絵本作家としてデビューしたい、自分の作品を世に送り出したいと願うあなたへ。絵本公募は、その夢を現実にするための大切な一歩です。しかし、数多くの公募の中からどれを選べば良いのか、どのように応募すれば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
本記事では、おすすめの絵本公募を具体的に紹介し、選ばれる作品を作るためのコツや応募の進め方を徹底的に解説します。あなたの絵本作家としての第一歩を力強く支援できるよう、役立つ情報をお届けします。
絵本公募でデビューを目指すあなたへ!おすすめの公募情報

絵本作家としてデビューする道はいくつかありますが、公募への応募は最も一般的な方法の一つです。公募で入賞すれば、出版社からの出版が約束されたり、賞金が授与されたりするだけでなく、プロの編集者との出会いや、自身の作品が多くの読者の目に触れる機会を得られます。ここでは、主要な絵本公募とその特徴、そして初心者でも安心して応募できる公募の選び方について詳しく見ていきましょう。
主要な絵本公募とその特徴を比較
日本には、歴史と実績のある絵本公募が多数存在します。それぞれの公募には異なる特徴があり、自身の作品や目指す方向性に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、特に注目すべき公募をいくつか紹介します。
- 講談社絵本新人賞
講談社が主催する歴史ある公募新人賞です。幼児・児童を読者対象とした自作未発表の創作絵本作品を募集しています。受賞者には賞状・記念品と副賞として50万円が授与され、講談社より単行本として刊行されます。オリジナリティにあふれ、長く愛される作品を求めているのが特徴です。商業出版の実績が3作以上ある方は応募できません。 - 小学館おひさま大賞
小学館が主催する、絵本雑誌「おひさま」と連動した公募です。主に未就学児から小学校低学年を対象とした作品を募集しており、明るく楽しい作品が評価される傾向にあります。入賞作品は「おひさま」誌面での掲載や単行本化の可能性があります。 - MOE絵本グランプリ
白泉社の絵本雑誌「MOE」が主催する公募で、本格的な一冊の絵本を念頭に、MOEや絵本界で活躍できる「プロ」の才能を広く募集しています。詳しい応募方法はMOE本誌で確認できます。 - 日産童話と絵本のグランプリ
1984年に創設された、創作童話と絵本のコンテストです。一般財団法人大阪国際児童文学振興財団が主催し、日産自動車が協賛しています。アマチュア作家を対象としており、大賞受賞作品はBL出版より出版されます。子どもの想像力と創造性を育むこと、優れた作品や作家を世に送り出すことを目的としています。 - 文芸社えほん大賞
文芸社が主催するコンテストで、絵本部門とストーリー部門の2部門があります。絵が描けなくてもストーリー部門に応募できる点が特徴です。各部門の大賞受賞作は書籍化され全国出版、賞金50万円が授与されます。 - 書店員が選ぶ絵本新人賞
中央公論新社が主催し、書店員が選考に参加するユニークな公募です。大賞受賞者には賞金50万円と中央公論新社からの書籍刊行が約束されます。一般書店に流通する絵本の商業出版経験がない書き手による作品に限られます。
これらの公募は、それぞれ応募規定や審査の傾向が異なります。自身の作品のテーマや画風、ターゲット層を考慮し、最も適した公募を選ぶことが、デビューへの大切な一歩となるでしょう。
初めての応募でも安心!初心者向けの絵本公募の選び方
絵本公募に初めて挑戦する方は、どの公募を選べば良いか悩むかもしれません。初心者でも安心して応募できる公募を選ぶためのコツをいくつか紹介します。
- 応募しやすい条件とは
応募規定が比較的シンプルで、提出物の準備がしやすい公募を選ぶと良いでしょう。例えば、原画ではなくカラーコピーでの応募が可能な公募や、ページ数に柔軟性がある公募は、初めての方にとって負担が少ない場合があります。また、テーマが自由な公募であれば、自身の得意な題材で作品を制作しやすいです。 - サポート体制が充実している公募
一部の公募では、応募者向けのQ&Aや過去の受賞者インタビューなどを公開しており、応募の参考になる情報を提供しています。また、応募費用が無料の公募や、落選しても作品が返却される公募は、精神的な負担を減らすことにもつながります。例えば、「ビルボ絵本大賞」は参加費無料で、応募作品(コピー)は返却されます。
初めての応募では、まずは「応募すること」自体を目標に、挑戦しやすい公募から始めるのがおすすめです。経験を積むことで、徐々に自身の作品に合った公募を見つけられるようになります。
公募選びで失敗しないための大切なポイント
公募を選ぶ際には、単に賞金や知名度だけでなく、いくつかの重要なポイントを確認することが失敗を避けることにつながります。
- 応募規約の確認
各公募には詳細な応募規約があります。作品のサイズ、ページ数、画材、テキストの配置、応募資格(プロ・アマ問わず、商業出版経験の有無など)、応募期間、提出方法など、細部にわたるまで必ず熟読し、厳守することが大切です。規定外の作品は審査対象外となる場合があります。 - 著作権と出版権について
応募作品の著作権がどうなるのか、入賞した場合の出版権や二次利用権がどう扱われるのかは、公募によって異なります。多くの公募では、著作権は作者に帰属するものの、出版権や二次利用権は主催者側が一定期間有するケースが多いです。応募前にこれらの条件をしっかりと確認し、納得した上で応募しましょう。 - 賞金と副賞の魅力
賞金や副賞は、応募の大きなモチベーションになります。大賞作品の書籍化や、全国の図書館への寄贈など、金銭以外の魅力的な副賞がある公募も多いです。例えば、「日産童話と絵本のグランプリ」の大賞作品は出版され、全国の公立図書館などにも寄贈されます。
これらのポイントを事前に確認することで、応募後のトラブルを防ぎ、安心して作品作りに集中できます。自身の作品がどのように扱われるかを理解しておくことは、絵本作家としての活動を続ける上で非常に重要です。
絵本公募で選ばれる作品を作るための具体的なコツ

絵本公募で入賞を果たすためには、ただ絵が上手なだけ、物語が面白いだけでは不十分です。審査員の心を掴み、読者に長く愛される作品を作るためには、いくつかの具体的なコツがあります。ここでは、魅力的なストーリー作り、絵の表現方法、そして応募原稿の準備について詳しく解説します。
読者の心を掴むストーリーの作り方
絵本のストーリーは、読者の心に深く響くための土台となります。特に子ども向けの絵本では、分かりやすさの中に深いメッセージや感動を込めることが求められます。
- テーマ設定とメッセージ性
絵本のテーマは、作品全体の方向性を決定する重要な要素です。子どもたちが共感できる身近なテーマや、普遍的なメッセージ(友情、勇気、家族の愛など)を選ぶと良いでしょう。伝えたいメッセージを明確にし、それが物語全体を通して一貫しているかを確認することが大切です。読者に何を伝えたいのかを意識してテーマを選びましょう。 - 魅力的なキャラクターの生み出し方
絵本のキャラクターは、読者が物語に入り込むための大切な存在です。子どもたちが親しみを感じ、感情移入できるような魅力的なキャラクターを創造しましょう。キャラクターの個性や性格、行動原理を具体的に設定し、物語の中でどのように成長していくのかを描くことで、読者の心に残る作品になります。 - 構成と展開の工夫
絵本の構成は、起承転結を意識し、読者が飽きずに読み進められるように工夫することが重要です。特に絵本はページ数が限られているため、無駄のない展開と、読者の想像力を掻き立てるような余白も大切です。クライマックスに向けて物語を盛り上げ、心温まる結末や、読後に考えさせるような余韻を残すことで、作品の質を高められます。
審査員に響く絵の表現方法
絵本において、絵は物語と同じくらい、あるいはそれ以上に大切な要素です。視覚的な魅力は、読者の興味を引きつけ、物語の世界観を豊かにします。
- 画材とタッチの選び方
絵本の画材やタッチは、作品の雰囲気や世界観を大きく左右します。水彩の優しい色合い、油絵の力強い表現、デジタルイラストの鮮やかさなど、自身の作品に最も合った画材を選びましょう。また、キャラクターや背景のタッチも、物語の感情を伝える上で重要です。一貫性のある画風で、作品の個性を際立たせることが大切です。 - 色彩と構図のバランス
色彩は、絵本の感情表現に欠かせません。明るい色で楽しさを、落ち着いた色で穏やかさを表現するなど、物語の内容に合わせて色彩計画を立てましょう。また、構図は、読者の視線を誘導し、物語の重要な場面を印象づける役割を果たします。絵と文字のバランスを考慮し、見開き全体で魅力的な画面を作り出すことが求められます。 - 絵と物語の調和
絵本は、絵と物語が一体となって初めて完成するものです。絵が物語を補完し、物語が絵に深みを与えるような、相互に作用し合う関係を目指しましょう。絵だけで伝わる情報と、文字で語られる情報をバランス良く配置し、読者が想像力を膨らませながら読み進められるような作品が理想的です。絵と文の連携が、作品の魅力を最大限に引き出します。
応募原稿を魅力的に見せる準備
どんなに素晴らしい作品でも、応募原稿の準備が不十分だと、その魅力が審査員に伝わりにくくなってしまいます。細部まで気を配り、丁寧に準備することが大切です。
- 読みやすさを意識したレイアウト
応募原稿は、審査員がスムーズに読み進められるようなレイアウトを心がけましょう。文字の大きさやフォント、行間、絵と文字の配置など、全体的なバランスが重要です。特に絵本は、ページをめくるごとに物語が展開するため、各見開きの構成が読みやすさに大きく影響します。視覚的な快適さを意識してレイアウトを調整しましょう。 - 誤字脱字の徹底チェック
誤字脱字は、作品の完成度を大きく損ねてしまいます。何度も読み返し、可能であれば第三者にも確認してもらうなどして、徹底的にチェックしましょう。特にタイトルやキャラクター名、重要なセリフなど、作品の印象を左右する部分には細心の注意を払う必要があります。 - アピールポイントの明確化
応募用紙や企画書には、作品のコンセプトやアピールポイントを簡潔かつ魅力的に記述しましょう。この作品で何を伝えたいのか、どんな読者に届けたいのか、他の作品にはない独自の魅力は何かを明確にすることで、審査員の興味を引きつけられます。作品の「顔」となる部分なので、力を入れて作成しましょう。
絵本公募の応募から結果発表までの進め方と心構え

絵本公募への応募は、作品を完成させるだけでなく、その後の手続きや結果を待つ期間も大切なプロセスです。ここでは、応募前の最終確認から、結果発表までの心構え、そして次のステップへとつながる考え方について解説します。
応募前の最終確認事項と提出方法
作品が完成し、いよいよ応募という段階になったら、最終的な確認を怠らないことが重要です。些細なミスが、せっかくのチャンスを逃すことにもつながりかねません。
- 規定サイズの厳守
応募する公募の規定サイズを再度確認し、作品がそのサイズに合っているかを厳守しましょう。見開きサイズや片側1ページサイズ、塗り足しの有無など、細かな指定がある場合が多いです。原画ではなくコピーでの応募が求められる場合、コピーの質も重要になります。例えば、「ビルボ絵本大賞」では原画ではなくコピーでの応募が必須で、B4以下、B6以上のサイズ規定があります。 - 必要書類の準備
応募票やプロフィール、作品のコンセプトシートなど、公募によって提出を求められる書類は異なります。これらの書類に漏れがないか、記入事項に間違いがないかを最終確認しましょう。特に、連絡先情報は正確に記載することが大切です。 - オンライン応募と郵送応募
応募方法には、オンラインでのデータ提出と、郵送での現物提出の2種類があります。それぞれの方法で必要な準備が異なりますので、公募の指示に従いましょう。郵送の場合は、作品が破損しないよう丁寧に梱包し、締め切りに間に合うよう余裕を持って発送することが重要です。オンライン応募の場合も、指定されたファイル形式やデータサイズを守りましょう。
これらの確認を徹底することで、安心して応募を完了できます。応募規定を遵守することは、作品に対する真摯な姿勢を示すことにもつながります。
応募後の過ごし方と次の作品作りへの意欲
応募を終えたら、結果を待つ期間に入ります。この期間の過ごし方や、結果に対する心構えは、今後の創作活動に大きく影響します。
- 結果を待つ間の時間の使い方
結果を待つ間は、不安や期待が入り混じるものです。しかし、その感情に囚われすぎず、次の作品のアイデアを練ったり、絵本の勉強を続けたりと、前向きな活動に時間を使いましょう。他の絵本を読んだり、美術館を訪れたりして、新たなインスピレーションを得るのも良い方法です。 - 落選しても諦めない気持ち
残念ながら落選してしまった場合でも、その経験を次に活かすことが大切です。落選は、あなたの作品が劣っているということではなく、その公募の審査基準やタイミングに合わなかっただけかもしれません。多くの絵本作家が、何度も公募に挑戦し、落選を経験しながらデビューを掴んでいます。諦めずに挑戦し続けることが、夢を叶えるための大切な姿勢です。
公募への挑戦は、自身の作品を客観的に見つめ直し、成長するための貴重な機会です。結果がどうであれ、その経験を糧にして、次の作品作りへと意欲をつなげていきましょう。
よくある質問

絵本公募に挑戦する際、多くの人が抱く疑問や不安があります。ここでは、絵本公募に関するよくある質問とその回答をまとめました。
- 絵本公募に年齢制限はありますか?
- 複数作品を同時に応募しても良いですか?
- 絵本公募の応募費用はかかりますか?
- 落選した場合、応募作品は返却されますか?
- 出版社への持ち込みと絵本公募、どちらが良いですか?
- 絵本作家になるには独学でもなれますか?
- 絵本作家の始め方は?
絵本公募に年齢制限はありますか?
多くの絵本公募では、年齢制限を設けていません。プロ・アマ問わず、幅広い年齢層の応募を受け付けている場合がほとんどです。ただし、一部の公募では「新人限定」や「商業出版経験がない方」といった応募資格が設けられていることもありますので、応募要項をよく確認することが大切です。年齢に関わらず、絵本作家を目指す気持ちがあれば誰でも挑戦できます。
複数作品を同時に応募しても良いですか?
公募によって異なります。複数の作品を同時に応募できる公募もあれば、一人一点のみと定めている公募もあります。また、同じ作品を複数の公募に同時に応募する「重複応募」は、多くの公募で禁止されています。応募規約をしっかりと確認し、ルールに従って応募しましょう。例えば、「講談社絵本新人賞」では重複応募は避けるように明記されています。
「あたらしい創作絵本大賞」では複数作品の応募は可能ですが、二重応募は禁止されています。
絵本公募の応募費用はかかりますか?
応募費用は公募によって様々です。無料で応募できる公募もあれば、数千円程度の応募料が必要な公募もあります。応募費用以外にも、作品のコピー代や郵送費など、応募にかかる諸経費は応募者の負担となることが一般的です。応募前に、必要な費用を確認し、準備しておきましょう。例えば、「ビルボ絵本大賞」は参加費無料です。
「講談社絵本新人賞」は応募料2500円が必要です。
落選した場合、応募作品は返却されますか?
これも公募によって対応が異なります。多くの公募では、一次選考で提出されたカラーコピーやプリントアウトは返却されないことが多いです。しかし、二次選考以降で原画を提出した場合や、返却を希望する旨を明記した場合に限り、返却されるケースもあります。返却の有無や方法についても、応募規約で確認が必要です。「ビルボ絵本大賞」では応募作品(コピー)は返却されますが、海外からの応募は返送されません。
「講談社絵本新人賞」では一次選考用のカラーコピーは返却されず、二次選考以降の原画は返却されます。
出版社への持ち込みと絵本公募、どちらが良いですか?
どちらの方法も絵本作家としてデビューするための有効な手段であり、それぞれにメリットとデメリットがあります。公募は、多くの作品の中から選ばれることで、客観的な評価と出版のチャンスを得られます。一方、出版社への持ち込みは、編集者と直接コミュニケーションを取り、作品について具体的なアドバイスをもらえる可能性があります。
独学で絵本作家を目指す場合、公募は実力を試す良い機会となります。 自身の作品や状況に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
絵本作家になるには独学でもなれますか?
はい、独学で絵本作家を目指すことは十分に可能です。美術系の学校に通わず、自身の力で絵本作家としてデビューした人も多くいます。近年では、インターネットやSNSの普及により、作品を発表する場が多様化しており、独学でスキルを磨きながら作品を世に出す機会が増えています。 重要なのは、継続的な学習と創作への情熱です。
絵本作家の始め方は?
絵本作家を始めるには、まず「どんな絵本を作りたいか」というイメージを具体的に膨らませることが大切です。テーマやキャラクター、ストーリーを考え、自身の強みや個性を活かしたオリジナルな作品を目指しましょう。その後、プロットやストーリーを作成し、原画の制作に取りかかります。完成した作品は、絵本公募に応募したり、出版社に持ち込んだり、SNSで発表したりするなど、様々な方法で世に送り出すことができます。
まずは一歩を踏み出すことが、絵本作家への道を開きます。
まとめ
- 絵本公募は、絵本作家デビューへの大切な方法の一つです。
- 講談社絵本新人賞や日産童話と絵本のグランプリなど、主要な公募があります。
- 公募選びでは、応募規約や著作権、出版権の確認が重要です。
- 初心者向けには、応募条件がシンプルでサポート体制が充実した公募がおすすめです。
- 魅力的なストーリー作りには、テーマ設定とキャラクター、構成の工夫が欠かせません。
- 絵の表現では、画材や色彩、構図、そして絵と物語の調和が大切です。
- 応募原稿は、読みやすいレイアウトと誤字脱字のチェックを徹底しましょう。
- 作品のアピールポイントを明確に伝えることも選ばれるコツです。
- 応募前には、規定サイズの厳守と必要書類の準備を忘れずに行いましょう。
- 落選しても諦めず、次の作品作りへと意欲をつなげることが重要です。
- 絵本公募に年齢制限はほとんどありません。
- 複数作品の同時応募や重複応募は、公募の規定を確認しましょう。
- 応募費用は公募によって異なり、諸経費も考慮が必要です。
- 落選作品の返却の有無も公募によって異なるため、確認が必要です。
- 独学で絵本作家を目指すことも十分に可能です。
- 絵本作家の始め方は、まず作りたい絵本のイメージを具体化することです。
