家庭菜園で手軽に育てられる大葉。爽やかな香りで料理のアクセントになり、重宝しますよね。しかし、大切に育てている大葉に虫がついてしまい、葉が穴だらけになったり、元気がなくなったりして困っていませんか?「この虫は何だろう?」「農薬は使いたくないけど、どうすればいいの?」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。本記事では、大葉につきやすい代表的な害虫の種類から、安全な駆除方法、そして二度と虫を寄せ付けないための予防策まで、詳しく解説していきます。
【特定】あなたの知らない大葉の害虫!代表的な5種類と見分け方

まずは敵を知ることから始めましょう。大葉に発生しやすい害虫は、ある程度決まっています。それぞれの特徴を知ることで、適切な対策が立てやすくなります。ここでは、特に注意したい5種類の害虫とその見分け方について解説します。
ハダニ類
ハダニは、体長0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認が難しい害虫です。主に葉の裏に寄生し、汁を吸います。 高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから9月頃にかけて繁殖が旺盛になります。
被害の初期症状は、葉に針でついたような白い小さな斑点ができることです。 これが多数集まると、葉全体が白っぽくカスリ状に見えるようになります。 被害が進行すると、葉の色が悪くなり、最終的には落葉して枯れてしまうこともあります。 ハダニはクモの仲間なので、よく見ると葉に細かい糸が張られていることもあります。
アブラムシ類
アブラムシは、体長1~4mm程度の小さな虫で、新芽や若い葉に群がって発生します。 体色は緑色や黒色など様々です。暖かい時期によく見られ、繁殖力が非常に高く、あっという間に増えてしまうのが特徴です。
アブラムシは植物の汁を吸うだけでなく、ウイルス病を媒介することもあるため注意が必要です。 また、アブラムシの排泄物は「すす病」の原因となり、葉が黒いすすで覆われたようになってしまいます。
ヨトウムシ類
ヨトウムシは、その名の通り夜間に活動する蛾の幼虫です。 昼間は土の中や株元に隠れていて、夜になると這い出してきて葉を食害します。食欲が非常に旺盛で、一晩で葉がほとんど食べられてしまうこともあります。
葉に大きな穴が開いていたり、葉の縁から食べられたような跡があったりしたら、ヨトウムシの仕業かもしれません。 近くに黒いフンが落ちていることも特徴です。特に9月~10月頃は被害が大きくなる傾向があります。
ベニフキノメイガ
ベニフキノメイガは、シソ科の植物を好んで食害する蛾の幼虫です。 体長は15mm前後で、黄緑色の体に黒い斑点があります。
この虫の最大の特徴は、葉を綴り合わせて巣を作ることです。 葉と葉がくっついていたり、葉が不自然に折りたたまれていたりしたら、中にこの幼虫が潜んでいる可能性が高いでしょう。 新芽や芽先に集中して被害を与えるため、大葉の生育が阻害されてしまいます。
ハモグリバエ(絵描き虫)
ハモグリバエは、幼虫が葉の内部に潜り込んで食害するハエの仲間です。 幼虫が葉の組織を食べながら進んだ跡が、まるで白い絵を描いたような筋になることから「絵描き虫」とも呼ばれています。
この筋がついた葉は光合成ができなくなり、ひどい場合には枯れてしまいます。成虫は体長2mm程度の小さなハエで、葉に産卵します。
【緊急対策】大葉の虫、見つけたらどうする?すぐにできる駆除方法

害虫を見つけたら、被害が広がる前にすぐに対処することが大切です。ここでは、農薬を使いたくない方でも実践できる、手軽で安全な駆除方法をご紹介します。
手や道具で取り除く
ヨトウムシやベニフキノメイガの幼虫など、比較的大きな虫は、見つけ次第、手や割り箸、ピンセットなどで取り除くのが最も確実で手っ取り早い方法です。 特にヨトウムシは夜行性なので、夜に見回りをすると見つけやすいでしょう。
アブラムシが少量発生している場合は、粘着テープに貼り付けて取る方法もあります。 ただし、テープの粘着力が強すぎると葉を傷つけてしまう可能性があるので注意してください。
水で洗い流す
ハダニやアブラムシのように小さくて数が多い害虫には、勢いよく水をかけるのが効果的です。 特に葉の裏は害虫が潜んでいることが多いので、ホースのシャワーや霧吹きなどで念入りに洗い流しましょう。
この方法は、害虫を物理的に除去するだけでなく、乾燥を嫌うハダニの予防にも繋がります。 定期的に葉水を行うことで、害虫が住みにくい環境を作ることができます。
牛乳や木酢液のスプレーを使う
農薬を使わない自然な方法として、牛乳や木酢液(もくさくえき)を使ったスプレーもおすすめです。
牛乳スプレーは、牛乳を水で薄めて(牛乳1:水1~3程度)霧吹きで散布します。 乾いた牛乳の膜がアブラムシやハダニを窒息させる効果が期待できます。 ただし、散布後にそのままにしておくと腐敗して臭いが出たり、カビの原因になったりするため、乾いた後に水で洗い流すようにしましょう。
木酢液は、木炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、害虫が嫌う匂いで寄せ付けにくくする効果があります。 規定の倍率(500~1000倍程度)に水で薄めて散布します。 土壌の改良効果も期待できると言われています。
市販の薬剤を使用する場合の注意点
害虫が大量に発生してしまい、手作業での駆除が追いつかない場合は、市販の薬剤の使用も検討しましょう。その際は、必ず「シソ(大葉)」に適用がある薬剤を選んでください。
また、薬剤を使用する際は、ラベルに記載されている使用方法、使用回数、収穫前日数などを必ず守ることが重要です。 食用の大葉に使うのですから、安全性を第一に考えて正しく使用しましょう。食品成分由来の薬剤など、比較的安心して使えるものもあります。
【予防が肝心】もう虫に悩まない!大葉を害虫から守る5つの鉄則

害虫対策で最も重要なのは、駆除よりも「予防」です。虫が発生しにくい環境を整えることで、面倒な駆除作業の手間を大幅に減らすことができます。ここでは、大葉を害虫から守るための5つの鉄則をご紹介します。
風通しと日当たりを良くする
害虫の多くは、湿気が多く風通しの悪い場所を好みます。 大葉の株が密集しすぎていると、株元の風通しが悪くなり、ハダニなどの害虫が発生しやすくなります。
適度に間引きを行ったり、下のほうの葉や混み合っている枝を剪定したりして、株全体の風通しを良くしましょう。 日当たりが良い場所で育てることも、病害虫の予防に繋がります。
適切な水やりを心がける
大葉は乾燥に弱い植物ですが、水のやりすぎは根腐れの原因になります。土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本です。
特にハダニは乾燥を好むため、定期的に葉の裏にも水をかける「葉水」を行うのが非常に効果的です。 葉水はハダニを洗い流すだけでなく、湿度を保つことでハダニの発生自体を抑制する効果が期待できます。
防虫ネットで物理的にガードする
アブラムシやヨトウムシ、ハモグリバエなどの飛来してくる害虫には、防虫ネットをかけるのが最も確実な予防策です。 プランター全体を覆うようにネットをかければ、害虫の侵入を物理的に防ぐことができます。
ネットをかける際は、害虫が侵入できないように、目の細かいものを選び、隙間ができないようにしっかりと固定しましょう。 ネットをかける前に、苗に害虫がついていないかを確認することも大切です。
コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことです。大葉の近くに特定の植物を植えることで、害虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。
例えば、マリーゴールドの根には、土の中の害虫を遠ざける成分が含まれています。 また、ネギ類やニンニクの強い香りはアブラムシを遠ざける効果があると言われています。 トマトやナスなどと一緒に植えるのも良いでしょう。
こまめな収穫と観察を怠らない
日々の観察が、害虫の早期発見に繋がります。水やりのついでに、葉の裏や新芽の部分などをチェックする習慣をつけましょう。
また、こまめに葉を収穫することも、風通しを良くし、害虫の隠れ場所を減らすことに繋がります。 収穫を兼ねて手入れをすることで、常に健康な状態を保つことができ、結果的に害虫の被害を受けにくくなります。
【これって食べられる?】虫食い・白い斑点のある大葉の安全性

虫に食われて穴が開いていたり、ハダニの被害で白い斑点ができていたりする大葉。「食べても大丈夫なの?」と心配になりますよね。結論から言うと、よく洗えば食べても問題ない場合がほとんどです。
虫食いの穴があるということは、逆に言えば農薬が使われていない安全な証拠とも言えます。 ただし、虫のフンなどが付着している可能性があるので、食べる前には流水で一枚一枚丁寧に洗いましょう。
ハダニによる白い斑点も、ハダニ自体やその痕跡であり、毒ではありません。見た目が気になるかもしれませんが、こちらもよく洗えば食べられます。 どうしても気になる部分や、被害がひどい葉は取り除くと良いでしょう。生で食べるのが心配な場合は、加熱調理するのも一つの方法です。
【コンパニオンプランツ】大葉と一緒に植えたい!相性の良い野菜とハーブ

予防策でも触れたコンパニオンプランツは、無農薬栽培を目指すならぜひ取り入れたい方法です。大葉と相性が良く、害虫対策にもなるおすすめの植物をいくつかご紹介します。
トマト
トマトと大葉は、料理の相性も良いですが、栽培でも良いパートナーです。大葉の強い香りが、トマトにつくアブラムシなどの害虫を遠ざける効果が期待できます。 逆に、トマトの根に共生する菌が土壌を豊かにし、大葉の生育を助けるとも言われています。
ナス・ピーマン
ナスやピーマンといったナス科の野菜も、大葉と相性が良いとされています。 お互いの生育を助け合い、病害虫の発生を抑える効果が期待できます。限られたスペースの家庭菜園で、異なる種類の野菜を一緒に育てることで、スペースを有効活用できるというメリットもあります。
ネギ類(ネギ、ニラなど)
ネギやニラなどが持つ特有の強い香りは、多くの害虫が嫌います。特にアブラムシ除けとしての効果が高いと言われています。 大葉の株元にネギやニラを植えることで、害虫が寄り付きにくい環境を作ることができます。
マリーゴールド
マリーゴールドは、コンパニオンプランツの代表格です。その根から出る分泌液には、土壌中のネコブセンチュウなどの害虫を殺す効果があります。 また、独特の香りはアブラムシなどを遠ざける効果も期待できます。彩りも良く、花壇が華やかになるのも嬉しいポイントです。
よくある質問

大葉につく黒い小さい虫は何ですか?
大葉につく黒くて小さい虫は、アブラムシの可能性が高いです。アブラムシには様々な色があり、黒い種類もいます。新芽や葉の裏に群がっていることが多いです。
大葉の葉がくっついているのはなぜですか?
大葉の葉と葉が糸で綴られたようにくっついている場合、ベニフキノメイガという蛾の幼虫が潜んでいる可能性が高いです。 幼虫は葉を折り曲げたり、葉と葉をくっつけたりして巣を作ります。 被害部分を葉ごと切り取って駆除しましょう。
大葉の葉に白い斑点があるのですが、これは何ですか?
葉の表面に針で刺したような白い小さな斑点が無数にある場合、ハダニの被害が考えられます。 ハダニが葉の汁を吸った跡が白く見えます。被害が広がると葉全体が白っぽくなります。葉の裏をよく観察してみてください。
虫食いの大葉は食べられますか?
はい、食べられます。 虫が食べるほど安全な証拠とも言えます。ただし、虫のフンなどが付いている可能性があるので、食べる前には流水でよく洗いましょう。 見た目が気になる部分や、被害がひどい部分は取り除いてください。
農薬を使わずに虫除けする方法はありますか?
はい、あります。防虫ネットで物理的に虫の侵入を防ぐ方法が最も効果的です。 また、木酢液やお酢を薄めたスプレーを定期的に散布したり、マリーゴールドやネギ類などのコンパニオンプランツを一緒に植えたりするのも効果が期待できます。
まとめ

- 大葉にはハダニ、アブラムシ、ヨトウムシなどがつきやすい。
- 害虫は種類によって被害の状況や特徴が異なる。
- 小さな虫は手や水で、大きな虫は手で取り除くのが基本。
- 農薬を使わない駆除方法として牛乳スプレーなどがある。
- 薬剤を使う際は「大葉」に適用があるか必ず確認する。
- 予防の基本は風通しと日当たりを良くすること。
- 葉の裏にも水をかける「葉水」はハダニ予防に効果的。
- 防虫ネットは飛来する害虫対策に最も確実な方法。
- コンパニオンプランツを植えると害虫を遠ざける効果がある。
- マリーゴールドやネギ類が大葉と相性が良い。
- こまめな収穫と観察が害虫の早期発見につながる。
- 虫食いの葉もよく洗えば食べても問題ないことが多い。
- 白い斑点はハダニの被害で、こちらも洗えば食べられる。
- 害虫対策は駆除よりも予防が重要。
- 健康な株を育てることが最大の病害虫対策になる。