する可能性はあります。頻繁に見かける場合は、繁殖を疑って専門業者に調査を依頼するのも一つの手です。
Q. ムカデを殺すと仲間が寄ってくるって本当?
A. 「ムカデを殺すとフェロモンが出て仲間が集まる」という話もよく聞かれますが、これには科学的な根拠はありません。 アリやハチのような社会性昆虫とは異なり、ムカデに仲間を呼ぶフェロモンは確認されていません。安心して駆除してください。むしろ、1匹見つけたということは、他にも侵入できる環境があるというサインなので、駆除と同時に侵入経路の確認や対策を行うことが重要です。
Q. ムカデに噛まれたらどうすればいいですか?
A. まずは落ち着いて、すぐに流水で患部を洗い流してください。ムカデの毒は熱に弱い性質があるため、43~46℃程度のお湯で洗い流しながら毒を絞り出すのが効果的とされています。冷やすのは逆効果になることがあるので注意してください。その後、抗ヒスタミン成分を含むステロイド軟膏を塗り、様子を見ます。腫れや痛みがひどい場合や、めまい、吐き気などの全身症状が出た場合は、アナフィラキシーショックの可能性も考えられるため、速やかに皮膚科や内科を受診してください。
Q. 2階の部屋にもムカデが出るのはなぜですか?
A. ムカデは壁を登る能力があるため、2階に現れることも珍しくありません。 外壁を伝って登り、2階の窓の隙間やエアコンの配管穴から侵入します。また、ベランダに置かれた植木鉢などが隠れ家となり、そこから室内に侵入するケースも多いです。 1階だけでなく、2階の窓や壁の隙間、ベランダ周りの点検と対策も忘れずに行うことが大切です。
まとめ

- ムカデは湿気と暗闇、エサを求めて排水溝から侵入する。
- 排水トラップが機能していないと侵入されやすい。
- 排水口ネットや蓋で物理的に侵入経路を塞ぐのが効果的。
- 100均グッズのすきまテープやパテも活用できる。
- 50~60℃の熱湯は駆除に有効だが火傷に注意。
- ハッカ油スプレーは天然成分で安全な忌避剤になる。
- 排水溝だけでなく、窓やエアコンの配管も侵入経路になる。
- 家全体の湿気対策が根本的な予防につながる。
- 家の周りの落ち葉や雑草はムカデの隠れ家になる。
- エサとなるゴキブリの駆除もムカデ対策に重要。
- 遭遇時は凍結スプレーでの駆除が安全で確実。
- 見失った場合は濡れタオルで罠を仕掛ける。
- 赤ちゃんやペットがいる家では蚊帳の利用が安心。
- 自力での対策が困難な場合はプロの業者に相談する。
- 業者選びは複数の見積もりと保証の確認が重要。