秋になるとどこからともなく現れるカメムシ。「うわ、また出た!」と、あの独特の姿と臭いに悩まされている方も多いのではないでしょうか。そんな時、家に常備してある「普通のキンチョール」で対処できないか、と考えるのは自然なことです。本記事では、その疑問に明確にお答えします。普通のキンチョールがカメムシに効果があるのか、そして、どうすればあの嫌な臭いを出させずに駆除できるのか、カメムシ対策の全てを詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
普通のキンチョールはカメムシに効果がある?

家でカメムシに遭遇した時、手元にある普通のキンチョールが使えるのか、これは非常に気になるところです。結論から言うと、普通のキンチョールでもカメムシに対してある程度の効果は期待できます。しかし、最適な選択肢とは言えないのが実情です。ここでは、その理由と、より効果的な対策について掘り下げていきます。
- 普通のキンチョールの成分と効果
- カメムシ専用スプレーとの違い
- なぜ専用品がおすすめなのか
普通のキンチョールの成分と効果
多くのご家庭に常備されている緑色の缶の「キンチョール」は、大日本除虫菊(金鳥)が販売する歴史ある殺虫剤です。 主な有効成分は「ピレスロイド系」の殺虫成分で、これはハエや蚊、ゴキブリといった害虫の神経系に作用し、麻痺させて駆除する効果があります。 このピレスロイドは、カメムシに対しても全く無効というわけではありません。実際に、普通のキンチョールをカメムシに直接噴射すれば、動きを鈍らせ、最終的に駆除することは可能です。
ただし、カメムシは他の害虫と比べて体が硬く、生命力も比較的強い傾向にあります。そのため、ハエや蚊のように一瞬でノックアウトするほどの即効性は期待しにくいかもしれません。数秒間噴射し続ける必要があったり、噴射してもすぐに絶命せずにしばらく動き回ったりすることがあります。
カメムシ専用スプレーとの違い
一方で、同じKINCHOから「カメムシキンチョール」という、まさにカメムシ対策に特化した製品も販売されています。 普通のキンチョールとカメムシ専用品では、何が違うのでしょうか。最大の違いは、カメムシの厄介な「悪臭」への対策が施されている点です。
カメムシキンチョールには、カメムシが発する嫌な臭いを、良い香りに変える「ハーモナイズド香料」が配合されています。 これは、カメムシが悪臭成分を放出してしまっても、その臭いを感知しにくくし、不快感を軽減してくれる画期的な技術です。さらに、カメムシに対して高い殺虫効果を持つ成分が配合されており、より迅速に駆除できるように設計されています。
なぜ専用品がおすすめなのか
普通のキンチョールでもカメムシを駆除できる可能性はありますが、「臭いを出させずに、より確実に駆除したい」のであれば、カメムシ専用品の使用を強くおすすめします。カメムシは身の危険を感じると、強烈な悪臭を放ちます。 この臭いは、一度ついてしまうとなかなか取れず、手や衣類、カーテンなどに付着すると大変です。
普通のキンチョールで中途半端に刺激してしまうと、カメムシが苦し紛れに悪臭をまき散らすリスクが高まります。その点、専用品は速効性や悪臭対策が強化されているため、カメムシに臭いを出す隙を与えにくく、よりスマートに駆除できる可能性が高いのです。 また、侵入を防ぐ予防効果が長持ちするよう作られている製品も多く、事後処理だけでなく事前対策としても非常に有効です。
カメムシに効く!キンチョール製品とその他の駆除スプレー

カメムシ対策を決意したら、次に知りたいのは「どのスプレーを選べば良いのか」ということでしょう。ここでは、信頼と実績のKINCHO製品を中心に、カメムシに効果的なスプレーを具体的にご紹介します。また、殺虫成分を使いたくない方向けの選択肢も合わせて解説します。
- カメムシ対策の決定版「カメムシキンチョール」
- 殺虫成分不使用!「凍結タイプ」のスプレー
- 他社から販売されているカメムシ用スプレー
カメムシ対策の決定版「カメムシキンチョール」
カメムシ対策で最もおすすめしたいのが、やはりKINCHOの「カメムシキンチョール」です。 この製品は、カメムシを駆除するためだけに開発された専用殺虫剤であり、多くの強みを持っています。
最大の特長は、前述の通り「ハーモナイズド香料」による悪臭対策です。 万が一、カメムシが臭いを発してしまっても、その悪臭がフルーティーな香りに変わり、不快感を大幅に軽減してくれます。 これにより、室内での使用もためらわずに済みます。さらに、優れた殺虫成分により、カメムシを素早く駆除。 また、窓枠や網戸など、カメムシが侵入してきそうな場所に予めスプレーしておくことで、長期間の侵入防止効果も期待できます。 まさに駆除と予防を一本でこなす、カメムシ対策の心強い味方と言えるでしょう。
殺虫成分不使用!「凍結タイプ」のスプレー
「小さなお子さんやペットがいるので、室内で殺虫成分を使うのは少し抵抗がある…」という方におすすめなのが、「凍結タイプ」の殺虫スプレーです。アース製薬の「凍らすジェット 冷凍殺虫」やフマキラーの「カメムシ凍殺ジェット」などが代表的です。
これらのスプレーは、-85℃などの超低温の冷気を噴射することで、害虫を瞬間的に凍らせて動きを止めます。 殺虫成分を一切含んでいないため、薬剤の匂いやベタつきがなく、食品の近くや寝室などでも比較的安心して使用できるのが大きなメリットです。 カメムシが悪臭を放つ前に瞬時に動きを封じることができるため、臭い対策としても非常に有効です。ただし、完全に駆除するためには、凍らせた後、ティッシュなどで包んで処分する必要があります。
他社から販売されているカメムシ用スプレー
もちろん、KINCHO以外にも様々なメーカーから高性能なカメムシ用スプレーが販売されています。例えば、アース製薬の「カメムシコロリ」やフマキラーの「カダン カメムシバリア」などが人気です。
これらの製品も、速効性のある殺虫成分や、侵入予防効果を謳ったものが多く、高い駆除能力が期待できます。 製品によっては、2つのノズルを切り替えて遠くまで噴射できたり、壁にしっかり付着するミスト状の薬剤だったりと、様々な工夫が凝らされています。 各社の製品特徴を比較し、ご自身の使用環境や目的に合ったものを選ぶと良いでしょう。例えば、屋外の壁など広範囲に予防したい場合は大容量タイプ、洗濯物についたカメムシを狙いたい場合は速乾性の高いタイプなどが考えられます。
臭わせない!普通のキンチョールを使ったカメムシ駆除のコツ

手元に普通のキンチョールしかない緊急事態でも、使い方を工夫すれば、カメムシに臭いを出させるリスクを最小限に抑えることが可能です。ここでは、カメムシを刺激せず、スマートに駆除するための具体的なコツをご紹介します。
- カメムシを刺激しないための心構え
- キンチョールを噴射する際のポイント
- 駆除後の正しい処理方法
カメムシを刺激しないための心構え
カメムシ駆除で最も重要なのは、「カメムシを驚かせない、刺激しない」ということです。 カメムシは身の危険を感じた時に悪臭を発するため、叩き潰すのは絶対にNGです。 壁や床に臭いが染み付くだけでなく、体液で汚れてしまい、後片付けも大変になります。
また、掃除機で吸い込むのも避けましょう。 掃除機の中で悪臭を放たれると、排気口から部屋中に臭いが拡散してしまい、悲惨な状況になります。 カメムシを発見したら、まずは深呼吸。焦らず、騒がず、そっと近づくことが成功への第一歩です。
キンチョールを噴射する際のポイント
普通のキンチョールを使う場合、噴射方法に少し工夫が必要です。まず、カメムシから20~30cm程度の距離を保ち、風上からそっと噴射を開始します。近すぎると噴射の勢いでカメムシを吹き飛ばしてしまい、パニックに陥らせてしまいます。逆に遠すぎると薬剤が十分に届きません。
噴射する際は、一瞬で終わらせるのではなく、カメムシの動きが完全に止まるまで、数秒間、集中的に噴射し続けるのがコツです。中途半端な攻撃が一番危険。一気に勝負を決めるつもりで、たっぷりと薬剤を浴びせかけましょう。これにより、カメムシが臭いを出す暇もなく麻痺する可能性が高まります。
駆除後の正しい処理方法
キンチョールによってカメムシの動きが止まったら、それで終わりではありません。まだ息がある可能性も考慮し、慎重に処理しましょう。直接手で触れるのは避け、ティッシュペーパーやキッチンペーパーでそっと掴みます。
掴んだ後は、決して潰さないように注意しながら、ビニール袋に入れて口をしっかりと縛ってからゴミ箱に捨てましょう。トイレに流すのは、詰まりの原因になる可能性があるため避けた方が無難です。この一連の作業を冷静に行うことで、嫌な臭いに悩まされることなく、カメムシとの戦いを終えることができます。
キンチョールだけじゃない!カメムシの駆除と予防策

カメムシとの戦いは、スプレーによる駆除だけではありません。そもそも家の中にカメムシを入れない「予防」が最も重要です。ここでは、スプレー以外の駆除方法と、今日からできる効果的な予防策を網羅的にご紹介します。
- 殺虫剤を使わない駆除方法
- カメムシを家に寄せ付けないための予防策
- カメムシが嫌うものを活用する
殺虫剤を使わない駆除方法
殺虫スプレーが手元にない場合や、使いたくない状況でも、カメムシを駆除する方法はあります。
粘着テープを使う方法
ガムテープや梱包用テープの粘着面をカメムシにそっと貼り付け、捕獲します。 この時、上から強く押さえつけると潰れて臭いが出てしまうので、あくまで優しく貼り付けるのがコツです。捕獲したら、テープを二つ折りにしてカメムシを包み込み、ビニール袋に入れて捨てましょう。
ペットボトル捕獲器
空のペットボトルの上部を切り取り、逆さにして本体に差し込むと、簡易的な捕獲器が作れます。 カメムシは下に逃げる習性があるため、壁にとまっているカメムシの下にこの捕獲器をそっとあてがうと、ポトッと中に落ちてくれます。一度入ると出にくい構造なので、安全に捕獲できます。中に少し食器用洗剤を入れておくと、より効果的です。
カメムシを家に寄せ付けないための予防策
カメムシ対策で最も効果的なのは、侵入経路を断つことです。カメムシは2mm程度のわずかな隙間からでも侵入してきます。
侵入経路を塞ぐ
網戸や窓サッシの隙間、エアコンのドレンホースの口、換気扇などをチェックしましょう。 ホームセンターなどで売っている隙間テープや、ドレンホース用の防虫キャップ、換気口用のフィルターなどを活用して、物理的に入れないようにするのが非常に効果的です。
洗濯物に注意
カメムシは白くて暖かい場所を好むため、外に干している洗濯物、特に白いシャツやシーツは絶好の隠れ場所になります。 洗濯物を取り込む際は、一枚一枚よく振って、カメムシが付いていないか確認する習慣をつけましょう。甘い香りの柔軟剤もカメムシを引き寄せることがあるため、無香料タイプに変えるのも一つの手です。
カメムシが嫌うものを活用する
カメムシには苦手な香りがあります。これを利用して、自然由来の忌避剤として活用することができます。
ハッカ油スプレー
カメムシはミント系のスーッとする香りを嫌います。 薬局などで手に入るハッカ油を使って、手軽に忌避スプレーを作ることができます。
【作り方】
- スプレーボトル
- 無水エタノール 10ml
- ハッカ油 20滴程度
- 水 90ml
まずスプレーボトルに無水エタノールとハッカ油を入れてよく混ぜ、その後、水を加えてさらに混ぜれば完成です。これを網戸や窓枠、玄関周りなど、カメムシが侵入しそうな場所に吹きかけておくと、寄り付きにくくなります。天然成分なので、比較的に安心して使えるのも嬉しいポイントです。
もし臭いがついてしまったら?カメムシの悪臭撃退法

万全の対策をしていても、うっかりカメムシの臭いが手や服についてしまうこともあります。あの独特の臭いは非常に厄介ですが、正しい対処法を知っていれば、被害を最小限に食い止めることができます。諦める前に、ぜひ試してみてください。
- カメムシの臭いの正体とは?
- 手や皮膚についた臭いの落とし方
- 服や洗濯物についた臭いの落とし方
カメムシの臭いの正体とは?
カメムシの悪臭の主成分は、「トランス-2-ヘキセナール」などのアルデヒド類と呼ばれる化学物質です。 これは、カメムシが敵から身を守るための防御物質であり、仲間に対して危険を知らせる警報フェロモンの役割も果たしています。 非常に強力で、密閉容器の中では自分自身の臭いで死んでしまうことさえあるほどです。
この臭い成分の大きな特徴は、水に溶けにくく、油に溶けやすいという性質を持っていることです。 そのため、単に水で洗い流そうとしても、なかなか落ちないのです。この性質を理解することが、効果的な消臭の鍵となります。
手や皮膚についた臭いの落とし方
もし手や皮膚にカメムシの臭いがついてしまったら、慌てて水でゴシゴシ洗ってはいけません。まずは、クレンジングオイルやオリーブオイル、サラダ油などの油を手に取り、臭いがついた部分に優しく馴染ませてください。
油が臭い成分を浮かび上がらせてくれるので、その後、石鹸やハンドソープを使ってしっかりと洗い流します。 この「油で浮かせて、石鹸で洗い流す」という二段階の洗浄方法が非常に効果的です。一度で落ちない場合も、何度か繰り返すことで、かなり臭いを軽減できるはずです。
服や洗濯物についた臭いの落とし方
服やカーテン、洗濯物などに臭いがついてしまった場合も、基本的な考え方は同じです。臭いの成分は熱で揮発しやすい性質も持っています。
界面活性剤入りの洗剤で洗濯する
まずは、油汚れに強い界面活性剤が多く含まれている食器用洗剤などを臭いの部分に直接つけて、軽く揉み洗いします。その後、通常の洗濯洗剤を使って洗濯機で洗いましょう。
スチームアイロンを当てる
洗濯が難しい布製品の場合は、スチームアイロンの蒸気を当てるのも有効です。 高温のスチームによって臭い成分が揮発し、臭いが飛びやすくなります。ただし、衣類の素材によっては傷めてしまう可能性があるので、必ず洗濯表示を確認し、目立たない場所で試してから行ってください。
普通のキンチョールとカメムシに関するよくある質問

ここでは、普通のキンチョールとカメムシに関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。
普通のキンチョールでカメムシを駆除しても、臭いは出ませんか?
残念ながら、臭いが出る可能性は十分にあります。普通のキンチョールはカメムシ専用ではないため、カメムシが苦し紛れに悪臭を放ってしまうリスクがあります。臭いを絶対に出したくない場合は、悪臭対策が施された「カメムシキンチョール」や、瞬時に動きを止める「凍結スプレー」の使用をおすすめします。
カメムシはなぜ家の中に入ってくるのですか?
カメムシが家の中に入ってくる主な理由は、越冬のためです。 特に秋になると、冬を越すための暖かく安全な場所を探して、集団で移動します。 家の壁や窓の隙間は、彼らにとって絶好の隠れ家となるのです。また、光に集まる習性があるため、夜間に灯りのついた窓から侵入してくることもあります。
カメムシを潰してしまったらどうすればいいですか?
万が一、カメムシを潰してしまった場合は、まずティッシュなどで死骸を取り除きます。その後、臭いがついた場所にクレンジングオイルやアルコール(消毒用エタノールなど)を染み込ませた布で拭き取ります。 臭いの成分は油やアルコールに溶けやすい性質があるため、水拭きよりも効果的です。その後、中性洗剤などで再度拭き上げると良いでしょう。
カメムシキンチョールはどこで買えますか?
カメムシキンチョールは、全国のドラッグストア、ホームセンター、スーパーマーケットなどで購入できます。 また、Amazonや楽天市場などのオンラインストアでも手軽に購入することが可能です。カメムシが大量発生する秋口には品薄になることもあるため、早めに準備しておくと安心です。
カメムシの大量発生はいつまで続きますか?
カメムシの活動が活発になるのは、春から秋にかけてです。 特に、越冬場所を探す9月から11月頃にかけて、家屋への侵入が最も多くなります。 寒くなると活動が鈍り、冬の間は越冬してじっとしていますが、春になると再び活動を開始します。そのため、本格的な対策は秋が深まる前から始めるのが効果的です。
まとめ

- 普通のキンチョールはカメムシにある程度効くが、専用品が確実。
- カメムシ専用キンチョールは悪臭対策が施されている。
- 駆除の際はカメムシを刺激せず、そっとスプレーするのがコツ。
- 叩き潰したり掃除機で吸ったりするのはNG。
- 殺虫成分不使用の凍結スプレーも有効な選択肢。
- 最も重要な対策は、隙間を塞ぐなどの「侵入予防」。
- カメムシは白い洗濯物や甘い香りを好む。
- 侵入予防にはハッカ油スプレーが手軽でおすすめ。
- カメムシの臭いは油に溶けやすい性質を持つ。
- 手についた臭いはクレンジングオイルで落とすのが効果的。
- 服についた臭いは界面活性剤入りの洗剤やスチームアイロンで対処。
- カメムシは越冬のために家屋へ侵入する。
- 活動が活発になるのは春から秋、特に9月~11月は要注意。
- カメムシ対策は、駆除と予防の両面から行うことが大切。
- 困ったときは、専用の対策グッズを積極的に活用しよう。