「総頸動脈」という言葉を聞いたことはありますか?私たちの首にあるこの大切な血管は、脳へ血液を送る生命線であり、健康状態を知る上でも非常に重要な手がかりとなります。しかし、その正確な位置や、なぜそんなに大切なのかを知らない方も少なくないでしょう。
本記事では、総頸動脈が体のどこにあるのか、安全にその拍動を見つける方法、そして私たちの健康にどう関わっているのかを分かりやすく解説します。日々の健康管理に役立つ情報もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
総頸動脈はどこにある?正確な位置と自分で見つける方法

総頸動脈は、私たちの体の中でも特に重要な血管の一つです。心臓から送り出された血液を脳や顔に運ぶ大動脈から分岐し、首の左右に一本ずつ存在しています。その位置を正確に理解することは、緊急時の対応や日々の健康チェックにも役立ちます。
首の側面、胸鎖乳突筋の内側がポイント
総頸動脈は、首の側面を縦に走っています。具体的には、首を左右に回したときに浮き出る「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」という太い筋肉の内側に位置しています。
この筋肉は、耳の後ろから鎖骨と胸骨にかけて斜めに伸びている筋肉です。気管や食道の外側を通り、甲状軟骨(いわゆる「のど仏」)の上縁あたりで、さらに内頸動脈と外頸動脈に分かれます。
右側の総頸動脈は腕頭動脈から分岐し、左側の総頸動脈は大動脈弓から直接分岐しているのが特徴です。
安全に総頸動脈の拍動を触れるコツ
総頸動脈の拍動は、比較的簡単に自分で感じることができます。脈拍を確認する際は、まず首の付け根あたり、のど仏の少し外側に指を当ててみましょう。人差し指と中指、または親指の腹を使い、優しく触れるのがコツです。
強く押しすぎると、血圧を感知する「頸動脈洞」という部分が刺激され、徐脈や低血圧を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
また、両側の総頸動脈を同時に強く圧迫することは、脳への血流が一時的に途絶える危険があるため、絶対に避けてください。片側ずつ、そっと触れて拍動を確認するようにしましょう。脈拍のリズムや強さを感じることで、自分の心臓が元気に動いていることを実感できます。
総頸動脈の重要な役割と健康状態を知る手がかり

総頸動脈は、単に脈拍を触れることができる場所というだけでなく、私たちの生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。また、この血管の状態を調べることで、全身の健康状態、特に動脈硬化の進行度を知る大切な手がかりにもなります。
脳や顔に血液を送る生命維持の要
総頸動脈の最も重要な役割は、心臓から送り出された酸素と栄養に富んだ血液を、脳や顔、首の組織に供給することです。
脳は全身の臓器の中でも特に多くの酸素と栄養を必要とするため、総頸動脈が正常に機能することは、脳の働きを維持する上で不可欠です。左右の総頸動脈は、それぞれ内頸動脈と外頸動脈に分岐し、内頸動脈は主に脳へ、外頸動脈は顔面や頭皮へと血液を供給しています。
この血管が何らかの原因で狭くなったり詰まったりすると、脳への血流が不足し、脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす可能性があります。そのため、総頸動脈の健康は、私たちの生命と直結していると言えるでしょう。
なぜ総頸動脈が健康チェックに役立つのか
総頸動脈は、体の表面に近い位置にあるため、超音波検査(頸動脈エコー)で簡単に観察できるという特徴があります。
この検査では、血管の壁の厚さや、動脈硬化によってできる「プラーク」と呼ばれる沈着物の有無、血管の詰まり具合などを確認できます。
頸動脈の動脈硬化は、全身の動脈硬化の進行度を反映すると言われており、心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスクを予測する上で非常に有用な情報となります。 自覚症状がない段階でも動脈硬化の兆候を発見できるため、早期に生活習慣の改善や適切な治療を開始するきっかけにもなります。 このように、総頸動脈は私たちの健康状態を映し出す鏡のような存在なのです。
総頸動脈に関するよくある質問

総頸動脈について、多くの方が抱く疑問にお答えします。
- 頸動脈エコー検査とはどんな検査ですか?
- 頸動脈硬化とはどのような状態ですか?
- 頸動脈を強く押すとどうなりますか?
- 急変時に頸動脈で脈を確認するのはなぜですか?
- 頸動脈ドックはどんな人が受けるべきですか?
- 総頸動脈と内頸動脈、外頸動脈の違いは何ですか?
頸動脈エコー検査とはどんな検査ですか?
頸動脈エコー検査は、超音波を使って首の頸動脈の状態を画像で確認する検査です。
痛みや被曝の心配がなく、ベッドに仰向けに寝た状態で首にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる装置を当てるだけで行われます。 この検査では、血管の壁の厚さ(IMT)、動脈硬化によるプラークの有無やその状態、血管の狭窄度、血流の速さなどを調べることができます。 脳に血液を送る重要な血管である頸動脈の動脈硬化の程度を評価することで、将来の脳梗塞や心筋梗塞のリスクを予測するのに役立ちます。
頸動脈硬化とはどのような状態ですか?
頸動脈硬化とは、動脈の壁にコレステロールなどの脂質がたまり、血管が厚くなったり硬くなったりする状態を指します。
この厚くなった部分や沈着物が「プラーク」と呼ばれ、血管の内腔を狭くしたり、プラークの一部が剥がれて血流に乗って脳の血管を詰まらせたりすることで、脳梗塞を引き起こす原因となります。 高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満などの生活習慣病が動脈硬化を進行させる主な要因です。 頸動脈硬化は自覚症状がないまま進行することが多いため、「沈黙の殺人者」とも呼ばれています。
頸動脈を強く押すとどうなりますか?
頸動脈の分岐部には「頸動脈洞」と呼ばれる部分があり、ここには血圧を感知するセンサー(圧受容器)が存在します。この頸動脈洞を強く圧迫すると、「頸動脈洞反射」が起こり、心拍数が減少したり、血圧が低下したりすることがあります。
場合によっては、めまいや失神を引き起こす危険性もあるため、頸動脈を強く押すことは避けるべきです。脈拍を確認する際は、必ず優しく、片側ずつ触れるようにしましょう。
急変時に頸動脈で脈を確認するのはなぜですか?
急変時や意識がない人の脈拍を確認する際、頸動脈が選ばれるのは、血圧が低い状態でも比較的触れやすい動脈だからです。
一般的に、手首の橈骨動脈(とうこつどうみゃく)は収縮期血圧が80mmHg以上ないと触れにくいとされていますが、頸動脈は60mmHg程度の低い血圧でも拍動を感じられることが多いです。 したがって、患者さんの血圧が極めて低い状況を想定して、最も確実に脈拍を確認できる場所として頸動脈が用いられます。
頸動脈ドックはどんな人が受けるべきですか?
頸動脈ドックは、頸動脈エコー検査を中心に、動脈硬化の有無や進行度を調べる健康診断です。特に、以下のような方は頸動脈ドックの受診をおすすめします。
- 高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病がある方
- 喫煙習慣がある方
- 肥満気味の方
- 家族に脳梗塞や心筋梗塞の既往がある方
- 年齢が40歳以上の方(特に男性)
- 健康診断で動脈硬化の兆候を指摘された方
これらの危険因子を持っている方は、自覚症状がなくても動脈硬化が進行している可能性があるため、早期発見と予防のために定期的な検査が重要です。
総頸動脈と内頸動脈、外頸動脈の違いは何ですか?
総頸動脈は、心臓から首を上行する太い血管で、左右に一本ずつあります。この総頸動脈は、のど仏の高さあたりで二つの主要な枝に分かれます。それが内頸動脈と外頸動脈です。
- 内頸動脈:主に脳へ血液を供給する血管です。頭蓋内に入り、脳の大部分を栄養しています。
- 外頸動脈:主に顔面、頭皮、首の筋肉など、頭蓋の外側の組織へ血液を供給する血管です。
このように、総頸動脈は脳と顔面の両方に血液を送るための「幹線道路」のような役割を果たし、途中でそれぞれの目的地へ向かう「支線」に分かれていると考えると分かりやすいでしょう。
まとめ
- 総頸動脈は首の左右に一本ずつある重要な血管です。
- 心臓から脳や顔に血液を送る役割を担っています。
- 首を回したときに浮き出る胸鎖乳突筋の内側に位置します。
- 自分で拍動を触れる際は、優しく片側ずつ確認しましょう。
- 強く押すと血圧低下や徐脈を引き起こす可能性があります。
- 頸動脈エコー検査で動脈硬化の有無や進行度を調べられます。
- 頸動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めます。
- 高血圧、脂質異常症、糖尿病などが動脈硬化の要因です。
- 自覚症状がないまま進行することが多いため注意が必要です。
- 急変時には血圧が低くても触れやすい頸動脈で脈を確認します。
- 頸動脈ドックは生活習慣病のある方や40歳以上の方におすすめです。
- 総頸動脈は内頸動脈と外頸動脈に分岐します。
- 内頸動脈は脳へ、外頸動脈は顔面や頭皮へ血液を送ります。
- 総頸動脈の健康は全身の健康状態を映し出す鏡です。
- 定期的な健康チェックで早期発見・早期対策が大切です。
