毎月の生理期間中、なんだか体がだるい、めまいがする、立ちくらみがひどいと感じることはありませんか?それは、もしかしたら「生理中のヘモグロビン数値の低下」が原因かもしれません。女性の体は生理によって毎月鉄分を失うため、貧血になりやすい傾向にあります。本記事では、生理中にヘモグロビン数値が低下する理由から、貧血のサイン、そして日々の生活でできる具体的な改善策まで、詳しく解説します。
あなたの体の不調を理解し、健やかな毎日を送るための手助けとなるでしょう。
生理中のヘモグロビン数値とは?なぜ低下するのか
生理中に感じる体の不調は、ヘモグロビン数値の低下と深く関係していることがあります。ここでは、ヘモグロビンが私たちの体でどのような役割を担っているのか、そしてなぜ生理中にその数値が下がりやすいのかを詳しく見ていきましょう。
ヘモグロビンとは?その重要な役割
ヘモグロビン(Hb)は、血液中の赤血球に含まれる赤い色素タンパク質です。このヘモグロビンは、肺で酸素と結合し、その酸素を全身の組織や臓器に運ぶという非常に重要な役割を担っています。また、組織で発生した二酸化炭素を肺に運び出す働きも持っています。ヘモグロビンは「ヘム」という鉄を含む物質と「グロビン」というタンパク質が結合してできており、血液が赤く見えるのはこのヘモグロビンの色によるものです。
鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作られなくなり、全身が酸素不足の状態に陥ってしまいます。
生理中にヘモグロビン数値が低下する主な理由
女性が男性に比べて貧血になりやすいのは、主に生理があるためです。生理中は経血として血液が体外に排出されるため、それに伴って体内の鉄分も失われます。通常、健康な女性であれば生理による出血量(約25~60ml)で貧血になることは少ないとされていますが、無理なダイエットや偏食などで元々鉄分が不足している場合、この程度の出血でも貧血を引き起こすことがあります。
特に経血量が多い「過多月経」の場合や、生理期間が長い場合は、毎月多くの鉄分が失われ、鉄欠乏性貧血になる可能性が高まります。また、妊娠中や授乳中の女性も、胎児や赤ちゃんに鉄分が優先的に供給されるため、貧血になりやすい状態です。
生理中の貧血で現れる症状と正常なヘモグロビン数値の目安

生理中に貧血になると、さまざまな体のサインが現れます。これらのサインを見逃さず、自分の体の状態を正しく理解することが大切です。ここでは、貧血の具体的な症状と、女性にとっての正常なヘモグロビン数値の目安について解説します。
見逃さないで!生理中の貧血が示す体のサイン
貧血の主な症状としては、疲れやすさ、全身のだるさ、めまい、立ちくらみ、頭痛、動悸、息切れなどが挙げられます。これらの症状は、ヘモグロビンが低下し、全身に十分な酸素が行き渡らなくなることで起こります。特に、慢性的に貧血が進行している場合、体がその状態に慣れてしまい、自覚症状が少ないことも少なくありません。
しかし、貧血が重度になると、爪が薄く平坦になる、割れやすくなる「匙状爪(さじじょうづめ)」、口角炎、舌炎、肌荒れ、抜け毛、味覚異常などの外見の変化や、集中力の低下、目覚めの悪さといった症状も現れることがあります。これらのサインに気づいたら、貧血の可能性を疑い、適切な対処を考えることが重要です。
女性のヘモグロビン数値の正常範囲と貧血の基準
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が基準値以下になった状態を指します。ヘモグロビン濃度は、1dL(デシリットル)あたりのヘモグロビン重量(g)で示され、血液検査で確認できます。成人女性の場合、ヘモグロビンが12g/dL未満で貧血と診断されることが一般的です。ただし、妊娠中の女性は血液の液体成分が増えるため、10.5~11g/dL未満が貧血の目安となることがあります。
これらの基準値はあくまで目安であり、個人差があるため、普段の数値と比較して急激な減少が見られる場合は、基準値内であっても貧血状態が疑われることもあります。特にヘモグロビンが7~8g/dLを下回るような重度の貧血は、早急な検査や対応が必要になります。定期的な健康診断や血液検査で、自分のヘモグロビン数値を把握しておくことが、貧血の早期発見につながります。
生理中のヘモグロビン数値改善のための具体的な対策

生理中のヘモグロビン数値の低下による貧血は、日々の生活習慣や食生活を見直すことで改善が期待できます。ここでは、食事からの鉄分摂取、サプリメントの選び方、そして日常生活で取り入れられる貧血予防のコツについて具体的に解説します。
食事から鉄分を効率よく摂取する方法
貧血対策の基本は、食事から鉄分をしっかり摂ることです。鉄分には、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀類、海藻類などに多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は吸収率が高い特徴があり、非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が低いですが、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂ることで吸収率を高めることができます。
積極的に摂りたい食材としては、以下のものが挙げられます。
- ヘム鉄が豊富な食材:レバー(豚、鶏)、赤身肉(牛肉、マグロ、カツオ)、あさり、しじみ、いわしなど
- 非ヘム鉄が豊富な食材:ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品(納豆、豆腐)、プルーン、切り干し大根など
鉄分の吸収を助ける栄養素も意識しましょう。ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を促進する働きがあります。緑黄色野菜や果物(ブロッコリー、パプリカ、いちご、グレープフルーツなど)を積極的に摂りましょう。また、タンパク質もヘモグロビンの材料となるため、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などをバランス良く摂取することが大切です。
食事の際には、鉄分の吸収を妨げるタンニンを含む濃い緑茶やコーヒー、紅茶は、食中や食後すぐは控えるのがおすすめです。
鉄分補給におすすめのサプリメントの選び方
食事だけでは十分に鉄分を補給できない場合や、忙しい毎日で食事が偏りがちな場合は、サプリメントの活用も有効な方法です。サプリメントを選ぶ際には、以下のポイントを参考にしましょう。
- 鉄分の種類:吸収率の高い「ヘム鉄」配合のサプリメントがおすすめです。非ヘム鉄でも、ビタミンCや葉酸、ビタミンB12など、鉄分の吸収や赤血球の生成を助ける成分が一緒に配合されているものを選ぶと良いでしょう。
- 配合成分:葉酸やビタミンB群(B6、B12)、ビタミンCは、赤血球の生成や鉄分の吸収に不可欠な栄養素です。これらの成分がバランス良く配合されているものを選ぶと、より効果的な貧血対策につながります。
- 安全性と続けやすさ:添加物の有無や、GMP認証(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)を取得しているかなども確認すると安心です。また、毎日無理なく続けられる価格帯や粒の大きさ、飲みやすさも重要な選択基準となります。
サプリメントはあくまで栄養補助食品であり、過剰摂取は体に負担をかける可能性もあります。推奨量を守り、持病がある場合や妊娠中の場合は、事前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
日常生活でできる貧血予防のコツ
日々のちょっとした心がけも、貧血予防には欠かせません。以下のようなコツを取り入れて、健やかな体を維持しましょう。
- 体を冷やさない:体が冷えると血行が悪くなり、貧血の症状が悪化することがあります。温かい飲み物を摂る、腹巻きをする、湯船に浸かるなどして体を温めることを意識しましょう。
- 適度な運動:軽い運動は血行促進につながり、全身への酸素供給を助けます。無理のない範囲でウォーキングやストレッチなどを取り入れてみましょう。
- 十分な睡眠と休息:疲労やストレスは自律神経の乱れを引き起こし、貧血の症状を悪化させる可能性があります。質の良い睡眠を確保し、心身を休ませる時間を大切にしましょう。
- バランスの取れた食事:鉄分だけでなく、タンパク質、ビタミンC、葉酸、ビタミンB12など、造血に必要な栄養素をバランス良く摂ることが重要です。ファストフードやスナック菓子に偏った食生活は避け、多様な食材を取り入れるよう心がけましょう。
- カフェインの摂取に注意:カフェインには血管収縮作用があるため、生理中はコーヒーや紅茶の飲み過ぎに注意が必要です。ノンカフェインの飲み物を選ぶなど、工夫してみましょう。
これらの対策を日常生活に取り入れることで、生理中のヘモグロビン数値の低下による不調を軽減し、より快適に過ごせるようになるでしょう。
こんな症状が出たら病院へ!医療機関を受診する目安

貧血の症状は、日常生活に大きな影響を与えることがあります。自己判断で対処するだけでなく、時には専門医の診察を受けることが重要です。ここでは、医療機関を受診すべき目安と、貧血の検査や治療の進め方について解説します。
自己判断は危険!専門医に相談すべきケース
貧血の症状が強く、日常生活に支障をきたす場合は、早めに医療機関を受診しましょう。特に以下のような症状が見られる場合は、専門医の診察が必要です。
- めまいや立ちくらみが頻繁に起こり、意識を失いそうになる
- 動悸や息切れがひどく、少しの動作でも苦しくなる
- 強い疲労感や倦怠感が続き、休息しても改善しない
- 顔色が著しく悪い、まぶたの裏が白い
- 爪の変形(匙状爪など)や口角炎、舌炎が治らない
- 経血量が異常に多い(過多月経)と感じる、生理期間が10日以上続く
- 生理以外の期間でも貧血症状が続く
貧血は、単なる鉄分不足だけでなく、子宮筋腫や子宮内膜症、消化器系の疾患(胃潰瘍、大腸がんなど)といった病気が原因で起こることもあります。これらの病気は早期発見・早期治療が重要ですので、「貧血くらい」と軽く考えずに、専門医の診断を受けることが大切です。
貧血の検査と治療の進め方
貧血の症状で医療機関を受診した場合、まずは問診と血液検査が行われます。血液検査では、ヘモグロビン濃度だけでなく、赤血球数、ヘマトクリット値、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、フェリチン(貯蔵鉄)などの数値も測定し、貧血の種類や原因を特定します。
貧血の原因が鉄欠乏性貧血と診断された場合、治療の基本は鉄剤の服用です。鉄剤は数ヶ月間服用を続けることで、体内の鉄分を補給し、ヘモグロビン数値を改善していきます。鉄剤には吐き気などの副作用が出ることがありますが、その場合は医師に相談し、点滴での投与や他の種類の鉄剤を検討することも可能です。また、食事指導も行われ、鉄分を効率よく摂取するためのアドバイスが受けられます。
もし、貧血の原因が婦人科系の疾患や消化器系の疾患など、他の病気によるものであれば、その病気の治療が優先されます。例えば、過多月経が原因の場合は、低用量ピルなどで月経をコントロールすることで貧血を予防できることがあります。貧血はさまざまな病気のサインである可能性もあるため、自己判断せずに、医師の指示に従って適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
よくある質問

生理中のヘモグロビン数値に関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。
- 生理中のヘモグロビンが低いとどうなりますか?
- 生理中の貧血はどれくらいで治りますか?
- ヘモグロビンを増やすにはどうしたらいいですか?
- 生理中の貧血で倒れることはありますか?
- 生理中の貧血で何科に行けばいいですか?
- ヘモグロビンが低いとどんな症状が出ますか?
- 貧血の時に食べてはいけないものはありますか?
- 貧血の人が避けるべき飲み物はありますか?
- ヘモグロビンが10を切るとどうなりますか?
- 生理で貧血になるのは普通ですか?
生理中のヘモグロビンが低いとどうなりますか?
生理中にヘモグロビンが低いと、全身に十分な酸素が行き渡らなくなり、疲れやすさ、だるさ、めまい、立ちくらみ、頭痛、動悸、息切れなどの症状が現れます。重度になると、集中力の低下や、爪が薄くなる、口角炎などの症状が出ることもあります。
生理中の貧血はどれくらいで治りますか?
生理中の貧血が鉄欠乏性貧血である場合、鉄剤の服用や食事改善によって数ヶ月でヘモグロビン数値が改善されることが一般的です。ただし、原因や貧血の程度によって期間は異なります。
ヘモグロビンを増やすにはどうしたらいいですか?
ヘモグロビンを増やすには、鉄分を豊富に含む食事を摂ることが最も重要です。特にヘム鉄(肉、魚)と非ヘム鉄(野菜、海藻)をバランス良く摂取し、ビタミンCやタンパク質と一緒に摂ることで吸収率を高めましょう。必要に応じて鉄分サプリメントの活用も検討できます。
生理中の貧血で倒れることはありますか?
生理中の貧血が重度になると、めまいや立ちくらみがひどくなり、意識を失って倒れる可能性があります。特に急激な出血があった場合や、元々貧血が進行している場合は注意が必要です。
生理中の貧血で何科に行けばいいですか?
生理中の貧血が疑われる場合は、まず内科を受診するのが一般的です。生理と関係している場合は、産婦人科でも診察を受けられます。原因が分からない場合や、他の症状もある場合は、内科で相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらうと良いでしょう。
ヘモグロビンが低いとどんな症状が出ますか?
ヘモグロビンが低いと、疲労感、倦怠感、めまい、立ちくらみ、頭痛、動悸、息切れ、顔色の悪さ、爪の異常(匙状爪)、口角炎、舌炎、集中力の低下などの症状が現れます。
貧血の時に食べてはいけないものはありますか?
貧血の時に「食べてはいけない」と厳密に決められたものはありませんが、鉄分の吸収を妨げる可能性のある食品や、体を冷やす食品は控えるのがおすすめです。具体的には、タンニンを多く含む濃い緑茶、コーヒー、紅茶は食中・食後すぐは避け、ファストフードやスナック菓子などの栄養バランスが偏る食事も注意しましょう。
貧血の人が避けるべき飲み物はありますか?
貧血の人が避けるべき飲み物としては、鉄分の吸収を妨げるタンニンを多く含む濃い緑茶、コーヒー、紅茶が挙げられます。また、体を冷やす冷たい飲み物も、血行不良を招く可能性があるため、生理中は特に温かい飲み物を選ぶことをおすすめします。
ヘモグロビンが10を切るとどうなりますか?
ヘモグロビンが10g/dLを切ると、貧血の症状がより顕著になる傾向があります。強い疲労感、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなどが日常生活に影響を及ぼしやすくなります。さらに数値が下がると、心不全の症状が現れるなど、重篤な状態になる可能性もあるため、早急な医療機関の受診が必要です。
生理で貧血になるのは普通ですか?
生理がある女性は、毎月の出血によって鉄分を失うため、男性に比べて貧血になりやすい傾向にあります。しかし、貧血の症状がひどい場合や、ヘモグロビン数値が基準値を大きく下回る場合は、単なる生理によるものだけでなく、他の原因が隠れている可能性もあります。そのため、「普通だから」と放置せずに、体のサインに注意を払い、必要であれば医療機関を受診することが大切です。
まとめ
- 生理中のヘモグロビン数値の低下は、女性に多い貧血の主な原因です。
- ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。
- 生理による出血で鉄分が失われることが、ヘモグロビン低下の主な理由です。
- 貧血の症状には、だるさ、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなどがあります。
- 成人女性のヘモグロビン正常値は12g/dL以上が目安です。
- 食事からヘム鉄と非ヘム鉄をバランス良く摂取することが大切です。
- ビタミンCやタンパク質は鉄分の吸収率を高める助けになります。
- 鉄分サプリメントは、食事で補いきれない場合の有効な選択肢です。
- 体を冷やさない、十分な睡眠、適度な運動も貧血予防に役立ちます。
- 強い貧血症状や長引く場合は、内科や産婦人科を受診しましょう。
- 貧血は子宮筋腫などの病気が原因の可能性もあります。
- ヘモグロビンが10g/dLを切る場合は、早急な受診が必要です。
- タンニンを多く含む飲み物は、鉄分の吸収を妨げる可能性があります。
- サプリメントは用法・用量を守り、医師に相談して使用しましょう。
- 自分の体のサインに耳を傾け、早めの対処が健康維持のコツです。
