大切に育てているガジュマルに、ある日突然、白い斑点や蜘蛛の巣のようなものが見られたら…それは「ハダニ」の仕業かもしれません。ハダニは非常に小さく見つけにくいですが、放置すると繁殖力旺盛であっという間に広がり、ガジュマルを弱らせてしまう厄介な害虫です。でも、安心してください。正しい知識と対策で、必ず駆除できます。本記事では、ハダニの症状の見分け方から、初心者でもすぐに実践できる駆除方法、そして二度とハダニを発生させないための予防策まで、詳しく解説していきます。あなたの愛するガジュマルを、ハダニの脅威から守りましょう。
もしかしてハダニ?ガジュマルが出す危険サイン

ガジュマルにハダニが発生すると、いくつかの特徴的なサインが現れます。初期段階でこれらのサインに気づくことが、被害を最小限に抑える鍵となります。葉の色の変化や、蜘蛛の巣のような糸など、普段と違う様子がないか注意深く観察してみましょう。
- 葉に現れる白い斑点やかすり傷
- 葉の色が薄くなる・元気がなくなる
- 葉の裏や新芽に蜘蛛の巣のような糸
- 【要注意】ハダニと間違いやすい症状(うどんこ病・カイガラムシ)
葉に現れる白い斑点やかすり傷
ハダニ被害の最も代表的な症状が、葉に現れる無数の白い斑点です。 これは、ハダニがガジュマルの葉裏に寄生し、口針を刺して葉の汁を吸った跡です。 被害が進行すると、白い斑点が繋がり、葉全体が白っぽくかすれたように見えてきます。 肉眼では見えにくいほどの小さな被害ですが、放置すると光合成が阻害され、ガジュマルの生育に大きな影響を与えてしまいます。 もし葉にこのような症状を見つけたら、ハダニの発生を疑いましょう。
葉の色が薄くなる・元気がなくなる
ハダニに栄養を吸い取られたガジュマルは、徐々に元気がなくなっていきます。 葉緑素が破壊されるため、葉の色が全体的に薄くなったり、黄色く変色してきたりします。 さらに症状が進行すると、葉が乾燥してパリパリになり、やがて落葉してしまうことも少なくありません。 水やりや日当たりは適切なのに、なぜかガジュマルの元気がない、葉が落ちるといった場合は、葉の裏をよく確認してみてください。そこにハダニが潜んでいる可能性があります。
葉の裏や新芽に蜘蛛の巣のような糸
ハダニは、その名の通りクモの仲間で、蜘蛛の巣のような非常に細い糸を出します。 この糸は、ハダニが移動したり、卵を産み付けたりするための足場となります。特に、葉の付け根や新芽の周り、葉の裏側などに、この糸が張られているのをよく見かけます。 糸が確認できる状態は、ハダニがかなり増殖しているサインです。 ホコリと見間違いやすいですが、粘着性のある糸であればハダニの可能性が高いでしょう。早急な駆除が必要です。
【要注意】ハダニと間違いやすい症状(うどんこ病・カイガラムシ)
ガジュマルの葉が白くなる原因は、ハダニだけではありません。うどんこ病やカイガラムシといった他の病害虫の可能性もあります。 うどんこ病は、葉の表面に白い粉をまぶしたようなカビが発生する病気です。 一方、カイガラムシは白い綿のような塊が葉や茎に付着します。 ハダニの被害は「点」であるのに対し、うどんこ病は「面」、カイガラムシは「塊」で見られることが多いのが特徴です。正しい対処をするためにも、症状をよく観察し、原因を正確に特定することが重要です。
【今すぐできる】ガジュマルのハダニ駆除方法5選

ガジュマルにハダニを見つけたら、すぐに対処を始めましょう。被害の状況に合わせて、いくつかの駆除方法があります。ここでは、初心者の方でも簡単に試せる方法から、薬剤を使った徹底的な駆除まで、5つのステップに分けて解説します。
- STEP1:まずは水で洗い流す!「葉水」の正しいやり方
- STEP2:初期段階ならコレ!テープで物理的に除去
- STEP3:身近なもので対策!牛乳・木酢液スプレーの効果と注意点
- STEP4:大量発生してしまったら…殺虫剤(薬剤)で徹底駆除
- STEP5:被害がひどい葉は剪定する
STEP1:まずは水で洗い流す!「葉水」の正しいやり方
ハダニは水に非常に弱い性質を持っています。 そのため、発生初期であれば、勢いよく水をかける「葉水」だけで十分に駆除できます。 霧吹きを使って、葉の表だけでなく、ハダニが潜んでいる葉の裏側を中心に、全体が濡れるようにたっぷりと水を吹きかけましょう。 特に、葉が密集している場所や新芽の部分は念入りに行うのがコツです。 可能であれば、お風呂場やベランダでシャワーを使い、株全体を優しく洗い流すのも効果的です。 この方法は、薬剤を使わないので植物にも安全で、最も手軽な駆除方法と言えるでしょう。
STEP2:初期段階ならコレ!テープで物理的に除去
ハダニの数がまだ少なく、局所的に発生している場合は、粘着テープを使って物理的に取り除く方法も有効です。 セロハンテープやガムテープなどを、ハダニがいる葉の裏にペタッと貼り付けて、優しく剥がします。 これにより、成虫だけでなく卵も一緒に除去することができます。ただし、粘着力が強すぎるテープを使うと、ガジュマルの葉を傷つけてしまう可能性があるので注意が必要です。 葉を傷めないよう、粘着力を少し弱めてから使うなどの工夫をすると良いでしょう。
STEP3:身近なもので対策!牛乳・木酢液スプレーの効果と注意点
薬剤を使いたくないという方には、牛乳や木酢液を使った手作りのスプレーもおすすめです。 これらは、ハダニに対して一定の効果が期待でき、環境にも優しい駆除方法です。
牛乳スプレーの作り方と使い方
牛乳を水で1:1の割合で薄めたものをスプレーボトルに入れ、ハダニに直接吹きかけます。 牛乳が乾く過程で膜ができ、ハダニを窒息させる効果があります。 散布後は、牛乳が腐敗して臭いやカビの原因になるのを防ぐため、数時間後に必ず水でしっかりと洗い流してください。
木酢液スプレーの作り方と使い方
木酢液は、その独特の匂いで害虫を寄せ付けにくくする効果があります。 製品の規定に従って水で希釈し(一般的には500〜1000倍程度)、葉の表裏に散布します。 木酢液はハダニの駆除だけでなく、土壌改良や植物の成長促進効果も期待できるため、予防的に使用するのも良いでしょう。 ただし、濃度が濃すぎると植物に害を与える可能性があるので、希釈倍率は必ず守るようにしてください。
STEP4:大量発生してしまったら…殺虫剤(薬剤)で徹底駆除
ハダニが大量に発生し、葉水や手作りスプレーでは追いつかない場合は、市販の殺虫剤(薬剤)を使用するのが最も確実です。 観葉植物用のハダニに効果のある薬剤を選び、説明書に従って正しく使用しましょう。
おすすめの殺虫剤(住友化学園芸 ベニカXファインスプレーなど)
初心者でも使いやすいスプレータイプの薬剤がおすすめです。「住友化学園芸 ベニカXファインスプレー」や「アース製薬 カダンセーフ」などは、ハダニを含む様々な害虫に効果があり、病気の予防もできるため人気があります。 薬剤を選ぶ際は、適用植物に「ガジュマル」が含まれているか確認しましょう。
薬剤を使う際の注意点(耐性を持たせないために)
ハダニは薬剤に対する抵抗性を持ちやすいという厄介な性質があります。 同じ薬剤を繰り返し使用していると、だんだん効果が薄れてくることがあります。 そのため、複数の異なる系統の薬剤をローテーションで使用することが、薬剤耐性を持つハダニの出現を防ぐ上で非常に重要です。 一度の散布で駆除しきれなかった場合でも、期間をあけ、別の種類の薬剤を使用するように心がけましょう。
STEP5:被害がひどい葉は剪定する
ハダニの被害がひどく、白く変色してしまったり、枯れかかっていたりする葉は、残念ながら元には戻りません。 このような葉は、見た目が悪いだけでなく、他のハダニの隠れ場所になったり、病気の原因になったりする可能性もあります。思い切って剪定し、取り除いてしまいましょう。剪定することで、株全体の風通しが良くなり、ハダニの再発防止にも繋がります。 剪定には清潔なハサミを使用し、切り口から病原菌が入らないように注意してください。
なぜ?ガジュマルにハダニが発生する3つの原因

ハダニの駆除と同時に、なぜ発生してしまったのか、その原因を知ることが再発防止の第一歩です。ハダニは特定の環境を好んで発生します。ご自身のガジュマルの栽培環境を見直してみましょう。
- 原因1:高温で乾燥した環境
- 原因2:風通しの悪さ
- 原因3:外からの侵入
原因1:高温で乾燥した環境
ハダニが最も好むのは、気温が20~30℃程度の高温で、乾燥した環境です。 特に、梅雨明けから夏にかけての時期は、ハダニの活動が最も活発になり、爆発的に繁殖します。 室内で管理している場合でも、エアコンの風が直接当たる場所は空気が乾燥しやすいため、ハダニにとって格好の住処となります。 冬場でも暖房の効いた乾燥した室内では、一年中発生する可能性があるので油断は禁物です。
原因2:風通しの悪さ
風通しの悪い場所は、湿気がこもりやすく、空気がよどむためハダニが発生しやすくなります。 葉が密集して茂っていると、株の内部まで風が通りにくくなり、ハダニの隠れ場所を提供してしまいます。 また、壁際や部屋の隅など、空気の流れが少ない場所にガジュマルを置いている場合も注意が必要です。定期的な換気や、サーキュレーターを使って空気を循環させるなどの工夫が、ハダニ予防に繋がります。
原因3:外からの侵入
ハダニは非常に小さく軽いため、風に乗ってどこからともなく飛来します。 開けている窓やベランダから侵入するケースが非常に多いです。また、外出時の衣服や持ち物に付着して、知らず知らずのうちに室内に持ち込んでしまうこともあります。 新しく購入した植物に最初から付着している可能性も考えられます。完全に侵入を防ぐことは難しいですが、屋外から室内に植物を取り込む際には、葉の裏などをよく確認する習慣をつけると良いでしょう。
もう悩まない!ガジュマルのハダニを徹底予防する育て方のコツ

一度ハダニを駆除しても、環境が変わらなければ再発する可能性があります。日頃のちょっとした心がけで、ハダニが住み着きにくい環境を作ることが大切です。ここでは、誰でも簡単にできる予防法をご紹介します。
- 毎日の葉水で乾燥を防ぐ
- 風通しの良い場所に置く
- 定期的に葉のホコリを拭き取る
- 剪定で風通しを良くする
毎日の葉水で乾燥を防ぐ
ハダニ予防で最も効果的で簡単な方法が、こまめな葉水です。 ハダニは乾燥を嫌うため、葉の表裏に霧吹きで水をかけることで、ハダニの付着や繁殖を防ぐことができます。 特に乾燥しやすい時期は、毎日行うのが理想的です。葉水はハダニ予防だけでなく、葉の表面のホコリを洗い流し、光合成を促進する効果もあるため、ガジュマルの健康維持にも繋がります。
風通しの良い場所に置く
ガジュマルを置く場所は、風通しの良い場所を選びましょう。 空気の流れがある場所では、ハダニが定着しにくくなります。窓を開けてこまめに換気したり、サーキュレーターを活用して室内の空気を循環させたりするのも良い方法です。 ただし、エアコンの風が直接当たる場所は、乾燥を招き逆効果になることがあるので避けてください。 適切な場所に置くことが、病害虫を防ぎ、ガジュマルを元気に育てる基本です。
定期的に葉のホコリを拭き取る
葉の表面に積もったホコリは、ハダニの格好の隠れ家になります。 また、ホコリが溜まっている場所は、風通しが悪い証拠でもあります。 濡らした布やティッシュなどで、定期的に葉の表面と裏側を優しく拭き取ってあげましょう。 これにより、ハダニの卵や成虫を物理的に取り除くだけでなく、葉を清潔に保ち、病気の予防にも繋がります。ガジュマルとのコミュニケーションの時間としても楽しんでみてください。
剪定で風通しを良くする
ガジュマルの葉が密集して茂りすぎていると、内部の風通しが悪くなり、ハダニの温床となってしまいます。 混み合っている枝や、内側に向かって伸びている不要な枝を剪定して、株全体の風通しを良くしてあげましょう。 剪定は、ガジュマルの生育期である5月~9月頃に行うのがおすすめです。 風通しが良くなることで、ハダニが住みにくくなるだけでなく、日光が株元まで届きやすくなり、より健康な株に育ちます。
ハダニ被害で弱ったガジュマルを復活させる方法

ハダニの駆除が終わっても、被害を受けて弱ってしまったガジュマルを見ると心配になりますよね。しかし、生命力の強いガジュマルは、適切なケアをすればきっと元気を取り戻してくれます。ここでは、復活させるためのポイントをご紹介します。
- 駆除後の基本的なお世話
- 葉がほとんど落ちてしまった場合の対処法(丸坊主からの復活)
- 植え替えで環境をリセット
駆除後の基本的なお世話
ハダニ駆除後は、まずガジュマルが本来好む環境を整えてあげることが大切です。日当たりと風通しの良い場所に置き、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。 弱っているからといって、過剰に肥料を与えたり、毎日水をやりすぎたりするのは逆効果です。根腐れの原因となり、かえって株を弱らせてしまいます。 まずは植物自体の回復力に任せ、基本的なお世話を続けながら静かに見守ってあげましょう。
葉がほとんど落ちてしまった場合の対処法(丸坊主からの復活)
ハダニの被害が深刻で、ほとんどの葉が落ちてしまった場合でも、諦めるのはまだ早いです。 ガジュマルは非常に生命力が強く、幹や根が生きていれば復活する可能性があります。 被害にあった枝や葉を全て切り落とし、「丸坊主」の状態にするのも一つの手です。 剪定は生育期(5月~6月頃)に行い、切り口には癒合剤を塗って保護すると良いでしょう。 その後は、明るい日陰で管理し、土が乾かないように水やりを続けると、数週間で新しい芽が出てくることがあります。
植え替えで環境をリセット
ハダニが繰り返し発生する場合や、根腐れを起こしている可能性がある場合は、植え替えで土壌環境をリセットするのも効果的です。 新しい清潔な土に植え替えることで、土の中に潜んでいる可能性のある害虫や病原菌を取り除くことができます。植え替えの際には、傷んだ根や腐った根があれば取り除きましょう。植え替えは植物にとって負担になる作業なので、ガジュマルの生育期である5月~9月に行うのが最適です。
よくある質問

ハダニ被害にあった葉は元に戻りますか?
残念ながら、一度ハダニの被害を受けて白くかすれたようになったり、変色したりした葉が、元の綺麗な緑色に戻ることはありません。 光合成の能力も低下しているため、被害がひどい葉は剪定して取り除き、新しい葉の成長を促す方が良いでしょう。
木酢液や食酢に殺虫効果はありますか?
木酢液や食酢には、直接的な殺虫効果よりも、害虫が嫌う匂いで寄せ付けにくくする「忌避効果」が主とされています。 発生初期や予防策としては有効ですが、大量発生したハダニを完全に駆除するほどの強い殺虫力は期待できません。 状況に応じて、殺虫剤との使い分けが必要です。
ハイドロカルチャーのガジュマルにハダニが発生した場合の対処法は?
ハイドロカルチャー(水耕栽培)でもハダニは発生します。対処法は土で育てている場合と基本的に同じです。まずは葉水で洗い流し、それでも駆除できない場合は薬剤を使用します。容器やハイドロボールも一度きれいに洗浄し、清潔な状態にリセットすることをおすすめします。
冬場のハダニ対策で気をつけることは?
冬場は空気が乾燥し、暖房によって室内が高温になるため、ハダニが発生しやすい環境です。 寒さで窓を閉め切りがちになり、換気が不足することも原因の一つです。加湿器を使用したり、こまめに葉水を行ったりして、葉の周りの湿度を保つように心がけましょう。 また、暖房の風が直接ガジュマルに当たらないように注意してください。
天敵を利用してハダニを駆除できますか?
はい、天敵を利用する方法もあります。ハダニの天敵である「チリカブリダニ」や「ミヤコカブリダニ」といった益虫を放飼することで、ハダニの数をコントロールする方法です。農薬を使わないため安全性が高いですが、一般家庭で天敵を入手し、管理するのは少し難しいかもしれません。主に農業分野で利用されている方法です。
まとめ

- ハダニのサインは葉の白い斑点と蜘蛛の巣。
- ハダニは高温乾燥と風通しの悪さを好む。
- 初期駆除は葉水で洗い流すのが効果的。
- 牛乳や木酢液スプレーも駆除に使える。
- 大量発生時は薬剤をローテーションで使用する。
- 被害がひどい葉は剪定して取り除く。
- 予防の基本は毎日の葉水と風通しの確保。
- 葉のホコリを定期的に拭き取ることも大切。
- 混み合った枝は剪定して風通しを良くする。
- 弱った株は基本的な世話で見守る。
- 丸坊主からの復活も可能。
- 植え替えで環境をリセットするのも有効。
- 被害を受けた葉は元には戻らない。
- 木酢液は忌避効果がメイン。
- 冬場の乾燥と暖房には特に注意が必要。