誰かの挑戦を応援したいとき、言葉だけでは伝えきれない気持ちを「激励金」という形で届けることがあります。スポーツ大会や受験、発表会など、大切な場面を迎える相手に対して、励ましの思いを金銭でそっと添える、それが激励金の役割です。しかし、金額をただ包めば良いというわけではありません。封筒の選び方、表書きの言葉、お札の向き、そして渡すタイミングなど、気をつけるべきマナーやルールがいくつも存在します。
場合によっては、知らず知らずのうちに失礼になってしまうこともあります。本記事では、激励金を渡す際に押さえておきたい基本マナーや実践的なポイントをわかりやすく解説します。初めて激励金を贈る方でも安心して準備ができるよう、ぜひ参考にしてください。
激励金とは?その意味と渡す場面

激励金とは、誰かを応援したいという気持ちを金銭という形で表したものです。主にスポーツ大会や受験、演奏会、コンテスト、資格試験など、大きな挑戦や試練に臨む人に対して贈られます。金額の大小にかかわらず、「頑張ってほしい」「応援している」という励ましの気持ちが最も重要であり、金銭の額面よりもその背景にある心遣いが相手に深く響くものです。
激励金が持つ意味
激励金は、単なる金銭的な支援にとどまらず、贈る側の応援の気持ちを形にする大切な手段です。選手や出場者の士気を高めるだけでなく、遠征費や宿泊費、必要な備品購入のための資金としても活用されることが多く、大会参加を支援する大切な役割を持ちます。 経済的援助と応援の気持ちを同時に伝える特別な贈り物と言えるでしょう。
贈る側にとっても、努力してきた相手を励ます機会であり、「応援しているよ」というメッセージを形にする方法でもあります。
激励金を渡す主な場面
激励金は、さまざまな場面で活用されます。例えば、スポーツ大会やコンクール、発表会、受験や資格試験、転勤や異動の激励、選挙活動の支援、仕事のプロジェクトや繁忙期の「陣中見舞い」などが挙げられます。 大会や発表会などの「出発前」や「出場前」に渡すのが一般的です。 これは、選手が遠征や準備の計画を立てる際に資金を有効活用できるためです。
大会後に成果を讃える意味で贈る場合もありますが、本来の目的は「これから頑張る相手を励ますこと」にあります。
激励金封筒の選び方:失礼のない種類とは

激励金を包む際に使用する封筒は、真剣な気持ちを相手にしっかりと伝えるためにも、その選び方に細心の注意を払う必要があります。金額や相手との関係性に応じて封筒を選ぶことで、より丁寧で品のある印象を与えることができます。
基本は「白無地の封筒」
激励金は、お祝い金とは異なるため、一般的には無地の白封筒が最適とされています。 これは、過度に華美な装飾を避け、純粋な応援の気持ちを伝えるのにふさわしいからです。特に、社内での激励や、目上の方に贈る場合など、フォーマルな場面ではシンプルな白無地の封筒が好まれます。 郵便番号欄がないものを選ぶと、より丁寧な印象になります。
祝儀袋を使う場合の注意点
激励金に祝儀袋を使用する場合は、水引の種類に注意が必要です。結婚祝いなどで使われる「結び切り」は「一度きり」の意味合いが強く、激励金には不向きです。 何度繰り返しても良いお祝い事に使われる「蝶結び(花結び)」の水引を選びましょう。 紅白の蝶結びは、スポーツや学問の分野での継続的な挑戦や活躍を願う意味を持つため、何度でも成功を祈る場面にふさわしいとされています。
ただし、カジュアルな場面や少額の場合は、水引が印刷されたタイプでも問題ありません。
水引と熨斗(のし)の有無
水引は、贈り物の目的や気持ちを表す大切な意味が込められています。 激励金では、紅白の蝶結びが最も一般的です。 のし(熨斗)は、おめでたいお祝い事に用いるもので、お見舞いや不祝儀にはのしのない袋を使います。 激励金は「これから頑張る相手を励ますこと」が目的のため、のし付きの祝儀袋を使用しても問題ありませんが、シンプルな白封筒に「激励金」と表書きをするのが無難です。
迷った場合は、水引が印刷された簡素な祝儀袋か、白無地の封筒を選ぶと良いでしょう。
激励金封筒の書き方:表書きと中袋のポイント

封筒を選んだら、次は「表書き」の書き方です。表書きは、贈る目的や相手への敬意を表す部分であり、正しく記載することが大切です。言葉選びや文字の書き方ひとつで印象が変わるため、丁寧に準備することが求められます。
表書き(上書き)の書き方
封筒の表書きには、贈る場面にふさわしい言葉を選ぶことが求められます。代表的なものとして、「激励金」「御激励」「祈必勝」「祈合格」「祈御活躍」などがあります。 これらの言葉は、相手に対する期待と励ましの気持ちを表すもので、特にスポーツ大会やコンクール、試験などに臨む人にふさわしい表現です。 目上の方に贈る場合は「御祝」や「御礼」を使用すると丁寧な印象になります。
表書きの言葉は、感情を込めて丁寧に書くことが大切で、筆ペンまたは毛筆を使って落ち着いた文字で記載するのが理想です。 中央上部に大きめの文字で表書きを記し、その下に贈り主の名前を添えるのが基本的なレイアウトです。
差出人名の書き方
表書きの下には、贈り主の名前をフルネームで書くのが基本です。 個人で渡す場合は一名分の名前を中央に書きます。複数人でまとめて渡す場合は、代表者名を中央に記載し、その左下に「他一同」などと添えるのが一般的です。 裏面に全員の名前を書き添えると、より親切な印象を与えられます。 会社や団体として贈る場合は、会社名や団体名を明記し、代表者名を添えるようにしましょう。
中袋の書き方と入れ方
封筒に中袋がある場合は、中袋の表面中央に「金○○円」と記入します。正式な書き方では、金額を旧字体で書くのが一般的です。たとえば「金伍千円」「金壱萬円」「金伍萬円也」といった表記が用いられます。 また、改ざん防止のため、金額の前後に「金」「也(なり)」を付けるのが望ましいとされています。 中袋の裏面には、贈り主の住所と氏名を左下に丁寧に記載しましょう。
お札は折らずにそのまままっすぐの状態で封入するのが基本です。シワや折り目がついたものは避け、できれば新札を使用するのが望ましいとされています。 封筒を開けたときに、相手がすぐにお札の表面(肖像画)が見えるように、肖像画が上側にくるように入れるのがマナーです。
筆記具の選び方
表書きや中袋の記載には、毛筆や筆ペンを使用するのが正式なマナーです。濃い黒が出るものを選びましょう。 薄墨の筆ペンは、お悔やみの場で使用されるものとされているため、お祝いの場や激励金には使用を避けるのがマナーです。 ボールペンやマジックは、カジュアルすぎる印象を与えてしまうため、避けるのが無難です。 丁寧に書くことで、相手への敬意が伝わります。
激励金を渡す際のマナーと注意点

どんなに気持ちを込めていても、渡し方を誤ると印象が損なわれてしまうため、細やかなマナーを確認しておくことが大切です。 渡すタイミングや言葉遣いにも配慮し、相手に気持ちよく受け取ってもらえるように心がけましょう。
渡すタイミングと場所
激励金は、相手が本番を迎える前に渡すのが一般的です。具体的には、スポーツの大会や発表会、試験や資格取得に向けた出発の直前などが適しています。 タイミングとしては、当日の朝や前日が最もよいとされ、あまりにも早すぎると緊張感や気持ちがまだ高まっていない可能性がありますし、遅すぎると相手が忙しく対応できないこともあるため注意が必要です。
渡す場所は、相手の準備や移動の時間を邪魔しないように、数分の声がけとともにさっと手渡しするのが理想的です。 チームや団体での支援の場合は、代表者を通じてまとめて渡す方法もスムーズです。
渡し方の言葉遣い
激励金を渡す際には、相手への敬意と応援の気持ちが伝わる言葉を選ぶことが大切です。目上の人やフォーマルな場面で激励金を贈る際は、「応援しております」「御健闘をお祈りいたします」「ささやかではございますが、お役立ていただければ幸いです」といった丁寧で思いやりのある言葉を選ぶと安心です。 これらの表現は、相手への敬意を保ちながらも、謙虚な気持ちを丁寧に伝えることができます。
短いメッセージでも応援の気持ちが伝わりやすくなるため、一言添えることをおすすめします。
避けるべき行動
激励金を渡す際に避けるべき行動がいくつかあります。まず、人前で大々的に渡すのは避けましょう。相手に気を遣わせたり、周囲に不必要な注目を集めたりする可能性があります。 また、お札をむき出しで渡したり、しわくちゃのお札を渡したりするのも失礼にあたります。 新札を用意し、丁寧に封筒に包んで渡すのがマナーです。
さらに、渡す際に「これで頑張って」といった上から目線の言葉や、金額に言及するような言葉は避け、あくまで応援の気持ちを伝えることに徹しましょう。
金一封や寸志との違い

激励金と似た言葉に「金一封」や「寸志」がありますが、それぞれ意味合いや使用する場面が異なります。これらの違いを理解し、適切に使い分けることが大切です。
金一封とは
金一封とは、特定の目的を定めず、感謝やねぎらいの気持ちを込めて贈る金銭のことです。例えば、社員の功労を称える際や、イベントの成功を祝う際などに用いられます。金額は様々で、封筒に「金一封」と記載されることが一般的です。激励金が「これから頑張る人への応援」であるのに対し、金一封は「これまでの功績や努力への報い」というニュアンスが強いと言えます。
寸志とは
寸志は、目上の人が目下の人に対して、わずかな気持ちとして贈る金銭を指します。例えば、上司が部下に対して、労いや感謝の気持ちを込めて渡す場合などに使われます。 「寸志」という言葉自体に「わずかな志」という意味が含まれるため、目上の人から目下の人へ贈る際にのみ使用し、目下から目上の人へ贈る場合は失礼にあたるため避けましょう。
その場合は「御礼」や「御祝」などを用いるのが適切です。
激励金との使い分け
激励金は、特定の目標や挑戦に向けて努力している人への「応援」や「励まし」の気持ちを込めて贈るものです。一方、金一封は「功労やねぎらい」、寸志は「目上から目下への心ばかりの気持ち」という違いがあります。贈る相手の立場や状況、そして贈る目的を明確にして、適切な言葉と封筒を選ぶことが重要です。迷った場合は、より汎用性の高い「激励金」や「御祝」を使用するのが無難でしょう。
よくある質問

激励金に関する疑問は多く、特に初めて贈る際には様々な不安があるものです。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
激励金に金額は書くべきですか?
激励金の金額は、中袋の表面中央に「金○○円」と記載するのが一般的です。 表書きには金額を記載せず、中袋にのみ記載することで、より丁寧な印象を与えられます。金額は旧字体で書くのが正式な書き方です。
激励金は誰から誰に渡すものですか?
激励金は、上司から部下、団体から個人、または友人や知人同士など、幅広い関係性で渡されます。 会社や地域団体、学校などが、選手の努力や挑戦を称える意味で贈ることが多いです。 贈る相手の立場や関係性によって、封筒の種類や表書きの言葉遣いを調整することが大切です。
激励金は現金書留で送っても良いですか?
激励金は、できる限り手渡しするのが最も望ましいとされています。 直接会って「頑張ってください」「応援しています」といった言葉を添えることで、金銭以上の気持ちが伝わるからです。 しかし、遠方に住んでいる場合や、どうしても手渡しが難しい場合は、現金書留で送ることも可能です。その際は、一言メッセージを添えると、より気持ちが伝わるでしょう。
激励金のお返しは必要ですか?
激励金は、基本的に「応援の気持ち」であるため、お返しは不要とされています。 感謝の気持ちを伝えることが最も大切です。 大会やイベント後に、結果報告とともにお礼のメッセージを送るだけでも十分でしょう。 ただし、高額な激励金を受け取った場合や、法人からの支援であれば、感謝の意を形にするのも良いマナーです。
激励金は経費になりますか?
激励金が経費になるかどうかは、贈る側の立場や目的によって異なります。企業が従業員や取引先に対して贈る場合は、福利厚生費や交際費として計上されることがあります。 ただし、税法上の取り扱いは複雑な場合があるため、会社の経理担当者や税理士に確認することをおすすめします。
まとめ
- 激励金は、挑戦する人への応援や励ましの気持ちを伝える金銭です。
- 封筒は白無地か、紅白蝶結びの水引が付いた祝儀袋を選びましょう。
- 水引は「蝶結び」を選び、「結び切り」は避けましょう。
- 表書きは「激励金」「御激励」「祈必勝」などが一般的です。
- 目上の方へは「御祝」「御礼」を使うと丁寧です。
- 差出人名はフルネームで、複数人の場合は代表者名と「他一同」と記載します。
- 中袋には旧字体で金額を記入し、裏に住所と氏名を書きましょう。
- お札は新札を用意し、肖像画が上になるように入れます。
- 筆記具は毛筆や筆ペンを使用し、濃い黒で書くのがマナーです。
- 渡すタイミングは、大会や試験の直前が最適です。
- 手渡しが基本ですが、やむを得ない場合は現金書留も可能です。
- 渡す際は、丁寧な言葉遣いで応援の気持ちを伝えましょう。
- 人前で大々的に渡すのは避け、スマートに手渡すのが良いでしょう。
- 金一封は功労やねぎらい、寸志は目上から目下への気持ちを表します。
- 激励金のお返しは基本的に不要ですが、感謝は伝えましょう。
