ネクタイピンは、ビジネスシーンやフォーマルな場面で男性の胸元を彩る大切なアクセサリーです。しかし、「どこに止めるのが正解なの?」「どんな種類を選べばいいの?」と悩む方も少なくありません。ネクタイピンは単なる装飾品ではなく、ネクタイの乱れを防ぎ、清潔感を保つという実用的な役割も持っています。正しい位置に着用することで、スーツスタイル全体が引き締まり、洗練された印象を与えられます。
本記事では、ネクタイピンを止める正しい位置から、シーンに合わせた選び方、さらにおしゃれに見せるためのコツまで、詳しく解説します。これを読めば、あなたもネクタイピンを自信を持って使いこなし、ワンランク上の着こなしを楽しめるようになるでしょう。
ネクタイピンを止める正しい位置の基本

ネクタイピンを着用する上で最も大切なのは、その位置です。正しい位置に止めることで、ネクタイピン本来の役割を果たし、見た目も美しく整います。ここでは、ネクタイピンの基本的な止め方について詳しく見ていきましょう。
シャツの第3ボタンと第4ボタンの間が理想的な位置
ネクタイピンを止める位置は、一般的にワイシャツの第3ボタンと第4ボタンの間が理想的とされています。この高さにネクタイピンを付けると、ジャケットを羽織った際にVゾーンのバランスが整い、ネクタイピンがジャケットの第一ボタンより少し上にのぞく形になり、コーディネート全体にまとまりが生まれます。
また、ネクタイピンは地面と平行になるようにまっすぐ付けるのが基本です。 これにより、見る人にきっちりとした印象を与えられます。位置が高すぎると古風な印象を与えたり、逆に低すぎるとだらしない印象になったりするため、この目安を意識することが大切です。
ネクタイとシャツを一緒に挟むのが正しい付け方
ネクタイピンの役割は、ネクタイがブラブラするのを防ぎ、見た目をスマートに保つことです。この役割を十分に果たすためには、ネクタイの大剣(幅の広い方)と小剣(幅の狭い方)だけでなく、ワイシャツ本体も一緒に挟んでしっかりと固定するのが鉄則です。 大剣と小剣だけを挟んでしまうと、ネクタイがシャツに固定されず、結局ネクタイ全体が揺れてしまう可能性があります。
シャツに固定することで、ネクタイが動いて書類などに擦れたり、食事中に汚れたりするのを防ぐ効果も期待できます。 また、男性のワイシャツは左側が上になるため、ネクタイピンは右から左へ挿すのが一般的です。
ネクタイピンの長さの選び方と種類

ネクタイピンは、その長さや種類によって印象が大きく変わります。自分のネクタイや着用シーンに合ったものを選ぶことで、より洗練されたスタイルを演出できます。ここでは、ネクタイピンの選び方について解説します。
ネクタイの幅に合わせた長さの選び方
ネクタイピンを選ぶ際、最も重要なのが長さです。一般的に、ネクタイの幅に対して約3/4程度の長さのネクタイピンを選ぶと、バランスよくまとまると言われています。 標準的なネクタイピンの長さは5~6cm程度が主流です。 ネクタイの幅からはみ出すような長すぎるネクタイピンは、見た目のバランスが悪くなるだけでなく、ビジネスシーンでは悪目立ちする可能性もあるため避けましょう。
逆に短すぎるネクタイピンもアンバランスに見えることがあります。細身のナロータイにはショートタイプのネクタイピンが相性が良く、現代的でスタイリッシュな雰囲気を演出できます。 クラシックな印象を好む場合は、やや長めのものを選ぶのも良いでしょう。
タイバーとタイタック:ネクタイピンの主な種類
ネクタイピンにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や適したシーンが異なります。主な種類は以下の通りです。
- タイバー(タイクリップ、ワニ口式): 最も一般的なタイプで、バネの力でネクタイとシャツを挟んで固定します。 汎用性が高く、ビジネスシーンからフォーマルシーンまで幅広く対応できるため、初心者にもおすすめです。
- タイバー(クリップ式): バネを使わず、金属のクリップ力で挟むタイプです。 シンプルなデザインが多く、どんなネクタイにも合わせやすいのが魅力です。
- タイタック(スティックピン): ピンをネクタイに刺し、裏から留め具で固定するタイプです。 装飾性が高く、宝石などが付いた華やかなデザインが多いため、結婚式やパーティーシーンに適しています。 ただし、ネクタイに穴が開くため、デリケートな素材のネクタイには注意が必要です。
- タイチェーン: チェーンでネクタイを留め、シャツのボタンに引っ掛けて固定するタイプです。 ネックレスのような華やかな印象を与えるため、パーティーシーンなど、より装飾性を求める場面で活躍します。
これらの種類の中から、着用するネクタイの素材や厚み、そしてシーンに合わせて最適なものを選ぶことが、おしゃれに見せるための大切なコツです。
ネクタイピンを付ける際のマナーと避けるべきNGな付け方

ネクタイピンは、ビジネスやフォーマルな場で着用するアクセサリーだからこそ、マナーを守って正しく身につけることが重要です。ここでは、好印象を与えるマナーと、避けるべきNGな付け方について解説します。
ビジネスシーンで好印象を与えるマナー
ビジネスシーンでネクタイピンを着用する際は、以下の点を意識すると好印象を与えられます。
- 正しい位置に水平に留める: 前述の通り、シャツの第3ボタンと第4ボタンの間が基本です。 地面と平行になるようにまっすぐ留めることで、きちんとした印象を与えられます。
- ネクタイとシャツを一緒に挟む: ネクタイピン本来の機能を発揮させるため、ネクタイの大剣・小剣とシャツをまとめて挟みましょう。 これにより、ネクタイの乱れを防ぎ、清潔感を保てます。
- ネクタイの幅に合った長さを選ぶ: ネクタイの幅からはみ出さない、適切な長さのネクタイピンを選びましょう。 長すぎるものはだらしない印象を与えかねません。
- シンプルなデザインを選ぶ: ビジネスシーンでは、派手すぎないシンプルなデザインのネクタイピンが推奨されます。 シルバーや真鍮など、落ち着いた素材を選ぶと良いでしょう。
- ジャケットを脱ぐ際は着用する: ジャケットを脱いでシャツ1枚になる場合は、ネクタイがブラブラするのを防ぐため、ネクタイピンの着用がマナーとされています。 この場合、ジャケット着用時よりもやや下の、シャツの第4ボタンと第5ボタンの間くらいに低めに付けると、機能性が高まります。
これらのマナーを守ることで、相手に不快感を与えることなく、スマートで洗練された印象を与えられます。
こんな付け方は避けたい!NG例とその理由
ネクタイピンの誤った付け方は、せっかくのスーツスタイルを台無しにしてしまう可能性があります。以下のようなNG例は避けましょう。
- 高すぎる位置に付ける: ネクタイピンがジャケットの襟元よりも上に来るような高すぎる位置は、古風で不自然な印象を与えます。
- 低すぎる位置に付ける: ネクタイピンがジャケットの裾に隠れてしまうほど低い位置では、ネクタイが固定されず、本来の役割を果たせません。また、だらしない印象を与えかねません。
- ネクタイの幅からはみ出す長さのものを付ける: ネクタイピンがネクタイの幅より長いと、見た目のバランスが悪く、野暮ったい印象になります。
- ネクタイだけを挟む: シャツを挟まずにネクタイだけを固定しても、ネクタイがブラブラするのを完全に防ぐことはできません。
- 斜めに付ける(ビジネスシーン): カジュアルなパーティーなどでは遊び心として斜めに付けることもありますが、ビジネスシーンでは水平にまっすぐ付けるのが基本です。 斜めに付けると、だらしない印象を与えてしまう可能性があります。
これらのNGな付け方を避けることで、常にスマートでプロフェッショナルな印象を保てます。
着用を控えるべきシーンとは
ネクタイピンは便利なアイテムですが、着用を控えるべきシーンもあります。特に注意が必要なのは以下の場面です。
- 弔事(葬儀・法事など): 葬儀や法事などの弔事では、光り物を避けるのがマナーとされています。ネクタイピンは装飾品にあたるため、基本的に着用は控えましょう。 ただし、食事の場があるなどでエチケット的に着用する場合は、シルバーではなく黒や真珠のアイテムを選ぶのがマナーです。
- ベスト(ジレ)着用時: ベストやジレを着用している場合は、ネクタイがベストによって固定されるため、ネクタイピンは不要です。 ファッション面から見ても、ベストを着たネクタイは露出する部分が少なく、そこにネクタイピンを付けると窮屈な印象を与えてしまいます。
これらのシーンでは、ネクタイピンを外すことで、場にふさわしいTPOをわきまえた着こなしができます。
ネクタイピンでおしゃれ度を高めるコツ

ネクタイピンは、正しい位置やマナーを守るだけでなく、選び方や使い方を工夫することで、さらにおしゃれ度を高めることができます。ここでは、Vゾーンを意識した選び方やカジュアルシーンでの活用方法についてご紹介します。
Vゾーンを意識したネクタイピンの選び方
スーツスタイルにおいて、Vゾーンは顔の印象を大きく左右する重要な部分です。ネクタイピンもVゾーンの一部として捉え、全体のバランスを意識して選びましょう。
- ネクタイとの色合わせ: ネクタイピンの色や素材を、ネクタイの色や柄、素材と合わせることで、統一感のあるVゾーンを演出できます。例えば、ネクタイの柄にシルバーの要素があれば、シルバーのネクタイピンを選ぶと良いでしょう。
- シャツやスーツとの調和: ネクタイピンは、シャツやスーツの色、素材とも調和させることが大切です。シンプルなスーツにはデザイン性のあるネクタイピンを、柄物のシャツには控えめなネクタイピンを選ぶなど、全体のバランスを見て調整しましょう。
- 素材で印象を変える: ステンレスや真鍮は汎用性が高く、シルバーは上品な印象、ゴールドは華やかな印象を与えます。 シーンや与えたい印象に合わせて素材を選ぶことで、Vゾーンの表情を豊かにできます。
- ブランドで個性を出す: ポールスミス やダンヒル 、ティファニー など、有名ブランドのネクタイピンは、さりげなく上質感をアピールできます。
これらのコツを取り入れることで、ネクタイピンが単なる飾りではなく、あなたの個性を引き立てるアイテムとなるでしょう。
カジュアルシーンでのネクタイピンの活用方法
ネクタイピンはビジネスシーンだけでなく、カジュアルなパーティーや普段使いでもおしゃれに活用できます。カジュアルシーンでは、より自由な発想でネクタイピンを取り入れてみましょう。
- 少し斜めに付ける: ビジネスシーンではNGとされる斜め付けも、カジュアルなパーティーでは遊び心を演出するおしゃれな方法です。
- あえて高めや低めに付ける: ジャケットを着用しないシャツスタイルでは、ネクタイピンの位置を少し低めにすることで、機能性を重視しつつこなれ感を演出できます。 また、Vゾーンをすっきり見せるために高めに付けるのも一つの方法です。
- デザイン性の高いものを選ぶ: ビジネスシーンでは控えめなデザインが好まれますが、カジュアルシーンでは、モチーフ付きやカラフルなもの、異素材を組み合わせたものなど、デザイン性の高いネクタイピンで個性を表現できます。
- ニットタイやカジュアルシャツに合わせる: ニットタイなど、カジュアルな素材のネクタイには、タイタックピンやショートクリップなど、通常のタイバーとは異なるタイプのネクタイピンを合わせるのもおしゃれです。
カジュアルシーンでは、ルールにとらわれすぎず、自分のスタイルや気分に合わせてネクタイピンを楽しむことが大切です。
よくある質問

ネクタイピンの着用に関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。
ネクタイピンはどこに付けるのが正解ですか?
ネクタイピンを付ける位置は、着用するスタイルによって異なります。ジャケットを着用する場合は、ワイシャツの第3ボタンと第4ボタンの間が基本です。 ジャケットの第一ボタンより少し上にネクタイピンが見える位置が理想的とされています。 ジャケットを着用せずシャツのみの場合は、ネクタイがブラブラするのを防ぐため、機能性を重視してシャツの第4ボタンと第5ボタンの間くらいに低めに留めるのが目安です。
ネクタイピンは第何ボタンに留めるのが適切ですか?
ネクタイピンを留める位置は、ワイシャツの第3ボタンと第4ボタンの間が一般的です。 これは、ジャケットを羽織った際にネクタイピンがVゾーンから適度に見え、全体のバランスが良く見えるためです。 シャツ一枚で着用する場合は、第4ボタンと第5ボタンの間を目安にすると、ネクタイをしっかりと固定できます。
ネクタイピンはつけない方がいい場面はありますか?
はい、ネクタイピンをつけない方が良い場面がいくつかあります。最も代表的なのは、葬儀や法事などの弔事です。 弔事では光り物を避けるのがマナーとされているため、ネクタイピンは着用を控えるべきです。また、ベスト(ジレ)を着用している場合も、ベストがネクタイを固定してくれるため、ネクタイピンは不要とされています。
ベスト着用時にネクタイピンを付けると、かえって窮屈な印象を与えてしまう可能性があります。
ネクタイピンの長さはどれくらいがいいですか?
ネクタイピンの長さは、着用するネクタイの幅に合わせて選ぶのが基本です。一般的には、ネクタイの幅の約3/4程度の長さが理想的とされています。 標準的なネクタイピンの長さは5~6cm程度です。 ネクタイの幅からはみ出すほど長いものはバランスが悪く、短すぎるものもアンバランスに見えることがあります。 細身のナロータイには、それに見合ったショートタイプのネクタイピンを選ぶと良いでしょう。
まとめ
- ネクタイピンはシャツの第3ボタンと第4ボタンの間が理想的な位置です。
- ネクタイとシャツを一緒に挟んで固定するのが正しい付け方です。
- ネクタイピンの長さはネクタイの幅の約3/4程度が目安です。
- ネクタイピンにはタイバー(クリップ式)やタイタックなどの種類があります。
- ビジネスシーンではシンプルなデザインを選び、水平に留めるのがマナーです。
- ジャケットを脱いでシャツ一枚の際は、ネクタイピンの着用が推奨されます。
- シャツ一枚の際は、第4ボタンと第5ボタンの間くらいに低めに留めると機能的です。
- 高すぎる位置や低すぎる位置、ネクタイからはみ出す長さはNGです。
- 弔事やベスト(ジレ)着用時はネクタイピンを控えるべきです。
- Vゾーンのバランスを意識し、ネクタイやシャツとの色合わせも大切です。
- 素材やブランドで個性を出すことも可能です。
- カジュアルシーンでは斜め付けやデザイン性の高いもので遊び心を演出できます。
- ネクタイピンはネクタイの乱れを防ぎ、清潔感を保つ実用的な役割もあります。
- 正しい知識でネクタイピンを使いこなし、スーツスタイルを格上げしましょう。
- ネクタイピンは男性の胸元を彩る大切なアクセサリーです。
