大切に育てているツツジの葉が、なんだか白っぽくかすれたようになっていませんか?もしかしたら、それは「ツツジグンバイムシ」という害虫の仕業かもしれません。放置するとツツジが弱り、美しい花が咲かなくなってしまうことも。この記事では、ツツジグンバイムシの被害の見分け方から、効果的な駆除方法、そして二度と発生させないための予防策まで、詳しく解説します。大切なツツジを守るために、正しい知識を身につけて、すぐに対策を始めましょう。
もしかしてグンバイムシ?ツツジの被害症状と見分け方

ツツジの葉に異変を感じたら、まずは敵の正体を突き止めることが重要です。グンバイムシの被害には特徴的なサインがあります。ここでは、被害症状と見分け方のポイントを解説します。
本章では、以下の点について詳しく見ていきましょう。
- 葉が白くかすり状になる被害サイン
- 葉の裏の黒い点々はフン!ハダニとの違い
- グンバイムシの生態と発生時期(4月~10月)
葉が白くかすり状になる被害サイン
ツツジグンバイムシの最も分かりやすい被害は、葉の表面に白いかすり状の斑点が無数に現れることです。 これは、グンバイムシが葉の裏から吸汁し、その部分の葉緑素が抜けてしまうために起こります。 最初は小さな白い点がポツポツと現れるだけですが、被害が進行すると斑点同士がつながり、葉全体が白っぽく見えるようになります。
この状態を放置すると、光合成が十分にできなくなり、ツツジの生育が悪化してしまいます。 最悪の場合、葉が枯れて落ちてしまうこともあるため、早期発見が何よりも大切です。
葉の裏の黒い点々はフン!ハダニとの違い
葉が白くなる症状はハダニの被害とも似ていますが、決定的な違いは葉の裏側にあります。ツツジグンバイムシの被害の場合、葉の裏を見ると、黒いヤニやタールのような点々とした汚れがたくさん付着しています。 これはグンバイムシの排泄物(フン)です。
葉の裏をよく観察すれば、体長3~5mmほどの平たい虫、つまりグンバイムシの成虫や幼虫が見つかることもあります。 一方、ハダニの被害ではこのような黒いフンは見られません。この黒い汚れの有無が、グンバイムシかハダニかを見分ける重要なポイントになります。
グンバイムシの生態と発生時期(4月~10月)
グンバイムシは、その平たい翅を広げた形が相撲の行司が持つ「軍配」に似ていることからその名が付きました。 成虫の体長は約3〜5mm程度です。
主に落ち葉の下などで成虫のまま冬を越し、4月頃から活動を開始します。 そして、年に4〜5回世代交代を繰り返しながら、10月頃まで発生が続きます。 特に気温が高く乾燥する夏から初秋にかけて被害が拡大しやすい傾向があります。
成虫も幼虫も葉の裏に寄生して吸汁加害するため、春から秋まで常に注意が必要です。 発生初期に駆除することが、被害を最小限に抑える鍵となります。
【即効性重視】薬剤を使ったツツジグンバイムシの駆除方法

グンバイムシが大量に発生してしまった場合、薬剤を使った駆除が最も確実で手早い方法です。しかし、薬剤には様々な種類があり、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。ここでは、効果的な薬剤の選び方から、おすすめの商品、安全な使い方まで詳しく解説します。
この章で解説する内容は以下の通りです。
- 駆除に効果的な殺虫剤の選び方
- おすすめの殺虫剤(商品名と特徴)
- 殺虫剤を使う際の注意点
駆除に効果的な殺虫剤の選び方
ツツジグンバイムシの駆除には、害虫の種類や発生状況に合わせて適切な殺虫剤を選ぶことが大切です。選び方のポイントは大きく2つあります。
浸透移行性剤(粒剤)がおすすめな理由
グンバイムシ対策で特におすすめなのが、「浸透移行性」の殺虫剤です。 中でも「オルトラン粒剤」に代表される粒剤タイプは、株元に撒くだけで薬剤の成分が根から吸収され、植物全体に行き渡ります。
これにより、葉の裏に隠れているグンバイムシが葉の汁を吸うと、薬剤の効果で駆除できるという仕組みです。 スプレー剤のように葉の裏一枚一枚に散布する手間がなく、効果が長期間持続する(約1ヶ月)のが大きなメリットです。 発生初期に撒いておくことで、予防効果も期待できます。
スプレー剤は葉裏散布が基本
すでに発生しているグンバイムシをすぐに退治したい場合は、速効性のあるスプレータイプの殺虫剤が有効です。
ただし、グンバイムシは葉の裏に潜んでいるため、薬剤を散布する際は葉の裏側までしっかりと薬剤がかかるように丁寧に散布することが非常に重要です。 葉の表面にだけ散布しても、虫に直接薬剤が当たらず、十分な効果が得られないので注意しましょう。
おすすめの殺虫剤(商品名と特徴)
ここでは、ホームセンターなどで手に入りやすく、ツツジグンバイムシに効果的な代表的な殺虫剤をいくつかご紹介します。
種類 | 商品名 | 特徴 |
---|---|---|
粒剤(浸透移行性) | 住友化学園芸 オルトランDX粒剤 | 株元に撒くだけで効果が持続。予防と駆除の両方に使える定番商品。 |
粒剤(浸透移行性) | 住友化学園芸 ベニカXガード粒剤 | 殺虫成分に加え、殺菌成分も配合。病気の予防も同時にできる。 |
スプレー剤 | 住友化学園芸 ベニカXネクストスプレー | 5種類の成分配合で、幅広い害虫や病気に効果を発揮。速効性と持続性を両立。 |
スプレー剤 | アース製薬 アースガーデン ケムシ撃滅 切替ジェット | ツツジグンバイにも適用があり、ジェット噴射で高い場所にも届きやすい。 |
殺虫剤を使う際の注意点
薬剤は効果が高い反面、使い方を誤ると植物や人体に影響を及ぼす可能性があります。使用する際は、以下の点に必ず注意してください。
- ラベルをよく読む: 必ず商品のラベルに記載されている使用方法、希釈倍数、使用回数を守りましょう。
- 散布の時間帯: 日中の高温時を避け、風のない早朝や夕方に散布するのがおすすめです。
- 服装に注意: 薬剤を吸い込んだり、皮膚に付着したりしないよう、マスク、ゴーグル、手袋、長袖長ズボンを着用しましょう。
- 周辺への配慮: 洗濯物やペット、池などに薬剤がかからないように注意が必要です。
- ローテーション散布: 同じ系統の薬剤を使い続けると、害虫が抵抗性を持つことがあります。異なる系統の薬剤を交互に使う「ローテーション散布」を心がけましょう。
【安全性重視】農薬を使わないツツジグンバイムシの駆除方法

「小さなお子さんやペットがいるから、できるだけ農薬は使いたくない」という方も多いでしょう。ご安心ください。農薬を使わなくてもグンバイムシを駆除する方法はあります。ここでは、環境にも優しい安全な駆除方法をご紹介します。
この章では、以下の方法を具体的に解説します。
- 発生初期に有効な物理的駆除
- 自然由来の成分で対策する方法
発生初期に有効な物理的駆除
グンバイムシの数がまだ少ない発生初期であれば、物理的な方法で取り除くことが可能です。こまめにツツジの状態をチェックし、被害を見つけたらすぐに行動しましょう。
強力な水流で洗い流す
ホースのノズルをジェット水流などに設定し、葉の裏側に向かって勢いよく水をかけてグンバイムシを洗い流す方法です。 幼虫は集団でいることが多いため、葉ごと洗い流すことで一掃できる可能性があります。 特別な道具も必要なく、手軽にできるのがメリットです。ただし、成虫は飛んで逃げてしまうことがあるため、定期的に行う必要があります。
粘着テープやブラシで取り除く
ガムテープや粘着テープを葉の裏に貼り付けて、虫をくっつけて捕獲する方法も効果的です。 また、使い古しの歯ブラシなどで葉の裏を優しくこすり、虫を払い落とすこともできます。葉を傷つけないように力加減には注意してください。地道な作業ですが、薬剤を使わずに確実に虫の数を減らすことができます。
被害がひどい葉や枝の剪定
すでに葉全体が白くなってしまい、びっしりと虫やフンが付着しているなど、被害が特にひどい葉や枝は、思い切って剪定してしまうのも一つの手です。 これにより、虫の密集地帯を物理的に取り除き、さらなる被害の拡大を防ぎます。剪定した枝葉は、ビニール袋などに入れてしっかりと口を縛り、燃えるゴミとして処分しましょう。
自然由来の成分で対策する方法
薬剤に抵抗がある方には、食品など身近なものを使った対策もおすすめです。ただし、化学農薬ほどの即効性や持続性はないため、予防や発生初期の対策として根気強く続けることが大切です。
牛乳スプレーの効果と作り方
牛乳を水で薄めてスプレーする方法は、アブラムシ対策として知られていますが、グンバイムシにもある程度の効果が期待できます。 牛乳が乾くときに膜を作り、虫を窒息させる仕組みです。
作り方は簡単で、牛乳と水を1:1の割合で混ぜてスプレーボトルに入れるだけです。これを葉の裏を中心に散布します。ただし、散布後に牛乳が腐敗して臭いが出たり、カビの原因になったりすることがあるため、散布後数時間経ったら水で洗い流すようにしましょう。
木酢液の活用法
木酢液は、木炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、植物の成長を助ける効果や、害虫を寄せ付けにくくする忌避効果があるとされています。
使用する際は、製品に記載されている希釈倍率を守り、水で薄めてからジョウロやスプレーで散布します。独特の燻製のような香りがあり、この香りが害虫を遠ざけると言われています。ただし、殺虫効果は期待できないため、あくまで予防目的として使用するのが良いでしょう。
もう発生させない!ツツジグンバイムシの徹底予防策

一度グンバイムシを駆除しても、環境が変わらなければ再び発生してしまう可能性があります。最も大切なのは、グンバイムシが好まない環境を作り、発生そのものを予防することです。日頃のちょっとしたお手入れで、大切なツツジを害虫から守りましょう。
この章では、効果的な予防策を4つご紹介します。
- 風通しを良くする剪定が最も重要
- 乾燥を防ぐ葉水
- 周辺の雑草はこまめに除去
- 冬の越冬場所をなくす
風通しを良くする剪定が最も重要
ツツジグンバイムシは、風通しの悪い、湿気がこもりがちな場所を好みます。 枝や葉が密集していると、まさにグンバイムシにとって絶好の住処となってしまいます。
これを防ぐために最も効果的なのが剪定です。 花が終わった後、なるべく早い時期に、混み合った枝や内側に向かって伸びている枝などを切り落とし、株全体の風通しと日当たりを良くしてあげましょう。 これだけで、グンバイムシが発生しにくい環境を作ることができます。
乾燥を防ぐ葉水
グンバイムシは、高温で乾燥した環境で特に活発になります。 特に雨が少ない夏場は、被害が拡大しやすい時期です。
そこで有効なのが「葉水(はみず)」です。 霧吹きやホースのシャワー機能を使って、葉の表だけでなく、特に葉の裏側にも水をかけてあげることで、乾燥を防ぎ、グンバイムシが住み着きにくい環境を作ることができます。朝や夕方の涼しい時間帯に行うのがおすすめです。葉水をすることで、ハダニの予防にも繋がります。
周辺の雑草はこまめに除去
見落としがちですが、ツツジの株元や庭の雑草もグンバイムシの発生源となることがあります。 特にキク科の雑草などは、グンバイムシの隠れ家や繁殖場所になる可能性があります。
ツツジの周りを常に清潔に保つためにも、雑草は気づいた時にこまめに抜き取るように心がけましょう。これにより、グンバイムシだけでなく、他の病害虫の発生リスクも減らすことができます。
冬の越冬場所をなくす
ツツジグンバイムシは、主に落ち葉の下などで成虫のまま冬を越します。 そして春になると再び活動を始め、被害を広げます。
この越冬させないための対策が重要です。秋から冬にかけて、ツツジの株元に積もった落ち葉は、こまめに掃除して処分しましょう。 これにより、翌春のグンバイムシの発生数を大幅に減らすことができ、春からの管理がぐっと楽になります。
よくある質問

ここでは、ツツジグンバイムシの駆除に関して、皆さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q. グンバイムシの駆除に最適な時期はいつですか?
A. グンバイムシの駆除に最も効果的な時期は、幼虫が多く発生する5月から7月です。 越冬した成虫が活動を始める4月頃から葉の裏をこまめにチェックし、発生を確認したらすぐに薬剤を散布するのが理想的です。 発生初期に対処することで、夏の大量発生を防ぐことができます。
Q. 被害を受けた葉は元に戻りますか?
A. 残念ながら、一度グンバイムシの吸汁被害によって白くかすり状になってしまった葉は、駆除しても元の緑色には戻りません。 見た目が気になる場合は、被害のひどい葉を摘み取ったり、剪定したりすると良いでしょう。だからこそ、被害が広がる前の予防と早期発見が非常に重要になります。
Q. オルトランには粒剤と液剤がありますが、どちらが良いですか?
A. どちらも有効ですが、使い方や目的に応じて選ぶのがおすすめです。粒剤は株元に撒くだけで効果が長持ちし、予防にも向いています。 手間をかけたくない方におすすめです。一方、液剤(水和剤)は水で薄めて散布するタイプで、すでに発生している虫に直接かけることで速効性が期待できます。 状況に合わせて使い分けるのが良いでしょう。
Q. 木酢液は本当に効果がありますか?
A. 木酢液には殺虫効果はほとんどありませんが、その独特の匂いによって害虫を寄せ付けにくくする忌避効果が期待できます。 そのため、駆除というよりは予防目的で使用するのが適しています。農薬を使いたくない場合の予防策の一つとして、定期的に散布するのは有効な手段と言えるでしょう。
Q. グンバイムシに天敵はいますか?
A. グンバイムシにも天敵は存在します。クモやカゲロウの幼虫、ヒメハナカメムシなどがグンバイムシを捕食することが知られています。しかし、天敵だけで庭のグンバイムシを完全に駆除するのは難しいのが現状です。天敵が活動しやすい環境を整えつつ、他の駆除・予防方法と組み合わせることが大切です。
Q. 大量発生して手に負えない場合はどうすればいいですか?
A. 自分での対策が難しいほど大量発生してしまった場合や、高い木のてっぺんまで被害が広がっている場合は、プロの造園業者や害虫駆除業者に相談するのも一つの選択肢です。 専門家であれば、状況に応じた最適な薬剤を選び、専用の機材で安全かつ効果的に駆除してくれます。再発防止のアドバイスももらえるでしょう。
まとめ

- ツツジの葉が白くかすれるのはグンバイムシの仕業。
- 葉の裏に黒いフンがあればグンバイムシの可能性大。
- グンバイムシは4月~10月に発生し、夏に多発する。
- 薬剤駆除には株元に撒く「オルトラン粒剤」が手軽。
- スプレー剤は葉の裏にしっかり散布することが重要。
- 農薬を使わない場合は水流で洗い流すのが手軽。
- 牛乳スプレーや木酢液は予防的な効果が期待できる。
- 最も重要な予防策は風通しを良くする剪定。
- 乾燥を防ぐための「葉水」もグンバイムシ予防に有効。
- 株元の雑草や落ち葉はこまめに掃除すること。
- 被害を受けた葉は元には戻らないため早期発見が鍵。
- 駆除の最適な時期は幼虫が多い5月~7月。
- 同じ薬剤の連続使用は抵抗性を生むので避ける。
- 手に負えない場合はプロの業者に相談するのも手。
- 正しい対策で大切なツツジを害虫から守りましょう。