流麗なデザインとステーションワゴンの実用性を兼ね備え、多くのファンを魅了してきたメルセデス・ベンツCLAシューティングブレーク。しかし、近年「廃止されるのでは?」という噂が後を絶ちません。スタイリッシュな一台に憧れていた方、そしてオーナーの方にとっても、この噂は気がかりでならないでしょう。本記事では、CLAシューティングブレークの廃止に関する情報の真偽、その背景にある理由、そして今後のモデル展開や中古車市場の動向まで、詳しく解説していきます。
CLAシューティングブレークは本当に廃止されるのか?公式情報を確認

結論から言うと、CLAシューティングブレークを含む一部のコンパクトモデルが、メルセデス・ベンツの今後のラインナップから外れる可能性は非常に高い状況です。ただし、一部情報では次期型の開発も報じられており、情報が錯綜しています。ここでは、現在分かっている情報を整理してみましょう。
本章では、以下の内容について詳しく解説します。
- メルセデス・ベンツの車種ラインナップ再編計画
- コンパクトカーセグメントの縮小が決定的に
- 日本市場での公式発表はまだ?
メルセデス・ベンツの車種ラインナップ再編計画
メルセデス・ベンツは現在、ブランド全体の収益性を高めるため、大規模な車種ラインナップの再編計画を進めています。 具体的には、利益率の高い「トップエンド・ラグジュアリー(Sクラス、Gクラス、AMG、マイバッハなど)」と「コア・ラグジュアリー(Cクラス、Eクラスなど)」セグメントに経営資源を集中させる方針を明確にしています。
この戦略の一環として、これまで7車種存在したコンパクトカー(エントリー・ラグジュアリー)のラインナップを4車種にまで削減することが発表されています。 この動きは、かつて2020年までに30車種以上へとラインナップを拡大していた方針から、大きな転換と言えるでしょう。
コンパクトカーセグメントの縮小が決定的に
ラインナップ削減の対象として、AクラスとBクラスが2025年をもって生産終了となることがドイツのメディアで報じられました。 これらのモデルは販売台数も多く人気がありましたが、収益性の観点から廃止の決定が下されたようです。
CLAシューティングブレークも、このコンパクトカーセグメントに属します。英メディアによると、CクラスステーションワゴンやEクラスステーションワゴンと共に、2030年頃までにはステーションワゴンモデルが完全に廃止される可能性があると報じられています。 このように、メルセデス・ベンツ全体として、セダンやワゴンよりもSUVや電動モデルを重視する姿勢が鮮明になっています。
日本市場での公式発表はまだ?
2024年7月現在、メルセデス・ベンツ日本からCLAシューティングブレークの廃止に関する公式な発表はまだありません。しかし、本国ドイツでの方針決定は、いずれ日本市場にも影響を及ぼすことは避けられないでしょう。
一方で、2025年以降に登場する次期CLAファミリーに関する報道もあり、そこではCLAシューティングブレークも存続するとされています。 新開発の「MMAプラットフォーム」を採用し、EVモデルもラインナップされるとの情報もありますが、これが現行の内燃機関モデルと並行して販売されるのか、あるいは完全に置き換わるのかはまだ不透明です。
なぜ?CLAシューティングブレークが廃止される3つの決定的理由

多くのファンに愛されているCLAシューティングブレークが、なぜ廃止の候補に挙がってしまうのでしょうか。その背景には、自動車業界全体を取り巻く大きな変化と、メルセデス・ベンツの経営戦略が深く関わっています。
本章では、以下の3つの理由を掘り下げていきます。
- 理由1:世界的なSUV人気の高まりとセダン・ワゴン離れ
- 理由2:電動化(EVシフト)への経営資源集中
- 理由3:コスト削減と収益性向上を目指す戦略
理由1:世界的なSUV人気の高まりとセダン・ワゴン離れ
最大の理由は、世界的なSUV人気の高まりです。近年、世界中の市場でSUVの販売台数が伸び続けており、メルセデス・ベンツも例外ではありません。GLA、GLB、GLCといったSUVモデルは、今やブランドの販売を支える中核的な存在となっています。
SUVは、広い室内空間や高いアイポイントによる運転のしやすさ、そして悪路走破性といった実用性の高さから、幅広い層の支持を集めています。 このSUVブームのあおりを受け、かつてファミリーカーの定番であったステーションワゴンやセダンの需要は相対的に減少傾向にあります。 メルセデス・ベンツの幹部も、ステーションワゴンの将来性について慎重な見方を示しており、ファンがSUVに流れている現状を認めています。
理由2:電動化(EVシフト)への経営資源集中
メルセデス・ベンツは、2030年までに市場が許す限り全ての新車を電気自動車(EV)にするという野心的な目標を掲げています。 この「EVオンリー」戦略を実現するため、2022年から2030年までに400億ユーロ(約5.8兆円)以上という莫大な資金をEVの研究開発に投じる計画です。
一方で、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった内燃機関への投資は大幅に削減されます。 このように、限られた経営資源をEV開発に集中させるため、販売台数や利益率が見込めないモデルは整理の対象とならざるを得ないのです。最近ではこのEV化一辺倒の方針に修正も見られますが、電動化が経営の最優先事項であることに変わりはありません。
理由3:コスト削減と収益性向上を目指す戦略
前述の通り、メルセデス・ベンツはブランド全体の収益性を高めることを最重要課題としています。そのための戦略が、「ラグジュアリー戦略」です。これは、比較的安価なエントリーモデルの販売台数を追うのではなく、利益率の高い高級車に注力することで、ブランド価値と収益性を同時に高めようというものです。
AクラスやBクラスといったモデルは、多くの新規顧客を獲得する上で重要な役割を果たしてきましたが、Cクラス以上のモデルと比較すると利益率は低いとされています。 CLAシューティングブレークも、このエントリーセグメントに位置づけられるため、車種整理の対象に含まれてしまったと考えられます。複雑化したラインナップを簡素化し、開発・生産コストを削減することも、この戦略の重要な目的の一つです。
CLAシューティングブレーク廃止後の選択肢は?後継モデルはあるのか

CLAシューティングブレークの廃止が現実味を帯びる中、オーナーや購入を検討していた方にとっては「次に何を選べばいいのか」が大きな問題です。ここでは、後継モデルの有無や、代替となりうる選択肢について見ていきましょう。
本章では、以下の選択肢を提案します。
- 直系の後継モデルは存在しない可能性が高い
- 新世代エントリーモデル「エントリー・ラグジュアリー」への統合
- 代替候補となるメルセデス・ベンツの他モデル
- 他メーカーの競合車種も検討の価値あり
直系の後継モデルは存在しない可能性が高い
残念ながら、現行のCLAシューティングブレークと全く同じコンセプトの直系後継モデルが登場する可能性は低いと言わざるを得ません。メルセデス・ベンツが進める車種整理の目的が、まさにこうしたニッチなモデルを削減し、より販売が見込めるセグメントに注力することだからです。
過去にも、CLSシューティングブレークが販売不振を理由に一代限りで廃止された例があります。 スタイリッシュなワゴンというコンセプトは魅力的ですが、ビジネスとして成立させるのが難しいのが現状なのでしょう。
新世代エントリーモデル「エントリー・ラグジュアリー」への統合
メルセデス・ベンツは、コンパクトカーのラインナップをCLA、CLAシューティングブレーク、GLA、GLBの4モデルに絞り込むと発表しています。 これらの次世代モデルは、新開発の「MMA(メルセデス・モジュラー・アーキテクチャー)」プラットフォームをベースに開発されます。
この情報に基づけば、CLAシューティングブレークは名前こそ残るものの、その中身はEVと内燃機関の両方に対応した全く新しいモデルへと生まれ変わることになります。 デザインコンセプトは引き継がれるかもしれませんが、実質的には新しいカテゴリーの車になると考えるのが自然です。
代替候補となるメルセデス・ベンツの他モデル
CLAシューティングブレークの代わりを探すなら、メルセデス・ベンツ内にも魅力的な選択肢があります。
Cクラス ワゴン
CLAシューティングブレークよりも一回り大きいですが、ステーションワゴンとしての実用性とメルセデスらしい上質さを兼ね備えたモデルです。 走りの質や内外装の高級感は、CLAを上回る満足感を得られるでしょう。ただし、将来的にはCクラスワゴンも廃止されるとの報道がある点には注意が必要です。
GLA
スタイリッシュなデザインと取り回しの良いサイズ感が魅力のコンパクトSUVです。CLAシューティングブレークのデザイン性が好きだった方には、有力な候補となるでしょう。SUVならではの高いアイポイントで、運転のしやすさも魅力です。
GLB
スクエアなデザインと、コンパクトなサイズながら3列シートも選択可能な高い実用性が人気のSUVです。 ファミリーでの使用や、荷物をたくさん積む機会が多い方には、CLAシューティングブレーク以上の利便性を提供してくれます。
他メーカーの競合車種も検討の価値あり
メルセデス・ベンツにこだわらなければ、さらに選択肢は広がります。CLAシューティングブレークの競合としてよく比較されるのは、以下のようなモデルです。
- BMW 2シリーズ グランクーペ / 3シリーズ ツーリング: スポーティな走りとスタイリッシュなデザインが魅力です。
- アウディ A3 スポーツバック / A4 アバント: 洗練されたデザインと質の高い内装が特徴です。
- フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント / アルテオン シューティングブレーク: 実用性とデザイン性を高いレベルで両立させています。
今が買い時?CLAシューティングブレークの中古車市場の動向

新車の先行きが不透明となると、がぜん注目を集めるのが中古車市場です。生産終了の噂は、中古車価格にどのような影響を与えるのでしょうか。購入を検討している方にとっては、非常に気になるポイントです。
ここでは、中古車市場の現状と今後の見通しについて解説します。
- 生産終了による希少価値の高まり
- 中古車価格の今後の予測
- 中古車選びの注意点とおすすめモデル
生産終了による希少価値の高まり
一般的に、人気モデルが生産終了になると、その希少価値から中古車価格が上昇する傾向があります。特にCLAシューティングブレークのように、他に類を見ないユニークなコンセプトを持つ車は、その傾向が顕著に現れる可能性があります。
「もう新車では手に入らない」という状況が、程度の良い中古車への需要を高めるのです。デザインやコンセプトに惚れ込んでいるファンにとっては、中古車が唯一の選択肢となるため、価格が下がりにくくなる、あるいは上昇に転じることも考えられます。
中古車価格の今後の予測
現時点でのCLAシューティングブレークの中古車価格は、比較的手頃な価格帯から高年式の高価格帯まで幅広く分布しています。
今後、正式に生産終了が発表された場合、短期的には価格が上昇する可能性があります。特に、走行距離が少なく、状態の良い車両は人気が集中することが予想されます。 しかし、長期的に見れば、次世代のEVモデルが登場したり、市場全体のトレンドが変化したりすることで、価格は徐々に落ち着いていくでしょう。
もし購入を検討しているなら、市場の動向を注意深く見守りつつ、条件の良い車両が見つかれば早めに決断するのが得策かもしれません。
中古車選びの注意点とおすすめモデル
中古車を選ぶ際は、価格だけでなく、車両の状態をしっかりと確認することが重要です。年式や走行距離はもちろん、修復歴の有無、定期的なメンテナンスが実施されてきたかを示す整備記録などを必ずチェックしましょう。
おすすめのモデルとしては、後期型の「CLA 200 d シューティングブレーク」が挙げられます。ディーゼルエンジンならではの力強い走りと燃費の良さが魅力で、実用性も高いグレードです。また、スポーティな走りを求めるなら「メルセデスAMG CLA 35 4MATIC シューティングブレーク」や「CLA 45 S 4MATIC+ シューティングブレーク」も、その希少性から将来的な価値が期待できるかもしれません。
惜しまれつつ消えるCLAシューティングブレークの魅力とは?

なぜこれほどまでに、CLAシューティングブレークの廃止が惜しまれるのでしょうか。それは、この車が他に代えがたい唯一無二の魅力を持っているからです。ここでは、多くの人々を惹きつけてやまないCLAシューティングブレークの魅力を改めて振り返ってみましょう。
本章では、CLAシューティングブレークが持つ不変の魅力を3つのポイントでご紹介します。
- 流麗で唯一無二のデザイン
- スタイリッシュさと実用性の両立
- メルセデスらしい上質な走り
流麗で唯一無二のデザイン
CLAシューティングブレークの最大の魅力は、何と言ってもその息をのむほど美しいデザインでしょう。クーペのような流れるようなルーフラインと、ステーションワゴンの伸びやかなフォルムを融合させたスタイリングは、他のどの車にも似ていません。
フロントからリアへと続く滑らかな曲線、サッシュレスドアがもたらす開放感、そして引き締まったリアエンドのデザイン。そのすべてが計算し尽くされており、停まっているだけで絵になる佇まいを持っています。このデザインに一目惚れして購入を決めたという方も少なくないはずです。
スタイリッシュさと実用性の両立
デザイン性を追求すると実用性が犠牲になりがちですが、CLAシューティングブレークはその両立を見事に実現しています。美しいルーフラインを保ちながらも、後席のヘッドクリアランスはクーペモデルよりも確保されており、大人でも快適に乗車できます。
そして、最大のメリットは広大なラゲッジスペースです。 開口部が広く、荷物の出し入れがしやすいだけでなく、後席を倒せば長尺物も楽に積むことができます。デザインコンシャスな車でありながら、日常使いからレジャーまで幅広く対応できる懐の深さが、この車の大きな魅力なのです。
メルセデスらしい上質な走り
見た目だけでなく、走りもまた一級品です。メルセデス・ベンツならではの剛性感の高いボディと、しなやかに動くサスペンションが、快適な乗り心地と安定したハンドリングを提供します。
街中では軽快に、高速道路ではどっしりとした安定感で、長距離の移動も苦になりません。パワートレインのラインナップも豊富で、燃費の良いディーゼルモデルから、刺激的な走りが楽しめるAMGモデルまで、自分のライフスタイルに合った走りを選ぶことができます。 デザイン、実用性、そして走りの三拍子が揃っていることこそ、CLAシューティングブレークが愛され続ける理由なのです。
よくある質問

CLAシューティングブレークの廃止はいつからですか?
メルセデス・ベンツからの公式発表はまだありませんが、一部報道では2025年以降のモデル再編で対象になると言われています。 また、2030年頃にはステーションワゴンモデルが全て廃止されるという情報もあります。
CLAクーペも廃止されるのですか?
CLAクーペは、次世代のコンパクトカーラインナップ4車種の中に含まれており、存続する可能性が高いと見られています。 新しいMMAプラットフォームを採用した新型モデルとして登場する見込みです。
AクラスやBクラスもなくなると聞きましたが本当ですか?
はい、その可能性は非常に高いです。ドイツのメディアは、AクラスとBクラスが2025年に生産を終了すると報じています。 メルセデス・ベンツの収益性向上戦略の一環とされています。 ただし、最近の報道ではAクラスの生産が2028年まで延長される可能性も示唆されています。
なぜメルセデスは人気のあるモデルを廃止するのですか?
主な理由は、経営資源を利益率の高い高級車セグメントと、将来の成長が見込まれる電気自動車(EV)に集中させるためです。 たとえ人気があっても、収益性が低いと判断されたモデルは整理の対象となるのが現在の経営方針です。
今後、メルセデスで手頃なステーションワゴンはなくなりますか?
その可能性は高いです。CLAシューティングブレークだけでなく、Cクラスワゴンも将来的には廃止されると報じられています。 メルセデス・ベンツのラインナップ全体が、より大型で高価格なSUVやセダン、そしてEVにシフトしていく流れにあります。
まとめ

- CLAシューティングブレークはメルセデスの車種整理で廃止される可能性が高い。
- 正式な発表はまだだが、2025年以降の再編が有力視されている。
- 廃止の主な理由は「SUV人気」「電動化への集中」「高収益モデルへの注力」。
- 世界的なSUVブームにより、ステーションワゴンの需要が減少している。
- メルセデスは莫大な資金をEV開発に投じており、車種の選択と集中を進めている。
- 利益率の高い高級車に注力する「ラグジュアリー戦略」が背景にある。
- 直系の後継モデルが登場する可能性は低く、次世代モデルはEV中心となる見込み。
- 代替候補として、CクラスワゴンやSUVのGLA、GLBが挙げられる。
- BMWやアウディなど、他メーカーの競合車種も魅力的な選択肢となる。
- 生産終了の噂により、中古車市場では希少価値が高まる可能性がある。
- 中古車価格は今後上昇する可能性も考えられるため、購入検討者は注意が必要。
- CLAシューティングブレークの魅力は、唯一無二の美しいデザインにある。
- スタイリッシュな見た目と、高い実用性を両立している点が評価されている。
- メルセデスらしい上質で安定した走りも、多くのファンを惹きつける理由の一つ。
- 今後の動向は不透明だが、その価値と魅力が色褪せることはないだろう。