家の中で、ちっちゃいムカデみたいな虫を見つけて、思わず「ヒッ!」と声を上げてしまった経験はありませんか?「これってムカデの赤ちゃん?」「毒はあるの?」「どうやって退治すればいいの?」など、次から次へと不安が押し寄せてきますよね。特に小さなお子さんやペットがいるご家庭では、その心配はさらに大きくなることでしょう。
でも、ご安心ください。その虫、実は危険なムカデではない可能性が高いです。本記事では、ちっちゃいムカデみたいな虫の正体を分かりやすく解説し、それぞれの危険性、見分け方、そして安全な駆除方法から二度と家で見ないための予防策まで、あなたの不安をすべて解消します。
ちっちゃいムカデみたいな虫の正体はこれ!代表的な4種類の虫
家の中で見かける「ちっちゃいムカデみたいな虫」の正体は、主に以下の4種類が考えられます。まずは、あなたが見かけた虫がどれに当てはまるか、特徴を見比べてみてください。
- ヤスデ
- ゲジゲジ(ゲジ)
- ムカデの幼虫
- ヒメフナムシ
ヤスデ:動きが遅く、刺激すると丸くなる
最もよくムカデと間違われるのが、このヤスデです。見た目は「長いダンゴムシ」といった感じで、動きは非常にゆっくり。 危険を感じると、体を渦巻き状に丸める習性があります。体長は2cm程度と小さく、ムカデのように人を咬むことはありません。 しかし、刺激を与えると体から臭い液体を出すことがあるため、不快害虫に分類されます。 この液体に触れると、人によっては皮膚がかぶれることもあるので注意が必要です。
主に落ち葉や腐った木などを食べる益虫としての側面もありますが、梅雨の時期などに大量発生し、家の中に侵入してくることがあります。
ゲジゲジ(ゲジ):足が長く、動きが非常に素早い
ゲジゲジ(正式名称:ゲジ)は、その独特な見た目から嫌われがちですが、実は私たちの味方になってくれることもある虫です。 特徴は、なんといっても体よりもずっと長い脚と触角。 この長い脚で、驚くほど素早く移動します。
見た目のインパクトとは裏腹に、性格は臆病で人間を襲うことはほとんどありません。 微弱な毒を持っていますが、人間には全く影響がないレベルです。 それどころか、ゴキブリやダニ、クモなどの害虫を食べてくれるため、「益虫(えきちゅう)」と呼ばれています。 家の中でゲジゲジを見かけたということは、エサとなる他の害虫が潜んでいるサインかもしれません。
ムカデの幼虫:小さいけれど形は大人と同じ
もちろん、ムカデの幼虫である可能性もゼロではありません。ムカデの幼虫は、小さいながらも成虫とほぼ同じ形をしています。体が平たく、頭にはしっかりとしたアゴがあり、各体節から1対の脚が生えています。 色は白っぽかったり、半透明だったりします。
注意したいのは、小さくても成虫と同じように毒を持っているという点です。 咬まれれば強い痛みを伴い、腫れてしまうこともあります。 また、親ムカデが近くにいる可能性も高いため、見つけたら絶対に素手で触らず、慎重に対処する必要があります。
ヒメフナムシ:湿った場所にいるフナムシの仲間
ヒメフナムシは、海岸でよく見かけるフナムシの仲間ですが、森林などの湿った土壌に生息しています。 見た目はワラジムシに似ていますが、お尻から2本の細長い尾(尾肢)が出ているのが特徴です。 体長は1cm程度と小さく、人に害を与えることはありません。 観葉植物の土などに紛れて、家の中に入り込んでしまうことがあります。
危険な虫か見分けるポイント!ムカデ・ヤスデ・ゲジゲジ比較表
「まだよく分からない…」という方のために、特に間違えやすいムカデ、ヤスデ、ゲジゲジの決定的な違いを表にまとめました。これさえ見れば、目の前の虫がどれなのか、そして危険なのかどうかがはっきりと分かります。
| 特徴 | ムカデ | ヤスデ | ゲジゲジ |
|---|---|---|---|
| 体の形 | 平べったい | 円筒形で丸い(長いダンゴムシのよう) | 短い胴体に長い脚 |
| 脚の生え方 | 1つの節から1対(2本) | 1つの節から2対(4本) | 1つの節から1対(2本) |
| 動き | 非常に素早く、くねくね動く | ゆっくり、のろい | 非常に素早く、カサカサと走る |
| 刺激への反応 | 攻撃してくることがある | 体を丸める | すぐに逃げる、脚を切り離すことも |
| 危険性 | 【危険】毒があり、咬む | 【注意】毒は弱いが、臭い体液を出す | 【無害】益虫。人への害はほぼない |
一番の注目ポイントは「動き方」と「刺激への反応」です。ゆっくり動いて丸くなるならヤスデ、驚くほどの速さで逃げるならゲジゲジ、そして攻撃的ならムカデの可能性が高いと判断できます。
今すぐできる!ちっちゃいムカデみたいな虫の駆除方法

虫の正体が分かったら、次はいよいよ駆除です。ここでは、誰でもすぐにできる駆除方法と、小さなお子さんやペットがいるご家庭でも安心な方法をご紹介します。
本章で紹介する駆除方法は以下の通りです。
- 殺虫スプレーで確実に仕留める
- 熱湯をかけて退治する
- 【赤ちゃん・ペットがいる家庭向け】安全な駆除方法
殺虫スプレーで確実に仕留める
最も手軽で確実なのは、殺虫スプレーを使う方法です。 ムカデやヤスデ、ゲジゲジに効果のある専用のスプレーが市販されています。虫が苦手な方でも、距離をとって噴射できるのが利点です。噴射するときは、換気をしながら行いましょう。
最近では、冷却効果で虫の動きを止めるタイプのスプレーもあります。殺虫成分が含まれていないため、室内でも使いやすいと人気です。
熱湯をかけて退治する
もし手元に殺虫剤がない場合は、60℃以上のお湯をかけるのも非常に効果的です。 ムカデなどの虫は熱に弱いため、これだけで駆除できます。ただし、火傷には十分注意してください。お風呂場などで遭遇した場合は、熱いシャワーをかけるのが手軽でおすすめです。
【赤ちゃん・ペットがいる家庭向け】安全な駆除方法
小さなお子さんやペットがいると、殺虫剤の成分が心配になりますよね。アース製薬などのメーカーによると、市販の殺虫剤は用法用量を守れば基本的に問題ないとされていますが、それでも気になるという方も多いでしょう。
そんなご家庭におすすめなのが、以下の方法です。
- 冷凍タイプの殺虫スプレー:殺虫成分を使わず、マイナスの冷気で虫を凍らせて動きを止めます。食品の近くなどでも安心して使えます。
- 天然成分由来の虫除けスプレー:ハッカ油やヒバ油など、虫が嫌う天然成分で作られたスプレーも有効です。 殺虫効果は弱いものもありますが、追い払う目的で使えます。
- 物理的に捕獲する:厚手のゴム手袋をしたり、長いトングを使ったりして虫を捕まえ、外に逃がすか、ビニール袋に入れて口をしっかり縛って処分します。ゲジゲジは益虫なので、できれば外に逃がしてあげるのが理想的です。
いずれの方法でも、駆除後は死骸をきちんと片付け、周辺を清潔に保つことが大切です。
二度と出会わないために!今日からできる侵入予防策

一度でも家の中で遭遇すると、もう二度と見たくないと思うのが本音ですよね。虫を駆除した後は、しっかりと予防策を講じて、家への侵入を未然に防ぎましょう。
本章で紹介する予防策は以下の通りです。
- 家の周りの環境を整える
- あらゆる隙間を徹底的に塞ぐ
- 虫が嫌がる忌避剤を活用する
家の周りの環境を整える
ムカデやヤスデ、ゲジゲジは、暗くて湿気の多いジメジメした場所が大好きです。 家の周りにそういった環境があると、虫たちが集まってきてしまいます。
- 落ち葉や枯れ葉を掃除する:落ち葉の下は虫たちの絶好の隠れ家です。こまめに掃除しましょう。
- 庭の草むしりをする:雑草が生い茂っていると、風通しが悪くなり湿気が溜まりやすくなります。
- 植木鉢やプランターの下を整理する:鉢の下は常に湿っており、虫の住処になりがちです。定期的に動かして掃除し、水受け皿に水を溜めっぱなしにしないようにしましょう。
家の周りをスッキリさせ、風通しを良くすることが、虫を寄せ付けない第一歩です。
あらゆる隙間を徹底的に塞ぐ
ムカデは、わずか数ミリの隙間があれば家の中に侵入してきます。 虫たちが入れそうな隙間は、徹底的に塞いでおきましょう。
- 窓や網戸の隙間:隙間テープを貼って、隙間をなくします。網戸に破れがないかもチェックしましょう。
- エアコンのドレンホース:ホースの先端に専用のキャップやストッキングを被せて、虫の侵入を防ぎます。
- 換気口や通気口:目の細かいフィルターやカバーを取り付けましょう。
- 壁のひび割れや配管の隙間:パテなどを使って、しっかりと埋めておきます。
「こんなところから?」と思うような小さな隙間が、虫たちの侵入口になっているのです。
虫が嫌がる忌避剤を活用する
家の周りの環境整備と侵入経路の封鎖に加えて、忌避剤(きひざい)を使うとさらに効果が高まります。忌避剤とは、虫が嫌がる成分で、虫を寄せ付けなくする薬剤のことです。
- 粉剤タイプ:家の基礎に沿って、ぐるっと一周帯状に撒きます。雨に強いタイプを選ぶと効果が長持ちします。
- スプレータイプ:窓のサッシや玄関ドアの周りなど、虫が侵入しそうな場所に吹き付けておきます。
- 設置タイプ(毒餌):ムカデなどが好む餌に殺虫成分を混ぜたものを、家の周りに設置します。食べた虫を駆除できるだけでなく、他の虫への警告にもなります。
これらの対策を組み合わせることで、ちっちゃいムカデみたいな虫との遭遇率をぐっと下げることができます。
よくある質問

ここでは、「ちっちゃいムカデみたいな虫」に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。
なぜ梅雨の時期などに大量発生するのですか?
ヤスデは普段、土の中や落ち葉の下で生活していますが、大雨などで住処が水浸しになると、溺れるのを避けるために一斉に地上へ避難してきます。 これが、梅雨の時期や秋の長雨の後に大量発生する主な原因です。 壁などを登って、より安全な高い場所を目指すため、家の中に侵入してくることが多くなります。
虫を1匹殺すと仲間が集まってくるって本当ですか?
「ムカデはつがいで行動するから、1匹殺すとパートナーが探しに来る」という話を耳にすることがありますが、これは科学的根拠のない迷信です。ムカデは基本的に単独で行動します。 ただし、ヤスデは危険を感じると臭い液体を出しますが、この臭いに仲間が集まってくるという習性はありません。むしろ、その場所が危険だと知らせる役割があると考えられています。
ゲジゲジは本当に益虫なのですか?放置しても大丈夫?
はい、ゲジゲジはゴキブリやダニなどを捕食してくれる益虫です。 人間に直接的な害を与えることはほとんどないため、放置しても問題はありません。 しかし、その見た目からどうしても不快に感じる場合は、無理せず駆除したり、外に追い出したりしても大丈夫です。 ゲジゲジがいるということは、エサとなる害虫がいる証拠でもあるので、家全体の害虫対策を見直すきっかけと捉えることもできます。
ちっちゃいムカデみたいな虫は夜行性ですか?
はい、ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジはいずれも夜行性の傾向が強いです。 日中は物陰や土の中に隠れていて、夜になるとエサを探して活発に動き回ります。そのため、夜間に家の中で遭遇することが多くなるのです。
まとめ

- 家で見る小さなムカデ似の虫はヤスデやゲジゲジのことが多い。
- ヤスデは動きが遅く、刺激で丸くなるのが特徴。
- ゲジゲジは足が長く、動きが非常に素早い。
- ムカデの幼虫は小さくても毒を持つため注意が必要。
- ヒメフナムシは無害で、湿った土壌を好む。
- 最も危険なのは毒を持つムカデ。咬まれないよう注意。
- ヤスデの体液は臭く、皮膚炎の原因になることがある。
- ゲジゲジはゴキブリを食べる益虫で、人への害はほぼない。
- 駆除には殺虫スプレーや熱湯が効果的。
- 赤ちゃんやペットがいる家では冷凍スプレーが安心。
- 侵入予防には家の周りの湿気対策が重要。
- 落ち葉の掃除や草むしりをこまめに行うこと。
- 窓やエアコンホースなど、家の隙間を徹底的に塞ぐ。
- 家の周りに粉末の忌避剤を撒くと効果的。
- 虫の正体を見極め、適切に対処することが大切。
