大切に育てている植物の葉に、なんだか白いかすり傷のようなものがあったり、新しい芽の元気がなかったり…。もしかしたら、それは体長1〜2mmほどの小さな害虫「アザミウマ(スリップス)」の仕業かもしれません。アザミウマは非常に小さく見つけにくい上に、繁殖力がとても強い厄介な害虫です。気づいたときには大量発生していた、なんてことも少なくありません。
本記事では、そんな手強いアザミウマを手軽に駆除できる「スプレー」に焦点を当て、おすすめの市販スプレーから、食品成分で安心して使える自作スプレーの作り方、さらには二度と発生させないための予防策まで、アザミウマ対策の全てを詳しく解説していきます。アザミウマの被害にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
まずは敵を知ろう!アザミウマ(スリップス)の生態と被害

効果的な駆除を行うためには、まず敵であるアザミウマについて知ることが重要です。ここでは、アザミウマの生態や特徴、そして植物にどのような被害をもたらすのかを解説します。
- アザミウマってどんな虫?特徴と発生時期
- 見逃さないで!アザミウマによる被害のサイン
- アザミウマが発生しやすい植物一覧
アザミウマってどんな虫?特徴と発生時期
アザミウマは、カメムシ目アザミウマ科に属する昆虫の総称で、英語では「スリップス(Thrips)」とも呼ばれています。 体長は1mmから2mm程度と非常に小さく、細長い体型が特徴です。 色は種類によって黄色や褐色、黒色など様々です。
アザミウマは繁殖力が非常に高く、暖かい時期にはわずか2週間ほどで卵から成虫になり、爆発的に増えることがあります。 温暖な気候を好み、主な発生時期は4月から10月頃ですが、特に高温で乾燥する梅雨明けから夏にかけて最も活動が活発になります。 ビニールハウスなどの施設栽培では、冬でも発生することがあるため一年を通して注意が必要です。
また、アザミウマは葉の組織内や花の中に卵を産み付け、幼虫は土の中で蛹になる種類もいるため、見つけにくく駆除が難しいという厄介な性質を持っています。
見逃さないで!アザミウマによる被害のサイン
アザミウマは、植物の葉や花、果実の汁を吸って栄養を摂取します。 汁を吸われた部分は、様々な被害症状が現れます。初期段階で被害に気づくことが、被害拡大を防ぐための重要なポイントです。
葉や新芽に見られる症状(かすり傷、変形)
葉がアザミウマの被害にあうと、汁を吸われた部分が白っぽく変色し、銀色のかすり傷のような跡が残ります。 これを「シルバリング」と呼びます。被害が進むと、葉全体が褐色に変色したり、縮れたり、奇形になったりすることもあります。 特に新芽が被害にあうと、正常に成長できずに萎縮してしまうことも少なくありません。
花や果実に見られる症状(シミ、奇形)
アザミウマは花を好む種類が多く、開花前のつぼみの段階から内部に侵入して加害します。 花びらの汁を吸われると、シミのような斑点ができたり、縁が茶色く変色して縮れたりして、見た目が著しく損なわれます。 ひどい場合には、つぼみのまま開かずに枯れてしまうこともあります。
果実が被害にあうと、表面にかさぶたのような傷がついたり、白く膨れたり、奇形になったりします。 ナスやキュウリ、ピーマンなどの野菜では、果実の品質が大きく低下し、商品価値がなくなってしまうこともあります。
アザミウマが発生しやすい植物一覧
アザミウマは非常に多くの植物に寄生しますが、特に被害を受けやすい植物があります。 家庭菜園やガーデニングで人気の植物も多く含まれるため、注意が必要です。
以下に、アザミウマが発生しやすい植物の例を挙げます。
- 野菜類: ナス、きゅうり、ピーマン、トマト、メロン、スイカ、カボチャ、ほうれん草、ネギ、タマネギ
- 花き類: バラ、キク、カーネーション、ガーベラ、ダリア
- 果樹類: イチゴ、ブドウ、柑橘類、カキ、イチジク
これらの植物を育てている場合は、特にアザミウマの発生に注意し、こまめに葉の裏などを観察するようにしましょう。
【即効性重視】アザミウマ駆除におすすめの市販スプレー5選

アザミウマが発生してしまったら、迅速な対応が重要です。市販の殺虫スプレーは、手軽に使えて高い効果が期待できるため、最初の選択肢としておすすめです。ここでは、アザミウマ駆除に効果的な市販スプレーの選び方と、おすすめの商品を5つ紹介します。
- スプレー剤の選び方3つのポイント
- 初心者にもおすすめ!定番の殺虫スプレー
- 食品成分で安心!野菜にも使えるスプレー
- 薬剤抵抗性のアザミウマにも効く!専門的なスプレー
- 比較表で一目瞭然!おすすめスプレーまとめ
スプレー剤の選び方3つのポイント
数ある殺虫スプレーの中から、自分の状況に合ったものを選ぶための3つのポイントを解説します。
成分で選ぶ(化学農薬 vs 自然由来)
殺虫スプレーの成分は、大きく「化学農薬」と「自然由来成分」に分けられます。
化学農薬は、殺虫効果が高く、即効性や持続性に優れているのが特徴です。 確実にアザミウマを駆除したい場合や、大量発生してしまった場合に適しています。ただし、使用できる植物や使用回数に制限があるため、使用前には必ずラベルを確認する必要があります。
一方、自然由来成分(食品成分など)を使用したスプレーは、化学農薬に比べて効果は穏やかですが、野菜やハーブなど、口にする可能性のある植物にも安心して使いやすいのがメリットです。 小さなお子様やペットがいるご家庭でも、比較的安心して使用できます。
剤形で選ぶ(スプレー vs 粒剤)
アザミウマ対策の薬剤には、スプレータイプの他に、土に混ぜる「粒剤」タイプもあります。
スプレー剤は、発生したアザミウマに直接噴射して駆除するもので、即効性が高いのが特徴です。 見つけた害虫をすぐに退治したい場合に適しています。
粒剤は、植物の根から有効成分を吸収させ、植物全体に行き渡らせることで、葉の裏や花の中に隠れているアザミウマにも効果を発揮します(浸透移行性)。 効果が長期間持続するため、予防的な使用にも向いています。
適用植物で選ぶ
農薬は、商品によって使用できる植物(適用作物)が法律で定められています。 間違った使い方をすると、植物に薬害が出たり、効果がなかったりするだけでなく、法律違反になる可能性もあります。 特に野菜や果樹に使用する場合は、収穫前日数が定められていることが多いので、購入前に必ず商品のラベルを確認し、育てている植物に使えるかどうかをチェックしましょう。
初心者にもおすすめ!定番の殺虫スプレー
どのスプレーを選べば良いか分からないという方には、幅広い植物に使え、アザミウマだけでなく様々な病害虫に効果のある総合的な殺虫殺菌スプレーがおすすめです。
住友化学園芸「ベニカXネクストスプレー」
「ベニカXネクストスプレー」は、5種類の有効成分を配合し、幅広い害虫と病気に効果を発揮する殺虫殺菌スプレーです。 アザミウマはもちろん、アブラムシやハダニ、チョウ目の老齢幼虫など、退治が難しい害虫にも効果があります。 速効性と持続性を兼ね備えており、アブラムシには約1ヶ月の効果が持続します。 野菜や果樹、花き類など、様々な植物に使用できるため、1本持っておくと非常に便利です。
食品成分で安心!野菜にも使えるスプレー
できるだけ化学農薬を使いたくない方や、家庭菜園で野菜を育てている方には、食品由来の成分で作られたスプレーがおすすめです。
アース製薬「やさお酢」
「やさお酢」は、食酢100%の成分で作られた、人にも植物にもやさしい殺虫殺菌スプレーです。 アザミウマやアブラムシ、ハダニなどの害虫を退治するだけでなく、うどんこ病などの病気の予防効果もあります。食品成分なので、収穫直前まで何度でも使用でき、野菜やハーブを育てている方でも安心して使えます。効果は化学農薬に比べて穏やかですが、発生初期の害虫対策や、病害虫の発生を予防する目的での定期的な散布に適しています。
薬剤抵抗性のアザミウマにも効く!専門的なスプレー
アザミウマは同じ薬剤を使い続けると、その薬剤が効きにくくなる「薬剤抵抗性」を発達させやすい害虫です。 もし、これまで使っていたスプレーの効果が感じられなくなった場合は、作用性の異なる薬剤に切り替える必要があります。
例えば、日本化薬株式会社の「ファインセーブ®フロアブル」は、新しい作用性を持つ殺虫剤で、既存の薬剤に抵抗性を持つアザミウマにも高い効果が期待できます。 ただし、こうした専門的な農薬は使用方法が定められているため、説明書をよく読んで正しく使用することが重要です。
比較表で一目瞭然!おすすめスプレーまとめ
ここまで紹介したスプレー剤の特徴を、以下の表にまとめました。ご自身の状況に合わせて、最適なスプレーを選んでください。
商品名 | メーカー | 主成分 | 特徴 | おすすめの用途 |
---|---|---|---|---|
ベニカXネクストスプレー | 住友化学園芸 | 化学農薬 | 幅広い病害虫に効く。速効性と持続性。 | 初心者、様々な植物を育てている方 |
やさお酢 | アース製薬 | 食酢 | 食品成分で安心。収穫直前まで使える。 | 無農薬・減農薬栽培、家庭菜園 |
オルトランDX粒剤 | 住友化学園芸 | 化学農薬(粒剤) | 浸透移行性で効果が約1ヶ月持続。 | 予防、隠れた害虫の駆除 |
ベニカベジフルスプレー | 住友化学園芸 | 化学農薬 | 野菜や果樹専用。速効性と持続性。 | 野菜・果樹の集中ケア |
ファインセーブ®フロアブル | 日本化薬 | 化学農薬 | 薬剤抵抗性のアザミウマに有効。 | 既存の薬剤が効かなくなった場合 |
【安心・安全】農薬を使わない!自作できる駆除スプレーの作り方

市販の殺虫剤に頼らず、身近な材料でアザミウマ対策をしたいという方も多いでしょう。ここでは、家庭で簡単に作れる、環境にやさしい駆除スプレーのレシピを3つご紹介します。化学物質を使わないため、土壌や周辺環境を汚す心配が少ないのが魅力です。
- 牛乳スプレーの作り方と効果
- 木酢液・竹酢液スプレーの作り方と効果
- 石鹸水スプレーの作り方と注意点
- 自作スプレーを使う際の注意点
牛乳スプレーの作り方と効果
牛乳スプレーは、アザミウマのような小さな害虫に効果的な、手軽な駆除方法の一つです。
作り方は非常に簡単で、牛乳と水を1:1の割合で混ぜるだけです。これをスプレーボトルに入れ、アザミウマが発生している場所に直接吹きかけます。牛乳が乾燥する際に膜を作り、アザミウマを窒息させて駆除する効果が期待できます。
特に、アブラムシなどにも効果があるため、複数の害虫に悩まされている場合にも試す価値があります。ただし、使用後は牛乳の匂いが残ったり、カビの原因になったりすることがあるため、散布した数時間後には水で洗い流すことをおすすめします。
木酢液・竹酢液スプレーの作り方と効果
木酢液や竹酢液は、木炭や竹炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の燻製のような香りが特徴です。この香りを害虫が嫌うため、忌避剤としての効果が期待できます。
使用する際は、製品の規定に従って水で200〜500倍程度に薄めてスプレーします。木酢液は農薬ではないため、駆除効果そのものは高くありませんが、アザミウマを寄せ付けにくくする予防効果が見込めます。 定期的に散布することで、害虫が発生しにくい環境を作ることができます。また、土壌改良効果も期待できるため、植物の健康維持にも役立ちます。
石鹸水スプレーの作り方と注意点
石鹸水も、アザミウマを窒息させて駆除する効果があります。
作り方は、水1リットルに対して、無添加の液体石鹸を数滴(2〜3滴)混ぜてよく溶かします。界面活性剤の入っていない、カリ石鹸などが植物への負担が少なくおすすめです。これをスプレーボトルに入れ、アザミウマに直接かかるように散布します。
注意点として、石鹸の濃度が高すぎると植物の葉を傷める原因になるため、必ず薄めて使用してください。また、散布後は牛乳スプレーと同様に、水で洗い流すのが望ましいです。初めて使う場合は、まず一部の葉で試してから全体に散布すると安心です。
自作スプレーを使う際の注意点
自作スプレーは手軽で安全性が高い一方、いくつか注意点があります。
- 効果は穏やか: 化学農薬に比べると殺虫効果はマイルドです。大量発生してしまった場合には、市販の薬剤との併用も検討しましょう。
- 持続性が低い: 雨が降ると流れてしまうため、効果を持続させるにはこまめな散布が必要です。
- 作り置きしない: 作ったスプレーは時間が経つと成分が変化したり、腐敗したりする可能性があるため、その日のうちに使い切るようにしましょう。
- 散布時間に注意: 散布は、日差しの強い日中を避け、朝方や夕方に行うのが基本です。葉に液体が残ったまま強い日差しを浴びると、葉焼けの原因になることがあります。
スプレーだけじゃない!アザミウマの駆除方法と予防策

アザミウマ対策は、スプレー剤だけに頼るのではなく、様々な方法を組み合わせることでより効果的になります。ここでは、物理的な駆除方法や天敵の利用、そして最も重要な「予防策」について詳しく解説します。
- 物理的に駆除する方法
- 天敵を利用する生物的防除
- もう発生させない!徹底予防策
物理的に駆除する方法
薬剤を使わずに、物理的にアザミウマを捕獲・除去する方法です。発生初期や、薬剤を使いたくない場合に有効です。
キラキラ光る粘着シートで捕獲
アザミウマは、青色や黄色に強く引き寄せられる習性があります。 この習性を利用し、株の周りに青色や黄色の粘着シート(粘着トラップ)を設置することで、飛来した成虫を捕獲することができます。 市販のものが多くあり、設置するだけで手軽に個体数を減らすことができます。発生状況のモニタリングにも役立ちます。
水で洗い流す
アザミウマの数がまだ少ない初期段階であれば、ホースなどで勢いよく水をかけて洗い流すのも有効な方法です。 特に葉の裏は念入りに洗い流しましょう。ただし、植物を傷めないように水圧には注意が必要です。
被害部分を切り取る
被害が集中している葉や花、新芽を見つけたら、思い切って切り取って処分することも重要です。 これにより、その部分に潜んでいる卵や幼虫、成虫をまとめて除去でき、被害の拡大を防ぐことができます。切り取った部分は、ビニール袋などに入れて密閉し、速やかに処分しましょう。
天敵を利用する生物的防除
自然界には、アザミウマを捕食してくれる天敵が存在します。これらの天敵を意図的に利用する方法を「生物的防除」といい、環境への負荷が少ない持続可能な対策として注目されています。
アザミウマの天敵としては、ヒメハナカメムシ類やカブリダニ類、テントウムシ類などが知られています。 これらの天敵は「生物農薬」として市販されているものもあり、畑やハウス内に放すことでアザミウマの密度を抑制することができます。 天敵を利用する場合は、天敵に影響の少ない薬剤を選ぶなど、総合的な管理が必要になります。
もう発生させない!徹底予防策
アザミウマの被害を最小限に抑えるためには、駆除以上に「発生させない」ための予防が何よりも重要です。日頃の管理で、アザミウマが住み着きにくい環境を作りましょう。
防虫ネットで侵入を防ぐ
アザミウマは非常に小さいため、物理的に侵入を防ぐのが効果的です。プランターや畑全体を、0.8mm以下の網目の細かい防虫ネットで覆うことで、成虫の飛来を大幅に減らすことができます。 特に、苗を植え付けた直後からネットをかけておくのがおすすめです。
シルバーマルチで寄せ付けない
アザミウマは、キラキラと光るものを嫌う性質があります。株元にシルバーマルチ(銀色のビニールシート)を敷くことで、その反射光によってアザミウマが寄り付きにくくなります。 アルミホイルなどで代用することも可能です。アブラムシなど他の害虫にも効果があるため、一石二鳥の対策です。
風通しを良くする
アザミウマは、高温で乾燥し、風通しの悪い環境を好みます。 葉が密集していると、アザミウマの隠れ家になりやすくなります。適度に剪定や整枝を行い、株全体の風通しと日当たりを良く保つことが、病害虫の予防につながります。
周辺の雑草をこまめに抜く
畑や庭の周りに生えている雑草は、アザミウマの重要な発生源であり、越冬場所にもなります。 こまめに除草を行い、アザミウマの隠れ家をなくすことが非常に重要です。 刈り取った雑草は、その場に放置せず、速やかに処分しましょう。
アザミウマ駆除に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、アザミウマの駆除に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。
アザミウマが大量発生する原因は何ですか?
アザミウマが大量発生する主な原因は、その高い繁殖力と、発生に適した環境が揃ってしまうことです。 気温が高く乾燥した時期(特に梅雨明け〜夏)は、アザミウマの活動が最も活発になり、わずか2週間ほどで世代交代を繰り返すため、あっという間に数が増えます。 また、周辺の雑草が多い環境や、風通しの悪い場所も発生を助長します。 窒素過多の肥料を与えすぎると、植物体が軟弱になり、害虫の被害を受けやすくなることも原因の一つです。
室内で発生した場合の駆除方法は?
観葉植物など、室内でアザミウマが発生した場合は、屋外よりも薬剤の使用に気を使います。まずは、牛乳スプレーや石鹸水スプレーなど、比較的安全な自作スプレーを試してみるのが良いでしょう。散布後は、ベランダやお風呂場などで植物全体を水で優しく洗い流してください。被害のひどい葉は切り取って処分します。また、室内に置く前に、新しい植物にアザミウマが付いていないかよく確認することも大切です。
スプレーはどのくらいの頻度で使えばいいですか?
スプレーの使用頻度は、その種類によって異なります。化学農薬の場合、商品のラベルに記載されている使用回数の上限を必ず守ってください。一般的には、7〜10日に1回程度の散布が目安となることが多いです。 一方、食酢や牛乳などの自作スプレーは効果の持続性が低いため、発生が見られる間は2〜3日に1回など、よりこまめな散布が必要になる場合があります。 いずれの場合も、一度で根絶しようとせず、定期的な散布を続けることが重要です。
アザミウマに天敵はいますか?
はい、います。自然界にはアザミウマを捕食する天敵がおり、防除に利用されています。代表的な天敵には、ヒメハナカメムシ類、カブリダニ類、テントウムシ類などが挙げられます。 これらの天敵は、アザミウマの幼虫や成虫を食べてくれる益虫です。家庭菜園レベルでは、これらの天敵が住みやすい環境(多様な植物を植える、農薬の使用を控えるなど)を整えることで、自然にアザミウマの発生を抑制する助けになります。
駆除した後の植物の手入れはどうすればいいですか?
アザミウマを駆除した後は、植物の体力を回復させるための手入れが大切です。まず、被害を受けて変色したり、変形したりした葉や花は、回復が見込めないため取り除きましょう。その後は、適切な水やりと、植物の成長に合わせて適量の肥料を与えます。特に、窒素過多にならないようバランスの取れた肥料を心がけてください。 風通しを良く保ち、再びアザミウマが発生しないか、葉の裏などをこまめにチェックする習慣をつけましょう。
まとめ

- アザミウマは1-2mmの小さな害虫で、高温乾燥期に大量発生しやすい。
- 葉のかすり傷や変色、花や果実のシミや奇形が主な被害症状である。
- 市販スプレーは「化学農薬」と「自然由来」があり、用途で選ぶ。
- 住友化学園芸「ベニカXネクストスプレー」は初心者におすすめ。
- アース製薬「やさお酢」は食品成分で野菜にも安心して使える。
- 薬剤抵抗性がついたら、作用性の異なる薬剤に切り替える必要がある。
- 牛乳や木酢液、石鹸水で安全な駆除スプレーを自作できる。
- 自作スプレーは効果が穏やかなため、こまめな散布が必要である。
- 駆除だけでなく、予防策を組み合わせることが非常に重要である。
- 青や黄色の粘着シートは、成虫の捕獲に効果的である。
- 0.8mm以下の防虫ネットで物理的に侵入を防ぐのが有効である。
- シルバーマルチの反射光はアザミウマを寄せ付けにくくする。
- 風通しを良くし、株元の雑草をこまめに除去することが予防の基本。
- 天敵(ヒメハナカメムシ、カブリダニ等)を利用する生物的防除もある。
- 駆除後は、被害部分の除去と適切な施肥で植物の回復を助ける。