日頃の感謝や労いの気持ちを伝える慰労金。いざ渡すとなると、封筒の選び方や書き方、渡し方のマナーに悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。失礼なく、気持ちをきちんと伝えるためには、正しい知識が欠かせません。
本記事では、慰労金封筒の表書きから裏書き、お金の入れ方、そして渡す際の言葉遣いまで、細部にわたるマナーを徹底的に解説します。この記事を読めば、自信を持って慰労金を渡せるようになるでしょう。
慰労金とは?基本的な意味と渡す場面

慰労金とは、特定の業務やプロジェクトの完了、長期間の勤務、あるいは災害時など、相手の労苦をねぎらい、感謝の気持ちを表すために支給される金銭です。給与や賞与とは異なり、一時的な性質を持つことが多いのが特徴です。慰労金は、単なる金銭的な報酬ではなく、相手の努力や貢献を認め、心からの感謝を伝える大切な手段となります。
慰労金は、従業員のモチベーション向上や企業へのエンゲージメント強化にもつながるため、企業にとっても重要な役割を果たします。また、役員退職慰労金のように、役員の退任時に長年の功績をねぎらう目的で支給されるものもあります。
慰労金の意味と目的
慰労金は、文字通り「労を慰める」という意味を持ち、相手の苦労や努力をねぎらい、感謝の意を示す目的で贈られます。例えば、困難なプロジェクトを成功させたチームへの感謝、長期間にわたる勤務への敬意、災害時における従業員の心身の負担への配慮など、その目的は多岐にわたります。慰労金は、受け取る側にとって、自身の働きが認められたと感じる機会となり、今後の業務への意欲を高めることにもつながります。
慰労金を渡す主なケース
慰労金が渡される場面は様々です。例えば、企業が従業員に対して、特別なプロジェクトの達成時や、長年の勤続を称える退職時などに支給することがあります。特に、退職金規定がないパート従業員や契約社員が退職する際に、感謝の気持ちとして慰労金が支給されるケースも増えています。
また、新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金のように、社会的に困難な状況下で尽力した人々に対して、国や自治体から特別に支給されることもありました。 このように、慰労金は、個人の努力や社会貢献を評価し、ねぎらうための幅広い場面で活用されています。
慰労金を入れる封筒の選び方

慰労金を渡す際には、適切な封筒を選ぶことが大切です。封筒の種類一つで、相手に与える印象が大きく変わるため、マナーに沿った選択を心がけましょう。一般的に、慰労金には「のし袋」か「白封筒」が用いられますが、それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けるのが良いでしょう。
また、水引の種類や封筒のサイズ、デザインも、相手への敬意を示す上で重要な要素となります。ここでは、慰労金を入れる封筒の選び方について詳しく解説します。
のし袋と白封筒、どちらを選ぶべきか
慰労金を渡す際、一般的には「のし袋」か「白封筒」のどちらかを選びます。のし袋は、お祝い事や感謝の気持ちを伝える際に用いられることが多く、水引が付いているのが特徴です。一方、白封筒は、よりシンプルで事務的な印象を与えます。
慰労金は感謝の気持ちを表すものであるため、丁寧な印象を与えるのし袋を選ぶのが一般的です。しかし、社内での慣例や、渡す相手との関係性によっては、シンプルな白封筒でも問題ありません。例えば、目下の人へ「寸志」として渡す場合や、少額の慰労金であれば、白無地の封筒でも失礼にはあたらないでしょう。
水引の種類と選び方
のし袋を選ぶ場合、水引の種類にも注意が必要です。水引は、贈答品の目的によって結び方や色が異なります。慰労金の場合、一般的には「紅白の蝶結び」の水引を選びます。蝶結びは「何度あっても嬉しいお祝い事」に使われる結び方で、出産祝いや昇進祝いなどにも用いられます。
一方、「結び切り」は一度きりのお祝い事(結婚祝いなど)や弔事に使用されるため、慰労金には適しません。水引の色は、紅白が一般的ですが、金額が少額の場合や、より控えめにしたい場合は、水引が印刷された略式ののし袋でも良いでしょう。
封筒のサイズとデザイン
封筒のサイズは、中に入れる金額に見合ったものを選びましょう。お札を折らずに入れられるサイズの封筒が一般的です。例えば、長形3号や長形4号の封筒は、お札を三つ折りにして入れるのに適しています。また、お札を折らずに入れたい場合は、ポチ袋よりも一回り大きいサイズの封筒を選びましょう。
デザインについては、派手すぎるものは避け、シンプルで上品なものを選ぶのが無難です。特に、ビジネスシーンで渡す場合は、キャラクターものや過度に装飾された封筒は避けるべきです。無地の白封筒でも、郵便番号欄がないものを選ぶと、より丁寧な印象になります。
慰労金封筒の表書きの書き方

慰労金封筒の表書きは、相手に感謝の気持ちを伝える上で最も重要な部分です。どのような言葉を選ぶか、どのように書くかによって、受け取る側の印象が大きく変わります。ここでは、表書きの基本的な書き方から、状況に応じた言葉の使い分け、筆記具の選び方までを詳しく解説します。
正しい表書きで、あなたの心遣いをしっかりと伝えましょう。
上段の書き方:「御慰労」「寸志」などの使い分け
封筒の上段には、贈る目的を示す表書きを記載します。慰労金の場合、一般的には「御慰労」と書くのが適切です。これは、相手の労をねぎらうという意味が込められた丁寧な表現です。
ただし、目下の人に対して心ばかりの気持ちを贈る場合は「寸志」と書くこともあります。 「寸志」は謙譲語であり、目上の人が目下の人に使う言葉なので、目上の人に「寸志」と書かれた封筒を渡すのはマナー違反となるため注意が必要です。
その他、「御礼」や「薄謝」といった表現も使えますが、慰労の意を明確にしたい場合は「御慰労」が最も適しています。
下段の書き方:氏名や会社名の記載方法
封筒の下段には、慰労金を贈る側の氏名や会社名を記載します。個人で贈る場合は、中央にフルネームを書きましょう。会社として贈る場合は、中央に会社名を、その右下に代表者名を記載するのが一般的です。部署や団体として贈る場合は、中央に部署名や団体名を書き、その左下に「一同」と添えることもあります。
連名で贈る場合は、目上の方から順に右から左へ氏名を並べます。人数が多い場合は、代表者の氏名を中央に書き、その左に「他〇名」や「外一同」と記載する方法もあります。
薄墨は使うべき?筆記具の選び方
表書きを書く際の筆記具は、毛筆または筆ペンが最も丁寧です。墨の色は、濃い黒色を使用しましょう。弔事の際に用いられる薄墨は、悲しみを表す色なので、慰労金には適しません。
ボールペンや万年筆でもマナー違反ではありませんが、より丁寧な印象を与えるためには、筆ペンがおすすめです。字が細くなりすぎず、きれいに書けるでしょう。 清潔感のある文字で、心を込めて書くことが大切です。
慰労金封筒の裏書きの書き方

慰労金封筒の裏書きは、表書きほど目立つ部分ではありませんが、受け取った側が内容を確認する際に重要な情報となります。特に、経理処理が必要な場合や、後日確認する際に役立つため、正確かつ丁寧に記載することが求められます。ここでは、裏書きにおける金額や住所、氏名の記載方法について解説します。
細かな部分にも気を配り、完璧な封筒に仕上げましょう。
金額の記載方法と注意点
封筒の裏面、または中袋の表面には、中に入れた金額を記載します。金額は、改ざんを防ぐためにも、旧字体(大字)の漢数字で縦書きするのが丁寧な方法です。例えば、「壱(一)」「弐(二)」「参(三)」「萬(万)」などを使用します。
金額の最後に「也」を付けることもありますが、これは10万円以上の高額な場合に用いられることが多いです。例えば、「金壱萬円也」のように記載します。 中袋がない場合は、封筒の裏面左下に金額を記載しましょう。
住所・氏名の記載方法
中袋がある場合は、裏面の左下に住所と氏名を記載します。住所は都道府県から正確に書き、氏名はフルネームで記載しましょう。複数人で贈る場合は、代表者の住所と氏名のみを記載し、表書きと同様に「他〇名」と添えるのが一般的です。
中袋がない場合は、封筒の裏面左下に、金額の右横に住所、その右横に氏名を縦書きで記載します。 誰からの慰労金であるかを明確にするためにも、忘れずに記載するようにしましょう。
慰労金の渡し方マナーと注意点
慰労金は、ただ封筒に入れて渡せば良いというものではありません。渡し方一つで、感謝の気持ちがより伝わるかどうかが決まります。お札の準備から、手渡しする際の言葉遣い、そして渡すタイミングまで、細やかな配慮が求められます。ここでは、慰労金を渡す際のマナーと、特に注意すべき点について詳しく解説します。
相手への敬意を忘れず、気持ちの良いやり取りを心がけましょう。
お金を包む際のポイント(新札、折り方)
慰労金は、できるだけ新札を用意するのがマナーです。新札には「この日のために準備しました」という丁寧な気持ちが込められています。銀行の窓口や両替機で入手できますので、事前に準備しておきましょう。
お札を封筒に入れる際は、複数枚ある場合は全てのお札の向きを揃え、肖像画が封筒の表側、上向きになるように入れます。 封筒を開けたときに、お札の肖像画が最初に見えるように入れるのが礼儀です。中袋に入れる場合も同様に、中袋の表側にお札の肖像画が来るように入れましょう。
手渡しする際の言葉遣いとタイミング
慰労金を手渡しする際は、感謝や労いの言葉を添えることが大切です。例えば、「皆様のこれまでのご尽力に心ばかりですが、お納めください」「大変お疲れ様でした。ささやかですが、皆様の労をねぎらいたく存じます」といった言葉が適切です。
渡すタイミングは、業務やプロジェクトが完了した直後や、退職時など、慰労の意を伝えるのにふさわしい時期を選びましょう。 相手が忙しい時間帯や、人目が多い場所は避け、落ち着いて話せる場所で渡すのが望ましいです。また、袱紗(ふくさ)に包んで渡すと、より丁寧な印象を与えられます。
渡す相手別のマナー(従業員、取引先など)
慰労金を渡す相手によって、マナーや言葉遣いを使い分けることが重要です。
- 従業員へ渡す場合:日頃の感謝や具体的な業務への労いを伝えましょう。特に、役員退職慰労金の場合は、株主総会の決議が必要となるなど、法的な手続きも伴うことがあります。
- 取引先へ渡す場合:「御礼」や「薄謝」といった表書きを用いることもあります。 相手の会社の方針や慣例を事前に確認しておくと安心です。
- 目上の人へ渡す場合:「寸志」は目下の人に使う言葉なので避け、「御慰労」や「御礼」を使用しましょう。 謙遜しすぎず、敬意を込めた言葉を選びます。
どのような相手に対しても、感謝の気持ちを丁寧に伝えることが最も大切です。
よくある質問

慰労金に関する疑問は尽きないものです。ここでは、慰労金封筒の書き方や渡し方に関してよく寄せられる質問にお答えします。
- 慰労金と寸志の違いは何ですか?
- 慰労金はいくらくらいが相場ですか?
- 慰労金は現金で渡すべきですか?
- 慰労金に領収書は必要ですか?
- 慰労金は税金がかかりますか?
- 慰労金はいつ渡すのが適切ですか?
- 慰労金は誰に渡すものですか?
- 慰労金はのし袋以外でも良いですか?
- 慰労金の封筒にメッセージは書くべきですか?
- 慰労金は目上の人に渡しても良いですか?
慰労金と寸志の違いは何ですか?
慰労金は、相手の労をねぎらい感謝の気持ちを伝える一般的な金銭です。一方、寸志は「心ばかりの贈り物」という意味合いが強く、主に目上の人が目下の人に対して使う謙譲語です。そのため、目上の人に「寸志」と書かれた封筒を渡すのはマナー違反となります。
慰労金はいくらくらいが相場ですか?
慰労金の相場は、渡す目的や相手との関係性、会社の規定などによって大きく異なります。数千円から数万円、役員退職慰労金の場合は数千万円に及ぶこともあります。 一般的な従業員への慰労金であれば、数千円~3万円程度が目安となることが多いでしょう。
慰労金は現金で渡すべきですか?
慰労金は、基本的に現金で渡すのが一般的です。封筒に入れて手渡しすることで、より丁寧な気持ちが伝わります。ただし、会社によっては銀行振込を推奨している場合もあるため、事前に確認すると良いでしょう。
慰労金に領収書は必要ですか?
会社として慰労金を支給し、経費として計上する場合は、領収書が必要となることがあります。個人間で渡す場合は、必ずしも必要ではありませんが、後々のトラブルを避けるためにも、簡単な受領書を交わすことも検討できます。
慰労金は税金がかかりますか?
慰労金は、原則として課税対象となります。ただし、その性質によっては非課税となる場合もあります。例えば、役員退職慰労金は退職所得として扱われ、分離課税や退職所得控除が適用されるため、税負担が軽減されることがあります。 個別のケースについては、税理士や税務署に確認することをおすすめします。
慰労金はいつ渡すのが適切ですか?
慰労金は、労をねぎらう目的が達成された後、できるだけ早いタイミングで渡すのが適切です。プロジェクト完了時、退職時、年末など、区切りの良い時期を選ぶと良いでしょう。 渡す際は、相手の都合の良い時間帯や場所を選ぶ配慮も大切です。
慰労金は誰に渡すものですか?
慰労金は、従業員、役員、協力会社、ボランティアなど、特定の業務や活動に貢献し、労をねぎらいたい相手に渡すものです。 誰に渡すかによって、表書きや金額の相場、渡し方のマナーが異なる場合があります。
慰労金はのし袋以外でも良いですか?
慰労金は、のし袋で渡すのが最も丁寧ですが、状況によっては白無地の封筒でも問題ありません。特に、社内での慣例や、目下の人への少額の慰労金であれば、シンプルな白封筒でも失礼にはあたらないでしょう。
慰労金の封筒にメッセージは書くべきですか?
慰労金の封筒に直接メッセージを書くことはあまり一般的ではありません。しかし、別途メッセージカードを添えることで、より感謝の気持ちが伝わりやすくなります。手書きのメッセージは、相手に温かい印象を与えるでしょう。
慰労金は目上の人に渡しても良いですか?
慰労金は、目上の人に渡しても問題ありません。ただし、その場合は「寸志」ではなく「御慰労」や「御礼」といった表書きを使用し、相手への敬意を込めた言葉遣いを心がけましょう。
まとめ
- 慰労金は、相手の労をねぎらい感謝を伝える金銭です。
- 封筒は、丁寧なのし袋かシンプルな白封筒を選びましょう。
- のし袋には、紅白の蝶結びの水引が適切です。
- 表書きは「御慰労」が一般的、「寸志」は目下の人へ使います。
- 下段には、氏名や会社名を正確に記載します。
- 筆記具は、濃い黒色の毛筆または筆ペンが丁寧です。
- 裏書きには、金額を旧字体漢数字で、住所・氏名を記載します。
- お金は新札を用意し、肖像画が表側、上向きになるように入れます。
- 渡す際は、感謝の言葉を添え、適切なタイミングを選びましょう。
- 目上の人には「寸志」を使わず、「御慰労」などで渡します。
- 慰労金は原則課税対象ですが、退職所得控除が適用される場合もあります。
- 会社として支給する場合は、領収書が必要になることがあります。
- 相場は状況により様々ですが、数千円から数万円が目安です。
- メッセージカードを添えると、より気持ちが伝わります。
- 渡し方一つで、相手に与える印象が大きく変わります。