「家のなかで、あの不気味な姿を二度と見たくない…」梅雨の時期や夏になると、どこからともなく現れるムカデ。噛まれたときの激痛を考えると、夜も安心して眠れない、という方も多いのではないでしょうか。そんな悩みの種であるムカデですが、実は特定の「匂い」がとても苦手だということをご存知でしたか?
本記事では、ムカデが嫌う匂いを徹底的にリサーチし、天然成分を使った手軽な対策から効果的な市販グッズまで、あなたの家をムカデから守るための具体的な方法を詳しく解説します。
【結論】ムカデが嫌いな匂いTOP5!まずはこれを試そう

家の中でムカデに遭遇したくない、でもどんな対策から始めたらいいか分からない…。そんなあなたのために、まず試してほしいムカデが嫌いな匂いをランキング形式でご紹介します。これらの匂いを活用して、ムカデにとって居心地の悪い環境を作りましょう。
- ハッカ油(メントール)
- ヒノキ(ヒノキチオール)
- 樟脳(しょうのう)
- ハーブ類(ローズマリーやラベンダーなど)
- 市販の忌避剤の香り
ムカデは視力が弱い代わりに、触角が非常に発達しており、匂いにとても敏感です。 特に、スッとする刺激の強い香りや、木の独特な香りを嫌う傾向にあります。 これらの匂いをうまく利用することが、ムカデを寄せ付けないための第一歩となるのです。次の章からは、それぞれの匂いを具体的にどう活用すれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
【天然成分編】ムカデが嫌いな匂いの効果的な使い方

小さなお子様やペットがいるご家庭では、化学薬品を使うことに抵抗があるかもしれません。ここでは、自然由来の成分を使った、安心して試せるムカデ対策をご紹介します。身近なもので手軽に始められるので、ぜひ今日から実践してみてください。
ハッカ油スプレーの作り方と使い方
ムカデ対策の定番ともいえるのがハッカ油です。 ハッカに含まれる「l-メントール」というスーッとした清涼感のある成分を、ムカデは非常に嫌います。 このハッカ油を使って、手軽に忌避スプレーを作ることができます。
【ハッカ油スプレーの作り方】
- スプレーボトルに無水エタノールを10ml入れます。
- ハッカ油を20~30滴ほど加え、よく振り混ぜます。
- 精製水(または水道水)を90ml加え、さらによく混ぜたら完成です。
完成したスプレーは、ムカデの侵入経路となりやすい玄関、窓のサッシ、網戸、換気口、排水溝の周りなどに吹きかけておきましょう。 香りが消えると効果が薄れるため、1週間に1~2回程度、こまめにスプレーするのがおすすめです。ハッカの爽やかな香りは、人間にとってはリフレッシュ効果も期待できるので、一石二鳥ですね。
ヒノキオイル・ヒノキチップの活用法
日本人にとって馴染み深いヒノキの香りも、ムカデにとっては大の苦手。ヒノキに含まれる「ヒノキチオール」という成分が、ムカデの触角を刺激し、寄せ付けない効果を発揮します。
対策としては、ヒノキのエッセンシャルオイル(精油)を染み込ませたコットンや、ヒノキチップを小皿や袋に入れて、ムカデが好みそうな場所に置くのが効果的です。例えば、押し入れの隅、ベッドの下、シンク下などがおすすめです。ヒノキチップはホームセンターや100円ショップでも手軽に購入できます。また、ヒノキの香りはリラックス効果や消臭効果もあるため、快適な空間づくりにも役立ちます。
その他のハーブ(ローズマリーなど)の活用法
ハッカやヒノキ以外にも、ムカデが嫌うハーブはいくつか存在します。代表的なものは以下の通りです。
- ローズマリー: 樟脳に似た強い香りが特徴で、多くの虫が嫌います。
- ラベンダー: 人間にとってはリラックスできる香りですが、ムカデには不快な香りです。
- タイム、オレガノ: 香味の強い成分「チモール」や「リナロール」を含み、ムカデを遠ざける効果が期待できます。
これらのハーブは、鉢植えで育てて玄関先や窓際に置くだけでも一定の忌避効果が期待できます。 また、乾燥させたハーブをポプリやサシェにして、クローゼットや引き出しに入れておくのも良いでしょう。自然の香りで、楽しみながらムカデ対策ができます。
天然成分を使う際の注意点
天然成分は比較的安全ですが、使用する際にはいくつか注意点があります。特にハッカ油は刺激が強いため、肌に直接つけたり、目に入ったりしないように注意しましょう。
また、ペット、特に猫を飼っているご家庭では注意が必要です。猫は精油の成分を分解する能力が低く、ハッカ油やヒノキ油などが体調不良の原因になる可能性があります。 ペットがいる空間で使用する際は、濃度を薄くしたり、ペットが直接触れない場所に設置したりするなどの配慮を忘れないようにしてください。
【市販グッズ編】手軽で効果的!おすすめムカデ対策アイテム

「手作りは少し面倒…」「もっと確実な効果が欲しい!」という方には、市販の対策グッズがおすすめです。各社から様々なタイプの製品が販売されており、用途に合わせて選ぶことができます。ここでは代表的なタイプと、人気の商品をご紹介します。
置き型タイプ(忌避剤)の特徴とおすすめ商品
置くだけでムカデが嫌がる香りを広げ、侵入を防ぐ手軽なタイプです。化学殺虫成分不使用の製品も多く、寝室や子供部屋でも安心して使いやすいのが魅力です。
代表的な商品としては、アース製薬の「アースガーデン ムカデよけ 置くタイプ」や、タニサケの「置くだけムカデンジャー」などがあります。 これらはヒノキなど植物由来の成分を使用しており、効果が数ヶ月持続するものが多く、手間がかからないのが嬉しいポイントです。
スプレータイプ(殺虫・忌避)の特徴とおすすめ商品
スプレータイプには、ムカデを直接駆除する「殺虫」タイプと、あらかじめスプレーしておくことで侵入を防ぐ「忌避」タイプの両方があります。
KINCHOの「ムカデキンチョール 行動停止プラス」は、速効性の高い成分でムカデの動きを素早く止めるのが特徴です。 一方、アース製薬の「ムカデ撃滅」は、冷却成分で動きを止めて駆除するタイプで、壁際などにスプレーしておくと約3ヶ月の侵入防止効果が持続します。 目の前のムカデを退治したい時も、予防したい時も、1本あると心強いアイテムです。
毒餌(ベイト)タイプのメリット・デメリット
ムカデが好むエサに殺虫成分を混ぜて食べさせ、駆除するのが毒餌(ベイト)タイプです。家の外や、ムカデが出没しやすい場所に置いて使います。
KINCHOの「置くだけいなくなる ムカデハンター」などが有名で、巣に持ち帰らせて他のムカデも駆除する効果が期待できるものもあります。 しかし、エサでおびき寄せるという性質上、「逆にムカデが集まってくるのでは?」と心配する声もあります。 小さなお子様やペットが誤って口にしないよう、設置場所には十分な注意が必要です。
くん煙剤は最終手段?効果と注意点
「ムカデを見失ってしまった」「部屋のどこかに潜んでいるかもしれない…」そんな不安な状況では、くん煙剤が有効です。部屋の隅々まで殺虫成分が行き渡り、隠れたムカデを駆除することができます。
ただし、使用中は部屋に入れない、火災報知器や家電にカバーをかける必要がある、ペットや植物を室外に出す必要があるなど、手間がかかるのがデメリットです。 日常的な予防というよりは、いざという時の最終手段として考えておくと良いでしょう。
匂いだけでは不十分!ムカデを家に侵入させないための根本対策

ムカデが嫌いな匂いを利用するのは非常に効果的な対策ですが、それだけでは万全とは言えません。なぜなら、匂いの効果は永続的ではないからです。ムカデとの遭遇率をゼロに近づけるためには、匂いによる対策と並行して、ムカデが「住みたくない家」にするための根本的な対策が不可欠です。
最重要!物理的に侵入経路を断つ
ムカデは驚くほど平たい体をしており、数ミリのわずかな隙間からでも侵入してきます。 まずは、家中の隙間を徹底的にチェックし、物理的に入れないようにすることが最も重要です。
窓や網戸の隙間
窓を開けっ放しにしないのはもちろん、網戸が破れていたり、サッシとの間に隙間ができていたりしないか確認しましょう。隙間テープなどを活用して、しっかりと塞ぐことが大切です。
エアコンのドレンホース
意外と見落としがちなのが、エアコンの室外機につながるドレンホースです。 このホースの先端からムカデが侵入するケースは少なくありません。ホームセンターなどで販売されている専用の防虫キャップを取り付けたり、ストッキングの切れ端を輪ゴムで留めたりするだけでも効果があります。
換気口・通気口
浴室やトイレ、床下の換気口もムカデの侵入経路になります。 目の細かい金網やフィルターを取り付けて、侵入を防ぎましょう。ただし、換気の妨げにならないように注意が必要です。
排水溝
キッチンやお風呂、洗面所の排水溝も要注意ポイントです。 使わないときはフタをしておく、こまめに掃除をして清潔に保つなどの対策を心がけましょう。
ムカデが好む「湿気」を徹底的に排除する
ムカデは乾燥に弱く、ジメジメとした湿気の多い場所を好みます。 そのため、家の中の湿度を管理することが、ムカデを寄せ付けないための重要なポイントになります。
お風呂やキッチンを使った後は必ず換気扇を回す、押し入れやクローゼットには除湿剤を置く、梅雨の時期は除湿機を活用するなどして、家全体の風通しを良くし、湿気を溜めない工夫をしましょう。 特に床下の湿気はムカデの温床になりやすいため、床下換気扇の設置なども検討すると良いでしょう。
エサとなるゴキブリを駆除する
実は、ムカデの大好物はゴキブリなどの昆虫です。 つまり、あなたの家にゴキブリがいると、それを目当てにムカデが侵入してくる可能性が高まるのです。
ゴキブリ対策を徹底することは、結果的にムカデ対策にも繋がります。生ゴミを放置しない、食べかすをこまめに掃除するなど、ゴキブリが住み着きにくい清潔な環境を保つことが大切です。
家の周りの環境整備
ムカデは日中、落ち葉の下や植木鉢の下、石垣の間など、暗くて湿った場所に隠れています。 家の周りにこのような場所があると、ムカデが寄り付きやすくなってしまいます。
庭の雑草を定期的に抜き、落ち葉はこまめに掃除しましょう。植木鉢やプランターは、壁から少し離して風通しを良くするだけでも効果があります。家の周りをスッキリとさせて、ムカデの隠れ家をなくすことを意識してください。
よくある質問

ムカデを殺すと仲間が集まるって本当ですか?
「ムカデを1匹殺すと、その匂いで仲間が集まってくる」という話を耳にすることがありますが、これに科学的な根拠はありません。 ムカデはフェロモンで仲間を呼ぶような習性はないとされています。ただし、1匹見つけたということは、他にもムカデが侵入できる環境である可能性が高いと言えます。見つけたら速やかに駆除し、侵入対策を見直すきっかけにしましょう。
ムカデが好きな匂いはありますか?
ムカデが積極的に好む特定の「良い香り」というものはありません。しかし、彼らが好むのは「環境の匂い」です。具体的には、湿気の多い場所の匂いや、エサとなるゴキブリが出すフェロモン臭などです。 また、汗などで湿った靴の中も、ムカデにとっては絶好の隠れ家になるため、注意が必要です。
蚊取り線香はムカデに効きますか?
蚊取り線香の煙や匂いをムカデが嫌うことはありますが、駆除したり、侵入を完全に防いだりするほどの強い効果は期待できません。 蚊取り線香はあくまで蚊を対象とした製品であり、ムカデ対策としては専用の忌避剤や殺虫剤を使用することをおすすめします。
ムカデを見失ってしまいました。どうすればいいですか?
ムカデは狭く暗い場所に隠れるのが得意なため、一度見失うと探すのは困難です。無理に家具などを動かして探すと、驚いたムカデに噛まれる危険もあります。そんな時は、部屋の隅々まで薬剤が行き渡る「くん煙剤」を使用するのが一つの方法です。 もしくは、ムカデが再び出てくるのを待って、殺虫スプレーなどで確実に仕留める準備をしておきましょう。
ムカデに噛まれた時の対処法は?
万が一ムカデに噛まれてしまったら、まずは慌てずに傷口を流水でよく洗い流してください。ムカデの毒は熱に弱いため、43~46℃程度のお湯で温めながら毒を絞り出すと痛みが和らぎます。 その後、抗ヒスタミン成分を含むステロイド軟膏を塗り、患部を冷やしましょう。痛みがひどい場合や、腫れが引かない場合は、速やかに皮膚科を受診してください。
まとめ

- ムカデはハッカやヒノキのスッとする匂いが苦手。
- 天然成分ならハッカ油スプレーやヒノキチップが手軽。
- ペット、特に猫がいる家では精油の使用に注意が必要。
- 市販品は置き型、スプレー、毒餌など種類が豊富。
- 用途や場所に合わせて最適なグッズを選ぶことが大切。
- 匂い対策と同時に、侵入経路を物理的に塞ぐことが最重要。
- エアコンのドレンホースは防虫キャップで対策する。
- 窓や網戸の隙間は隙間テープでしっかり塞ぐ。
- ムカデは湿気を好むため、家全体の除湿と換気を徹底する。
- お風呂やキッチンの使用後は必ず換気扇を回す。
- ムカデのエサとなるゴキブリを駆除することも重要。
- 家の周りの落ち葉や雑草を掃除し、隠れ家をなくす。
- ムカデを殺しても仲間が集まるという科学的根拠はない。
- 噛まれたら43℃以上のお湯で洗い流し、病院へ行く。
- 匂い対策と根本対策の組み合わせでムカデを防ぐ。