妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわり、生活習慣の変化などにより、体にさまざまな不調が現れやすくなります。目の不調もその一つで、ドライアイや目の疲れ、かすみ目などに悩まされる方も少なくありません。しかし、お腹の赤ちゃんへの影響を考えると、市販の目薬を安易に使うのはためらわれるものです。
本記事では、妊娠中に起こりやすい目のトラブルの原因と、妊婦さんが市販の目薬を選ぶ際の安全なコツを詳しく解説します。また、目薬以外の目のケア方法や、眼科を受診すべき症状についてもご紹介します。安心して快適なマタニティライフを送るために、ぜひ参考にしてください。
妊娠中に起こりやすい目の変化とトラブル

妊娠中は、女性の体が大きく変化する時期であり、目の状態にも影響が出ることが少なくありません。特に、ホルモンバランスの変動は目の健康に深く関わっています。妊娠によって女性ホルモンの分泌が増えることで、涙の質や量が変わったり、目のピント調節機能に影響が出たりすることがあります。これにより、これまで経験したことのない目の不調を感じる妊婦さんもいるでしょう。
目の不調は、日常生活の質を低下させるだけでなく、精神的なストレスにもつながるため、適切なケアが大切です。
ホルモンバランスの変化による目の不調
妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が大きく変動します。このホルモンバランスの変化は、涙の分泌量や成分に影響を与え、目の表面を保護する涙液層の安定性を低下させる可能性があります。結果として、目が乾きやすくなったり、異物感を感じやすくなったりすることがあります。また、ホルモンの影響で角膜の厚みやカーブが変わることもあり、視力の変化やコンタクトレンズの不快感につながる場合もあるでしょう。
これらの変化は一時的なものであることが多いですが、不快な症状が続く場合は適切な対処が求められます。
ドライアイや目の疲れの悪化
ホルモンバランスの変化に加え、妊娠中は貧血気味になりやすいことや、睡眠不足、ストレスなども重なり、目の疲れやドライアイが悪化することがあります。特に、スマートフォンやパソコンを長時間使用する機会が多い現代の生活では、目の負担はさらに大きくなりがちです。目が乾くと、かすみ目や目の痛み、充血などの症状が現れ、集中力の低下にもつながる可能性があります。
コンタクトレンズの不快感や視力変化
妊娠中のホルモン変化は、角膜の水分量や厚みにも影響を与えるため、これまで問題なく使えていたコンタクトレンズが合わなくなることがあります。レンズが目に張り付くような感覚や、ゴロゴロとした異物感、乾燥感が増すといった不快な症状が出やすくなるでしょう。また、一時的に近視が進んだり、遠視になったりするなど、視力が変化するケースも報告されています。
このような場合は、無理にコンタクトレンズを装用し続けず、眼鏡に切り替えるなどして目を休ませることも重要です。
妊婦さんが市販目薬を選ぶ際の重要なコツ

妊娠中に目の不調を感じた際、市販の目薬を使いたいと考える方も多いでしょう。しかし、お腹の赤ちゃんへの影響を考えると、どのような目薬を選べば良いのか不安になるものです。市販の目薬を選ぶ際には、いくつかの重要なコツがあります。特に、目薬に含まれる成分に注意を払い、できるだけ安全性の高いものを選ぶことが大切です。
不安な場合は、必ずかかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談するようにしましょう。
防腐剤フリーの目薬を選ぶ
市販の目薬には、製品の品質を保つために防腐剤が配合されているものが多くあります。しかし、防腐剤は目の表面に負担をかけ、ドライアイを悪化させたり、アレルギー反応を引き起こしたりする可能性が指摘されています。特に、妊娠中は体が敏感になっているため、防腐剤フリーの目薬を選ぶのがおすすめです。防腐剤フリーの目薬は、使い切りタイプのものや、特殊な容器で防腐効果を保つタイプなどがあります。
血管収縮剤(充血除去成分)が含まれていないか確認する
目の充血を抑える効果のある血管収縮剤(ナファゾリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリンなど)は、一時的に充血を改善しますが、長期的に使用するとかえって充血が悪化する「リバウンド現象」を引き起こすことがあります。また、血管収縮剤は全身に吸収されると、血圧上昇などの影響を与える可能性もゼロではありません。妊娠中は、できるだけ血管収縮剤が配合されていない目薬を選ぶようにしましょう。
ステロイド成分や抗ヒスタミン成分に注意する
アレルギー性結膜炎や炎症を抑える目的で使われる目薬には、ステロイド成分や抗ヒスタミン成分が配合されているものがあります。これらの成分は、内服薬に比べて全身への吸収は少ないとされていますが、妊娠中の使用については慎重な判断が必要です。特に、プラノプロフェンという成分を含む一部の市販目薬には、「妊娠中や授乳中は使わないこと」と記載されている場合があります。
アレルギー症状がひどい場合は、自己判断で市販薬を使用せず、必ず眼科医や産婦人科医に相談し、適切な処方薬を検討してもらいましょう。
人工涙液タイプや涙に近い成分の目薬がおすすめ
妊娠中の目の乾燥や疲れには、人工涙液タイプの目薬が最もおすすめです。人工涙液は、涙に近い成分でできており、目の潤いを補給し、乾燥による不快感を和らげる効果があります。防腐剤が配合されていない製品も多く、安心して使用しやすいでしょう。また、目の新陳代謝を促すビタミンB群や、角膜保護成分などが配合された目薬も、成分に注意して選べば目の疲れの緩和に役立つことがあります。
妊婦さんにおすすめの市販目薬のタイプ

妊娠中に目の不調を感じた際、市販の目薬を選ぶことは可能ですが、その種類と成分には細心の注意を払う必要があります。特に、お腹の赤ちゃんへの影響を最小限に抑えるためには、特定のタイプの目薬を選ぶことが重要です。ここでは、妊婦さんが比較的安心して使用できると考えられる市販目薬のタイプをご紹介します。
ただし、どの目薬を使用するにしても、必ず事前にかかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談し、指示に従うことが最も大切です。
人工涙液タイプの目薬
人工涙液タイプの目薬は、目の乾燥や疲れを感じる妊婦さんにとって、最も選択肢として考えやすいものです。これは、人間の涙に近い成分で構成されており、不足した涙を補うことで目の表面を潤し、不快感を和らげることを目的としています。多くの人工涙液は、防腐剤フリーの使い切りタイプも豊富にあり、目の刺激を最小限に抑えたい場合に特に適しています。
目の乾燥によるゴロゴロ感やかすみ目には、まず人工涙液を試してみるのが良いでしょう。
防腐剤フリーの目薬
防腐剤は、目薬の品質を保つために一般的に使用されますが、敏感な目の粘膜に刺激を与えたり、アレルギー反応を引き起こしたりする可能性があります。妊娠中は体がデリケートになっているため、防腐剤フリーの目薬を選ぶことが、目の負担を減らす上で非常に重要です。防腐剤フリーの目薬は、使い切りタイプや、特殊なフィルターで雑菌の混入を防ぐ容器を採用している製品があります。
これらの製品は、開封後の使用期限が短い場合があるため、使用上の注意をよく確認しましょう。
目の疲れを和らげる成分配合の目薬(ただし成分に注意)
目の疲れがひどい場合、ビタミンB群(ビタミンB12、B6など)やタウリンといった、目の新陳代謝を促したり、ピント調節機能を助けたりする成分が配合された目薬を検討することもあるでしょう。これらの成分は、一般的に安全性が高いとされていますが、妊娠中の使用については念のため、かかりつけ医や薬剤師に相談するのが賢明です。
特に、血管収縮剤やステロイド成分、強い清涼感のある成分が含まれていないか、必ずパッケージや添付文書で確認するようにしてください。
目薬以外の妊娠中の目のケア方法

妊娠中の目の不調は、目薬だけに頼らず、日常生活の中でできるケアを取り入れることで、症状を和らげることが可能です。体への負担を考慮し、できるだけ自然な方法で目を労わることが大切です。日々のちょっとした工夫が、目の快適さを保つことにつながります。
十分な休息と睡眠をとる
目の疲れの大きな原因の一つは、体の疲労や睡眠不足です。妊娠中は、つわりや体の変化により、これまで以上に疲れを感じやすくなります。意識的に休息をとり、十分な睡眠時間を確保することが、目の回復には不可欠です。横になって目を閉じるだけでも、目の筋肉の緊張が和らぎ、疲れが軽減されるでしょう。
目を温める・冷やすケア
目の疲れや血行不良には、温めるケアが効果的です。温かいタオルや市販のホットアイマスクを目の上に乗せて数分間温めると、目の周りの血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれてリラックスできます。 一方、目の炎症やかゆみが強い場合は、冷たいタオルで冷やすと一時的に症状が和らぐことがあります。ただし、冷やしすぎは避け、症状に合わせて使い分けることが大切です。
部屋の湿度を適切に保つ
空気が乾燥していると、目の表面から涙が蒸発しやすくなり、ドライアイが悪化します。特にエアコンを使用する季節や乾燥しやすい冬場は、加湿器などを活用して部屋の湿度を適切に保つよう心がけましょう。適度な湿度は、目の乾燥を防ぎ、不快感を軽減する助けとなります。
目の使い方を見直す
スマートフォンやパソコンの長時間使用は、目の疲れを増大させる大きな要因です。意識的に休憩を挟み、遠くを見るなどして目のピント調節機能を休ませるようにしましょう。また、画面を見る際は、目と画面の距離を適切に保ち、まばたきの回数を増やすことも大切です。目の使いすぎに注意し、定期的に目を休ませる習慣をつけることが、目の健康維持には欠かせません。
こんな目の症状が出たらすぐに眼科を受診しましょう

妊娠中の目の不調は、多くの場合、一時的なものや軽度なものですが、中には専門的な治療が必要な目の病気が隠れている可能性もあります。自己判断で市販薬を使い続けたり、症状を放置したりすることは避け、以下のような症状が現れた場合は、速やかに眼科を受診することが重要です。お腹の赤ちゃんのためにも、ご自身の目の健康を守るためにも、早めの受診を心がけましょう。
- 目の痛みが強い、または悪化している
- 急激な視力低下や視野の変化がある
- ものが二重に見える、かすみがひどい
- 目の充血がひどく、目やにが多い
- まぶたが腫れる、かゆみが強いなど、アレルギー症状が改善しない
- 光が異常にまぶしく感じる
- 目の奥に強い痛みや頭痛を伴う
- コンタクトレンズの装用が困難になるほどの不快感がある
これらの症状は、結膜炎や角膜炎、緑内障、網膜剥離などの目の病気のサインである可能性があります。妊娠中は、免疫力の低下により目の感染症にかかりやすくなることもあります。眼科を受診する際は、必ず妊娠中であることを医師に伝え、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。必要に応じて、産婦人科医との連携も重要になります。
よくある質問

- 妊娠中に使ってはいけない目薬はありますか?
- 妊婦は目薬をさしても大丈夫ですか?
- 妊娠中に目の充血がひどいのですが、どうすればいいですか?
- 妊娠中にドライアイが悪化する原因は何ですか?
- 妊娠中に使える市販の目薬はありますか?
- 妊娠中にアレルギー目薬は使えますか?
- 妊娠中にコンタクト用目薬は使えますか?
- 妊娠中に目薬を使うと赤ちゃんに影響はありますか?
妊娠中に使ってはいけない目薬はありますか?
妊娠中に使ってはいけない目薬は、血管収縮剤(充血除去成分)やステロイド成分、一部の抗ヒスタミン成分、そしてプラノプロフェンという成分を含む目薬です。これらの成分は、全身に吸収されると胎児に影響を与える可能性が指摘されています。特に、添付文書に「妊娠中または妊娠している可能性のある女性は使用しないこと」と記載されているものは避けるべきです。
妊婦は目薬をさしても大丈夫ですか?
はい、妊婦さんでも目薬をさすことは可能です。目薬は内服薬に比べて全身への吸収量が非常に少ないため、赤ちゃんに直接影響を与える可能性は低いと考えられています。 しかし、完全に安全性が証明されているわけではないため、使用する際は防腐剤フリーの人工涙液タイプを選ぶなど、成分に注意し、必要最小限の使用にとどめることが大切です。
不安な場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
妊娠中に目の充血がひどいのですが、どうすればいいですか?
妊娠中の目の充血は、ホルモンバランスの変化や目の疲れが原因で起こることがあります。充血がひどい場合は、まず十分な休息をとり、目を温めるケアを試してみましょう。市販の目薬を選ぶ際は、血管収縮剤(充血除去成分)が含まれていない人工涙液タイプや、防腐剤フリーの製品を選ぶのがおすすめです。 症状が改善しない場合や、痛み、目やになど他の症状を伴う場合は、眼科を受診してください。
妊娠中にドライアイが悪化する原因は何ですか?
妊娠中にドライアイが悪化する主な原因は、ホルモンバランスの変化です。女性ホルモンの変動により、涙の分泌量や質が変化し、涙液層が不安定になることがあります。 また、妊娠による体の疲労、睡眠不足、ストレス、貧血などもドライアイを悪化させる要因となります。コンタクトレンズを使用している場合は、レンズの不快感が増すこともあります。
妊娠中に使える市販の目薬はありますか?
はい、妊娠中でも使える市販の目薬はあります。具体的には、防腐剤フリーの人工涙液タイプの目薬が比較的安心して使用できるでしょう。 また、涙に近い成分で目の潤いを補給する目薬もおすすめです。ただし、血管収縮剤やステロイド成分、一部の抗ヒスタミン成分が含まれていないか、必ず成分表示を確認し、不安な場合は医師や薬剤師に相談してから使用してください。
妊娠中にアレルギー目薬は使えますか?
妊娠中にアレルギー目薬を使用する際は、慎重な判断が必要です。一部のアレルギー目薬に含まれる抗ヒスタミン成分や、炎症を抑えるプラノプロフェンなどの成分は、妊娠中の使用について注意が必要とされています。 花粉症などで目のアレルギー症状がひどい場合は、自己判断で市販のアレルギー目薬を使用せず、必ず眼科医や産婦人科医に相談し、妊娠中でも安全に使用できる処方薬を検討してもらいましょう。
妊娠中にコンタクト用目薬は使えますか?
妊娠中にコンタクト用目薬を使用する際は、防腐剤フリーの人工涙液タイプを選ぶのがおすすめです。コンタクトレンズを装着したまま使用できるタイプでも、血管収縮剤やステロイド成分、強い清涼感のある成分が含まれていないか、必ず確認しましょう。 妊娠中は角膜の状態が変化しやすいため、コンタクトレンズの装用自体が不快に感じることもあります。
無理せず、眼鏡に切り替えることも検討してください。
妊娠中に目薬を使うと赤ちゃんに影響はありますか?
目薬は内服薬に比べて全身への吸収量が非常に微量であるため、赤ちゃんに直接的な影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。 しかし、完全に影響がないとは言い切れないため、使用する目薬の成分には十分注意が必要です。特に妊娠初期の器官形成期には、より慎重な対応が求められます。 必ず医師や薬剤師に相談し、指示された用法・用量を守って使用することが大切です。
まとめ
- 妊娠中はホルモンバランスの変化で目の不調が起こりやすい。
- ドライアイや目の疲れ、コンタクトレンズの不快感が増すことがある。
- 市販目薬を選ぶ際は、防腐剤フリーを選ぶのがコツ。
- 血管収縮剤(充血除去成分)が含まれる目薬は避けるべき。
- ステロイド成分や一部の抗ヒスタミン成分にも注意が必要。
- 人工涙液タイプや涙に近い成分の目薬が比較的おすすめ。
- 目薬以外のケアとして、十分な休息と睡眠が大切。
- 目を温めるケアや部屋の湿度調整も効果的。
- スマートフォンの使いすぎに注意し、目の使い方を見直す。
- 目の痛みが強い、視力低下など異常があれば眼科受診を。
- 眼科受診時は必ず妊娠中であることを医師に伝える。
- アレルギー目薬は医師や薬剤師に相談して選ぶ。
- コンタクト用目薬も防腐剤フリーの人工涙液タイプが安心。
- 目薬の成分が赤ちゃんに与える影響は微量だが、慎重な選択を。
- 不安な場合は、かかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談する。
