家庭菜園で人気のサニーレタス。手軽に育てられて、食卓を彩ってくれる便利な野菜ですよね。しかし、そんなサニーレタス栽培で多くの人が頭を悩ませるのが「害虫」の存在です。せっかく育てた葉が虫に食われて穴だらけ…なんて経験はありませんか?本記事では、サニーレタスに発生しやすい害虫の種類から、農薬に頼らない予防・駆除方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたも害虫の悩みから解放され、美味しいサニーレタスを安心して収穫できるようになります。
大切なサニーレタスを守るために!まずは知っておきたい代表的な害虫4選

サニーレタスを害虫から守るためには、まず敵を知ることが重要です。ここでは、特にサニーレタスに発生しやすい代表的な害虫とその被害の特徴について解説します。ご自身のサニーレタスの状態と見比べながら、どの害虫の仕業なのか見当をつけてみましょう。
- アブラムシ|新芽や葉裏にびっしり!
- ヨトウムシ(夜盗虫)|夜間に葉を食い荒らす厄介者
- ナメクジ|湿気を好み、這った跡がキラリ
- ハモグリバエ(絵描き虫)|葉に白い筋模様を残す
アブラムシ|新芽や葉裏にびっしり!
体長1~4mm程度の小さな虫で、新芽や葉の裏に群生して汁を吸います。 アブラムシが発生すると、葉が縮れたり、生育が悪くなったりする原因になります。また、アブラムシの排泄物は「すす病」という黒いカビを発生させることもあり、見た目も悪くなってしまいます。
アブラムシは風通しが悪く、湿度の高い環境を好みます。 また、窒素分の多い肥料を与えすぎると、葉が柔らかくなりアミノ酸が増えるため、アブラムシを呼び寄せる原因になるので注意が必要です。 繁殖力が非常に高いため、見つけたらすぐに対処することが大切です。
ヨトウムシ(夜盗虫)|夜間に葉を食い荒らす厄介者
ヨトウムシは、その名の通り夜間に活動して葉を食べる害虫です。 昼間は土の中や株元に隠れているため、姿を見つけるのが難しいのが特徴です。 被害に遭うと、葉に大きな穴が開いたり、葉脈を残して食べられたりします。
特に植え付け直後の若い苗は被害に遭いやすく、ひどい場合には茎を食いちぎられて苗ごとダメにされてしまうこともあります。 朝、サニーレタスの葉に不自然な穴が開いていたら、ヨトウムシの存在を疑いましょう。
ナメクジ|湿気を好み、這った跡がキラリ
ナメクジは、湿度の高い環境を好み、夜間に活動してサニーレタスの柔らかい葉を食べます。 葉に穴を開けるだけでなく、這った跡に銀色に光る粘液を残すのが特徴です。 この粘液が付着すると、見た目が悪いだけでなく、病気の原因になることもあります。
特に梅雨の時期や、雨が降った後などは活動が活発になるため、注意が必要です。 プランターの下や鉢の裏、雑草の茂みなど、湿気の多い場所に隠れていることが多いです。
ハモグリバエ(絵描き虫)|葉に白い筋模様を残す
ハモグリバエは、成虫が葉に卵を産み付け、孵化した幼虫が葉の内部を食い荒らす害虫です。 幼虫が葉の中を動き回った跡が、まるで白いペンで絵を描いたような筋模様になることから「絵描き虫」とも呼ばれています。
被害が広がると葉の光合成が妨げられ、生育が悪くなります。 見た目も損なわれるため、サラダなどで生食するサニーレタスにとっては厄介な害虫と言えるでしょう。
害虫の発生を防ぐ!今日からできる7つの予防策

害虫対策で最も重要なのは、発生させないための「予防」です。日頃のちょっとした心がけで、害虫が寄り付きにくい環境を作ることができます。ここでは、初心者でも簡単に取り組める7つの予防策をご紹介します。
- 防虫ネットで物理的にシャットアウト!
- 風通しと日当たりの良い環境を整える
- 適切な水やりと肥料管理
- コンパニオンプランツを活用する
- 天敵を味方につける
- アルミシートやシルバーマルチでアブラムシ対策
- 雑草はこまめに除去する
防虫ネットで物理的にシャットアウト!
最も効果的で手軽な予防策が、防虫ネットの使用です。 種まきや植え付け直後から防虫ネットでトンネルを作って覆うことで、害虫の飛来や産卵を物理的に防ぐことができます。
アブラムシなどの小さな害虫も防ぎたい場合は、網目の細かいもの(1mm以下)を選ぶのがおすすめです。 ネットの裾に隙間ができないように、しっかりと土で埋めるか、重しを置いて固定しましょう。
風通しと日当たりの良い環境を整える
多くの害虫は、湿気が多く風通しの悪い場所を好みます。 株間を適切に保ち、葉が密集しすぎないように管理することで、風通しを良くしましょう。 また、日当たりの良い場所で育てることで、サニーレタス自体が健康に育ち、病害虫への抵抗力が高まります。
特にプランター栽培の場合は、壁際に置くと風通しが悪くなりがちなので、少し壁から離して設置するなどの工夫をすると良いでしょう。
適切な水やりと肥料管理
水のやりすぎは土壌の過湿を招き、ナメクジなどの害虫が発生しやすい環境を作ってしまいます。 土の表面が乾いてから水を与えるように心がけましょう。
また、肥料の中でも窒素成分の与えすぎは、アブラムシを呼び寄せる原因になります。 肥料は規定量を守り、特に窒素過多にならないように注意することが大切です。
コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことです。 サニーレタスの場合、マリーゴールドやカモミール、ネギ類などを近くに植えると、その香りで害虫を遠ざける効果が期待できます。
また、エダマメは根に共生する菌が土壌を豊かにし、サニーレタスの生育を助けてくれます。 このように、相性の良い植物を一緒に植えることで、農薬に頼らずに害虫を減らすことができます。
天敵を味方につける
害虫を食べてくれるテントウムシやカマキリなどの「益虫」は、家庭菜園の頼もしい味方です。 これらの益虫が住みやすい環境を整えることも、害虫対策の一つになります。
例えば、多様な植物を植えることで、益虫の隠れ家やエサ場を提供することができます。殺虫剤をむやみに使うと益虫まで殺してしまう可能性があるので、使用は慎重に検討しましょう。
アルミシートやシルバーマルチでアブラムシ対策
アブラムシは、キラキラと光るものを嫌う習性があります。 この習性を利用して、株元にアルミホイルやシルバーマルチを敷くことで、アブラムシが寄り付くのを防ぐ効果が期待できます。
これは、太陽の光を反射させてアブラムシの方向感覚を狂わせるためです。特にアブラムシの被害に悩まされている方は、試してみる価値のある方法です。
雑草はこまめに除去する
畑やプランターの周りの雑草は、害虫の隠れ家や発生源になります。 特に、ヨトウムシの成虫は雑草に卵を産み付けることがあります。
こまめに雑草を取り除くことで、害虫が住み着きにくい、清潔な環境を保つことができます。 見た目がすっきりするだけでなく、病気の予防にも繋がります。
見つけたらすぐ実践!害虫別の駆除方法【農薬を使わない編】

予防策を講じていても、害虫が発生してしまうことはあります。そんな時は、早期発見・早期駆除が被害を最小限に抑える鍵です。ここでは、できるだけ農薬を使いたくないという方のために、害虫別の手軽な駆除方法をご紹介します。
- アブラムシの駆除方法
- ヨトウムシ・ネキリムシの駆除方法
- ナメクジの駆除方法
- ハモグリバエの駆除方法
アブラムシの駆除方法
アブラムシは繁殖力が旺盛なため、見つけ次第すぐに対処しましょう。数が少ないうちは、比較的簡単に駆除できます。
水や牛乳スプレーで吹き飛ばす
アブラムシは、強い水流で簡単に吹き飛ばすことができます。 霧吹きやホースのシャワー機能を使って、葉の裏までしっかりと洗い流しましょう。また、牛乳を水で薄めたものをスプレーするのも効果的です。 牛乳が乾くときに膜を作り、アブラムシを窒息させることができます。 散布後は、牛乳の腐敗を防ぐために水で洗い流すのを忘れないでください。
テープでペタペタ取り除く
セロハンテープやガムテープなどの粘着テープを使って、アブラムシを貼り付けて取り除く物理的な方法も有効です。 葉を傷つけないように、粘着力の強すぎないテープで優しくペタペタと取り除きましょう。
木酢液やニームオイルを散布する
木酢液やニームオイルは、害虫が嫌う匂いや成分で、忌避効果が期待できる天然由来の資材です。 これらを水で薄めて定期的に散布することで、アブラムシを寄せ付けにくくします。 殺虫効果はありませんが、予防と初期段階の駆除に役立ちます。
ヨトウムシ・ネキリムシの駆除方法
夜行性のヨトウムシやネキリムシは、昼間に見つけるのが困難です。そのため、活動時間帯を狙って対処するのが効果的です。
夜間に懐中電灯で探して捕殺
最も確実な方法は、夜間に懐中電灯を持って畑を見回り、葉を食べているヨトウムシを直接捕まえることです。 被害を受けている株の周りや土の表面を探すと見つけやすいです。見つけ次第、割り箸などで捕まえて駆除しましょう。
米ぬかトラップを仕掛ける
ヨトウムシは米ぬかが好物です。 この習性を利用し、米ぬかと少量の水を混ぜてお皿などに入れ、株元に置いておくと、夜間にヨトウムシが集まってきます。集まってきたところを捕殺するという方法です。
ナメクジの駆除方法
湿気を好むナメクジは、誘い出して一網打尽にするのが効率的です。
ビールトラップで誘い出す
ナメクジはビールの匂いに誘引される習性があります。 空き缶やカップにビールを注ぎ、プランターや畑の土に少し埋めておくと、ナメクジが誘い込まれて溺れ死にます。夜に仕掛けて、朝に回収するのがおすすめです。
コーヒーかすや木酢液で遠ざける
ナメクジはコーヒーに含まれるカフェインや、木酢液の匂いを嫌います。 乾燥させたコーヒーかすを株元に撒いたり、水で薄めた木酢液を散布したりすることで、ナメクジを遠ざける効果が期待できます。
ハモグリバエの駆除方法
葉の内部に潜り込むハモグリバエは、被害の拡大を防ぐことが重要です。
被害にあった葉はすぐに取り除く
ハモグリバエの幼虫が潜んでいる、白い筋模様のある葉を見つけたら、すぐに摘み取って処分しましょう。 これにより、幼虫が成虫になってさらに被害を広げるのを防ぐことができます。
黄色い粘着シートを設置する
ハモグリバエの成虫は黄色に誘引される習性があります。 市販の黄色い粘着シートを畑やプランターの近くに設置することで、成虫を捕獲し、産卵を防ぐことができます。
どうしても駆除できない時に!農薬(殺虫剤)の上手な使い方

無農薬での対策を試みても害虫の被害が拡大し、どうしても手に負えない場合は、農薬(殺虫剤)の使用も選択肢の一つです。ただし、使用する際は用法・用量を守り、正しく使うことが非常に重要です。
使用する際の注意点
農薬を使用する際は、必ず製品のラベルをよく読み、記載されている内容を守ってください。 特に、対象作物(サニーレタスなどの非結球レタス)に登録があるか、使用時期、使用回数、希釈倍率などを厳守することが大切です。 また、散布する際は風のない日を選び、マスクや手袋を着用するなど、自身の安全にも配慮しましょう。
サニーレタスに使える農薬の例
家庭菜園向けの農薬には、スプレータイプや粒剤タイプなど様々な種類があります。アブラムシには「ベニカXネクストスプレー」や「オルトラン粒剤」などが、ヨトウムシやネキリムシには「ネキリベイト」などが知られています。 ホームセンターなどで相談し、用途に合ったものを選びましょう。
抵抗性がつかないためのローテーション散布
同じ系統の農薬を使い続けると、害虫がその薬剤に対して抵抗性を持ってしまい、効果が薄れることがあります。 これを防ぐためには、作用性の異なる複数の農薬を順番に使う「ローテーション散布」が効果的です。 農薬のパッケージには系統(RACコードなど)が記載されているので、確認してみましょう。
よくある質問

害虫がついたサニーレタスは食べられますか?
虫食いの穴が開いていたり、アブラムシが少し付着していたりする程度であれば、その部分を取り除き、よく洗えば食べることは可能です。 虫がいるということは、農薬があまり使われていない安全な野菜である証拠とも言えます。 ただし、ナメクジは広東住血線虫という寄生虫を持っている可能性があるため、ナメクジが這った跡がある場合は特に念入りに洗浄し、できれば加熱調理するのが安心です。
プランター栽培でも害虫対策は必要ですか?
はい、必要です。プランター栽培でも、アブラムシは風に乗って飛んできますし、ヨトウムシやナメクジもどこからともなくやってきます。 特にベランダは、地面から離れているからと油断しがちですが、対策は必須です。防虫ネットをかけたり、コンパニオンプランツを一緒に植えたりするなど、畑と同様の対策を行いましょう。
コンパニオンプランツで相性の良い野菜は何ですか?
サニーレタスと相性の良いコンパニオンプランツには、害虫忌避効果のあるキク科のマリーゴールドや、セリ科のニンジン、アブラナ科のキャベツやブロッコリーなどがあります。 また、マメ科のエダマメは、根粒菌の働きで土壌を肥沃にし、サニーレタスの生育を助ける効果が期待できます。
虫食いの穴が開いている原因は何ですか?
サニーレタスの葉に穴が開いている場合、主にヨトウムシやナメクジによる食害が考えられます。 夜間に活動するこれらの害虫が、夜の間に葉を食べてしまった可能性が高いです。被害が新しい場合は、株元や土の中を探すと犯人が見つかることがあります。
サニーレタスの葉に黒い点々があるのは何ですか?
サニーレタスの葉にある黒い点々は、アブラムシそのものである可能性があります。 動いているようであれば間違いありません。また、アブラムシの排泄物に発生する「すす病」というカビの場合もあります。いずれにせよ、アブラムシが発生しているサインですので、早めの対処をおすすめします。
まとめ

- サニーレタスの主な害虫はアブラムシ、ヨトウムシ、ナメクジ、ハモグリバエです。
- 害虫対策は駆除よりも予防が重要です。
- 防虫ネットは最も効果的な物理的防除法です。
- 風通しと日当たりを良くすることが害虫予防の基本です。
- 窒素肥料の与えすぎはアブラムシを呼び寄せます。
- コンパニオンプランツは農薬に頼らない害虫対策に有効です。
- アブラムシは水や牛乳スプレーで駆除できます。
- ヨトウムシは夜間に捕殺するのが効果的です。
- ナメクジはビールトラップで誘い出して駆除できます。
- ハモグリバエの被害葉はすぐに取り除きましょう。
- 農薬を使う際は用法・用量を必ず守りましょう。
- 同じ農薬の連続使用は抵抗性を生むので避けるべきです。
- 虫食いがあっても、よく洗えば食べられることが多いです。
- ナメクジが這った場合は寄生虫のリスクに注意が必要です。
- プランター栽培でも害虫対策は必須です。