アレルギー症状を和らげるために処方される「ザイザル」。しかし、服用後に強い眠気を感じてしまい、日常生活に支障が出ている方も少なくないのではないでしょうか。アレルギー症状はつらいけれど、眠気も困るというお悩みは深く、どうすれば良いのかと途方に暮れてしまうこともあるかもしれません。
本記事では、ザイザルで眠くなる原因から、その眠気を軽減するための具体的な対策、さらには眠くなりにくい他のアレルギー薬との比較まで、詳しく解説します。あなたの悩みに寄り添い、より快適な毎日を送るためのコツをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
ザイザルで眠くなるのはなぜ?そのメカニズムを理解しよう

ザイザルを服用して眠気を感じる方がいるのは、薬の成分が持つ特性によるものです。アレルギー症状を抑える一方で、脳に作用して眠気を引き起こすことがあります。このメカmニズムを理解することで、眠気への対処法を考える手助けになるでしょう。
ザイザルの主成分「レボセチリジン」の働き
ザイザルの主成分は「レボセチリジン塩酸塩」という第二世代抗ヒスタミン薬です。アレルギー反応は、体内でヒスタミンという物質が放出され、それがヒスタミンH1受容体と結合することで引き起こされます。レボセチリジンは、このヒスタミンが受容体に結合するのをブロックすることで、くしゃみ、鼻水、かゆみといったアレルギー症状を和らげます。
ザイザルは、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症などの治療に用いられます。
眠気を引き起こす抗ヒスタミン作用
第二世代抗ヒスタミン薬は、第一世代に比べて脳への影響が少ないように工夫されていますが、全く影響がないわけではありません。レボセチリジンも、脳内にあるヒスタミンH1受容体にも作用することがあり、これが眠気を引き起こす原因となります。
ヒスタミンは覚醒を維持する働きも持っているため、その働きが抑えられると眠気や倦怠感を感じやすくなるのです。
眠気の感じ方には個人差がある
ザイザルによる眠気の感じ方には、大きな個人差があります。臨床試験では、眠気が最も多く報告された副作用で、その発現頻度は2.6%でした。「眠気が比較的少ない」とされる第二世代抗ヒスタミン薬の中でも、ザイザルで眠気を感じやすい人もいれば、ほとんど感じない人もいます。
体質やその日の体調、他の薬との併用、アルコールの摂取など、さまざまな要因が眠気の感じ方に影響を与えるため、自分の体の反応をよく観察することが大切です。
ザイザルの眠気を軽減するための具体的な対策

ザイザルによる眠気は、日常生活に大きな影響を与えることがあります。しかし、いくつかの工夫や対策を講じることで、その眠気を軽減し、より快適に過ごせる可能性があります。ここでは、具体的な対策をいくつかご紹介します。
服用タイミングを工夫する
ザイザルは、通常1日1回、就寝前に服用することが推奨されています。これは、眠気の副作用を考慮し、日中の活動への影響を最小限に抑えるためです。就寝前に服用することで、薬の血中濃度が最高になる時間帯を睡眠中に合わせ、日中の眠気を和らげることができます。
もし朝に服用していて眠気が強い場合は、医師や薬剤師に相談し、就寝前の服用に変更できないか検討してみましょう。ただし、小児の場合は1日2回、朝食後と就寝前に服用することもありますので、必ず医師の指示に従ってください。
眠気を誘発する他の要因を避ける
ザイザル服用中は、眠気をさらに強める可能性のある他の要因を避けることが重要です。特に、アルコールはザイザルの中枢神経抑制作用を強め、眠気や集中力の低下をひどくする可能性があります。そのため、服用期間中の飲酒は控えることをおすすめします。
また、鎮静作用のある他の中枢神経抑制薬(睡眠薬や安定剤など)との併用も、眠気を強くすることがあるため注意が必要です。これらの薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。
医師や薬剤師に相談する重要性
ザイザルによる眠気が強く、日常生活に支障をきたす場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。医師は、症状の程度やライフスタイルに合わせて、服用量の調整や他の薬への変更を検討してくれます。
特に、自動車の運転や危険を伴う機械の操作をする方は、眠気が出ると大変危険なため、服用前に必ず医師に相談しましょう。
眠気以外の副作用にも注意
ザイザルは比較的副作用が少ない薬とされていますが、眠気以外にも倦怠感、口渇、吐き気、食欲不振などの症状が現れることがあります。まれに、肝機能障害やけいれんなどの重篤な副作用が起こる可能性もあります。
これらの症状が気になる場合や、日常生活に支障が出るような場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
眠くなりにくいアレルギー薬との比較

ザイザルで眠気が気になる場合、他のアレルギー薬への変更も選択肢の一つです。現在では、眠気が出にくいように工夫された第二世代抗ヒスタミン薬が多数存在します。ご自身のライフスタイルや症状に合った薬を選ぶことが、快適なアレルギー治療のコツです。
第二世代抗ヒスタミン薬の種類と特徴
抗ヒスタミン薬は、眠気の出やすさによって「第一世代」と「第二世代」に分けられます。第二世代抗ヒスタミン薬は、第一世代に比べて脳への移行が少なく、眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されています。
主な第二世代抗ヒスタミン薬には、以下のようなものがあります。
- フェキソフェナジン(アレグラ)
- ロラタジン(クラリチン)
- デザレックス(デザレックス)
- ビラスチン(ビラノア)
- エピナスチン(アレジオン)
- オロパタジン(アレロック)
- ベポタスチン(タリオン)
これらの薬は、それぞれ効果の強さや持続時間、眠気の出やすさに違いがあります。
ザイザルと他の薬(アレグラ、クラリチン、ビラノアなど)の比較
ザイザル(レボセチリジン)は、第二世代の中でも比較的効果が強く、その分眠気を感じやすい人もいるとされています。一方、アレグラ(フェキソフェナジン)やクラリチン(ロラタジン)は、眠気がほとんど出にくいとされており、自動車の運転などの注意喚起が添付文書に記載されていない場合もあります。
ビラノア(ビラスチン)も眠気が少ない薬として知られています。どの薬が最適かは、個人の体質やアレルギー症状の重さ、ライフスタイルによって異なります。医師とよく相談し、自分に合った薬を見つけることが重要です。
ライフスタイルに合わせた薬選びのコツ
アレルギー薬を選ぶ際は、眠気の副作用だけでなく、ご自身のライフスタイルを考慮することが大切です。例えば、日中に車の運転や集中力を要する仕事をする機会が多い方は、眠気の少ないアレグラやクラリチン、ビラノアなどが適しているかもしれません。
一方で、夜間に症状がひどくなる方や、日中の眠気がそれほど気にならない方は、ザイザルのように就寝前に1日1回服用するタイプが便利に感じるでしょう。また、子供の場合はシロップ剤やドライシロップ剤など、服用しやすい剤形を選ぶことも重要です。
ザイザル服用中に運転や危険な作業をする際の注意点

ザイザルを服用している間は、眠気によって判断力や集中力が低下する可能性があります。そのため、特に自動車の運転や危険を伴う機械の操作には細心の注意が必要です。安全な日常生活を送るために、以下の点に留意しましょう。
集中力低下のリスクを認識する
ザイザルの添付文書には、「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」と明記されています。これは、たとえ自覚症状がなくても、薬の影響で集中力や判断力が低下し、思わぬ事故につながるリスクがあるためです。
特に、服用開始時や服用量を変更したばかりの頃は、体の反応が予測しにくいため、より一層の注意が必要です。「自分は大丈夫」と過信せず、リスクを十分に認識することが大切です。
眠気を感じたらすぐに休憩を
もしザイザル服用中に少しでも眠気や倦怠感、ふらつきなどを感じた場合は、すぐに運転や作業を中止し、安全な場所で休憩を取りましょう。無理をして作業を続けることは、自分だけでなく周囲の人にも危険を及ぼす可能性があります。
また、ザイザルを毎日服用している場合、服用から2日目で血中濃度が安定するため、日中を通して薬が効いている状態になります。そのため、「服用後〇時間後なら運転しても大丈夫」という明確な基準はなく、服用中は運転を避けることが推奨されます。事前に運転や危険な作業の予定がある場合は、医師に相談し、眠気の少ない代替薬を検討してもらうのが賢明です。
ザイザルに関するよくある質問

ザイザルに関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。
- ザイザルは市販されていますか?
- ザイザルとアレグラはどちらが眠くなりにくいですか?
- ザイザルはどのくらいで効き始めますか?
- ザイザルを飲むと太りますか?
- ザイザルは子供にも眠気が出やすいですか?
- ザイザルを飲んで眠れない場合はどうすればいいですか?
- ザイザルは毎日飲んでも大丈夫ですか?
ザイザルは市販されていますか?
ザイザルは、現在、医師の処方が必要な医療用医薬品として販売されているため、ドラッグストアや薬局などで市販されていません。ただし、ザイザルと同じ有効成分であるレボセチリジン塩酸塩を含む市販薬は、「ストナリニZジェル」や「コンタック鼻炎Z」などがあります。これらはアレルギー性鼻炎の症状に特化しており、15歳以上が対象で、使用期間の目安も決められています。
じんましんや皮膚のかゆみには使えません。市販薬を使用する際は、薬剤師によく相談しましょう。
ザイザルとアレグラはどちらが眠くなりにくいですか?
一般的に、アレグラ(フェキソフェナジン)の方がザイザル(レボセチリジン)よりも眠くなりにくいとされています。アレグラは、眠気がほとんどなく、集中力や判断力への影響も少ないため、自動車の運転に関する注意喚起が添付文書に記載されていない数少ない抗ヒスタミン薬の一つです。ただし、眠気の感じ方には個人差があるため、ご自身の体質やライフスタイルに合わせて医師と相談し、適切な薬を選ぶことが大切です。
ザイザルはどのくらいで効き始めますか?
ザイザルは服用後、比較的早く効果が現れる薬です。服用後約1時間で効果を感じ始めることが多いと言われています。体内の成分濃度は1日1回の服用で安定し、持続的な効果を提供します。
ザイザルを飲むと太りますか?
ザイザルを含む一部の抗ヒスタミン薬には、「体重増加」や「食欲亢進」といった副作用が報告されることがありますが、その頻度は極めて低いとされています。ヒスタミンが食欲の抑制に関係しているため、その働きを抑えることで食欲が増進する可能性が指摘されていますが、過度に心配する必要はないでしょう。もし体重増加が気になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。
ザイザルは子供にも眠気が出やすいですか?
ザイザルは生後6ヶ月の赤ちゃんから使用できるシロップ剤もあり、子供にも処方されます。子供の場合も眠気の副作用が出る可能性はありますが、眠気の感じ方には個人差があります。子供の眠気が気になる場合は、医師に相談し、服用量やタイミングの調整、または他の薬への変更を検討してもらいましょう。
ザイザルを飲んで眠れない場合はどうすればいいですか?
ザイザルは眠気を催すことがある薬ですが、まれに眠れないと感じる方もいるかもしれません。もしザイザルを服用して眠れないと感じる場合は、薬との関連性や他の要因も考えられます。自己判断で服用を中止せず、まずは医師や薬剤師に相談しましょう。症状や状況に応じて、服用タイミングの調整や、他のアレルギー薬への変更が検討されることがあります。
ザイザルは毎日飲んでも大丈夫ですか?
ザイザルは、アレルギー症状を緩和するために中長期にわたって服用することが可能です。花粉症のような季節性アレルギーの場合は、好発季節の直前から服用を開始し、季節が終わるまで継続して飲むことで、より効果が実感できます。ただし、漫然と長期にわたり投与しないよう注意が必要です。特別な指示がない限り、医師の指示された使用方法とタイミングで毎日服用することが大切です。
まとめ
- ザイザルの主成分レボセチリジンは、アレルギー症状を抑える第二世代抗ヒスタミン薬です。
- 眠気の副作用は、レボセチリジンが脳内のヒスタミンH1受容体に作用することで起こります。
- 眠気の感じ方には個人差があり、体質や体調によって異なります。
- 眠気を軽減するには、就寝前の服用が効果的です。
- アルコールや他の中枢神経抑制薬との併用は、眠気を強める可能性があります。
- 眠気が強い場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。
- 自動車の運転や危険な作業は、ザイザル服用中は避けるべきです。
- 眠くなりにくいアレルギー薬として、アレグラやクラリチン、ビラノアなどがあります。
- ザイザルは市販されていませんが、同じ成分の市販薬は存在します。
- ザイザルは服用後約1時間で効果が現れ始めます。
- 体重増加の副作用は報告されていますが、頻度は極めて低いです。
- 子供にも眠気が出る可能性はありますが、服用量やタイミングの調整が可能です。
- ザイザルを服用して眠れない場合は、医師や薬剤師に相談してください。
- ザイザルは医師の指示のもと、毎日服用することが可能です。
- ライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら最適な薬を選ぶことが大切です。
