庭木の伐採後や建築工事の際に、邪魔な木の根っこを処理する必要に迫られることがあります。特に太い根や広範囲に広がる根の除去には、チェーンソーが有効な道具となるでしょう。しかし、土中の根を切る作業は通常の伐採とは異なり、危険も伴います。本記事では、根伐り作業に適したチェーンソーの選び方から、安全かつ効率的な使い方、さらには作業後のメンテナンスまで、詳しく解説します。
根伐り作業でチェーンソーを使う前に知っておくべきこと

根伐りとは、建物の基礎や地下室を造る際に、地盤面下を掘削して必要な空間を作り出す作業を指します。一般的には地面を30cm以上掘ることで、敷地を切り開くために植物の根を切る必要があったのが根伐りの由来とされています。また、根切りと表現されることもあります。この作業には、地中に張った植物の根や地中埋設物を取り除く作業も含まれるのです。
根伐り作業の目的とチェーンソーの役割
根伐り作業の主な目的は、切り株や残った根が将来的に問題を引き起こすのを防ぐことです。例えば、放置された根はシロアリの発生源となったり、腐敗して地盤沈下の原因になったりする可能性があります。 また、新しい芽が生えてきて再び木が成長することもあります。 チェーンソーは、これらの根を効率的に切断し、除去するための強力な手段となります。
特に太い根や広範囲に伸びた根を人力で切るのが難しい場合に、その真価を発揮するでしょう。
根伐り作業に潜む危険性とその対策
チェーンソーを使った根伐り作業は、土や石に刃が当たる可能性が高く、通常の伐採作業よりも危険が伴います。土中の異物にチェーンが接触すると、キックバックと呼ばれる強い反動が起きることがあり、重大な事故につながる恐れがあるのです。 また、チェーンソーは高速で駆動する刃物であり、騒音や振動、木くずも発生させます。
これらの危険から身を守るためには、適切な保護具の着用と正しい操作方法の習得が不可欠です。
根伐り作業に適したチェーンソーの選び方

根伐り作業はチェーンソーにとって過酷な環境となるため、適切な機種とチェーンを選ぶことが重要です。一般的なチェーンソーとは異なる状況での使用を想定し、耐久性やパワー、そして安全性を考慮した選択が求められます。
エンジン式、電動式、充電式チェーンソーの比較
チェーンソーには主にエンジン式、電動式(コード式)、充電式の3種類があります。根伐り作業では、それぞれの特性を理解して選ぶことが大切です。
- エンジン式チェーンソー: 高いパワーと長い稼働時間が特徴で、太い根や広範囲の作業に適しています。 しかし、燃料の準備やメンテナンスの手間、騒音、排ガスがデメリットです。
- 電動式(コード式)チェーンソー: 電源があればすぐに使え、騒音も比較的少ないため、自宅での庭木の剪定などにおすすめです。 ただし、コードの長さによって作業範囲が制限される点が課題となります。
- 充電式チェーンソー: コードレスで取り回しが良く、騒音や排ガスがないため、住宅地での作業にも向いています。 バッテリーの充電が必要ですが、近年は高性能なモデルも増えており、DIY用途であれば十分なパワーを持つ製品も多いです。
根伐り作業は土や石に触れることが多いため、高出力で耐久性のあるエンジン式が推奨されることが多いですが、作業規模や環境に応じて充電式も選択肢に入ります。
根伐り作業に強いチェーンの種類
通常の伐採に使うチェーンは、土や石に触れるとすぐに切れ味が落ちてしまいます。根伐り作業では、土中の異物との接触を前提とした「根切り用チェーン」や「超硬チップチェーン」を選ぶのがおすすめです。 これらのチェーンは、刃先に超硬合金が溶着されており、通常のチェーンよりも耐久性が高く、切れ味が長持ちします。 根切り専用のチェーンソーも存在し、これらは土の中の根を切削するという過酷な作業にも耐えられるよう、特別な仕様が採用されています。
ガイドバーの長さとパワーの重要性
根伐り作業では、切断する根の太さに応じたガイドバーの長さが必要です。太い根を切る場合は、長いガイドバーを備えたチェーンソーが適しています。 また、土中の根は抵抗が大きいため、十分なパワーを持つチェーンソーを選ぶことが作業効率と安全性の向上につながります。エンジン式であれば排気量、電動式や充電式であれば電圧やモーターの出力がパワーの目安となるでしょう。
作業のスピードを意識しすぎると安全性が低下することがあるため、無理な力を加えず、適度な速度で切断を行うことが重要です。
安全かつ効率的な根伐りチェーンソーの使い方

根伐り作業は危険が伴うため、事前の準備と正しい操作方法を徹底することが何よりも重要です。安全を確保しつつ、効率的に作業を進めるためのコツを解説します。
作業前の準備と安全装備の徹底
根伐り作業を始める前に、必ず以下の準備と安全装備を整えましょう。
- 保護具の着用: ヘルメット、保護メガネ、耳栓、防振手袋、チャップス(防護ズボン)、安全靴は必須です。チェーンソーの刃が体に触れる事故を防ぎ、騒音や振動から体を守ります。
- 周囲の確認: 作業範囲に人や動物がいないか、障害物がないかを確認します。特に、根を切ることで切り株が動いたり、土が崩れたりする可能性も考慮しましょう。
- チェーンソーの点検: チェーンの張り具合、目立ての状態、燃料やオイルの量、各部の緩みがないかを確認します。切れ味の悪いチェーンは、キックバックの原因となるため、適切な目立てが重要です。
- 根の掘り出し: チェーンソーで根を切る前に、シャベルやスコップで根の周囲の土を十分に掘り出し、根を露出させます。 これにより、チェーンが土や石に触れるリスクを減らし、作業の安全性を高めることができます。
根を掘り出す方法と切断のコツ
根を効率的に切断するには、まず根の広がりを把握し、周囲の土を丁寧に掘り出すことが大切です。シャベルや剣先スコップを使って、切り株の周りを円を描くように掘り進めましょう。 特に太い根が見つかったら、その根を重点的に掘り出し、チェーンソーで切断します。 根を切る際は、チェーンソーの刃を根に対して垂直に当て、無理な力を加えず、チェーンソーの重さを利用して切断するのがコツです。
土中の根は硬く、予想外の抵抗がある場合もあるため、慎重に作業を進めることが求められます。
キックバックを防ぐための正しい姿勢と操作
キックバックは、チェーンソーのガイドバー先端が木や異物に接触した際に、チェーンソーが作業者に向かって跳ね上がる現象で、非常に危険です。 キックバックを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。
- 安定した姿勢: 両足を開いてしっかりと立ち、チェーンソーを両手でしっかりと握ります。体幹を安定させ、いつでもチェーンソーを制御できる体勢を保ちましょう。
- ガイドバーの先端を使わない: ガイドバーの先端はキックバックが最も発生しやすい部分です。できるだけガイドバーの中央部分を使って根を切断するように心がけます。
- 無理な体勢での作業を避ける: 不安定な足場や無理な姿勢での作業は、キックバックの危険性を高めます。常に安全な足場を確保し、チェーンソーを扱いやすい体勢で作業しましょう。
- チェーンブレーキの活用: チェーンソーには、キックバック発生時に自動でチェーンを停止させるチェーンブレーキが搭載されています。常に正常に作動するか確認し、緊急時には手動でも作動させられるようにしておきましょう。
根伐り作業後のチェーンソーメンテナンス

根伐り作業はチェーンソーに大きな負担をかけるため、作業後の適切なメンテナンスが機器の寿命を延ばし、次回の安全な作業につながります。土や泥が付着しやすい作業なので、特に念入りな手入れが必要です。
チェーンの清掃と目立てで切れ味を保つ
根伐り作業で土や砂に触れたチェーンは、すぐに切れ味が落ちてしまいます。作業後は、まずチェーンやガイドバーに付着した土や木くずを丁寧に清掃しましょう。その後、チェーンの目立てを行います。切れ味の悪いチェーンは、作業効率が低下するだけでなく、キックバックの原因にもなるため、常に鋭い切れ味を保つことが重要です。
目立ては専用のヤスリを使って行いますが、自信がない場合は専門業者に依頼するのも一つの方法です。根切り用チェーンは特殊な刃を持つため、目立てにも注意が必要です。
エアフィルターやスパークプラグの点検
エンジン式チェーンソーの場合、土埃の多い環境での作業はエアフィルターの詰まりを引き起こしやすくなります。エアフィルターが詰まるとエンジンの出力が低下し、不完全燃焼の原因となるため、定期的に清掃または交換しましょう。 また、スパークプラグもエンジンの始動性や燃焼効率に影響を与える部品です。電極の汚れや摩耗がないかを確認し、必要に応じて清掃や交換を行います。
これらのメンテナンスを怠ると、チェーンソーの故障や性能低下につながるため、取扱説明書に従って定期的な点検と手入れを行うことが大切です。
チェーンソー以外の根株除去方法と選択肢

チェーンソーを使った根伐り作業は強力ですが、すべての状況で最適な方法とは限りません。作業規模や環境、予算に応じて、チェーンソー以外の根株除去方法も検討してみましょう。
スタンプグラインダーによる効率的な除去
スタンプグラインダー(根株粉砕機)は、切り株を根元から細かく粉砕する専用の機械です。チェーンソーでは難しい、地中深くの根まで効率的に除去できます。 大型の切り株や、広範囲にわたる根の除去が必要な場合に非常に有効な方法です。ただし、スタンプグラインダーは専門的な機械であり、一般の方が所有することは稀です。
レンタルするか、専門業者に作業を依頼するのが一般的でしょう。作業費用はかかりますが、時間と労力を大幅に節約できるメリットがあります。
化学薬品や自然分解を促す方法
時間と手間をかけずに根株を処理したい場合は、化学薬品や自然分解を促す方法も選択肢となります。除草剤を切り株の切断面に直接塗布したり、ドリルで穴を開けて注入したりすることで、根を枯らすことができます。 グリホサート系の除草剤が根を枯らすのに効果的とされています。 ただし、除草剤は生きた切り株に使うのが効果的であり、枯れるまでには半年から1年程度の時間がかかることを理解しておく必要があります。
また、腐葉土で切り株を覆い、微生物の力で自然分解を促す方法もありますが、これも完了までに長い時間を要します。 これらの方法は、周囲の植物への影響や環境への配慮も考慮して慎重に選びましょう。
よくある質問

根伐りチェーンソーに関する疑問を解消し、安心して作業に取り組めるよう、よくある質問とその回答をまとめました。
チェーンソーで木の根を切るとどうなりますか?
チェーンソーで木の根を切ると、残った切り株が枯れて腐敗しやすくなります。これにより、シロアリの発生や地盤沈下の原因となるリスクを減らせます。 また、根が生きている限り成長し続けることで、再び芽が出て木が再生するのを防ぐ効果もあります。 ただし、土中の根を切る作業はチェーンソーの刃に大きな負担をかけ、切れ味が落ちやすくなるため、専用のチェーンを使用したり、作業後のメンテナンスを徹底したりすることが重要です。
根っこを切るのに適した道具は何ですか?
根っこを切るのに適した道具は、根の太さや量によって異なります。細い根であれば剪定ばさみやノコギリ、剣先スコップでも対応可能です。 しかし、太い根や広範囲の根を効率的に切るには、チェーンソーが非常に有効です。特に土中の根を切る場合は、超硬チップ付きの根切り用チェーンソーや専用のチェーンが推奨されます。 また、人力での作業が難しい場合は、スタンプグラインダーのような専門機械や業者への依頼も検討すると良いでしょう。
根っこを枯らすにはどうしたらいいですか?
根っこを枯らす方法としては、除草剤の使用が一般的です。伐採した切り株の切断面に直接除草剤を塗布するか、ドリルで穴を開けて注入する方法があります。 グリホサート系の除草剤が効果的とされています。 また、木の表皮を環状に剥ぎ取る「巻き枯らし」という方法や、腐葉土で切り株を覆い自然分解を促す方法もあります。
いずれの方法も、枯れるまでには時間がかかることを考慮し、周囲の環境への影響にも注意が必要です。
根っこを切るのに良い時期はありますか?
木の根っこを切るのに特に「良い時期」という明確なものはありませんが、一般的に植物の活動が活発になる春から夏にかけては、切り口から病原菌が侵入しやすいため、避けるのが無難とされています。植物の休眠期にあたる秋から冬にかけては、木の活動が穏やかになるため、切り口からの影響が比較的少ないと考えられます。ただし、根伐り作業は天候に左右されることも多いため、雨の日を避け、土が乾燥している日を選ぶのが作業のしやすさや安全性の面からもおすすめです。
まとめ
- 根伐り作業は、建物の基礎工事や庭木の伐採後に残る根の除去を指します。
- 放置された根はシロアリや地盤沈下の原因となるため、適切な処理が必要です。
- チェーンソーは太い根の除去に有効な道具です。
- 根伐り作業はキックバックなどの危険を伴うため、安全対策が不可欠です。
- エンジン式チェーンソーはパワーがあり、広範囲の作業に適しています。
- 根伐りには超硬チップ付きの根切り用チェーンが耐久性でおすすめです。
- 作業前には保護具を着用し、チェーンソーの点検を徹底しましょう。
- 根を切る前に周囲の土を掘り出し、根を露出させることが大切です。
- ガイドバーの先端を避け、安定した姿勢で作業し、キックバックを防ぎましょう。
- 作業後はチェーンの清掃と目立てを念入りに行い、切れ味を保ちます。
- エアフィルターやスパークプラグの点検も、チェーンソーの寿命を延ばすコツです。
- スタンプグラインダーは、効率的な根株除去ができる専門機械です。
- 除草剤を注入することで、根を枯らす方法もあります。
- 除草剤による処理は時間がかかりますが、手間を省けます。
- 根っこを切る時期は、植物の休眠期である秋から冬が比較的良いでしょう。
