家庭菜園で人気のハーブ、バジル。爽やかな香りで料理にも大活躍ですが、気づけば葉に穴が開いていたり、小さな虫がついていたり…なんて経験はありませんか?大切に育てているバジルが虫の被害にあうと、本当にがっかりしてしまいますよね。本記事では、バジルにつきやすい害虫の種類から、農薬を使わない安全な駆除方法、そして虫を寄せ付けないための効果的な予防策まで、詳しく解説します。あなたのバジルを守るための知識が満載です。
バジルを狙う!代表的な害虫の種類と被害

まず、敵を知ることから始めましょう。バジルには、特有の香りを好む虫たちが集まりやすいです。ここでは、特に被害の多い代表的な害虫の種類と、その被害の特徴を紹介します。ご自身のバジルの症状と見比べて、原因となっている虫を特定しましょう。
- アブラムシ
- ハダニ
- ヨトウムシ(夜盗虫)
- ベニフキノメイガ
- ハモグリバエ(エカキムシ)
- コナジラミ
- バッタ
アブラムシ
アブラムシは、体長2〜4mmほどの小さな虫で、緑色や黒色など様々な色をしています。新芽や葉の裏に群生し、植物の汁を吸って弱らせます。 アブラムシの被害にあうと、葉が縮れたり、成長が阻害されたりすることがあります。
さらに、アブラムシの排泄物(甘露)が原因で、葉が黒いすすで覆われたようになる「すす病」を誘発することもあります。 このすす病は光合成を妨げるため、バジルの生育に大きな影響を与えます。繁殖力が非常に高いため、見つけ次第、早急な対策が必要です。
ハダニ
ハダニは0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認が難しい害虫です。葉の裏に寄生して汁を吸います。 ハダニが発生すると、葉の表面に白いカスリ状の小さな斑点が現れるのが特徴です。
被害が進行すると、葉全体が白っぽくなり、光合成ができなくなって枯れてしまいます。 高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから夏にかけて大量発生しやすいので注意が必要です。 葉の裏にクモの巣のような細かい糸が見られたら、ハダニがいるサインかもしれません。
ヨトウムシ(夜盗虫)
ヨトウムシは「夜盗虫」という名前の通り、夜間に活動する蛾の幼虫です。 昼間は土の中に隠れていて、夜になると出てきて葉を食い荒らします。 朝起きたらバジルの葉が広範囲にわたって食べられ、穴だらけになっていたら、ヨトウムシの仕業かもしれません。
食欲が旺盛で、被害が大きいと葉脈だけを残して食べ尽くされたり、株ごと枯らされたりすることもあります。 土の中に潜んでいるため発見が難しいですが、株元に黒いフンが落ちていたら要注意です。
ベニフキノメイガ
ベニフキノメイガも蛾の幼虫で、バジルをはじめとするシソ科の植物を好んで食害します。 葉の裏に卵を産み付け、孵化した幼虫が葉を食べます。 特徴的なのは、糸を吐いて葉を綴り合わせ、その中に隠れて食害を進めることです。
葉が不自然に丸まっていたり、糸でくっついていたりしたら、中に幼虫が潜んでいる可能性が高いです。放置すると、あっという間に葉を食べ尽くされてしまいます。特に夏場に発生が多い害虫です。
ハモグリバエ(エカキムシ)
ハモグリバエの幼虫は、その名の通り葉の内部に潜り込んで食害します。幼虫が葉の中を食べ進んだ跡が、白い線で絵を描いたように見えることから「エカキムシ」とも呼ばれています。
この白い線が見られたら、ハモグリバエの被害で間違いありません。食害された葉は光合成ができなくなり、ひどい場合には枯れてしまいます。 見た目も悪くなるため、料理に使うのもためらわれますよね。成虫は2mmほどの小さなハエで、葉に卵を産み付けます。
コナジラミ
コナジラミは、体長1〜2mm程度の白い小さな虫で、羽があって飛び回ります。葉の裏に寄生して汁を吸います。植物を揺らすと、白い粉のような虫が一斉に飛び立つのが特徴です。
アブラムシと同様に、排泄物がすす病の原因になることがあります。 大量に発生すると、吸汁によってバジルの生育が悪くなるだけでなく、ウイルス病を媒介することもあるため注意が必要です。
バッタ
バッタ、特にオンブバッタはバジルの葉を好んで食べます。 葉に大きな食い跡や穴を開けるのが特徴です。 どこからともなく飛来し、一匹いるだけでも食欲旺盛なため、気づいたときには葉がボロボロにされていることも少なくありません。
成虫だけでなく、小さな幼虫も葉を食べます。見つけ次第、捕まえて駆除するのが最も確実な方法です。
【今すぐできる】バジルについた虫の駆除方法|農薬を使わない安全な対策も

害虫を発見したら、被害が広がる前にすぐに対処することが大切です。特に、口に入れるバジルには、できるだけ化学農薬を使いたくないもの。ここでは、手軽にできる駆除の基本から、安心して試せる農薬を使わない方法、そして最終手段としての薬剤について解説します。
- 駆除の基本は「見つけ次第、取り除く」
- 農薬を使いたくない人向け!安心な駆除方法
- どうしても駆除できない場合の最終手段(農薬)
駆除の基本は「見つけ次第、取り除く」
害虫対策の最も基本的で効果的な方法は、見つけ次第、手で取り除くことです。ヨトウムシやバッタ、ベニフキノメイガの幼虫など、比較的大きな虫はこの方法が一番確実です。虫が苦手な方は、割り箸やピンセットを使うと良いでしょう。
アブラムシやハダニのような小さな虫は、数が少なければ指で潰したり、粘着テープに貼り付けて取り除くのが簡単です。 葉の裏までしっかりチェックし、卵なども含めて徹底的に取り除くことが、再発を防ぐポイントになります。
農薬を使いたくない人向け!安心な駆除方法
「食べるものに薬は使いたくない」と考えるのは自然なことです。幸い、バジルの害虫駆除には、家庭にあるものや自然由来の成分を使った安全な方法がたくさんあります。
水や牛乳スプレーで洗い流す
アブラムシやハダニは、強い水流で洗い流すだけでも効果があります。霧吹きやシャワーを使い、葉の裏を中心に勢いよく水をかけて飛ばしましょう。
また、牛乳を水で1:1に薄めたものをスプレーする方法も知られています。 牛乳が乾くときに膜を作り、アブラムシなどを窒息させる効果が期待できます。スプレーした後は、牛乳が腐敗しないように、乾いてから水で洗い流すのを忘れないようにしてください。
手作りの虫除けスプレー
ご家庭にあるもので、手軽に虫除けスプレーを作ることもできます。例えば、木酢液や竹酢液を水で薄めて散布すると、その独特の匂いで害虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。
また、ニンニクや唐辛子を水に漬け込んだ抽出液も、アブラムシなどに対して忌避効果があるとされています。ただし、これらの手作りスプレーは効果が穏やかで持続性も短いため、こまめに散布する必要があります。
コーヒーやアルコールスプレー
ハダニに対しては、インスタントコーヒーを溶かした水(コーヒー水)をスプレーする方法が効果的だったという報告もあります。 また、食品にも使えるアルコールスプレーを試してみるのも一つの手です。 ただし、植物によってはアルコールで葉が傷む可能性もあるため、まずは一部の葉で試してから全体に使うようにしましょう。
どうしても駆除できない場合の最終手段(農薬)
害虫が大量発生してしまい、手作業や自然由来の方法では追いつかない場合、農薬の使用を検討することになります。その際は、必ず「バジル」に登録があり、使用時期や回数を守って使える安全なものを選びましょう。
近年では、でんぷんや水あめ、植物油などを主成分とした、食品由来の成分で作られた農薬も市販されています。 これらは、化学合成農薬に比べて環境や人体への影響が少なく、収穫前日まで使えるものも多いのでおすすめです。使用する際は、製品のラベルをよく読み、記載されている使用方法を必ず守ってください。
もう虫に悩まない!バジルを害虫から守る効果的な予防策

害虫を駆除するのも大切ですが、それ以上に重要なのが「そもそも虫を寄せ付けない」ことです。日頃の育て方を少し工夫するだけで、害虫の発生を大幅に減らすことができます。ここでは、誰でも簡単に実践できる効果的な予防策を紹介します。
- 栽培環境を整えるのが基本
- 物理的に虫を防ぐ方法
- コンパニオンプランツを活用する
栽培環境を整えるのが基本
害虫や病気を防ぐ上で最も大切なのは、バジルが元気に育つ環境を整えてあげることです。健康な株は、害虫に対する抵抗力も強くなります。
日当たりと風通しを良くする
バジルは日光を好む植物です。日当たりの良い場所で育てることで、株が丈夫になります。また、風通しを良くすることは非常に重要です。葉が密集していると湿気がこもり、ハダニや病気の原因となるカビが発生しやすくなります。
適度に剪定や収穫を行い、株全体の風通しを確保しましょう。株元の雑草もこまめに抜いて、害虫の隠れ家をなくすことが大切です。
水はけの良い土を使う
バジルは水を好みますが、土が常にジメジメしている状態は根腐れの原因になります。 根が弱ると株全体が弱り、害虫の被害を受けやすくなります。市販のハーブ用の土など、水はけの良い土を使いましょう。 水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるのが基本です。
物理的に虫を防ぐ方法
栽培環境を整えることに加えて、物理的に虫の侵入を防ぐ方法も非常に効果的です。
防虫ネットをかける
最も確実な予防策の一つが、防虫ネットで株全体を覆うことです。 ヨトウムシやベニフキノメイガの成虫(蛾)や、バッタなどの飛来を防ぐことができます。プランター栽培の場合は、支柱を立ててトンネル状にネットをかけると、葉にネットが触れずに管理がしやすくなります。100円ショップで手に入る洗濯ネットを活用するアイデアもあります。
黄色い粘着シートを設置する
アブラムシやコナジラミ、ハモグリバエの成虫などは、黄色に誘引される習性があります。この習性を利用して、プランターの近くに市販の黄色い粘着シートを設置しておくと、成虫を捕獲して産卵を防ぐことができます。
コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことです。バジルの近くに特定の植物を植えることで、害虫を遠ざける効果が期待できます。
例えば、マリーゴールドはその独特の香りで多くの害虫を遠ざける効果があることで知られています。 また、トマトはバジルにつくアブラムシを、バジルはトマトにつくコナジラミをそれぞれ遠ざける効果があるとされ、相性の良い組み合わせです。 このようなコンパニオンプランツを一緒に植えることで、農薬に頼らないナチュラルな害虫対策ができます。
よくある質問

虫食いのバジルは食べても大丈夫?
「葉に穴が開いているけど、これって食べられるの?」と心配になる方も多いでしょう。結論から言うと、虫やフンなどをきれいに取り除けば、食べても問題ありません。虫が食べるということは、それだけ安全で美味しいという証拠でもあります。ただし、大量に食べられていたり、病気が発生していたりする場合は、食べるのを避けた方が賢明です。食害された部分を切り取り、よく洗ってから使いましょう。
バジルの葉に黒い点々が…これって虫のフン?
葉の上に黒い小さな粒々がたくさん落ちていたら、それはヨトウムシやベニフキノメイガなどの幼虫のフンである可能性が高いです。 フンがあるということは、近くに必ず虫本体が隠れています。葉の裏や、丸まった葉の中、株元の土の中などを注意深く探して、駆除しましょう。
葉に白い線が描かれているのは何?
葉の表面に、まるで誰かがペンで落書きしたような白い線が現れたら、それはハモグリバエ(エカキムシ)の幼虫が葉の内部を食べ進んだ跡です。 白い線の終点あたりに幼虫がいることが多いので、葉の上から指で潰して駆除しましょう。被害にあった葉は、それ以上被害が広がる前に摘み取ってしまうのがおすすめです。
葉に白い斑点ができる原因は?
葉に白いカスリ状の斑点がポツポツと現れた場合、ハダニの被害が考えられます。 ハダニが葉の汁を吸った跡が、白く抜けて見えるのです。 葉の裏をよく観察し、小さな虫やクモの巣のようなものがないか確認してください。ハダニは乾燥を好むため、定期的に葉の裏にも水をかける「葉水」を行うと、予防につながります。
虫じゃないのにバジルが枯れる原因は?
虫の姿が見当たらないのにバジルの元気がなくなる場合、他の原因が考えられます。最も多いのが「根腐れ」です。 水のやりすぎや、土の水はけが悪いことで根が呼吸できなくなり、腐ってしまう病気です。葉が黒ずんだり、しおれたりしたら根腐れの可能性があります。 その他、うどんこ病や灰色かび病といったカビが原因の病気にかかることもあります。
室内栽培なら虫はつかない?
室内での水耕栽培やプランター栽培は、屋外に比べて害虫のリスクを大幅に減らすことができます。 しかし、完全に虫がつかないわけではありません。窓やドアの開閉時に入ってきたり、購入した苗や土に卵が付着していたりする可能性があります。室内であっても、油断せずに日々の観察を怠らないことが大切です。
まとめ

- バジルにはアブラムシやハダニ、ヨトウムシなどがつきやすい。
- 害虫の種類によって葉の穴、白い斑点、黒いフンなどの特徴がある。
- 駆除の基本は手で取り除くこと。
- 農薬を使わない駆除法として水や牛乳スプレーが有効。
- 木酢液やニンニクを使った手作りスプレーも試す価値あり。
- 予防には防虫ネットが非常に効果的。
- 日当たりと風通しを良くすることが害虫予防の基本。
- 土の水はけを良くし、根腐れを防ぐ。
- マリーゴールドなどのコンパニオンプランツも有効。
- 黄色い粘着シートで飛来する成虫を捕獲できる。
- 虫食いの葉も、虫やフンを取り除けば食べられる。
- 葉の黒い点は虫のフン、白い線はハモグリバエの食害跡。
- 虫以外の枯れる原因として根腐れや病気がある。
- 室内栽培でも虫がつく可能性はあるため油断は禁物。
- 日々の観察を怠らず、早期発見・早期対処が最も重要。